1Reichsmark(ライヒスマルク) = 100Pfennig(ペニヒ)
ザクセン地区は、7月1日まではハレ中央郵便局の管轄と、マグデブルク中央郵便局の管轄に分かれた地域でしたが、7月2日から徐々に統合が始まりました。当面の間は、料金収納の形で郵便が引き受けられていて、独自の切手はソビエト占領地区としては遅い発行となっています。
1945.10.10 (水曜 Mittwoch, Wednesday)
1.紋章図案シリーズ 無目打ち
ザクセン地区としての最初のシリーズです。用紙には階段状のすかしが入っていますが、用紙の向きの違いから、左上から右下に下って見えるものと、左下から右上に上って見えるもの、の2種類があります。
印刷はギーゼッケ・ウント・デフリーント(Giesecke & Devrient)社で行われ、10×10の100面シートで印刷されました。以下、ザクセン地区で発行された切手の印刷所は、すべて同じです。
正式には無目打ちで発行されましたが、切り離すのが不便なため、ヴィッテンベルク−ルーテルシュタットをはじめとする各局では、独自に目打ちを施して発行されました。
1Pfennig 加貼り用 発行枚数:105万枚 |
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3Pfennig 20グラムまでの印刷物 発行枚数:205万枚 |
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5Pfennig 市内用葉書 発行枚数:105万枚 |
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6Pfennig 市外用葉書 発行枚数:1040万枚 |
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8Pfennig 市内用書状 発行枚数:205万枚 |
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12Pfennig 市外用書状 発行枚数:1005万枚 |
・郵便局が独自に入れた目打ち入り切手は、簡単に偽造できるので、入手には注意が必要です。
・有効期限は1946年10月31日です。
1945.11.-12.
2.紋章図案シリーズ 櫛形目打ち入り
公式に目打ちが入れられたシリーズです。目打ちは、櫛形13×12 1/2ですが、6Pfennigと12Pfennigに13、および、13×12 1/4のバラエティがあります。すかしは無目打ちシリーズと同じく2種類あります。11月から12月にかけて、無目打ちシリーズの在庫がなくなったところから徐々に発行されましたので、公式の発行日はありません。
1Pfennig 加貼り用 発行枚数:406万枚 |
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3Pfennig 20グラムまでの印刷物 発行枚数:608万5000枚 |
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5Pfennig 市内用葉書 発行枚数:496万5000枚 |
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6Pfennig 市外用葉書 発行枚数:1512万5000枚 |
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8Pfennig 市内用書状 発行枚数:602万5000枚 |
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10Pfennig 加貼り用 発行枚数:529万3000枚 |
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12Pfennig 市外用書状 発行枚数:1526万枚 |
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15Pfennig 100gを越え250gまでの印刷物 発行枚数:210万枚 |
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20Pfennig 250gを越え500gまでの市内用書状、郵便為替手数料 発行枚数:606万5000枚 |
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24Pfennig 100gを越え250gまでの市外用書状 発行枚数:204万枚 |
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30Pfennig 書留料、配達証明料、250gを越え500gまでの印刷物 発行枚数:403万5000枚 |
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40Pfennig 速達料、250gを越え500gまでの市外用書状 発行枚数:409万枚 |
・有効期限は1946年10月31日です。
1945.12.17 (月曜 Montag, Monday)
3.農地改革 無目打ち
ユンカー(またはユンケル)は、若い貴族を意味する言葉ですが、古くから広大な土地を所有して農民に対する封建的な支配を行い、その家系から多くの将校を排出しました。ソビエト軍は、占領地内の軍事施設の破壊、軍需産業の解体を行いつつ、さらに将校への報復として、ユンカーの社会的基盤の破壊を意味する農地改革を断行しました。
印刷は、5×10の50面シートで印刷されました。
6Pfennig 畑を耕す農夫 市外用葉書 |
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12Pfennig 同上 市外用書状 |
・紙質の違いや刷色の違いがいろいろあります。
・無目打ちでは不便であったため、ヴィッテンベルク−ルーテルシュタットとシュリーベンの各局では、四辺に単線目打ちがあるもの、縦方向のみ単線目打ちがあるもの、横方向のみ単線目打ちがあるものを発行しました。
・有効期限は1946年10月31日です。
ヴィッテンベルク−ルーテルシュタット局で発行された、 横方向のみ単線目打ちを入れた切手 |
1946.1.-
4.紋章図案シリーズ 無目打ち 追加額面
1月中旬頃、10Pfennigの無目打ちの切手が発行されました。10Pfennig切手は、先に目打ち入りが発行されているため、後からなぜ目打ちを入れずに発行したのかは不明です。
10Pfennig 加貼り用 発行枚数:21万5000枚 |
・有効期限は1946年10月31日です。
1946.1.19 (土曜 Sonnabend, Saturday)-2.21
5.ザクセン再建 付加金付き
ザクセン再建のための復興資金確保を目的とした付加金付き切手が発行されました。1月19日(土)に櫛形目打ち入りのものが発行され、遅れて2月21日(木)に無目打ちのものが発行されました。
印刷は、10×7の70面シートで印刷されました。
6+4Pfennig 1月19日(土)発行 目打ち入り 家屋の建設 市外用葉書 |
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6+4Pfennig 2月21日(木)発行 無目打ち 市外用葉書 |
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12+8Pfennig 1月19日(土)発行 目打ち入り 架橋の工事 市外用書状 |
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12+8Pfennig 2月21日(木)発行 無目打ち 市外用書状 |
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42+28Pfennig 1月19日(土)発行 目打ち入り 機関車の製造 市外用書留書状 |
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42+28Pfennig 2月21日(木)発行 無目打ち 市外用書留書状 |
・有効期限は1946年10月31日です。
1946.2.21 (木曜 Donnerstag, Thursday)
6.農地改革 目打ち入り 用紙改訂
前年に発行された農地改革の切手の再発行ですが、ドイツ切手の中でも異例の、裏が透けるほど薄い用紙に印刷されたシリーズです。ドイツでは、この紙のことを「たばこを巻くための紙」と表現していますが、現在日本で売られているたばこを巻く紙とはほど遠い印象があり、ろうをしみこませたパラフィン紙のような印象を与えます。このような薄い紙でもすかしが入れられています。
印刷は、5×10の50面シートで印刷されました。
6Pfennig 畑を耕す農夫 | |
12Pfennig 同上 |
上の写真では、切手を白い台紙の上に置いているので、その薄さがわかりにくいと思いますが、下の写真のように、適当な印刷物の上に置くと、裏が透けて見えるほど薄いことがよくわかります。この切手の裏にヒンジを直に貼ると、表からヒンジが丸見えになるので、アルバムに整理するときは工夫が必要です。
再発行とはいえ、図案が若干手直しされていて、中央にある朝日の形が◎の二重丸の形で、空にたなびく雲もはっきりとした形で描かれています。下の写真で比較してみてください。上が前年発行、下が再発行のものです。
・すかしの向きとすかしの裏表の組み合わせで4種類のバラエティがあります。
・有効期限は1946年10月31日です。
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