FPSゲーム 2004-2005 目次
◎2004年のFPS/TPS界を振り返って
☆概観
前年2003からやたらと延期された作品が多くなっていたのもあって、2004年は相当なFPS/TPSゲームのラッシュとなった。しかも大作が多かったのも一つの特徴である。以下は2003年末にリストアップした2004年中に発売が期待される有名作品20点だが、この内白字の物以外はリリースされた事になる。
*Half-Life 2
*Doom 3
*S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl
*Unreal Tournament 2004
*Far Cry
*PainKiller
*Thief: Deadly Shadows
*Serious Sam 2
*Medal of Honor: Pacific Assault
*Battlefield Vietnam
*Counter Strike: Condition Zero
*Men of Valor
*Soldner: Secret Wars
*Tribes: Vengeance
*Joint Operations: Typhoon Rising
*Hitman: Contracts
*Call of Cthulhu: Dark Corners of the Earth
*Breed
*Xenus
*Nitro Family
その他にリリースされた主な作品のリスト
*Star Wars Battlefront
*Vampire: the Masquerade - Bloodlines
*Prince of Persia: Warrior Within
*The Chronicles of Riddick: Escape from Butcher Bay
*Full Spectrum Warrior
*The Suffering
*Manhunt
*Splinter Cell: Pandora Tomorrow
*Shadow Ops: Red Mercury
*Scrapland
Half-Life 2やDoom 3も遂にリリースされ、その他にもビッグなタイトルが軒並み発売されており、注目度の非常に高かった物の中で延期されのはS.T.A.L.K.E.R.位か。リストを眺めてもこれだけ集中して出た年というのは珍しいのではないかと思える。
ざっと一覧を見て感じるのは、シングルプレイの復権というのがある。特に大物と言えるタイトルであるDoom 3, Half Life 2, Far
Cry, Painkiller等は全てシングル面により力を入れたタイトルであり、最近のFPSゲームがマルチプレイ重視へと傾いている中、ややその動きをシングルプレイの面白さを追及という方面へと揺り戻したという感がある。シングルプレイのみでマルチ無しというゲームも結構多かった。
その反面、これだけのゲームが出ながらSquad(部隊)行動をメインとしたTactical系のゲームのリリースが非常に少なかったというのも一つの特徴だろう。拡張パックは数点出たものの、大物タイトルは谷間の年となったのかリリースされず。それと流行としてベトナム物が数多くリリースされたのも目立った。Battlefield Vietnam, Men of Valorの様な大物の他にもShellShock: Nam '67, Conflict Vietnam等がリリースされている。この傾向が来年も持続するのかは何とも言えないが、OFP
2がこのテーマを扱う可能性も有り、またブームの口火となったVietcongの続編も期待出来るかも知れない。
☆マルチプレイ
2004年のFPSゲーム界のマルチプレイは不作、もっと言えば凶作といった印象である。取り合えずは先にそんな中でのプラス面から見ていこう。
Unreal Tournament 2004は大きく復活したタイトルである。前作2003(リリースは2002年)が思ったほどの成功を収められず、UT99に比して人も集まらなかったのに対し、2004ではONSを中心としたVehicleを導入したゲームモードを中心に据えて、その他の収録マップの質も向上しネットコードも大幅に改善。マルチプレイゲームの数自体が少なかった時代のUT99程ではないにしろ、かなりの数のプレイヤーを集めている。2003時代からの多数のModが完成しつつあるのに加えて、それを盛り上げる高額の賞金を賭けたMod製作コンテストの実施も功を奏していると言える。個人的には優秀でありながらサポート関連の問題もあって失速したUnreal
2のModであるXMPのコンバートに期待。
Battlefield VietnamはBF1942の半数程度の人数といった感じだが、元々発売前にはこの程度ではないかという予測だったのでまあ健闘していると言えるだろう。ただ発売を急ぎ過ぎたのかパッチが大幅に遅れたという問題が有り、ゲームバランスの面でプレイヤーを掴み損ねたというマイナス面があったのは確か。Bonusコンテンツには力が入っているので、今後もう少し盛り上がりの可能性もある。
