アクションゲーム [2019 - 2020]


目次

2019年のFPS/TPS界を振り返って
 上段には2019年のPCでの話題作・大作を10本ほどセレクトして掲載。


*Anthem
*Borderlands 3
*Call of Duty: Modern Warfare
*Code Vein
*
Control

*The Division 2
*Metro Exodus
*Rage 2
*Red Dead Redemption 2
*Star Wars Jedi: Fallen Order



 以下はその他のメジャー会社(代理店含む)からの発売タイトル(PC版の発売年&西欧市場での発売年基準)


Ancestors: The Humankind Odyssey
Attack on Titan 2
Blair Witch
Close to the Sun
Crackdown 3
The Dark Pictures Anthology: Man of Medan
Darksiders Genesis
Detroit: Become Human
Devil May Cry 5

Earth Defense Force 5
Earth Defense Force: Iron Rain
Far Cry: New Dawn
Gears 5
Generation Zero
Ghost Recon Breakpoint
Ghostbusters: The Video Game
God Eater 3

Halo Reach
Heavy Rain
Hunt: Showdown
Journey
Left Alive
Life Is Strange 2
MechWarrior 5: Mercenaries
Metal Wolf Chaos XD

The Occupation
Onimusha: Warlords
A Plague Tale: Innocence
Plants vs. Zombies: Battle for Neighborville
Remnant: From the Ashes

Sea of Solitude
Sekiro: Shadows Die Twice
Shenmue III
The Sinking City
Sniper Ghost Warrior Contracts
The Surge 2

Terminator: Resistance
Travis Strikes Again: No More Heroes Complete Edition
Wolfenstein Youngblood
World War Z
Yakuza Kiwami
Yakuza Kiwami 2



 <インディーズ系会社からの発売タイトル> なお数があまりにも多い為に、ある程度は有名, もしくはSteamでのレビュー数が多い作品をセレクトして掲載しておくに留める。早期アクセス中から正式発売されたゲームはここに含める。


Aka Manto | 赤マント
AMID EVIL
Apsulov: End of Gods
The Beast Inside
The Blackout Club
CASE 2: Animatronics Survival
The Church in the Darkness
The Cursed Forest
Daymare: 1998
Deliver Us The Moon
Devotion
Die Young
Dollhouse
Draugen
Duck Season PC
Freeman: Guerrilla Warfare
Green Hell

Hedon
Home Sweet Home EP2
Inunaki Tunnel | 犬鳴トンネル
Ion Fury
Layers Of Fear 2
Moons of Madness
Never Again

Observation
Onirism
Outer Wilds
Outpost Zero
Pacify
Palmyra Orphanage
Pandemic Express
Pathologic 2
Project Winter
Rune II

Secret Neighbor
Shadow Corridor
Silver Chains
STARDROP
Stigmatized Property | 事故物件
Trailmakers

Void Bastards
We Were Here Together
The Wild Eight



☆大手タイトルの発売本数

 昨年の予想では明らかにされているタイトル数が少なく、また発表されて同年発売という物は少ないという事実からあまり発売されない年になりそうと予想していたが完全に外れ、2018年の倍といったレベルで大量のゲームがリリースされる年となった。

 原因の一つ目としてコンソール版タイトルの移植。ここ数年の傾向としてコンソールで発売されていた有名タイトルが突然PCに移植されてリリースされるというケースが増えてはいたのだが、2019年はそういったタイトルが数多く発売されておりその数が計算に入っていなかった。このパターンではタイトルの存在を知らしめる為に発売までの期間を置くという必要性があまり無いので、アナウンスから間を置かずにPC版が発売される事が多くて事前の発売予想が難しい。増加の理由としてはこの形式で売った際に予想以上に売れるという結果が出ているのでその動きが加速しているというのは考えられる。有名タイトルばかりなのでプロモーションに費用を掛けなくても済むし、ゲームのデータは既に有る訳なので移植費もそれ程は掛からないという利点も有り。

