アクションゲーム 2007-2008 目次
◎2007年のFPS/TPS界を振り返って
以下は年内に発売された主なタイトルの一覧になる。
*Armed Assault
*BioShock
*Blacksite: Area 51
*Call of Duty 4: Modern Warfare
*CellFactor: Revolution
*Clive Barker's Jericho
*Crysis
*Death to Spies
*Enemy Territory: Quake Wars
*F.E.A.R.: Perseus Mandate
*Gears of War
*Ghost Recon Advanced Warfighter 2
*Half-Life 2: Episode 2
*Halo 2
*Infernal
*Kane & Lynch: Dead Men
*Medal of Honor: Airborne
*Monster Madness: Battle for Suburbia
*Painkiller: Overdose
*Portal
*Red Ocean
*Resident Evil 4
*Shadowgrounds Survivor
*Shadowrun
*Soldier of Fortune: Payback
*S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl
*Stranglehold
*Team Fortress 2
*Timeshift
*Tomb Raider: Anniversary
*Unreal Tournament 3
*You Are Empty
☆大作ラッシュ
2006年に発売予定だったタイトルの多くが翌年へとずれ込んだのもあって、2007年は大物タイトルが多数発売された年となった。これだけ揃ったのは同じく豊作だった2004年から3年振りと言える。2006年は大作・作品数が共に少なく谷間の一年という印象だっただけに、より2007年の発売ラッシュ振りは際立った印象を残している。Bioshock, Crysis, The Orange Box, UT3といったタイトルが予定通りにリリースされ、CoD4もこれに加わった。更に延期続きだったS.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobylもようやく発売といった具合で、FPSゲーマーには目移りする一年であった。
またBioshock, Crysis, CoD4, Portal (The Orange Box)等はメディアからの評価も高く、年間ベストに名を連ねたりしており、FPSゲームが非常に強かった年であったとも言える。
☆マルチプレイ
近年マルチプレイに目立ったタイトルが少なく、期待されていたタイトルは蓋を開けて見ると不人気といった感じで、それ以前のゲームが引き続き人気を誇って停滞していた感のあったマルチプレイ界だが、今年はかなり動きがあった。中でもCoD4とTF2が多数の人口を集めて人気を誇っている。一方でETQWとUT3は思ったほど伸びておらず、一般的なゲームに比べれば多いが見込み以下という現状。不安視されていたMoHAはほぼ失敗という結果に終わっており、MoHAA時代の人気巻き返しは今回もならなかった。
それが全てとは思わないが、人気の両作品を見ると「初心者のゲームへの入り易さ」というのは人口を多く集める上ではやはり重要かと感じさせる。ほとんど予備知識が無くてもそれなりに遊べるというのは大きい。逆にETQWなどは特殊な設定や環境を持ち込んでいる為に、クラスの能力等ある程度の知識を備えてからでないと今何をすれば良いのかといった基本的な事すら分かり難く、その辺がネックになっていると考えられる。
☆完成度の低下
一方で発売時点での完成度の低さ、バグが残っていたり練り込み不足が目立つと評されるゲームが多かったような気がする。理由はいろいろと考えられるしゲームによっても違うはずだが、まず一つは制作期間の見込み違い。新世代機対応のゲームを初開発する製作チームがプログラミング等の進化に適応出来ずに制作が遅れ、ホリデーシーズンの発売が前提とされているゲームが無理に出されてしまったというケース。それと人員配分の問題。新世代機となるとグラフィックスに比重が置かれるのは避けられないが、開発メンバーの数は無限に増やせる訳ではない。グラフィックス部門担当の人員が増加された分、通常のプログラミング部門が疎かにされた結果、ゲームプレイについては練り込み不足になったというケース。
これに関連して製作用のエンジンを外部からライセンスして制作費を抑えるという傾向はより高まると思われるが、そうなると現在人気が高いUE3は更に今後使われる様になる可能性が高い。前のプロジェクトがUE3を使った物だとしたら、次回作も同じエンジンを使った方が慣れている分有利になるからだ。それをまた新しいエンジンに切り替えるとなると一から勉強し直さないとならず、その新エンジンに大きなメリットが無いと変え難いだろう。
☆Vista & DirectX 10
2007年中は普及しないとは思っていたが、想像以上にダメだったという印象。ゲームのForumを見に行って、あれだけ多くの「XPでは問題ないのにVistaだとトラブル」という情報を見てしまうと切り替え難いと感じている人が多いはずで、それもあって普及にブレーキが掛かっているのだろう。MS側に問題が有るのか、制作会社が対応の為の努力を怠っているのか、ハードウェアメーカー側のドライバの制作能力が低いのか? 何とも言えないが、こういった状況が改善されて安心してVistaに切り替えられるようになるのは何時なのか、疑問に感じてしまう一年であった。
