最新更新日:2009/04/12
ThinkPad T2xの部屋 元に戻る

いつの間にか5台に増えてしまったT2xシリーズ。短期間にT20〜T23が発売されたため、部品の互換性でわかりにくいところがあります。そのあたりのことも記載し、修理に役立てればと思い作成しました。

発売時期と簡単なスペック紹介
ThinkPad T20
2000年5月にThinkPad 600シリーズの後継として発売されました。→発売当時のPC Watch記事
CPUはモバイルPentiumIII 650MHzと700MHz、液晶パネルは13.3インチと14.1インチのXGA(1024x768)でスタートしました。重量は、13.3インチモデルが2.28kg、14.1インチモデルが2.36kgとなっています。OSはWindows98SEとWindows2000です。
ThinkPad T21
2000年11月発売。T20からわずか半年でモデルチェンジされました。→PC Watchの記事
CPUはモバイルPentiumIII 750MHz、800MHz、850MHzとなり、液晶パネルは14.1インチのSXGA+(1400x1050)が追加となりました。重量は、なぜか13.3インチと14.1インチ(XGA)が2.4kgと同じになり、14.1インチ(SXGA+)は2.5kgとなりました。OSはWindows98SEとWindows2000と変わりません。
SXGA+モデルのみシステムボードが異なり、ビデオチップがSavage IX8+となっています(ほかはSavage IX8で+がつきません)。液晶パネル(上半身)を取り替える際には注意が必要です。
ThinkPad T22
2001年4月発売。T21発売から約半年でまたまたモデルチェンジされました。当時は頻繁に変わっていたようです。→PC Watch
CPUはモバイルPentiumIII 800MHz、900MHz、1GHzとなりました。液晶パネルはT21と同じラインナップ、OSはWindows98SEとWindows2000と変わりません。
システムボードのビデオチップはすべてSavage IX8+となっていますので、SXGA+の液晶パネルはどのモデルにも取り付けできます。
ThinkPad T23
2001年8月発売。今度は4ヶ月でフルモデルチェンジとなりました。→PC Watch
チップセットが今までの440BXから830MPと大きく変わり、搭載できるメモリの最大容量が変わりました。

440BXを使用したT20〜T22は最大で512Mbyteまでしか搭載できず、さらに256Mメモリを使用する際、チップが16個搭載されたもの(高価!)しか認識できませんでした。
830MPは256Mで8個のタイプが使え、さらに512Mで16個搭載のものも認識できるため、最大1024Mbyteまで増設できるようになりました。

ビデオチップも変更され、S3 SuperSavage IXC(16MB)になっています。

CPUも一新され、モバイルPentium III-M 866MHz、1.13GHzとなりました。液晶パネルはT21、T22と同じラインナップ、OSはWindows98SEとWindows2000と変わりません。一部に無線LAN搭載モデルも存在します。

2002年2月にT2x最後のモデルチェンジが行われ、T23のモバイルPentium III-M 1GHz、1.2GHzとWindowsXPモデルが追加されました。]
→PC Watchの記事


所有しているT2xシリーズ
T21(2647-2AJ)改T22一号機(2647-HD4仕様)ベンチマーク
入手時の簡単なスペック
モバイルPentiumIII 750MHz、HDD 20Gbyte、メモリ128Mbyte(SDRAM)。ウルトラベイ2000にFDD装着済み


2006/09 \7,250で入手。バックライト劣化で起動時に赤くなる現象が出ていました。さらにバッテリーのみで運用できない、大きな不具合がありました。

後に、バックライト及びキーボードを交換。さらにシステムボードをT22のものと交換し、T22仕様に変身しました。
現在はメモリを512Mbyteに増設して使用しています。


2011/08 廃棄処分
T23(2647-NG6)ベンチマーク
入手時の簡単なスペック
モバイルPentiumIII-M 1.2G、HDDなし、メモリ128Mbyte(SDRAM)。DVD-ROM


2009/02 \2,100で入手。貴重なSXGA+(1400x1050)のモデル。ドイツ語キーボードがついていましたので、海外で発売されていたものと思われます。電源は入るが液晶表示されないと記載されたジャンク品で、入手時は外部出力も色がおかしく、正常に出来ない状態でした。てっきりシステムボード不良と思っていましたが、サブボードのダイオードが破損しているのを偶然発見し、ジャンクのマザーボードから移植して正常動作するようになったものです。