 もう一点はEpic Games Storeの出現。これまでPCの新作発売を予想するにはほぼSteamでの発売情報を追っていれば良く、それにOriginやUbisoft, 他には自社立ち上げの作品の情報を得れば足りるという状況であった。しかしEGSで(時限)独占形態で発売されたタイトルが多くラインアップに加わっており、それ等の中にはカウント洩れしていた物が結構有る。おそらくなのだが大手のゲームサイトは新興のEGSとはまだコンタクトが細くて、2019年には発売される予定になっている作品の情報を掴めていなかったのだと思う。それでSteamにて具体的な情報が出ていないから「2019年以降で未定」という扱いにしていたタイトルが実際にはEGSで発売されたという状況になる。


☆インディーズゲーム
 Steam全体でのゲーム発売数は8263本だったそうで、昨年は9000本位となっていたはずだが今見るとそれと同じ程度まで減っており(消えたゲームなどを排除していると思われる)、結果的には昨年とほぼ同程度という結果に。ここ何年かは数千本レベルで増加していた為に2019年は1万2千本位かという予想もあったのだがそうはならず。基本的な審査さえ通れば発売が可能になるSteam Directにより増加傾向に拍車が掛かっていたが、さすがにこの辺で打ち止めという形になるのか。

 Indiepocalypse(インディーポカリプス)なる造語にもある様にタイトル数が多過ぎて人の目にほぼ触れないという作品が多く、低品質だがレビュー欄で批判すらされないというゲームも目立つ。2018年の物だが全部引っくるめての売上本数の中央値は50本, 売上高は250ドルというデータも在り。粗製濫造的な大量の作品を除外すればそれぞれ2000本, 1万2500ドルにまで回復するそうだが、この額でも開発費を回収出来るのか, 今後のアップデートを続けられるのかとなると危ういというレベルでしかない(特に開発チーム人数が多いゲーム)。

 ただ2019年には面白い機能もSteamに加わっている。これまでの大きな問題とは「あるユーザーの趣向に沿ったゲームであるにも関わらず、あまりにもゲーム数が多い為にそのユーザーの目に留まらない恐れがある」という件であった。そこでこれまでは全12本のお勧め作品キューを提示したり、似ているゲームを表示して紹介したりしていたのだが、実際の所そのお勧め精度は低くてあまり役に立たないという程度でしかなかった。それを改善する為に導入された新機能がSteamラボである。幾つかのセクションに分かれているが、例えば検索機能は非表示を選択出来たりと絞り込みが活用出来る様になっている(Steamのブラウザ拡張機能として制作されているAugmented Steamに導入されていた機能を取り込んだ形)。またディープダイブも便利な機能。これまではユーザー定義タグによって検索は出来たが、ユーザーが付けるだけに定義付けが曖昧だったり、あまりにも一般的なタグでは絞り込みが出来ないという欠点があった。それをディープダイブを使えば「同様のタグを多数付けているゲーム」という形で検索してくれるので、表示件数も少ないし似ているゲームの発見確率も高められる様になっている。こういった試みは今後も続けて行ってもらいたい。


☆Live Service Games
 これまでGames as a Service(GaaS)と称してきたが、どうも最近ではLive (Service) Gamesという呼び方の方が一般的になって来ている様だ。意味合いとしては一緒で、パッケージ販売による売り切りではなく、販売後の継続的なアップデート(追加コンテンツ)によって利益を上げていくというビジネスモデルである。昔はDLC(シーズンパス)だけが多かったが、そこにイヤーパスやバトルパスといった物を追加。更にコスメ系アイテムなどのゲーム内コンテンツの販売。キャラクターやアイテムのアンロック等を可能にする時短系通貨の有料販売もそれに当たる。ただしルートボックスは批判を受けて消失傾向にある。言い方を変えれば「出来るだけ長い期間継続してプレイヤーに遊び続けて貰える様にする構造で、その間に多くの金を注ぎ込んで貰える様な工夫もして利益を上げる」という方式のこと。既に大手販売会社においてはゲーム本体の売り上げよりもこういったライブサービスからの収益の方がずっと多くなっており、そちらに注力しているという状況にある。なおこのライブサービスという形態はモバイルゲームとの相性が良く、各社共にそちらの方面へと力を入れる様になっている事から据え置き機の方の市場の伸びはあまり目立たないというという風にもなっている。

