アクションゲーム [2018 - 2019]


目次

2018年のFPS/TPS界を振り返って
 上段には2018年の話題作・大作を10本ほどセレクトして掲載。


*Assassin's Creed Odyssey
*Battlefield V
*Call of Duty: Black Ops 4
*Far Cry 5
*
Hitman 2

*Just Cause 4
*Monster Hunter: World
*Overkill's The Walking Dead
*Sea of Thieves
*Shadow of the Tomb Raider



 以下はその他のメジャーな会社(代理店含む)からの発売タイトル(PC版の発売年&西欧市場での発売年基準)

Assault Spy
Attack on Titan 2
Bullet Witch
Darksiders III
Fade to Silence

killer7
Kingdom Come: Deliverance
Metal Gear Survive

The Quiet Man
State of Decay 2
Strange Brigade

Vampyr
Warhammer: Vermintide 2
A Way Out
We Happy Few
Yakuza 0
Zone of the Enders: The 2nd Runner



 <インディーズ系会社からの発売タイトル> なお数があまりにも多い為に、ある程度は有名, もしくはSteamでのレビュー数が多い作品をセレクトして掲載しておくに留める。早期アクセス中から正式発売されたゲームはここに含める。

Agony
Agony UNRATED
Apocryph
Ashen
Band of Defenders
Bunker Punks
City of Brass
COLINA: Legacy
Conan Exiles

The Dark Occult
DayZ
DUSK
Earthfall
Extinction
The Forest
Ghost of a Tale
Gray Dawn

Immortal: Unchained
Insurgency Sandstorm
Last Year: The Nightmare
Lucius III
Lust for Darkness
Miscreated
Mothergunship
Murderous Pursuits
Next Day: Survival

Omensight
Out of Reach
Outbreak: The New Nightmare
Override: Mech City Brawl
Pamali: Indonesian Folklore Horror
Past Cure
Polygod
Post Scriptum
Praey for the Gods
Project Warlock

Q.U.B.E. 2
Remothered: Tormented Fathers
Rust
Silent Decent
The Slater
Stifled
Subnautica
Thief of Thieves
Thief Simulator

Uventa
Witch Hunt
Yume Nikki: Dream Diary



☆大手タイトル全般

 ここ2年の変動に比較するとやや落ち着いて本数も減少した年となった。大作がGaaS(Game as a Service)へと移行する事で長期間販売を目標とした物が増える中、当然そうやって継続開発する作品が増えてくれば新作は予算的にも減るはずだが昨年度はそうでもなかった。それが2018年に来て現れ始めてきたという事かもしれない。それと今年の新作にはGaaSというモデルを目指すタイプの作品は少な目となっており、代わりに普通の形態の新作がその数を補っているという感じになった。

 全体として続編も多く、広範囲から「大傑作」, 「新機軸を感じさせる」といった超高評価を受ける作品が出て来ずにインパクトの薄い一年だったと言えそう。ただし傑作の少ない低調な状態という訳でも無く、高評価の作品もそれなりに出ていた年でもある。


☆価格
 価格上昇はある意味では続いている。北米では現状AAAタイトルが定価70ドル以上という相場になる可能性は低いという見方が一般的で、それはユーザー離れのデメリットが大きいという理由から。しかしこれは無条件に払わせる本編価格が高価だと不味いという意味であって、シーズンパスやら年間パスでフルセットを揃えると昔に比べて高価格になるという風には変わってきている。その他スキンやアイテムの個別販売も盛んになって来ており、最初に購入する本体価格は60ドルに抑えるが、作品全体での売上高は高額になるようなモデルが採用されつつある。

 他には超大作よりは少しランクの落ちる大作レベルにおいて、以前なら50ドル等の価格差でユーザーを惹き付けていたものが同じく60ドルという価格を付けるケースが増えて来ている。


☆GaaS
 Game as a Serviceの影響が同系統ゲームにおけるセールまでの早さにも現れている。Originが推す定額料金システムなども同様。ゲーム本体がどれだけ売れるのかが全てだった昔から、現在では追加コンテンツ, 年間パス, ルートボックス(後退気味だが), ゲーム内通貨やスキン等の課金アイテムでゲーム本体の何倍もの儲けを稼ぎだす作品が増えている。そうなってくるとまずはベースとなる本体を買って貰うのが重要となり、後々の「本体をプレイしてみたら予想以上に面白かったので追加コンテンツや課金アイテム類を買おう」となる展開に期待するという方向性。

 期間限定ながら無料配布された大作Destiny 2などもその典型であり、「発売からこれだけプロモーションをやってもまだ買ってくれていないユーザーに対して、今さら大幅割引を実施した所で購入者は少ない。ならば無料で配布してしまってまずはプレイさせ、そこから有料コンテンツへと誘導した方が結果的には収入増へと繋がる」という読みである。またマルチプレイ対応タイトルでは人口増による既存プレーヤーへの恩恵も大きい。