NovalogicのJoint Operationsは独自ポータル(Novaworld)での運営故に人数が把握しにくいのだが、結構な人気があるのは確かな様だ。150人対戦を実現というのが売りとなったし、DFシリーズとは異なりVehicleを大きくフィーチャーしたのが時流に乗ったとも取れる。Sniper有利のゲーム性も拡張パックからは修正されており、今後も安定した人気が期待出来そうだ。
なおHalf Life 2は多人数を集めてはいるがこれはCS: Sourceの関連なので特に目新しいとは言えず、HL2のマルチが優れている事にはならない。しかし今後DMを含めて新しいスタイルのゲーム性を確立したり、Modの充実といった面からも大いに期待は出来るゲームである。
しかし総合的なプレイヤー数をいろいろなサイトのデータから見る限りでは、現在人気のあるゲームはEnemy
Territory, Battlefield 1942, Call of Duty, Medal of Honor: Allied
Assault, America's Army, Soldier of Fortune 2等の以前にリリースされた物であり、2004年にリリースされたゲームで大きくブレイクした物は存在していない。
それでは失速したゲームを順に。まずは最近の物からMedal of Honor: Pacific Assault。これは現状データがおかしいのではないか?と思える位に人がいない。AAの大人気から考えると信じられない位の落ち込みようである。発売当時には酷いラグの問題が有りパッチ後の現在でも解決されたとは言えない状況だし、Forumを見る限りではシステム的に命中しているのかが分かりにくく(ラグもあり)、敵に当たるかどうかはスキルではなく運の要素が強いので全然面白くないという声が多いようだ。それと動作には高いスペックのPCが無いとならないという点も不満が多い。
今回はマルチにも専門のチームを設けて非常に力を入れると言う話だったのだが、現時点では悲惨な状況である。時間が無くて力を入れられなかったので原始的なスタイルしか用意出来なかったAAが大人気を博し、それならと頑張ったその後は工夫を重ねる毎に人がいなくなっているという皮肉な事になってしまっている。
同様にTribes: Vengeanceも相当に厳しい。人気マルチプレイゲームをより広範囲にアピールさせようという試みだったが、マップのサイズが全体的に小さくなって人数も32人までと縮小されてしまい、システム的にも簡単になった分これまでの戦略的な要素が薄められてしまった感があり、そうなるとVehicleという要素が一般的となった現在では独自色が出しにくい。旧作のファンからのリアクションも悪い物が多く、プレイヤーほぼ2,3百人程度を超える事は無い様で、数千人を集めていた旧作には及ぶべくも無い。このエンジンで旧作を再現すると言うプロジェクトは有る様だが、Mod系が盛り上がらないと改善は望めそうにないという印象。
Star Wars Battlefrontはビッグタイトルの版権物として大化けするかもと言われていたが、結果的にはかなり寂しい状況となってしまっていて人はあまりいない。やはりネットコードの問題とCheat系への対策不足といったLucasarts独自エンジン路線がマイナス要素となっており、またレスキルといったゲーム上の問題への対応も重要となっているが、あまりパッチでの改善に熱心には見えず今後にも不安。
大物ゲームとしてはDoom 3は4人までだが暗さを利用したユニークなゲーム性を打ち出した点は評価出来るが、人気はそれ程出ていないようだ。拡張パックでの8人対戦になれば変わってくるかもしれないのだが、やはりもう少し本腰を入れて取り組まないと人気は上がってこないだろう。Far CryはプレイにUbi.comを利用させるという点が大失敗。そもそも認証サーバーが貧弱でLogin自体が出来ないという状態から人が集まらず、ゲームバランスもSniperの優位性が高くて問題ありという有様。マルチプレイを充実させる為に外部からアドバイザーを雇ってわざわざ延期をしたという割にはお粗末であった。PainkillerはQuakeの雰囲気を再現という点から期待されたが、発売当事にはLANに最適化されたネットコードしか用意できず、ラグの問題から人が集まらずに悲惨な状況が続いていた。拡張パックでは新ネットコードにCTFといったゲームタイプも追加しているが、ネットコードがオリジナル作品にパッチと言う形では提供されておらず、この辺を実現しないと相変わらず人は増えないという事になりかねない。通常人が100人もいないというのは、発売前のアピール度合いからすると大失敗と見て差し支えないだろう。
その他ではMen of Valor, Shadow Ops: Red Mercuryはゲームの売れ行き自体が今一つなのに加えて、ゲーム性がシンプル過ぎて独自性が薄く人が全然いないという状態。Breed,