DX10の方もそれほどのインパクトを与えてくれなかった。DX10にしても大きな変化が無いという話が多く、ここまで変わるならばVistaを検討したいと思わせるようなタイトルが出ていない。UE3ではDX10で無いとアンチエイリアスが掛けられないというのが有名になった程度(これはパフォーマンスをアップするレンダリング方法を採用している故の代償)。Valveからは公然とDX10をVista限定にした仕様を非難される等、こちらもDX10を餌にゲーマーのVistaへと移行を促すというMSの狙いが上手く行っていない。
☆マルチプラットフォーム化
今年のリストを見てもマルチプラットフォーム対応ゲームが増えているのが分かるが、ゲームの制作予算が増大している現状からすると、この傾向には今後も歯止めが掛からないだろう。これまでの「契約料の他に、ゲームを出すプラットフォームの数に応じて多額の追加料金が発生する」方式とは違い、人気のUE3はどれだけのプラットフォームで出しても同じ料金という方式となっており、そうなると複数のプラットフォーム用に制作しないと損という話になるので、当然マルチプラットフォーム化は増える事になる。他のエンジンも同様のライセンス方式を採用する傾向になると、よりそれは一般化して行くはずだ。
RTSの様にPCでないと困難というジャンルとは異なり、FPS/TPS系はマルチプラットフォーム化し易いジャンルである。よってあえてPCのみで大作を作ろうという考えを持つ会社は相当少なくなる訳で、PCにこだわるにしてもCrysis, S.T.A.L.K.E.R.の様に将来的なコンソールへの対応を睨みつつ、最初はPC限定で制作するという道を探る程度か。後は制作を人件費の安い国の優秀なチームに任せるといった手段が考えられる。
◎2008年のFPS/TPS界を展望する
*Alan Wake
*Alone in the Dark: Near Death Investigation
*Assassin's Creed
*Borderlands
*Brothers In Arms: Hell's Highway
*Collapse: Devastated World
*Conflict: Denied Ops
*Cryostasis: Sleep of Reason
*Darkest of Days
*Dead Island
*Far Cry 2
*Frontlines: Fuel of War
*Left 4 Dead
*Mercenaries 2: World in Flames
*NecroVision
*Obscure: The Aftermath
*Operation Flashpoint 2: Dragon Rising
*Parabellum
*Postal III
*Precursors
*Project Origin
*Prototype
*Rainbow Six: Vegas 2
*Rogue Warrior
*Sabotage
*Savage 2: A Tortured Soul
*Scorpion
*Splinter Cell: ConViction
*S.T.A.L.K.E.R.: Clear Sky
*THEY
*They Hunger: Lost Souls
*Tiberium
*Turning Point: Fall of Liberty
*Warhound
*White Gold: War in Paradise
当たり前の話なのだが、2007年に大作が集中し、そして現状ではゲームの開発サイクルが2-3年となっている事からして、当然2008年はその反動を受けるようになる。それ程熱心にFPS関連の情報を集めてはいない人でも知っている様な、注目度の高い大作の数は減少している。
まず年内発売が確実視されている物だと、Far Cry 2, Brothers In Arms: Hell's Highway, Rainbow Six: Vegas 2, S.T.A.L.K.E.R.: Clear Sky辺りが知名度が高いが、2007年に比較すると注目度合いは落ちるラインアップという印象である。全て既存の作品の続編となり、新鮮味が薄いというのもある。それぞれに面白そうでは有るのだが、発売をワクワクしながら待つ様な感覚はあまり無いのも確か。
既にコンソールでは発売されて大ヒット作となっているAssassin's Creedは、レビューで欠点とされている事項が個人的には同様にマイナスイメージが強い箇所なので、私的には注目度は減少中。同じUBIのSplinter Cell: ConVictionも本来ならば期待したいシリーズなのだが、大きくゲーム性を変更した今回は期待感も有るが不安の方が大きい。
他にも注目度が高い作品は含まれているのだが、現状単に2008年予定とされているだけで情報が少なく、近年の完成時期が延びて行く傾向を考えると年内発売はどうだろう?と考えてしまう物も多い。中でもトップクラスの大作としてはProject Originが挙げられる。権利の関係で名前は変わっているが、実質的にはF.E.A.R. 2に当たる作品。製作チームが変わっているのが不安視もされているがOperation Flashpoint 2: Dragon Risingも前作の評価が高かっただけに注目度は高い。BorderlandsもGearboxが手掛けるSF世界でのオープンワールド物として話題になっているが、同社のBiAが今年にズレているだけに、同じ2008年に出せるのかには不安も。後はAlan WakeもVista限定とは言え期待されている有名作である。この辺が軒並み2009年へと延期されてしまうと、2008年は寂しい年になってしまうだろう。