その後、キーボードを日本語、メモリは512Mbyteに交換。HDDは下の2647-6KJから拝借。1400x1050の広大なデスクトップが気に入り、最近メインで使用しています。
T20(2647-24J)改T21(2647-2AJ)ベンチマーク
入手時の簡単なスペック
モバイルPentiumIII 800MHz、HDDなし(マウンタも)、メモリなし。CD-ROM


2009/02 \1,600で入手。もともとT23(2647-NG6)の、HDDマウンタを提供するためだけに入手したものです。起動しないと記載されたジャンク品。以前入手した、同様に起動しないジャンクのT21用システムボードを修理して装着して復活しました。
バックライトが劣化しているため、起動時に液晶パネルが赤くなる現象が出ています。

一時、下↓のT22に多数の部品を供給し抜け殻になりましたが、システムボードを再度修理しパーツをかき集めて復活。しかし、キーボードはドイツ語、HDDはケースマウントなしで直接装着、メモリスロットカバーなしと結構悲惨な状態です。

現在、メモリを384Mbyteに増設しPuppyLinuxを入れて実験用にしています。その後、キーボードはT22に装着していた日本語を戻しました。

→2009/04/12 起動不良が再発しました。もともと、あまり具合のよくなかったDC-DCを取り付けていたので、仕方がありません。


2011/08 廃棄処分
T22(2647-3EJ)ベンチマーク
入手時の状態
入手時の簡単なスペック
モバイルPentiumIII 800MHz、HDDなし(マウンタも)、メモリ&miniPCIなし(カバーもなし)、キーボードなし、ドライブなし のないないづくし


2009/02 \400という信じられない価格で入手。上↑T21をT22仕様に改造するために入手しましたが、T2xシリーズ共通の起動不良でそのままでは使えませんでした。システムボードを修理し、動作するようになりましたので主なパーツを上↑T21から移植し、復活させました。

その後、キーボードをT22用のものと交換し、オリジナルの状態に復元しました。メモリも384Mbyteに増設。


2011/08 廃棄処分
IO関連は、プリンタポート、RS232C、外部CRT、Sビデオ出力、USB1.1(T23は2個)、PCカードスロット(2スロット)、100BaseTX LAN、V90モデム、IrDAとすべて装備されています。


T2xシリーズの互換性
上半身(液晶パネル部分)はT20〜T23すべてで互換性があります。ただし、SXGA+(1400x1050)の液晶パネルは、T20で使用できません。また、T21でも元々SXGA+のモデルにしか使用できません。

これはシステムボードのビデオチップの違いで、T20とT21に搭載されているSavage IX8がXGAまでの対応となっているためです。SXGA+パネルを使用するには、Savage IX8+のチップが搭載されたシステムボードが必要です。

なお、T22〜T23は全機種でSXGA+パネルが使用できます。
注意:ThinkPadシリーズ全般について言えることですが、XGAとSXGA+ではケーブルが異なります。
キーボードは全機種共通です。
システムボードはT20〜T22まで互換性があります。しかし前述の通り、ビデオチップが異なりますので、液晶パネルとの組み合わせによっては表示不良となる場合があります。

細かな違いで、T22用のシステムボードは800MHz用と、900MHz以上用の2種類があるようです。800MHz用はCPUソケット右側のMOS-FETが3個しかついていません(一個分が空きになっています)。800MHz用のシステムボードに900MHz以上のCPUを搭載すると、耐電流不足でMOS-FETが焼けるかも知れません。同様に、T20&T21用のシステムボードもMOS-FETは3個しかついていません。

T23はすべて同じと思われます。他のT2XシリーズとCPU、チップセットが異なり、互換性は全くありません。
BIOSはT20〜T23でそれぞれ専用となります。CD-ROMからのブートはすべてのT2xシリーズでサポートされていますが、T20、T21はUSBデバイスからのブートをサポートしていません。
バッテリーはT2xシリーズすべてで共通となります。意外に知られていませんが、T30のものが使えます(ただし保障外です)。
ボトムケースはT20、T21で互換性があります。T22は2種類あり、800MHzモデルと900MHz以上で異なります。800MHzモデルなら、微妙には違う(T22用はCPUファンを取ると、銅板が貼ってあります)のですがT20、T21ものでも使用できると思います。T22の900MHz以上のタイプは、ヒートパイプが埋め込まれていますので、互換性はありません。T23はすべて共通です。
CPUはT20〜T22とT23で異なります。T20〜T22シリーズはモバイルPentiumIII(Micro PGA2)、T23はモバイルPentiumIII-M(MicroFC-PGA)となります。ソケットが違うので互換性はありません。
CPUファンは最もややこしいものになります。T20はシリーズ全部で共通となり、ヒートパイプの幅が細いものになります。CPUファンの押さえ金具は無く、直接ネジ止めされています。CPUと接する部分は少し厚めの熱伝導シートが貼ってあります。