☆マルチプレイ
 2016-17年と、全く予想もされていなかったジャンル(ゲーム)が一大人気作品となるという現象が続いていたが(Dead By Daylight, PUBG)、2018年にはそういった事は起きなかった。目立ったのは何と言ってもFortniteで、プレイヤー人口2億人突破, 会社評価額1兆5000億円, 年間利益3000億円(売上高ではない)ととどまる所を知らない。業界全体としては目立った変化は発生せず。定番のCoDとBattlefieldシリーズも出たし、PCにも来たモンスターハンター:ワールドとかが目新しかった程度か。

 非対称(1対多)型のホラーゲームはFriday the 13thが権利問題から開発中止となり失速。Last Year: The Nightmareも遂に出たが年末だったのでまだ大きな影響は出ていない。インディーズでは他にも人気ジャンルを見込んでのこのタイプのゲームは結構来ているのだが、どこも知名度を上げられずに苦戦している。

 バトルロイヤル物としてはBlack Ops 4やCSGOが新規に参戦して人気を得ている様だが、FortniteとPUBGという人気作に人が極端に集中するという図式になってしまっている状態。案の定雨後の竹の子の様に出現したインディーズからの低予算作品がクソゲー扱いされて軒並み相手にされないという状況は予測していたが、もうちょっと中堅レベルの作品が頑張れるかと想像していたのだがそうはならなかった。Islands of Nyne: Battle Royaleの様な相当有名で期待されていたタイトルですら失敗。レベルアップの様なシステムが無い為に新規ユーザーでも対等で始められる事から人口集めには有利な形態と思っていたのだがそうでも無かったらしい。


☆シングルプレイ
 2018年のタイトルではCoD Black Ops 4がこれまで続いていたシングルプレイ用のキャンペーンを削除したがセールス的にはむしろ大成功。シングルプレイ用キャンペーンを用意するゲームが無くなる事は有り得ないと昨年は書いたが、マルチプレイをメインにしたゲームからシングルプレイ用のキャンペーンをカットするという方向性は強まりそうである。逆に言えばシングルプレイ用のゲームはそれ専用となってマルチプレイのコンテンツを持たない様にと二極化しそう。


☆インディーズ
 2017年途中から始まったSteam Directが通して1年通して稼働していた2018年だが、予想通りにゲームの増加数は最大の伸び幅を示してリリース本数は9000本を突破した。Steam側でもいろいろと近日登場ページの改造をしたりとやってはいるものの、やはりユーザーの欲しいと思う作品を適切にユーザーの見ている頁に表示するという機能は充実しているとは言い難い。更に2018年は各ユーザーのページに表示されるゲームの選択アルゴリズムの改変時にトラブルが発生したとされており、その後数ヶ月に渡ってセールスが大幅に落ち込むという悲鳴が幾人ものインディーズ開発者から出たという事件もあり。

 それ故にインディーズのセールスは非常に厳しいという状況は変わらず。そんな中でitch.ioへの移行が増えているのが目立つ。今や個人やインディーズ会社がゲームをアップロードするサイトとしてはIndie DBやGamejoltを抜いて一番の人気になっている所で、基本はフリーゲームを扱っているが有料販売にも力を入れており、現時点では有料販売されているゲームは7千本程度。中には低クオリティの物も多いし、またジャンルやタグで検索すれば絞り込みも可能であり、各ユーザーが購入ターゲットとする様なゲームはそれほど多くはならない。つまり販売側からするとユーザーの目に留まり易いというメリットがある。サイト自体が無名ではどうしようもないが知名度は上がりつつあるし、販売時の利益配分比率は売り手が自由に決められるというシステム。これまではこのitch.ioでしか売らないというゲームが多かったのだが、最近は上記の事情も在ってSteamから流れてきてこちらでも販売する様になっている作品が増加している(基本はDRMフリーでありSteamのキーが貰えるかはゲームによる)。


☆VR
 状況は良くない。もはやそれが何にせよVRに関連するニュース自体を普通のゲーム情報関連サイトにて見る回数が減少してきている。そして海外サイトを“sales”等のキーワードで検索してもヒットするのは悪いタイトルばかり。VR対応タイトルをプレイするユーザーは徐々に増加はしているのだろうが、問題は“一時的”にであるが多くのユーザーから関心が薄れつつあるという所。つまり「リリースからしばらく様子見をしていたが購入には至らず。少なくとも次に革新的な変化(低価格化やテクノロジー)が来るまでは、自分としてはもはやVRのハードやゲームには関心が持てない」という風になってきており、既存のVR機器やゲームを非所持ユーザーにPRするのが難しくなっている。その革新的な変化が来なければ2019年も同じ事になるであろう。


