アクションゲーム [2022 - 2023]


目次

2022年のFPS/TPS界を振り返って
 上段には2022年のPCでの話題作・大作を10本ほどセレクトして掲載。


*Dying Light 2 Stay Human
*Elden Ring
*Ghostwire Tokyo
*God Of War
*Gotham Knights

*Grounded
*Lego Star Wars: The Skywalker Saga
*MONSTER HUNTER RISE
*Rainbow Six Extraction
*
ワンダーランズ 〜タイニー・ティナと魔法の世界




 以下はその他のメジャー会社(代理店含む)からの発売タイトル(PC版の発売年&西欧市場での発売年基準)


Asterigos: Curse of the Stars
Babylon's Fall
オバケイドロ!
Batora: Lost Haven
BLACKTAIL
The Chant
The Dark Pictures Anthology: The Devil in Me
DEADCRAFT
Destroy All Humans 2: Reprobed
ドラゴンボール ザ ブレイカーズ
Elex II
Evil Dead: The Game
Evil West
Gungrave G.O.R.E.

Hello Neighbor 2
The Last Oricru
メイドインアビス 闇を目指した連星
Marvel’s Spider-Man: Miles Morales
No More Heroes 3

A Plague Tale: Requiem
PowerWash Simulator
Quake Champions
The Quarry
リビッツ! ビッグ・アドベンチャー
SDガンダム バトルアライアンス
Serial Cleaners
Serious Sam: Siberian Mayhem
Shadow Warrior 3
Sniper Elite 5
スターオーシャン 6 THE DIVINE FORCE
Steelrising
Stranger of Paradise: Final Fantasy Origin
Thymesia

アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション
Way of the Hunter
Weird West



 <インディーズ系会社からの発売タイトル> なお数があまりにも多い為に、ある程度は有名, もしくはSteamでのレビュー数が多い作品をセレクトして掲載しておくに留める。早期アクセス中から正式発売されたゲームはここに含める。


ADACA
Arcadegeddon
Aztech Forgotten Gods
The Backrooms: Lost Tape
Beach Invasion 1944
Bendy and the Dark Revival
Beyond The Wire
Bonding Ambivalence
Born Into Fear
The Bridge Curse: Road to Salvation
The Callisto Protocol
Carnage Offering
Choo-Choo Charles
Cultic
The Cycle: Frontier

DarkenDerek The last Fallen
DC League of Super-Pets: The Adventures of Krypto and Ace
Deadlink
Deadly Premonition 2: A Blessing in Disguise
Dolmen
Dread Hunger
EBOLA 3
Escape Academy
Easy Red 2
Eternal Threads
Fashion Police Squad
Figment 2: Creed Valley
Fobia - St. Dinfna Hotel
Forgive Me Father
Foxhole
Fursan al-Aqsa: The Knights of the Al-Aqsa Mosque
Ghostbusters: Spirits Unleashed
Goat Simulator 3
Golden Light

HALF DEAD 3
Hands of Necromancy
The Heilwald Loophole
High On Life
HYPER DEMON
Ikai
Impaler
Iron Lung
Isonzo
Kao the Kangaroo
KINGDOM of the DEAD

Last Days of Lazarus
The Last Hero of Nostalgaia
Little Witch Nobeta
MADiSON
Martha Is Dead
Metal: Hellsinger
Midnight Fight Express
Mirror Forge
Monstrum 2
The Mortuary Assistant
Mount & Blade II: Bannerlord
Neon White
Night At the Gates of Hell
The Night of the Scissors
Nightmare of Decay
Nightmare Reaper

Occult
Postal 4: No Regerts
Postal: Brain Damaged
Prodeus
Prognostic
Project Downfall
Psych
Raft
Remorse: The List
Rollerdrome

Scathe
Scorn
SCP:極秘ファイル
Severed Steel
Sifu
Skinwalker Hunt
Slaycation Paradise
Sneak Thief
Space Beast Terror Fright
Spacelines from the Far Out
Splatter
Star Trek Prodigy: スーパーノヴァ
Stay Out of the House
Stray
Submerged: Hidden Depths
Supraland Six Inches Under
Teardown
TimeShifters
Toilet Chronicles
巨塔のお姫様
Tunic
Turbo Overkill