T21シリーズは、ヒートパイプの幅が広くなり、押え金具がついています。CPUと接する部分は、熱伝導グリスを塗布します。

T22シリーズは、800MHzモデルのみが、T21とほぼ同じものになり、900MHz以上のモデルはヒートパイプが無いものになります。裏側がメッキされており、ボトムケース側にヒートパイプが装備されています。

T23シリーズはすべて共通ですが、CPUが他のT2xシリーズと異なりますので、互換性はありません。
08K7066 04P3448/08K7268 26P9317


USBブートについて
一番最初はT23で実験を行い、USBメモリからのLinux起動を確認しました。すべてのT2xシリーズでUSBブートが可能と思っていましたが、実際は違いました。

T20〜T21
USBからのブートはまったく出来ません。BIOS内にUSBの項目自体がありませんし、IBM純正のUSB接続FDDでもダメでした。

T22
BIOS内にUSBの項目があり、USB BIOS Supportでブートの可否を選択できるようになっています。この項目をEnabledにしても、IBM純正のUSB接続のFDDしかブートできません。IBM純正のUSB接続CDやUSBメモリからのブートもできません。

T23
USBメモリ、CD、FDDなどのUSB機器すべてでブートが出来ました。使えるUSBメモリなどに制限はなさそうです。


バックライトの交換
13.3インチ LX133X7(LG-PHILPS 05K9636)の場合
液晶パネルを取り出します。

下側にバックライトを収納しているコの字になった金属ケースがありますが、黒いネジで留まった金属のフタで隠れています。

下のテープをカットし、フタを外す準備をします。

右側のテープは、この後の作業で邪魔になりますので、剥がします。

上部のテープはそのままでOKです。
右側のテープを剥がすと、下にフィルムケーブルが通っています。

このケーブルを損傷すると、修復は出来ませんので十分注意してください。

このケーブルが外せるものが一般的なのですが、このLCDパネルの場合は外せません。
四隅のネジ(4本)を外し、LCDパネル回りの金属枠を下側から浮かせます。

金属のフタははめてあるだけなので、簡単に外せます。

このフタを外すと、バックライトを収納しているコの字ケースが見えます。
右側はテープで留めてあります。別になくても問題ないと思います。
バックライトを収納しているコの字金具を外します。

この金具は、白い樹脂フレームに両面テープで接着されていますので、取り外す際は金具をひずませたりして、バックライトを割らないように気をつけます。(交換する場合は割れても問題ないでしょうが)

黒い配線も、樹脂フレームに両面テープで接着されています。
あとはバックライトを交換して、元通りに戻すだけです。


バッテリーの殻割りとセル換装
T2xのバッテリー殻割りは始めてなので、どこから攻めて良いものか悩みました。とりあえず合わせ目にデザインカッターでスジを入れ、コーナを極薄のエッチングソー(ハセガワツール)でカット。あとは、スクレーパを突っ込んでバキバキ分解していきました。

無事、分解できましたがセルの配置が特殊な為、どのように分割するか悩みました。換装するセルは、2個づつ並列にタブで接続されているため、T2xのようなイレギュラーな配置だと、タブを切断する必要があります。今回の場合は、右上の一本だけタブを切断し残りは無理やり収めました。

あとは満充電容量の再学習。もとになったバッテリーは満充電容量の表示が31Whくらいあったのですが、リコンデショニングを繰り返した結果8.7Whくらいまで表示が下がってしまいました。

SANYOのセルを使用している基板なので、再学習は一回につき+20%しかできません。そのため、8.7Whから、定格の38.8Whに戻すには、9回の完全放電−完全充電が必要となります。

参考。再学習のやり方
・完全充電は100%表示ではありません。充電表示灯が遅い点滅でなく完全に点灯となり、充電完了時間の表示が消えるまで行います。
・完全放電は電源が落ちるまで行う必要ありません。放電を続けていると、バッテリー情報が残り容量が4〜6%くらいで変化しなくなります。そのまま放置していると再び容量が下がり始め、充電表示灯がオレンジ色で点滅を始めます。このときに満充電容量が再学習され変更されます。