ドイツ植民地のマリアナ諸島の歴史は、こちらをご覧ください。ドイツ植民地時代に使われたマリアナ諸島の葉書もご覧になれます。
1899年11月18日(土)に開局されたサイパン局では、Marianen加刷の切手と葉書のみ用意されたため、無加刷のドイツ本国の切手と葉書を発行していません。従って、フォアランナーの使用例は存在せず、代わりに、旅行者等がドイツ本国から持ち込んた切手と葉書を使用した、いわゆるミットロイファーの使用例が存在します。以下に、葉書のミットロイファーの使用例を示します。
本国から持ち込まれた5Pfennig葉書(ミットロイファーの使用例)
1899.5.1 郵便料金改訂(植民地とドイツ本国が同一料金)
1.Marianen 45度加刷
1899.11.18 (土曜 Sonnabend, Saturday)
マリアナ諸島の植民地名の加刷には試作が存在しません。これは、ドイツ帝国郵政局に対して、マリアナ諸島向けの加刷切手の発注が届いたのが7月11日(火)で、7月26日(水)にはナポリに停泊しているドイツの郵便船に届いていることから逆算して、遅くても7月22日(土)までに準備されたことを考えると、その11日間に試作を印刷している時間がなかったはずだからです。
最初の加刷は、Marianenという文字を45度傾けたもので、3Pfennig切手、5Pfennig切手、25Pfennig切手、50Pfennig切手がそれぞれ1000枚、10Pfennig切手、20Pfennig切手がそれぞれ5000枚の合計1万4千枚です。
10Pfennig切手と20Pfennig切手を除いて大変高価な切手で、オークションの目玉としてよく見かけます。
2.Marianen 56度加刷
1900.
最初の加刷の文字は正方形の対角線の向きと同じ45度でしたが、切手は縦長の長方形をしており、おそらく、見た目のバランスとして、切手の図案の対角線に合わせた方がよいと判断されたのでしょう。そこで、加刷の傾きを56度に変更したシリーズが発行されました。文献によって発行は5月頃とされていますが、実例は不明です。
3Pfennig 50gまでの印刷物 |
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5Pfennig 植民地内・ドイツ宛葉書 |
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10Pfennig 20gまでの植民地内・ドイツ宛書状 |
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20Pfennig 20gを超え250gまでの植民地内・ドイツ宛書状、書留料 |
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25Pfennig 植民地内・ドイツ宛書留葉書、他 |
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50Pfennig 500gを超え1kgまでの植民地内・ドイツ宛書留書状、小包、他 |
・有効期限は、1901年9月30日です。
1.すかしなし
1901.1.
百年紀が迫った1899年に、どちらかというと暫定的性格であった加刷切手から、植民地専用の図案を用いた正刷切手に切り替えることが検討され、結局、全植民地共通の図案が採用され、上のタイトル部分だけが植民地ごとに異なるという合理的なシリーズが誕生しました。デザインに使われた船が皇帝の御用戦艦ホーエンツォレルン(Hohenzollern)号であったので、収集家の間ではカイザーヨットと呼ばれています。言葉からは優雅なヨットを思い浮かべてしまいますが、これはドイツ語のKaiserjachtを英語読みしたもので、実際はSMS(Seiner Majestät Schiff)、すなわち帝国軍艦のことです。
マリアナ諸島では、1901年1月から、順次発売されました。マリアナ諸島の郵便局は、サイパン局の1局のみであったため、すぐに切り替えるほど需要はなく、特に高額切手は遅く発行されたと考えられています。
3Pfennig 50gまでの印刷物 |
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5Pfennig 植民地内・ドイツ宛葉書 |
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10Pfennig 20gまでの植民地内・ドイツ宛書状 |
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20Pfennig 20gを超え250gまでの植民地内・ドイツ宛書状、書留料 |
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25Pfennig 植民地内・ドイツ宛書留葉書、他 |
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30Pfennig 20gまでの植民地内・ドイツ宛書留書状、500gを超え1kgまでの植民地内・ドイツ宛書状 |
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40Pfennig 20gを超え250gまでの植民地内・ドイツ宛書留書状 |
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50Pfennig 500gを超え1kgまでの植民地内・ドイツ宛書留書状、小包、他 |
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80Pfennig 1kgを超え2kgまでの植民地内・ドイツ宛書留書状、小包、他 |
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1Mark 小包、他 |
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2Mark 小包、他 |
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3Mark 小包、他 |
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5Mark 小包、他 |
有効期限は、1914年10月14日の日本軍による占領までです。
2.すかしあり
1916.-1919.
第一次世界大戦の勃発後、日本軍にサイパンを占領されたドイツは、結果的にマリアナ諸島を失いました。しかし、ドイツ帝国郵政局は菱形のすかしのある用紙に切手を印刷し、ベルリンの郵趣家窓口から、シリーズの最初と最後の切手である3Pfennig切手と5Mark切手を発売しました。郵便に使用できないので、コレクター向けの発売、という形です。
3Pfennig 1919年5月発売 | |
5Mark 1916年6月13日発売 |
5Mark切手に目打ち違いが2種類あります。
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