アクションゲーム [2016 - 2017]
目次
2016年のFPS/TPS界を振り返って |
最初に上段はゲームサイトや雑誌のレビューを点数化して集計しているGame Rankings.comにおける、メジャー会社から発売された3Dアクションゲーム内での上位ベスト5(PC版の点数, 集計サンプル数10以上)。それに加えて2016年の大物タイトルをプラス5個。 1. Overwatch 2. Titanfall 2 3. Dark Souls III 4. Battlefield 1 5. Rise of the Tomb Raider *Call of Duty: Infinite Warfare *The Division *Doom (2016) *Far Cry Primal *Hitman 以下はその他のメジャー会社からの発売タイトル(PC版の発売年&西欧市場での発売年基準。) Adr1ft Battleborn Bombshell Dead by Daylight Dead Rising Dead Rising 4 Deus Ex: Mankind Divided Dishonored 2 Earth Defense Force 4.1: The Shadow of New Despair Everybody's Gone to the Rapture Gears of War 4 Homefront: The Revolution How to Survive 2 Killing Floor 2 Lego Marvel's Avengers Lego Star Wars: The Force Awakens Mafia III Mirror's Edge Catalyst Plants vs. Zombies: Garden Warfare 2 Quantum Break Recore Resident Evil Zero HD Remaster Shadwen Shadow Warrior 2 Space Hulk: Deathwing Umbrella Corps Watch Dogs 2 <インディーズ系会社からの発売タイトル> なお数があまりにも多い為に、発売が2016年中で、ある程度は有名もしくは話題になった作品をセレクトして掲載しておくに留める。早期アクセス中から正式発売されたゲームはここに含める。 35MM ABZU Alekhine's Gun Beastiarium Blood and Bacon Carmageddon: Max Damage Dead Effect 2 Dead Secret The Deadly Tower of Monsters Devil Daggers Firewatch The Flame in the Flood Gemini: Heroes Reborn Guardians of Orion INFRA Killing Room Layers of Fear Left Alone Lethe - Episode One Near Death NightCry No Man's Sky P・O・L・L・E・N The Solus Project Soul Axiom Superhot Syndrome Through the Woods The Town of Light TOXIKK The Turing Test UNLOVED |
☆大作ラッシュの一年 2011年以来の大作ラッシュの年と言えるだろう。本来ならば昨年がそうなる巡目だったと思うのだが、延期されて2016年にずれ込んだ物が結構あったのでこうなったと考えられる。全発売タイトル自体もかなりの数に上る。しかしここまで固まると潰し合いになってパブリッシャー側の想定ほどには目立てなかったタイトルも出たはずで、業界全体の盛り上がりとしては好ましい状況とは言い切れない。 ☆評判も上々 レビューなどの統計を見る限りではゲーム全体の評価の方も良かった年になった。期待外れの作品というのも勿論あったが、ユーザー側からすると満足が行く作品が多かったと言えそう。 ☆マルチプレイ マルチプレイの方も盛り上がりを見せた一年であった。人気タイトルの数はそれ程でもないが、合計のプレイヤー人口は大きく増加したように思われる。成功の要因としてはコンソールでのマルチプレイの人気増というのは確かにあるだろう。ネットワークに接続されているゲーム機が年々増加しており、それに連れてマルチプレイへと興味を示すプレイヤー数も増加。それに応じて制作側もマルチプレイ用のコンテンツに更に力を入れるようになり、その恩恵をマルチプラットフォームの中の一つであるPCも受けているという状況。 