 そんな中で注目される動きとしては、以前の展望でも書いたのだがこのシステム形態上ライブサービスに対応させるにはマルチプレイゲームの方が適しており、それ故にクリアされたら基本的には終わりとなるシングルプレイ用ゲーム(特に大規模な予算でのAAA級)は減少して行く運命にあるのではないかという見方が増えていた。ところが現実にはむしろシングルプレイを重視(or専用)したゲームが復権している様な状況にあり、その理由としては予想していたほどライブサービスの市場内に割り込める余地が無かったという件が考えられる。プレイヤーを出来るだけ長く特定のゲームに留まらせるという事は、限られた人数を対応しているゲームで奪い合うという意味になる。でもそのべースとなる人数&金額は増えて行く期待が持てるから、より多くのゲームに参入の余地があるという分析だった。しかし実際には現時点で人気のあるゲームがよりその人口を増やすという形になり、新規に参入したゲームがあまりプレイヤー人口を確保出来ないという結果に終わっている。このタイプのゲームにユーザーが落とす総金額は確かに増えているのだが、例えばFortniteの様な化け物的なゲームが大量の人口と金額を持って行ってしまう為に新規に参入したゲームが太刀打ち出来ないという状況。想定していたほどマルチプレイ用ゲームにおけるライブサービスからの収入を得られずに苦戦しているという話になっている。

 そこからシングルプレイ用のゲームをライブサービスに適応させて収入を上げようという動きが強まって来ていると言えよう。追加シナリオ関連のDLCを出したらそれで終わってしまうという観点からライブサービスには向かないとされていたが、コスメ系のアイテムなどはマルチプレイ非対応で他人には見せられないとなっても売れたりするし、時短系の有料販売はシングルプレイでも使える。イベントを定期的に設けて臨時(限定)販売を行うという手もポピュラー。他ゲームとのコラボ販売なども有り。その他にも有料アイテム類を多種揃えて様々な形態で利益を上げようという努力が行われている。ただし安い品を沢山用意出来るタイプのゲームが好ましいというのはあり、今後はそれに向いているゲームに各社が力を入れてくる様になる可能性は高い。あるいは据え置き機は放って置いてシングルプレイ用のモバイルゲームに各社がより傾注するようになるかである。


☆マルチプレイ
 新機軸となる様なトレンドは生まれず。相変わらず非対称型の“X人 vs 1人”形式のゲームが多く、いろいろと新しいシステムを導入しようと試みている様だが大人気を得るようなゲームは出現しなかった。評価が悪いという物ばかりではないのだが、評価は高くても人口はそれ程集まらないのでムーブメントには成り得ないといった所。


☆Epic Games Store
 年間を通して運営された最初の年になったが、ストア自体に大した機能は実装されず終い。ユーザーに対してのコミュニティ機能も最小限という程度しか用意されていない。ただ長年先行しているOriginやUplayも同じくストア&コミュニティーの機能は全然ダメなので特に目立ってという訳でも無い。全部合わせて機能的にはまだSteamには遠く及ばないという状況である。

 販売方針としては申請すれば誰でも販売可能という事では無く、昔のSteamと同じである程度の規模を持った会社や有力なタイトルでないと許可されない様である。それ故にタイトル数自体が未だ少ない。なお2019年の売り上げは専売タイトルの占める比率が90%以上であったが、その売上高は予想を遥かに上回る好調だったという点からして、あまり手広くは専売以外のタイトルを集めないという方針はしばらくの間は継続されると思われる。

 (時限)専売となったタイトルはそれ程は無かった。この辺りはストア開設&配分率が発表されてからの間が短かったというのが影響したと考えられる。利益率が高いEpic Gamesストアが魅力的だと考える会社は当然多かったはずだが、既にSteamに販売ページを設けていた発売予定ゲームも多く、それまでに「ウイッシュリスト入りをお願いします」とやっておきながら「Epic ストアの方が儲かるからそっちに行く事にしました」では仁義を欠くと考えた所が大半だったという話。実際にその仁義を欠いて批判されるゲームも幾つか有ったので余計に移行し辛くなったというもある。


