眼振

 眼球の律動的運動で、他覚的に容易に認められる程度のものを眼球 振盪または眼振と呼ぶ。健康者にも特殊の条件の下で現れる生理的眼 振と眼球、脳、神経の病変によっておこる病的眼振がある。そして、 その振れる方向や振れ方によって、律動性、水性、垂直、回転等の名 称をつけて呼ばれる。

1)生理的眼振

1 終末位眼振:側方を注視させると眼球が側方の終末位にきた時水平方向に振れる。
2 視覚運動性眼振:迅速に動いている物を追視している時におこる。
3 回転による眼振:回転椅子にのって20秒に10回位の速さで回転するとおこる。
4 温度性眼振:温水を外耳道に注入するとその方向に向かって眼振がおこる。冷水では方向がその反対となる。
5 電流性眼振:上腕と耳珠に電極をおいて平流電気を通ずるとおこる。

2)病的眼振

1 視性眼振:視力が非常に低下し、注視が十分できないためにおこる。
2 鉱夫眼振:炭坑で永年採炭に従事する者にみられる。
3 病的耳性眼振:梅毒、動脈硬化、白血病、脳底骨折等で迷路に出血し、迷路が破壊しておこる。

 その他、大脳皮質性、大脳循環障害性の眼振、多発性硬化、中毒等にみられる眼振がある。


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