個別ではBlizzardからの初FPSとなったOverwatchが大ヒットを飛ばしたり、路線を変えたBattlefield 1も成功を収めている。逆にCall of Dutyシリーズは大胆な改革が上手く行かなかった模様。そんな中で特筆したいのは予想外の大ヒットを飛ばしたDead by Daylightである。殺人鬼vsサバイバーという非対称型での新しいスタイルだったが人気を博し、それ故の問題も幾つか抱えているものの、ユニークさが評価されてこれまではマルチプレイに熱心では無かった新たな層のファンを呼び込んだ点も評価出来る。 ☆インディーズゲーム 発売本数は更に増加し、遂には「飽和」を通り越して「崩壊」というレベルに達してしまったとも言える。ここ3年間の増加具合はここで見られるが、GreenlightというSteamでの販売ルートを設けた結果として、インディーズ会社にとってはゲームの販売が容易となるという夢の様な状況が生まれた訳だが、もう今の状況はむしろ悪夢に近い。2016の年間発売本数は4200本超え。日曜日は発売されないとして週6日換算で年間約300日とすると毎日14本平均。よってトップの新作頁からわずか1,2日で消えてしまう。あるいは3日に1回Steamを訪れる人の場合、新作チェックで50本程度を見ないとならない事になり、そうなればチェック自体もおざなりになって見落とされるケースも増加する。 結果的にとにかく売れない。私はインディーズゲームのサイトや掲示板等を良く見る方だと思うが、発売前から大ヒットするかも?といった甘い予想を立ててはいないにしろ、想像を超えるレベルで自分のゲームが売れないといった声が散見される。ユーザーが興味を示してくれないとかならまだしも、存在している事自体を知って貰えないから売れないという状態。後はセール時に知ってもらう位しか宣伝方法も無く、当然セールでは売り上げ単価は低くなってしまう。その為に早々にバンドル販売に組み込んでとりあえずの売り上げを優先したり、発売間もないのに大幅セールをするといった風に割り切る所が増加している。 ☆VR元年 元年という事で各種VR装置の販売が開始。コンソールでもPSVRがリリースされている。ただしパブリッシャーによって対応はまちまちで、全般的にはまだ時期尚早という態度で対応ゲームの開発に積極的に乗り出している所は少ない。またゲームサイト等で新規のジャンルとして紹介記事の方は大変に目立ったが、実際のプレイヤー数はとなるとまだまだというのが実情で、予想を下回る市場の小ささを指摘する様な分析も出ている。VR機器の供給が追い付かないという件がかなり騒がれたが(今でもまだある様だが)、これが500万, 1000万台レベルの需要に対して追い付かないという状態ならばともかく、単に絶対的な製造数が少ない為にそうなっているだけで、全注文数が行き渡ったとしてもそこまでにはまだ至らない。 とりあえず第一歩を踏み出した訳だが、対応ゲームソフトの供給の方にも不安は大きい。相当な数のインディーズ会社(ベンチャー企業)が既にVR専用ゲームを発売しているが、見込みよりも少ないユーザー数に対してどれだけの会社が黒字を出せるのか。大手ならば初期投資と割り切れたりもするが、インディーズだと赤字ではもう先が続かない可能性が高く、VR市場からは撤退という所が増えてしまうと、何よりもまずは「面白いゲームが多いことが第一」なので先行きが心配になる。 結局のところ、「VR市場はこれから発展して今の数倍にはなる」という予想は大勢が一致しているのだが、その伸びは3〜5年先といった見込みの話であり、元年としてみればこんな程度なのが当然とするべきなのだろう。それをメディア等が「とてつもない大変革で今年はVRが空前のヒットを飛ばすかも」みたいな印象を与える記事を量産した結果、それを信じた世間の人々からすると、今は「VRの盛り上がりってこれっぽっちなの?」という肩すかし感が漂っている状態。PC(+据え置きゲーム機)で100万とか200万人が既にVRで遊んでいると書けば多そうに見えるが、割合としては全ゲーマーの1%以下と書いたらまだまだ少ない訳で、ゲームの一ジャンルとしてVRという物を確立出来るのかはこれからに掛かっている。 ☆PC環境 Steamでの調査結果。Windows10への無償アップグレードが行われたが、それほど極端には移行は進まなかったようで、10の普及率は半分程度で留まっておりまだ7のユーザーも多い。64bit専用というゲームは更に増加しており、既に32bitOSのユーザーは相当減ってきているし、メモリ4GB制限ではもう制作自体が困難というレベルにもなっている結果である。 ビデオカードのVRAMも2GB以上要というのが増えつつある。オンボードビデオ(CPU内GPU)をサポートしようとすると、こちらはそこそこ新しい世代でないと(メインメモリからの拝借が)2GB以上を確保出来ない為に、売り上げを考えると1GB程度でも動かせる様にしたいというのはあるのだが、PS4, Xbox Oneとのマルチプラットフォームで制作されているとその辺の下方修正が困難というケースもあって、今後は2GB以上が最低線になっていくだろう。 |