Vade Retro : Exorcist
Vampire: The Masquerade - Bloodhunt
Warhammer 40,000: Darktide
We Were Here Forever
Who's Lila?
Wild Planet
XEL




☆全般


 数自体は結構出ている。だが大手各社の主軸となるAAAクラスのタイトルにおいては評価的にはあまり奮わなかったという印象。期待されていた作品は多数有るのだが、それ等がファンの期待していたレベルに達しないというケースが多かった。

 そんな中で高い評価を得たのは『エルデンリング』になるが、こちらは逆にここまで人気が出るとはと言う形に。それは高難易度を謳ったゲームなのでそこまで大衆受けはしない、つまり爆発的には売れないという予想があったからという話なのだが、その分だけやはり影響度には限界はあった。ゲームメディア関連においては高難易度のゲームが評価的に不利になる心配は無い。何故なら関わっている人々の多くはゲームのマニアなので高難易度のゲームに抵抗が無いからである。対してカジュアル層も含めた全ゲーマーを対象とすると、「とにかく高難易度なのでそれが嫌いな方は手を出さない事をお勧めします」系の作品はどうしてもプレイヤー数(売り上げ数)では不利になってしまう。にも関わらずエルデンリングは売れたのだが、それはハードコアなゲーマー層に強くアピールが出来たという意味であってカジュアルなゲーマー層にも広く楽しまれたという話では無い。よって高難易度ゲームを好まない多数派のプレイヤーからすると今年の顔はエルデンリングだと言われてもそもそも関心が無いので、自分が興味の有る範囲内がパッとしなかったのならば今年は傑作が無かったという風に感じられてしまう事になる。

 次にこれは以前よりそうだがメディアミックス作品は相変わらず多目。莫大な開発費を回収するには売らないとならない → 売るには広告宣伝が重要だがやるほど費用がかさんでいく → ならば既に知られている映画や小説等のフランチャイズを利用する事で大きな宣伝効果を得る事が出来るという流れ。ただしそのフランチャイズに興味の無い人には売れないという欠点は有り。それでも多いのは人気フランチャイズの持つ売り上げに対する効果は非常に有効という認識があるからなのだろう。よって今後も増える事は確実と考えられる。


☆対象外ジャンル

 この記事で扱っているのは3D系のゲームに限られているが、それ以外に目を向けると一大ヒット作として話題をさらったのが『Vampire Survivors』である。作者自身が「なんでこんなにヒットしたのか解らない」としている2Dゲームだが、プレイヤーはキャラクターを動かすだけで攻撃は自動で行われるというシステムが最大の特徴。レベルアップをしながら30分間を生き延びるというシンプルなゲーム性でグラフィックスもシンプル。派生作品もかなり出て来ており一つの新ジャンルを生み出したという事で歴史に残る作品となった。


☆残虐表現の規制

 表現規制においては『The Callisto Protocol』が大きな話題となった。元は日本での発売を予定していたのだがCEROの審査を通らず、また規制で通らなかった残虐な表現を修正するのはゲームの本質を失ってしまう事になるから出来ないと発表。その後PC, PS5, Xbox Series Xの全機種において日本での発売を断念し、海外版の輸入を含めてかなり念入りに日本からは購入する事が出来ない様にするという措置が採られた。以前より存在していた日本における表現規制の問題が顕在化した一件と言える。

 不幸中の幸い?な事に実際に発売されてみるとこのゲーム自体の評価は高くなく、「傑作なのに日本では遊べない」という損失感はさして生まれなかったが、将来的には不安を抱かせる事件であったのは確か。なお2023年に入ってからは『Dead Space(リメイク)』, 『Dead Island 2』という作品において、規制が比較的に緩いPC版のみ日本では発売されてコンソール版の発売は見送られるというパターンが出て来ており、PCゲーマーからすると悪くない流れになって来てはいる。


☆Ubisoftの不調

 大手パブリッシャーの中ではUbisoftの不調振りが取り沙汰されている。『Splinter Cell VR』, 『Ghost Recon Frontline』の他にも未発表のタイトルの開発をキャンセルした上に大作の延期などビジネスの進捗状況は芳しくない。それも関連があるのだと思われるがしばらく離れていた自社の新作ゲームのSteamでの販売が再開されている。そしてこの流れはサブスクリプションサービス“Ubisoft+”への連動が狙いとして有りそうだ。