☆自社ランチャーでの専売
 Steam等の販売サイトなんかで売るよりも自社ランチャーを通しての専売にした方が遥かに利益率が高いという事から移行の動きが考えられると予想は立てていたが、2019年で大きな動きがあったのはその逆パターンの方であった。まずはDiscord。悲惨というレベルの大失敗によりストア機能自体が廃止に追い込まれており、現在では購入していた人がアクセス可能なだけとなっている。独占タイトルであったLast Yearの様に購入者にはキーを渡してSteamに全面移行というタイトルもあり。

 ベセスダが自社ランチャーでの専売を取り止めるという事態も発生。これはやはりFallout76の評判に因る物だと考えられ、評判&売れ行きが良ければそのままの路線でRage 2, Doom Eternalも同じく専売とする予定だったのだろうが、失敗した結果として売れ行きが伸びずにSteamでも売らないとダメだという方針に変えたのであろう。ただし将来的にも諦めたという話では無く、他サイトでも売るがランチャーのアカウントは作らないとならないという風にしてアカウント所持者を増やし、今後自信のあるビッグタイトルの発売時に再び独占へと切り替えるという計画は持っていると考えられる。

 他にはRockstarがランチャーを独立させる形でRed Dead Redemption 2の販売を開始したが、独占期間としては短く今後専売に移行する様になるのか等は不明なまま。ただ現行のGTA5の様にライブサービス系の売上額が巨大となるタイプの作品だと自社ランチャー専売の旨味が増すのは確か。


2020年のFPS/TPS界を展望する

 2020年リリース予定のアクションゲームのリストから。上段は業界的に注目度が高いと思われる物を10本選んでいる。


*Call of Duty: Black Ops 5
*Disintegration
*Doom Eternal
*Dying Light 2
*Elden Ring

*Halo Infinite
*Rainbow Six Quarantine
*Skull & Bones
*Vampire: The Masquerade - Bloodlines 2
*Watch Dogs Legion




Babylon's Fall
Beyond Good & Evil 2
Bleeding Edge
Daemon X Machina
The Dark Pictures Anthology: Little Hope
Death Stranding
Destroy All Humans
Disaster Report 4: Summer Memories
Dungeons & Dragons: Dark Alliance

Everwild
Godfall
Gods & Monsters
Grounded

Hytale
Journey to the Savage Planet
Lego Star Wars: The Skywalker Saga
Life is Strange 2
Minecraft: Dungeons

Outriders
Predator: Hunting Grounds
Psychonauts 2
Roller Champions
Spellbreak
Tales of Arise
Tell Me Why
Twin Mirror

Werewolf: The Apocalypse - Earthblood
Zombie Army 4: Dead War



 <インディーズ系会社からの発売予定タイトル。多いので知名度が高い物の中から一部のみ。早期アクセスから公式発売に移行予定の物を含む>


Atomic Heart
Back 4 Blood
Chernobylite
Chivalry 2
Death of Rose
Deep Rock Galactic
DreadOut 2
Embr
Fast & Furious Crossroads
Ghostrunner

Haven
Hellbound
Hellpoint
HYPERCHARGE: Unboxed
Lunacy: Saint Rhodes
Maid of Sker
Maneater
Moving Out
Nine to Five

Once Upon A Time In Roswell
The Outlast Trials
Paranoid
Remothered: Broken Porcelain
Scavengers
Scorn
Someday You'll Return
Tamarin
Those Who Remain
Transient
Unholy
Visage



☆発売予定
 当然予定作の全部が出るとは思えないが、上記には掲載していない発売時期未定タイトルが滑り込んでくる可能性も有るし、また予定されている作品数がかなり多い為にある程度が延期されても十分な発売数が確保される確率は高い。それと数は揃っているが全体的には小粒という年とは異なり、数が豊富な上に結構な話題作や大物タイトルが揃っている年とも言える。そして全体的に品質が良ければ当たり年となる期待も持てる。

 更には発売が読めないコンソール版の過去作からの突然のPC移植版は2020年もある程度は期待出来そう。同じくEpic Gamesストアからの発売もどうなるのか読み難い。既に期間独占販売が決まっている物が何点か含まれているが、EGSの場合には資金援助という他には無い要素が絡んでくるので、その資金援助のお陰で開発が早まって2020年内発売が実現出来たというタイトルも幾つかは出て来る可能性がある。