2017年のFPS/TPS界を展望する |
2017年リリース予定のアクションゲームのリストから。上段は業界的に注目度が高い物を10本選んでいる。 *Conan Exiles *For Honor *Get Even *Ghost Recon: Wildlands *Lawbreakers *Metal Gear Survive *Prey *Quake Champions *Resident Evil 7: Biohazard *Star Wars Battlefront 2 Agents of Mayhem Call of Cthulhu: The Official Video Game Crackdown 3 Inner Chains Insurgency Sandstorm Overkill's The Walking Dead Rising Storm 2 Vietnam Sea of Thieves Sniper Elite 4 Sniper: Ghost Warrior 3 Squad State of Decay 2 Strafe Styx: Shards of Darkness <インディーズ系会社からの発売予定タイトル。多いので知名度が高い物の中から一部のみ。早期アクセスから公式発売に移行予定の物を含む> Agony Battalion 1944 Beyond Despair Blackwake Day of Infamy Desync Dusk ECHO Escape from Tarkov Finding Bigfoot Friday the 13th: The Game Grave Hello Neighbor Hollow The Hum: Abductions Last Year Line of Sight The Long Dark Narcosis Observer Outcast: Second Contact Outlast 2 P.A.M.E.L.A. Phoning Home Planet Nomads Prey for the Gods Rides with Strangers ROKH Routine Shadow Over Isolation Stifled Subnautica Tacoma Troll and I Visage We Happy Few Welcome to Hanwell What Remains of Edith Finch <以下は2017年中なのか発売時期がハッキリしない物及び、PC版がリリースされるのかが公式にアナウンスされていないゲーム(インディーズ会社含む)> Allison Road Daymare: 1998 Destiny 2 Ghost Theory Perception Project Wight Red Dead Redemption 2 Scorn |
☆大物タイトル 2016年がラッシュだっただけに反動が心配されるが、そこそこ大物タイトルは揃っているという印象。ただ2016年と比較するとやはり物足りなさは否めない。2017年中に発表されて即発売というタイトルは稀だろうし(Call of Dutyの新作は有り得るが)、リスト以外ではほとんど出て来ないと考えられる。注目はDestiny 2, Red Dead Redemption 2といった超大物がPCでもリリースされるのかどうか。 ☆マルチプレイ 人気上昇中のマルチプレイは引き続き2016年の人気タイトルが引っ張ると思われるが、新作で大きなヒットを飛ばす物が出て来るかが問題。Quakeの新作はキャラクター別に能力(Ability)が異なる、5vs5のチーム戦がメインといった要素が旧来のファンに受け入れられるのかどうかが気になる。単に私が「全プレイヤーが同一能力値での戦闘が当たり前」というルール世代だからなのかもしれないが、同じく話題作のLawbreakersも特殊能力を用いたクラス別の違いが非常に大きいという設定がどうも馴染めない。 他の注目としてはDead by Daylightと同様に、1対多形式での殺人鬼vsサバイバー物が2点発売予定になっているが、続けての大ヒットを飛ばす事になるのか? 中でもFriday the 13th: The Gameはフランチャイズとしての人気は高いだけにチャンスはある。 ☆ホラーゲーム 近年ホラーゲームの人気が高まっているのが目立つ。上記のリストにもホラーがテーマの作品は多い。理由としては第一にグラフィックスの向上により、まるでその場に本当に居るかの様な雰囲気を出せるというレベルにまで達した為に、一人称でのホラーに新たな恐怖感の可能性を見い出してチャレンジする会社が増えた(逆に伝統的な三人称視点のホラーはめっきり減っている)。次にインディーズ会社では資金的にAAAクラスのFPS/TPSの制作は無理であり、ボリュームやグラフィックスのクオリティをなるべく落とさずに低予算で対抗出来るジャンルとしてはホラー位しか無いという事情も関係している。近年インディーズ会社にデビューのチャンスが増えたのに連れてその理由からホラー作品が増えて、そして中にはクオリティが高い作品も在ったので評判も上昇し、ファンが増えて多くの会社がヒットを飛ばせるまでにホラーゲーム市場も拡がった。そして現在では大手会社もそのホラージャンルに乗り込んで来て更に作品が増えているという状況である。 第三にVRの普及開始に応じて、それにピッタリとマッチするジャンルとして人気が集まっているというのもある。VR対応だが非VRでもプレイ出来るというホラー作品が多いので、必然的にリリースタイトルの方も増加する事になる。最後に動画配信実況の影響力も見逃せない。Unreal EngineやUnityの配布に応じてフリーゲームが物凄い勢いで増加 → やはり普通のFPS/TPS系は困難なのでホラーゲームが増える → そういったホラーゲームがYouTube等のゲーム実況者に「視聴者に受けるジャンル」として好評を得る → それを見て楽しんでホラーゲームのファンが増加 → それを受けてインディーズ会社の方も売れそうなタイトルという観点からホラーの制作に傾く、といった感じ。 ☆Co-op 対応タイトルは安定して供給はされるようになって来たと言えよう。これもまた、コンソールユーザーにネットワークで接続して遊ぶプレイヤーが増えた → マルチプレイをやるにしても対戦は好まない人も多い → Co-opに人気が出ると共に、開発側としてもプレイ時間を延ばすという意味からCo-op対応に力を入れる様になっている、という流れである。ただ2017年は若干少な目かという気はする。なおアクションゲームでCo-op対応はFPS/TPSに限った話では無いので、このままずっとこのジャンルに安定供給されるという保証は無い。 ☆Steam Greenlight 2012年からSteamと取引の無いインディーズ会社等がSteamでゲームを売る為のチャレンジ(一種の人気投票)として存在していたこのシステムだが、近々廃止される事が既にアナウンスされている。新たにSteam Directと呼ばれる販売システムがスタート。こちらでは申請書類さえ通せばユーザー側の投票無しにゲームの販売が可能となる。しかしこれがどういう風に機能するか、インディーズ会社にとって現状よりも環境が良くなるのかについては予想が難しい。 まず現時点で最大の問題はゲームのリリース数が多過ぎるという件だが、自由に発売出来るとなれば更に増えてしまうのではないかという恐れが生じる。しかしGreenlightへの登録料がアカウント単位で100ドルだったのに対して、SDでは登録ゲーム単位で保証金が必要になるという方式になる。問題はこれが幾らになるかで、アンケートの結果から100〜5000ドルの間という風にアナウンスされている。額が上がると申請が困難になる所も出て来るはずだが、その方が申請数が減るので自分のゲームが目立つ様になるからありがたいという見方もあるし、そうなるとリリースの自由度が失われてアマチュアユーザーのゲーム制作意欲を削ぐ事になるという風にも指摘されている。 別の動きとしてダウンロード系のフリーゲームの配信サイトとして有名だったGamejoltとitch.ioが有料販売に力を入れだしており、自作の販売にこちらを利用するという制作者が大幅に増加するという可能性もある。確かに訪問閲覧者はSteamとは比較にならないレベルで少ないが、ゲームの登録数が少ない分だけ訪問してくれたユーザーには自分のゲームが目に留まり易くなるから、むしろ売り上げ的には向上が望めるという風にも考えられるからである。 ☆VR 2016年のまとめで書いた様に、これから大きく盛り上がる可能性はあるにしてもそれが2017年中という事はほぼ無く、機器の値段が下がる等をあと数年は待たないとならないだろう。例えばPS4とXbox Oneの次世代機が最初からVR対応仕様で、ゴーグルだけ用意すれば楽しめるとか。PCならば普及レベルのCPU内蔵ビデオ機能でもVRに必要なレベルのレンダリングが行える様になる頃とかその辺りではないか。 |