2019年のFPS/TPS界を展望する

 2019年リリース予定のアクションゲームのリストから。上段は業界的に注目度が高い物を10本選んでいる。


*Anthem
*Crackdown 3
*The Division 2
*DOOM Eternal
*
Fortnite: Save the World
*Gears 5
*Metro Exodus
*Rage 2
*Sekiro: Shadows Die Twice
*
Star Wars Jedi: Fallen Order




Biomutant
CODE VEIN
Devil May Cry 5
Far Cry New Dawn
Hunt: Showdown
Left Alive
Pine
Shenmue III
Skull & Bones
The Surge 2
World War Z



 <インディーズ系会社からの発売予定タイトル> 多いので知名度が高い物の中から一部のみ。現在早期アクセス(*印)から公式発売に移行予定の物を含む。

Atomic Heart
*Battalion 1944
*Black Mesa
*The Blackout Club

Dark Deception
Daymare: 1998
*Deep Rock Galactic
*DESOLATE
Devotion
*Die Young
Dollhouse
*Escape from Tarkov
*Fear the Night
Generation Zero
Genesis Alpha One
GTFO

*Heathen - The sons of the law
Hell Let Loose
Man of Medan
MechWarrior 5: Mercenaries
Moons of Madness

Pathologic 2
Praey for the Gods
Psychonauts 2

SCORN
*SCUM
The Sinking City
Sniper: Ghost Warrior Contracts
SINNER: Sacrifice for Redemption
SMALLAND
*SUPERHOT: MIND CONTROL DELETE

The Talos Principle 2
*Visage
Witchfire



 <以下は発売時期がハッキリしない物及び、PC版がリリースされるのかが公式にアナウンスされていないゲーム>


Beyond Good & Evil 2
Control
Dying Light 2
Halo Infinite
A Plague Tale: Innocence
Ready Or Not
Red Dead Redemption 2
Serious Sam 4: Planet Badass
Survive the Nights
System Shock 3
Wolfenstein: Youngblood



☆注目作は多いが、大手からの作品不足
 現状メジャーなパブリッシャーから予定されているタイトルが少ない。まだ具体的に2019年内とはされていないタイトル&これから発表されてそのまま2019年内に出るタイトルもそこそこはあるはずだがそれ等が極端に多いという可能性は低く、大手によるGaaSの影響(既存タイトルを充実させてそこからの利益を優先)により新作が減るという現象が見えてくる年になるかもしれない。ただし発売されるタイトルの方は小粒では無く注目度が高い物が多い為、FPS/TPSジャンルに遊びたい物が少ないとはならないと思われる。


☆Epic Game ストア
 大きなニュースとなったのがSteamに対抗するライバルの出現。他社のゲームを発売するストアとしてEpic Gamesがダウンロード販売サイトを本格的にスタートさせている。自社のゲームを自社の販売サイト独占で発売するというのはWindows Store, Origin, Blizzard.netなど既に在ったが、こちらは他社のゲームを多数取り扱うという点で性質が異なる。売上額から開発側の取り分を増やすというスタンスが注目されているが、それ以外にも制作会社へのサポート事項を設けて独占販売となるゲームを増やしつつある状況。これは分析すると長くなるので出来ればブログ頁などに別に書きたいと考えている。


☆大手会社のSteam離れ
 上記と関連してだが、自社のゲームを自社のサイトで独占販売するという所が増えつつある。2018年はActivisionがCoD: Black Ops 4, BethesdaがFallout76, UbisoftがThe Division 2(2019)という動きが見られた。BethesdaはRage 2も同様に独占とする様なのでDoom Eternalもそうなるだろうし、Ubisoftの今後の大物新作は同様に独占(自社&Epic Games)となる可能性が高い。その他でも上記の予定作タイトル一覧にはMicrosoftとEAの独占タイトルが幾つか見られるという状況。後は影響力を強めるDiscordもストアを新設して、そこまで大物タイトル揃えではないものの同様の(時限)独占形態を採用している。

 4大パブリッシャーの中でSteam寄りなのは残るはTake-Two Interactive/Rockstar Gamesだが、GaaSとして今でも多額の利益を上げているGTAシリーズの次作を自社独占販売にするというのは十分に考えられる件。Rockstar Games Social Clubを拡張してゲーム販売サイトとしても機能させるという意味だが、それならば親会社のTake2と一緒に販売サイトを新規に起ち上げた方が...という風になってTake2の有名フランチャイズも併せて独占販売へとシフトというのも有り得る。