 2年前のEAと同じパターンなので振り返ってみると、それまでは知名度の高い大物タイトルは自社のサイト限定で販売するという方式を採っていた。売上本数という面ではSteamで売るのが明らかに優位だが、Steamで売ると価格の30%(一定額以上から20%)を徴収されてしまう。その点自社サイトならば徴収が無いので、多数売れる作品ならばSteamで売ったのに比較して本数ではショートしても利益という点ではより大きかったからである。ところが会社全体がサブスクリプションにシフトすると、会員は発売日から大物タイトルにアクセス出来る様になるから、自社サイトでの単体販売における利益の意味合いは減少してしまう。そして会員数こそが最重要となったらSteamで会員権を売った方が優位なのは明らかなのでSteamへと進出。全ゲームはSteam上でインストールなどの管理を行う形になるので、それと併せて単体での販売もSteamにて開始(再開)させておくという流れである。Ubisoftもビジネスモデルのサブスクリプション形態への移行を重要視している様だし、全ゲームのSteamでの販売が開始された後に提供を始めるという可能性は高い。


☆FPS

 率直に言ってシューターとしてのFPSは低迷気味と感じられる。大手を見ても対戦マルチプレイのジャンルはまだしもシングルプレイ用の作品が少ない。近年はアクションRPGに圧されている状況である。

 対してインディーズにおいては90年代風のレトロなシューターが人気を博している。以前はオールドスクールなどと呼ばれていたが最近では“Boomer Shooters”という呼称の方が一般的。高速な移動スピード&派手に撃ちまくりというゲーム性でグラフィックスは当時風にレトロな物も有れば現代風にグレードアップしているタイプも出ている。数は多く評価が高い物も多いのだが、やはりインディーズ故に限定的な盛り上がりに留まってしまっている。


☆Co-op

 対応作品は相変わらず多く減少傾向は見られない。しかし2022年は昨年の『It Takes Two』の様な話題作は生まれず、また新しいタイプとして注目を集める物も出て来ないという結果で派手さは感じられず。


☆インディーズ

 Steamフェスはすっかり定着した形でインディーズ会社としては自分達のゲームを知らしめる機会の一つのして機能している。だが何しろ作品数が非常に多いので、フェスのテーマを絞っても参加ゲームはかなりの数になってしまいその中では目立てないという問題もしばしば。体験版の提供を原則としているのは良い事だと思うのだが、関心のある物だけに限っても多過ぎてプレイしきれないという面あり。更にテーマを細分化して参加数を絞り、その代わりに開催数を増やすというのは一つの手だろう。


☆ビデオカード

 2022年初頭の段階では昨年に続いてまだ異常というレベルで高価格だったビデオカードの価格はようやく下がって来ており、これは2023年に入っても変わっておらず一安心といった感じにはなっている。ただし円安の影響はあり。

 GeForce RTX 4090/4080も発売されたが高性能とは言えあまりに高過ぎるという感想。このクラスを私が購入する事は無いであろう。後はIntelも専用ビデオカード業界に参戦してきたが今後どうなるのか。スタート時点ではドライバのトラブルなどが有った様だが落ち着いてくれば新たな勢力にも成り得る。


☆Google Stadia

 10月に突然サービス終了。スタート前から上手く行かないのではないかという予想をしていた反面、金を持っているGoogleがやるだけに大胆な手法を採って来るのではという関心も持っていたのだがアッサリと終わっている。その昔にもこれからはクラウドゲーミングサービスの時代だと言って「OnLive」とか「Gaikai」といった会社が乗り出したが全然上手く行かずに終わっており、今回もそれと同じ結果を辿る事となった。個人的にはそんなに沢山クラウドゲーミング環境でゲームをやりたいと考える人が居るのかな?という所からして疑問なのだが、広範囲のゲーマーに根付くというのは少なくとも数年は無さそうである。


2023年のFPS/TPS界を展望する

 2023年リリース予定のアクションゲームのリストから。上段は業界的に注目度が高いと思われる物を10本選んでいる。


*Atomic Heart
*Assassin's Creed Mirage
*Dead Island 2
*ホグワーツ・レガシー
*The Last of Us Part I