☆クラウドゲーミング
 クラウド(ストリーンミング)によるゲームサービスは既に開始されており、話題の中心となったStadiaの他にもMSによるProject xCloudも2020には正式サービスが開始される(受信端末としてはPCはまだ未対応)。そこで「これからはクラウドゲーミングの時代」, 「クラウドで可能になれば据え置きのゲーム機は消えて行く」といった発言も見られるがこれはどうなるのか? クラウドゲーミングと聞くとどうしても以前のGaikai, OnLiveなんかを連想してしまうし、シンラテクノロジーも既に消失している。当時もこれからはクラウドゲーミングの時代だと言っていたのが大外れだった訳で、今回もそんなに大きな人気になるのかには懐疑的ではある。

 高画質の映像を遅延無しにプレイ可能なのかといった技術的な疑問点はさておき、Stadiaの様なゲーム販売形態には読めない部分がある。定額でゲームをプレイし放題とかなら、純粋にそこに魅力があるのでまあ理解出来る。しかしStadiaでは有料会員として自由にプレイが可能な作品は限られており、プレイしたいゲームは普通に購入してストリーミングでプレイするという形態になる(会員割引きはあるそうだが)。つまりそれをプレイするハードウェア本体を持っていなくてもプレイが可能なのであって、ゲーム自体はハードウェアを持っている人と同様に買わないとならない。となるとPC, PS4, Xbox One等を所持している人は自分のハードウェアでプレイ出来るならばそれ用の物を購入し、あえてStadiaでは買わないだろう。よってゲーミング用のPCやゲーム機本体を買う金は出せないが、ゲームをプレイ出来るならばゲーム代は出してもOKと考える人用のサービスとなり、そんな層がどの程度存在しているのかちょっと想像するのが難しい。

 一方で昔は無かったスマートフォンへのストリーミングという技術には(画面サイズ的にタイトルはある程度限定されるにせよ)人気が出そうだし、定額制だが魅力的なタイトルを揃えたサービスも増えて来るだろうから長期的な視点では発展しそうな気配も感じられる。


☆新ハード
 2020年のホリデーシーズンにはPS5とXbox Series Xが発売予定。独占タイトルが出るという事は大手の開発チームがそれへの開発人員を増加させる事になるので、影響としてPCを含めたそれ以外の機種への開発が遅れ気味となるという可能性はあり。しかし予定ラインアップを見る限りでは本数が大きく減るとかの問題は無さそうである。今回の新機種も設計としては変態的ハード構造といった独自路線では無く「速いPC」という路線らしいので、独占ハード以外ではPCへの移植のみというゲームの発売も全体的には早まりそう。

 なおこれを書いている時点では「新型コロナウイルスの影響で生産の中心である中国での生産台数に影響が出る恐れがあり、それによって減産を余儀なくされ十分な台数を確保出来なければ発売延期も有り得る」という情報も見掛けたがどうなるか。


☆Epic Games ストア
 先に「Steamで既にアナウンスをしてしまっている以上はEGSでの独占先行発売などに移行するべきではない」と自重した所が多かったと書いたが、逆に言えば「SteamでアナウンスをしていないのならばEGSで先行発売しても問題は無い」と考える所は結構居るだろうという話になる。その意味では(時限)独占タイトルは増加する可能性の方が高そう。

 EGSでの時限独占を妨げる要素は2つ。一つはEGS独占にしても見込みほど売れないというケースだが、これには問題が無いという事が2019年で既に判明している。どうせ買うならSteamの方が理想という人は多いのだろうが、自分が強くプレイしたいと考えているゲームを1年間待てるか、しかも普通にプレイしている人が既に沢山居るのに、となると買ってしまう人も増えてくる。そもそも「Steam以外のストアのゲームは一切購入しない」という人がそんなに沢山居るなら、EGSだけではなくずっと前から独占販売をしているOriginやActivision Blizzard等での独占タイトルも商売として成立しない事になるがそんな事は無い訳で、特定のストア独占でそこでしか買えないならばそこで購入という人の方が多数派である。