 Steamでは売らない場合に販売数減はあるだろうが、自社販売ならば売り上げが全額利益になる訳なので(サーバー等の設備投資は要る)、一定数以上売れれば利益はSteamで売るよりも上がる。そして会社にとって重要なのは売上本数では無くて利益の方である。それとこの自社販売方式では売れ行きが思わしくなかった場合、そのタイトルは後に時限独占だったという事にしてSteamでも販売するという逃げ道もある為にそれ程の危険度は無い。

 Steam側の対抗策としては利益配分をもっとパブリッシャー側にするというのが一番だが、どの程度までそれが実現可能なのかが不明。即2019年に大きく動くとは考えられないが、3年後位には情勢がかなり変化している可能性はある。


☆Co-OP
 Co-op対応ゲームは安定した数が提供される様になって久しいが2019年も数が揃っている。個人的にはGeneration Zero, GTFOが特に期待作。次点としてThe Blackout Club, World War Z辺りか。早期アクセス中のDeep Rock Galacticも期待作なのだが2019年中に脱するのかがハッキリしていない。なおFortniteはCo-opコンテンツがすっかり忘れ去られた様な感じで延期となっているが中身自体は面白そうだと思っている。

 将来的な不安としてはやはりGaaSとの絡みで、普通のCo-opオンリーというゲームは継続してのコンテンツ提供には向いていない。その為にPvPとのミックス型かMMO的な形態となるケースが多いのだが、こういった物は私の好みでは無い。しかし普通のCo-opゲームでは稼げないとなるとその方向へとシフトする作品が増えてしまう恐れがある。


☆ホラーゲーム
 安定して多い。特にマイナーな作品、或いはどうしようもない様な駄作も含めると2018年も数百本というレベルで出ているが2019年もそうなるはず。3Dゲームを作りたいが製作予算を考えるとアクションFPS/TPSの様な物を作るのは極めて困難なのでホラーかウオーキングシミュレーター系しかないというパターンが多く、それ故にどうしても数が多くなってしまう状況にある。なので競争率が非常に高くなるという問題があり、成功するのは難しいジャンルともなっている。

 変化としてはグラフィックスの平均的な質が上がりつつあるという感を受ける。ホラー物が多いのを受けてアセットストアが充実しつつあるのか、それともUnityやUnreal Engine 4のクオリティが高くなって綺麗に見えるエフェクト系が実現可能となっているのか判らないが、フリーゲームにおいてでも随分と綺麗に見えるゲームが多くなった。グラフィックスの良さは注目を惹くには非常に有利なので、目立って存在を知られる事が重要なインディーズにおいては良い変化と言える。


☆インディーズ
 9千本を超えたリリース数の大半を占めるインディーズ作品だが、2019年も上昇ペースが保たれるのかは何とも言えない。ペースが一緒ならば更に2千から3千程度本数が増加して1万2千程度までに到達する事になるが、既に2018年には簡単な審査さえ通れば自由にリリース出来るシステムがSteamでは稼働しており、この辺が限度ではないかという見方も出来る。金儲け目的でゲームの体を成していない作品が異常な勢いで増えてはいるが、運営側が厳しく取り締まって削除するケースも増えているので増加の歯止めともなっている。

 大きな変化を与える可能性があるのがEpic Gamesストアで、Steamよりも利益率が高い, Steamよりは本数が少ないので自分の作品が目立つはず, といった事からインディーズ会社からの注目度も高い。しかしまだ自由に販売する事が出来るのか審査を通らないとならないのかが不明だし、自由だとしても皆が揃って来てしまってはやはり目立てなくなる。それと「利益率が高いが販売本数は落ちるEpic Gamesストア」 vs 「利益率は低いが本数は売れるSteam」という比較において、数が売れるゲームではEpic Gamesストアの方が儲かるというメリットがあるのに対して、そもそもあまり売れないゲームではどうなるのかという点もハッキリしない。Steamでは全く目立てないゲームならば、Epic Gamesストアの方が数も出るし利益率も高いという結果を得られるかもしれないがその辺りは未知数。しばらくEpic Gamesストアが稼働してみないと判断はできない。


☆Windows7
 サポートが2020/01で切れる事から2019年にはWindows10専用ゲームが増えてくるという見方が一般的だが、中国という巨大市場の存在が不確定分子として備えている。とにかく巨大な中国ゲーム市場は売り手からすると魅力的であり、その為に外国語対応において中国語に対応する、それも早期に、というゲームが多くなっている。その中国ではまだ10があまり普及しておらず、また特殊仕様という件からのゲームとの互換性の心配も憂慮されている。それ故に7をまだサポート中の段階である2019年には切り難いという面を持っている。それどころかサポートが切れたとしても結構な台数が使い続けられる可能性もあり(通信関連はスマホで全てを行いPCはゲーム専用に使うという形態ならばそれほどセキュリティリスクの影響を受けない)、それを考えると「7でも動きます」というゲームが2020年になってもあまり減らないという事になるかもしれない。

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