*Skull & Bones
*S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl
*Star Wars Jedi: Survivor
*Starfield
*Suicide Squad: Kill the Justice League






Ad Infinitum
Alan Wake II
Anger Foot
ARC Raiders
Armored Core VI: Fires of Rubicon
Atlas Fallen
Avatar: Frontiers of Pandora
Banishers: Ghosts of New Eden
Blue Protocol
Chants of Sennaar
Clash: Artifacts of Chaos
Crime Boss: Rockay City

Dordogne
Dredge
Ed-0: Zombie Uprising
Endless Dungeon
Everwild
EXOPRIMAL
零 〜月蝕の仮面〜
Forspoken
Gangs of Sherwood
Ghostrunner 2
GRANBLUE FANTASY Relink

Hell is Us
Helldivers II
Hi-Fi RUSH
炎姫
HYENAS
アヴェウムの騎士団
Killer Frequency
龍が如く 維新! 極
龍が如く7外伝 名を消した男
The Lord of the Rings: Gollum
Lords of the Fallen (2023)
メガトン級ムサシW(ワイアード)
Minecraft Legends

ONE PIECE ODYSSEY
Overwatch 2(EA中)
The Plucky Squire
Pragmata
Ravenswatch
Redfall
Remnant 2
Returnal
RoboCop: Rogue City
Rogue Spirit
Rhythm Sprout: Sick Beats & Bad Sweets

Scars Above
Skate Story
スポンジ・ボブ:ザ コズミック シェイク
ソードアート・オンライン ラスト リコレクション
SYNDUALITY: Echo of Ada
The Talos Principle II
Trepang2

Warhammer 40,000: Boltgun
Warhammer 40,000: Space Marine 2
Warlander
Wayfinder
みんな大好き塊魂アンコール
Wild Hearts
Wo Long: Fallen Dynasty




 <インディーズ系会社からの発売予定タイトル。多いので知名度が高い物の中から一部のみ。早期アクセスから公式発売に移行予定の物を含む>



After Us
Amanda the Adventurer
Amnesia: The Bunker
The Anacrusis(EA中)
Another Crab's Treasure
Arctic Awakening
Bleak Faith: Forsaken
Bomb Rush Cyberfunk
Boundary
Bounty Star
Bramble: The Mountain King
Core Decay

The Day Before
Daymare: 1994 Sandcastle
DC’s Justice League : コズミックカオス
Deathground
Deceive Inc.
Deflector
Deliver Us Mars
Dust & Neon
Dustborn
Earth From Another Sun
El Paso, Elsewhere
Eternights
Evotinction
Flea Madness
Flintlock: The Siege of Dawn
Flock
Forever Skies
Fort Solis
Frozen Flame(EA中)
Gatewalkers
グリッチバスターズ:スタックオンユー
Gori: Cuddly Carnage
Greyhill Incident
GYLT


Highwater
The Invincible
Island of Winds
Killer Klowns from Outer Space: The Game
Kona II: Brume
LEAP
Lies of P
Lightyear Frontier
Little Devil Inside
LONE RUIN
The Lord of the Rings: Return to Moria
Lunacy: Saint Rhodes
Matcho
Meet Your Maker
Moving Out 2
Narin: The Orange Room
Nightingale
No More Romm in Hell 2

Oni: Road to be the Mightiest Oni
Osiris: New Dawn
The Outlast Trials(EA中)
Pacific Drive
Paleo Pines
Palworld
Paradize Project
Paranormal Tales
PERISH
The Peterson Case
Phasmophobia (EA中)
Project S
Protodroid DeLTA
Ravenbound
Ravenlok
Road 96: Mile 0

Sayri: The Beginning
Season: A Letter to the Future
Second Extinction(EA中)
Shadows of Doubt
Six Days in Fallujah
Sons of the Forest
Starship Troopers: Extermination(EA)
Stray Souls
Strayed Lights
Superfuse
SYNCED
Tchia
The Texas Chain Saw Massacre

Under The Waves
Voidtrain(EA中)
Wanted: Dead
Wild Planet
Wildmender
Witchfire
WRATH: Aeon of Ruin(EA中)