 もう一つは後にSteamに来ても売れなくなるというケース。具体的に言うなら独占販売に抗議してSteamで発売されても買わないという人が多く出てしまうという状況。これも実際に抗議行動を起こしたとしても影響は小さいだろう。プレイしたいゲームを永遠に購入せずに我慢するというのは大きな苦痛となるので賛同者は少ない。むしろSteamに来たらすぐに買う事でSteamだと良く売れると印象付ける方が独占阻止には効果的だと考える人の方がずっと多いと思われる。がしかしこれは独占販売をしている会社に「Steamでは後で売っても良く売れる」という印象を与えて期間独占に拍車を掛ける方に働いてしまう事になる。


☆Co-op
 Co-opゲームの世界ではSteamが公式にリモートプレイの機能を実装したというのが大きなニュースとなっており、これはかなりの影響力を持ってくるであろう。とりあえず機能的には接続が可能になるという話でどの程度ラグが発生するのか等はゲームによって異なるので、一律にストアタグに付けられている「Remote Play Together」を信用する訳には行かないが、Parsecの様な外部ツールを使用するしか無かったのに比べるとずっとお手軽である。今後は対応タイトルでのラグ等について開発側自身やユーザーからの報告が増えて情報が得易くなったり、それに応じて開発が修正を施してくれるという期待も出来る。あるいはオンライン対応で無いと効果が薄いとしてローカルCo-opを導入していなかったゲームでの実装が増加するという作用も考えられる。


☆VR
 大きな話題となっているのが『Half-Life: Alyx』。現在のVRの状況をおさらいしてみると、将来的には有望なジャンルである事は疑いなく、ハードウェアの進化と低価格化によって普及率も上がるはずという見込みがあり、ユーザー側の興味も十分に保たれている。しかし発展の速度は数年前の予測からは大きく遅れており、Steamユーザー調査におけるVR機器の普及率もまだ1%強程度という段階。なので大手パブリッシャーは市場が小さ過ぎるとして巨額の予算を掛けた本格的な対応タイトルの制作には踏み切っていない。

 そんな中でValveはVRハードウェアの販売にも噛んでおり、Sonyと同様に発展を早めたいという意図を持っている。そんな中でのVR専用タイトルのリリースであって、ナンバリングのHL3では無いものの久し振りのシリーズタイトルでありインパクトは大きい。予想通りに「何故VR専用なんかにするんだ!」というバッシングは非常に強いし、予算は不明だが市場的に黒字に出来るのかも怪しく、企業全体としては儲かっているValveだからこそ可能なチャレンジとも言える。こういった利益度外視の大物タイトルが出て来ないと一向に普及は進まないというのも確かであり試みとしては興味深い。


☆Windows 7
 2020/01/14で公式にサポートが停止したが、ゲーム業界での対応がどうなって行くのかは未知数な部分も多い。元々PCゲームでは多彩なユーザー環境を限定してトラブル対応を出来るだけ単純化したいという希望があり、その意味ではWindows7のサポートはスッパリと切ってしまいたい。今後時間が経過するに連れて7ユーザーでの「更新されていないドライバ」, 「更新されていないシステムファイル」等に起因するトラブルが増加する恐れがあるからである。よって必要環境から7の記載が消えるゲームは増えるだろうし、既に発売済みのゲームでも記載から消すというのも有り得る。しかし「今後はサポートから除外します」と宣言する場合、発売や購入から短期間でそれをやってしまうと荒れる恐れもあり。

 それと今後発売のゲームにおいて、起動時にOSをチェックして7ならば起動させないようにするという所までやるか?となると難しいだろう。7での動作はサポート外という程度に留める所が多そう。既にSteamの1月の調査(サポート停止前か停止後のデータかは不明)では7ユーザーは激減しており10%を割るのは早いと思われる。だが分母が大きいだけに1割でもユーザー数としては多く、売り上げの対象としては捨て難いレベルの数でもあるのは事実。また「7でも動きます」という風にサポートを継続宣言する事で売り上げを伸ばせるかも知れない。よって売り上げに苦しむインディーズゲームがサポートを続けるという可能性もあり、ある程度の低下止まってその後は安定して維持されるという状態も大いに考えられる。

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