マルチプレイについては正直な所、上のリストの中で数千人規模の常時接続数に達するような作品が出るかは疑問。Project Originは現在の無料化されたF.E.A.R.が人気が有るので一応期待は出来る。Rainbow Six: Vegas 2も人気は維持出来そう。個人的には期待度が高いLeft 4 DeadはCoop専用なだけに、人気は出ても人口には限界が有ると思われる。
大規模チーム戦のマルチプレイとしてはBFの有名ModであるDesert Combatのチームが設立した新会社からのFrontlines: Fuel of Warが存在するが、Xbox 360がメインというのも有るのか、想像していたほど注目度は上がっていない。ユニークなゲーム性で人気を集めた前作の続編となるSavage 2: A Tortured Soulは、大手代理店に頼らずにダウンロードのみの供給で、購入(アンロック)は自社の運営するサイトのみで行うというインディーズ系の会社の試みとして同レベルの会社からは注目されているが、長期の延期と宣伝が行われていない故の知名度の低さがどう出るか。
一応2008年発売となっており、もし出るなら期待出来そうなのはTiberium。これはC&Cの世界をテーマにしたFPSで、同系統の前作C&C Renegadeは5年経過した現在でもまだプレイヤーが残っているという人気作品。まだどんな物になるのか詳細は不明だが、C&Cの世界にFPS視点で降り立ったマルチプレイは大きな人気を集める可能性を秘めている。
ただ個人的な観測としては2008年は悲観すべき年ではなく、大手が減っている分中堅所が目立つチャンスとも考えられ、その意味で一般的なゲーマーには知名度が低いが、ゲームとしては面白そうな物は結構揃っていると考えている。
特に注目しているのはポーランドのTechlandとウクライナのDeep Shadowsの二社。東欧を中心にPCゲームが主流という国が多く、その為に(Xbox 360にも対応しているが)PC中心のデザインとなっているので、その意味で北米系のゲームとは一味違った印象を持った物が多い。Techlandは徐々に知名度を上げて来ている会社で、Dead IslandとWarhoundを用意している。Deep Shadowsは期待されていたBoiling Pointには批判も多かったが、その反省を活かしてPrecursorsとWhite Gold: War in Paradiseの二本が発売予定。
これら4本は設定は異なるものの、全てが「広大なマップ」、「自由度の高さ」、「クエスト制でゲーム内世界での敵味方の変化」といった点が共通しており、そういうのは面倒という考えの人には受けないと思うが、個人的には好みのタイプなので大いに期待している。是非FPS界に東欧旋風を巻き起こしてもらいたい。
続いてはもしかしたら出るかも?という作品をフォローしてみよう。年内に発表されてその年に出されるタイトルは減少傾向にあるが、2007年のCoD4の様な例も有る。なおそのCoDシリーズは2007年に出てしまったので2008年は期待薄。CoD3を担当した別の会社が既に続編に取り掛かっているが、PCで出るのか不明だしクオリティにも疑問有り。ライバルとなるMoHシリーズも2008年はまず無いだろう。(映画のヒットがあったので硫黄島がテーマの物が作られるのではないかという噂はあるのだが)。
第一にはやはりDuke Nukem Foreverを挙げないとならない。ムービーも公開され制作順調とは話しているが、発売時期は依然として未定。これまでの経緯からして全く読めない作品である。同レベルの大作としてはidのRageが存在するが、こちらは2008年は無さそう。
比較的可能性が高そうな物としてはSerious Sam 3。画像も公開されており、前作が2005年なので時期的にも不自然ではない。Half-Life 2: Episode Threeも、2006,7年と出ているだけに年末には間に合う可能性を持っている。
続編を開発中として映像が公開されているレベルの物の中ではMafia IIは期待作だが、制作のIllusion Softworksはとにかく延期で有名な会社なので何時出来るのか全くの未知数。VietcongのPterodonと共同で制作しているFPSのMoscow Rhapsodyも同様。
制作のアナウンスだけされている中での大物ではReturn to Castle Wolfenstein 2がトップクラス。ただ公開してからいきなり発売という例はid関連ではあまり考えられないので、年内は無いだろうと見ている。Battlefieldシリーズの新作も製作はしていると思うが(情報リーク事件も有った)、2008年に間に合うかどうかは分からない。Prey 2もサイクル的には2009年が妥当か。制作会社を移したPainkiller 2は制作状況が全く聞こえて来ず2008年は難しそう。なおPKと言えばオリジナルを制作したPCFは現在Epicの子会社となっているが、その理由というのがPCFがデモとして見せたUE3使用のFPSのデモがあまりにも凄かったので、是非これはうちで出したいとして買収したそうで、このゲームが出るという可能性は持っている
アナウンスすらされていない物としては、Hitmanシリーズの新作は有りそう。Ghost Recon Advanced Warfighter 3も可能性としては有るかも知れない。
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