☆全般

 大手パブリッシャーから予定されている作品数は多く、また大物とされる注目作の方も2022年よりも豊富と言えそうな位に多い。8割方でもちゃんと出てくれれば盛り上がる年になりそうである。


☆世界情勢

 日本国内を含めて世界はようやくコロナによる様々な制限から解放されつつあり、2023年は予想外のぶり返しさえ無ければコロナ前に近い状態にまで回復しそうである。ゲーム業界にとってみるとコロナによって人員の配備やミーティングなどに制限が掛かり開発の遅れなどが生じていた問題が解消されるという事になってくるが、対してコロナの間は巣籠もり需要によってゲーム売り上げが伸びたというデータもあり、その点は平常に戻る事で売り上げが減るという懸念はあり。

 2022年に発生したロシアによるウクライナへの侵攻も、両国の開発会社は結構な数に上る為に影響は大きい。ウクライナでは攻撃に対する避難やインフラの破壊等によって開発に制限が発生したり、祖国の為に戦場へと赴く道を選択する開発者も存在する。ロシア側でも西側諸国からの圧力によってビジネスや経済面への悪影響の発生や、徴兵制に反対する人民の国外脱出なども起きている。両国共にゲーム開発どころではないという関係者も多いだろうし、紛争の長期化によって更に悪い方へと進む可能性も出て来ている。


☆常時オンライン接続必須

 以前より常時オンライン接続必須の仕様に関しては論争が多い件なのだが、『BABYLON'S FALL』における騒動によって顕在化したというのもありまとめてみる。プレイ中はそれがシングルプレイであってもオンラインへの接続維持を必須にするという目的には、違法コピー対策というのもあるのだがここではそれは除外し、「オンラインでの対戦やCo-opに対応しているがローカルでのソロプレイも可能というゲームにおいて、ソロでプレイしている時でもオンライン接続の維持が必要という仕様」というタイプに関してである。

 このタイプではユーザーのセーブデータ(キャラクターのレベル, アンロック状況, 成績等)を運営側のサーバーに保存するというのが特徴で、起動時にまずはこれを読み込むのとデータの更新が必要になった際にはサーバー側のセーブを更新する為に常時オンライン接続が必須となる。主にユーザーによるセーブデータの改竄を困難にするのが目的で、これはチートの様な形で成長やアンロックを高速で進められてしまい公平性が損なわれるのを防ぐのと、その成長を高速化する時短系の有料DLCの販売への影響や有料販売しているゲーム内通貨の不正入手を防止したいという考えもある。

 それとこのタイプではユーザーが自身でサーバーを建てられないという仕様の物も多い。やるとしたら公式と契約しているレンタルサーバー会社から有料でレンタルするしかない。こうする事でユーザーはサーバー内のファイルにアクセスして変更してしまったりが出来なくなるので、高速でレベルアップやアンロックを進められる様にサーバーのファイルを改造されるのを防止出来る(一般的なチートにも強くなるのも利点)。

 しかし当然ユーザー視点からすればデメリットもあって、管理サーバーが落ちたらローカルでのプレイすら不可能, Modには原則非対応にせざるを得ない(レンタルサーバーのみならばModは導入が困難。またユーザーが優位に進められるタイプのModは不可。), ユーザー側では自由にサーバーを建てられない等。中でも不満が多い物の一つは回線が細いor不安定なのでプレイが出来ないという件。日本ではほぼそんな事は無いが国や地域(もしくは経済的な問題)によっては非常に細く不安定な回線しか用意出来ず、それ故に安定してプレイをする事が出来ないというユーザーは頻繁に見受けられる。

 もう一点が冒頭に挙げた『BABYLON'S FALL』でも発生した問題なのだが、常時接続必須のゲームは運営側の管理サーバーが停止してしまうとシングルプレイを含めて一切のプレイが不可能になってしまう。一般的なマルチプレイ対応ゲームでもマスターサーバーの停止によりプレイが出来なくなるという事態にはいずれなるのだが、IP直結対応やシングルプレイも含まれているのならば全く遊べなくなる訳では無い。だが今回の一件ではたったの一年で、かつフルプライスの高価なAAAタイトルが完全にプレイ出来なくなってしまったという状況から大きな非難を浴びる事になっている。サービス終了前にセーブデータのローカル保存を含めシステム全般を変更してソロでならば遊べる様にするという手はあるが、利益を生み出さないという理由でサービスを停止するゲームを更にこれから大金を掛けて改造するのかとなったらまあ無理であり、そのまま投げ出されるのがほとんどなのは避けられない。

 ユーザーには常時接続必須のゲームではたったの一年で一切のプレイ出来なくなるというケースも有り得るというのを示した事から、今後の見られ方(購入)には悪影響が出そうという気もするが、サブスクリプションが発達してしまえばそんなに気にされないという可能性もある。


☆PvPvEの流行

 マルチプレイにおけるトレンドとしてはPvPvEタイプの作品が目立つ。2022年だとThe Cycle: FrontierやMaraudersなどが代表的だが、今後の予定作も含めてかなり増えて来ており2023年から来年辺りまでは結構な作品がリリースされそう。全てがそうではないがPvPvE系のゲームは「Extraction Shooter」と呼ばれるタイプが多くを占めており、この名称も近い内にジャンル用語として定着しそうである。『Escape From Tarkov』や『Hunt Showdown』が既に人気を得ている代表的な作品。プレイヤーはAI操作の敵と他のプレイヤーが存在しているマップ内を探索して良質の武器やアイテム類を入手するのが第一の目的となる。だが入手するだけではダメで、それを持って脱出地点まで到達しなければ自分の物にはならない。その脱出過程においては敵AI以外に他のプレイヤーも脅威となり、他のプレイヤーが確保してきた戦利品の横取りを目的として攻撃を仕掛けてきたりする。そして脱出に成功すればそれは自分の物として確定するが、失敗してダウンしてしまうと自分の装備品の方も失ってしまう恐れがあるというルール。つまりミッションを成功させるには出来るだけ良い装備品で出撃するべきだが、失敗した際にはその良い装備を全て失ってしまうという危険性を孕んでおり、そのスリルこそが面白さの要因とされるゲーム性になっている。

 これがジャンルとして大流行するのか?に関しては予想が難しい。困った点としては、良い装備品を得られる楽しみが売りな事からルーターシューターのファンに受けそうに思えるのだが、実際にはアイテム類を確保した時点で入手が確定するルーターシューターに対してExtraction Shooterでは持ち帰るまでそれが確定しない。すると一度は入手したはずのアイテムが他人に取られてしまうというルーターシューターのファンにとっては許し難いケースが発生する事になり、当然ながら怒りを買ってしまい嫌われてしまう訳である。とは言え運営側からすればマルチプレイとはプレイヤー人口が最重要であって、あえて「ルーターシューターのファンには受けない可能性が高いです」とは言いたくない。宣伝で誘ってプレイしてもらいその中で2割とかでも「これも面白いじゃないか」と気に入って貰えばその分は人口が増えるのだから大きいしそうしたい。だが詰まらなかったとする残りのファンには低評価を付けられる恐れがありゲーム全体の評価点は下がってしまうという事態が生じる。そして低評価が目立ってくると「これは詰まらないのではないか」と判断して手を出すプレイヤーが減ってしまうという悪影響が出てしまう。

 他にはチームの扱いをどうするかという問題もある。脱出する側でもそれを襲おうとする側でも、その局面にて人数的に劣勢というのは大変に嫌がられる。公平性の為にとにかくチームを組ませないで単独行動しか許さないとするなら、フレンドとは一緒のサーバーにはアサインされない仕様にするとかが考えられるが、チームとしてプレイしたいというユーザーは多いのでその観点からはマイナスになる。一方でチームを組むのならばその人数に応じてサーバーを分けるというやり方だと、人口が多ければ良いのだが少ないケースでは更に人数が分断されてしまう事になるのでそれは避けたい、となって調整が難しい。


☆サブスクリプション

 EAやUbisoft、あるいはXboxのゲームパスなどサブスクリプション形態へのシフトは進んでおり、今後もこれは進みそうなのは確かだがそのスピードがどの程度になるのかについては読み辛い。流行の理由の一つとしてはAAAタイトルの高額化という件があり、70ドル路線が増えつつある中でそのAAAタイトルが初日からプレイ出来るクラスのサブスクリプションのお得感が増しているというのはあって、今後発売されるゲーム数が増えてくると更なるお得感の上昇に繋がるので流行にはプラスに働きそうである。逆にゲームのリリース本数が減るとマイナスに作用してしまう事になる。

 運営側からするとこれまでの単体販売による利益が失われる事になるのでマイナス面もあるのだが、例えばマルチプレイ対応ゲームにおける影響と言った利点も生まれている。マルチプレイはプレイヤー人口が命なのは言うまでも無いが、初期出荷で相当な数が売れると確実視されている作品を除けば、AAAの高価な物では初期の売れ行きがそれ程は伸びないという作品も出て来る。そうなるとプレイヤー人口も少ない事になりそれは良くない。ところがゲームがサブスクリプションの中に入っているのならば「単体販売では購入する意志はないが、サブスクリプションとして遊べるのならばやってみるか」というプレイヤー数が相当数期待出来て、それがマルチプレイ用ゲームであれば生命線であるプレイヤー人口の増大に寄与してくれる。金を掛けて宣伝してもマルチプレイの人口を増やすのは難題だったりするのだが、サブスクリプションに含めるという手段で大きく人口増が図れるのならば単体販売での利益が減るにしても充分に見返りがあると見なせる訳である。

 私としては“実物”としてゲームを入手するという点にこだわりがあって、以前にも別項で書いたがダウンロード販売が流行してもリテール版のディスクでの購入をメインにしていたというのもあり、サブスクリプション契約だとそのゲームを実際に入手(ライブラリに登録)しているのでは無く、将来契約を解除すれば所持していない状況へと戻るという所が気に入らないというのかしっくり来ない。よって契約する事は無いのではないかと考えている。


☆Vampire Survivorsのフォロワー

 大流行した『Vampire Survivors』だが私は未プレイだしそれ程興味を持っている訳では無い。しかしフォロワー的な作品は多数出て来ており、その中には本家とは異なる差別化を打ち出してきている作品も有る。それ等の中には本家よりも私の興味を惹く物も有って、例えば手動での攻撃要素をも含んでいる(攻撃方向を調整, 必殺攻撃は任意発動等), 設定が銃器類でのシューター, オンラインでのCo-opに対応, 3D化によるビジュアル面での向上など。他にもまだまだ変化形は出て来そうでその点では将来的にも面白そうに感じている。(ただしこの項目は3D系のゲームのみを扱うので2D描画では無く3D化された作品でなければ採り上げない)。


☆Unreal Engine 5

 実際に利用作品も登場するなどUE5へのシフトが進んでいる。UE3とUE4の時は両者は大きく異なる物であった為に、UE3で作られているゲームをUE4にコンバートするというケースは少なかった(大変な労力なので)。やるとすればUE4は現行のコンソール(PS4、Xbox One世代)に対応していたので、コンソール版を出すゲームにおいてUE4へのコンバートを行ってそれに伴いPC版もUE4へアップデートされるというパターンが大半。その点UE5はUE4との互換性が高く、UE4で製作したプロジェクトファイルをUE5へとコンバートも行える様になっている。UE5では無くされている機能にこだわりがあるといった状況でも無ければアップグレードした方が良いという話の様だ。実際に一人だけでやっているインディーズの開発者でもUE5へと変更するという作品は良く見掛けるのでそれだけ親和性が高いのだろう。


☆OS

 Steamでは2024年1月でWindows 7/8/8.1のサポート終了を宣言。以降はSteam自体が動作しなくなるのでOSは10以上にアップグレードしなければならない。Steamの定期調査だと該当OSの使用者は1.4%程度しか居ないが、何しろ分母が大きいだけに実数としてはまだかなり多いはず。7が気に入っており10は大嫌いなので変えたくないとか、国の状況として10は入手しにくいなどいろいろと理由はある模様。インディーズ制作者の中には7へのサポートを確約して売り上げを伸ばしたいという狙いを持った所も有ったと思うのだが、Steam自体が対応しなくなるのではどうしようもない。現在でも7や8を利用している者がOSを10にする事はまず有り得ないのでSteamが非対応になるなら海賊版でプレイする人が増えるだけという見方も出ているが...。対してこれで7や8へのサポート対応を止められるので助かるという制作者も多いだろう。


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