Soldner等は相当に期待されていたタイトルだったのだが、ゲームの仕様変更や販売元とのトラブルによって苦戦している。
☆COOP
Coop関連では目新しい物が少なくて寂しい年となってしまった。これまでは有ったDoom
3はPC版では無し、Painkillerは技術的な理由でカット、Men of Valor, Breedでは途中で削除、期待の大きかったNitro
Familyはネットコードの問題で実質使い物にならずといった状況。その上にCoopに強いTactical系ゲームがリリースされないといった具合。
その一方でUT2004のFraghouse InvasionやAlien SwarmといったMod系の頑張りが目立ち、この辺は今後もHL2のModであるSven
Coop 2を筆頭に頑張りを期待したい。
☆コンソールとの関連
傾向としてコンソール(家庭用ゲーム機)との並行開発と言うのがより目立って来たという印象は受けた一年だった。そしてそれはPCゲーマーにとってはあまり歓迎すべき件では無いというのも認識出来た。「コンソールでも出すが現状では内容は未定でPC版が先」といったタイプのゲーム、Painkiller,
Far Cry, Doom 3は概ね高評価となっているが、「開発段階からほぼ共通のゲーム性で作成されている」というタイプのゲームにはThief:
DS, Men of Valor, Star Wars Battlefront, Hitman: Contracts,
Shadow Ops: Red Mercuryと期待ほどの評価を受けていない物が多くなっている。
製作予算が膨大になるとかなりのビッグなタイトルを除いてはPC版だけではそれをペイ出来ず、予算分の売り上げを上げる為にマルチプラットフォームでの開発となるのは仕方の無い面も有るのだが、そうなると一番市場的に大きいPS2、或いはPS2は抜きでXbox版のみであってもそちらに合わされてしまう可能性が高い。コンソール版のユーザーとPC版のユーザーでは嗜好が異なるので、その辺の違いがPC版ユーザーにはマイナスと映ってしまう事になる。
ゲーム製作の為の予算が今後益々高額になるのは確実なので、PCユーザーにとっては歓迎出来ない並行開発ゲームが増える可能性は残念ながら高い。今年Ghost
Reconの新作が発表されてから、その内容にあまりにも旧作のファンからの反発が強かったのでPC版は調整の為に発売を延期するといったケースも有ったが、実際にはそこまでされるケースは稀だろう。少なくとも先にPC版を完成させてからコンソールへと移るというのが双方のゲーマーにとって理想と思えるのだが。
◎2005年発売のFPS/TPSゲーム
2004年には大物タイトルが数多くリリースされた。しかし2004年にゲームをリリースした会社の続編或いは新作は、現在のゲームの開発サイクルから言って最低でも2年程度のインターバルは置かれる為に2006年以降になる可能性が高い。例えばUnreal
Engine 3を使ったEpicの新作、id Softwareの新作は共に2006年予定だし、続編が噂されるPainkiller,
Far Cryについても2006年以降となるのはほぼ確実。そのせいもあってか2005年は現在判明している範囲では、ちょっと前年比縮小気味という感は否めない。
*Pariah (Q1)
*Close Combat: First to Fight (Q1)
*Brothers in Arms (02)
*Ghost Recon 2 (Q2)
*Project: Snowblind (02)
*Splinter Cell: Chaos Theory (Q1)
*Call of Cthulhu: Dark Corners of the Earth (Q2)
*Boiling Point: Road to Hell (旧名Xenus) (03)
*Hitman: Blood Money (Q2)
*Battlefield 2 (Q2)
*SWAT 4 (Q2)
*F.E.A.R. (Q2)
*S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl (Q2)
*Rainbow Six 4 (Q2)
*Grand Theft Auto: San Andreas (06)
*Operation Flashpoint 2
*Serious Sam 2
*Quake IV
*Team Fortress 2: Brotherhood of Arms
*Duke Nukem Forever
発売予定が入れてある作品は遅れるにせよ年内の発売は固いと思うのだが、それ以外の物に関してはどうなるのかまだ分からない。Serious Sam 2についてはまず出るとは考えているが、OFP2は情報が全然出てこないし、出るならば最大級の大物となるQ4も進行状況は掴めない状況だ。TF2はSourceエンジンにて製作しているという話だが、HL2発売後に具体的な話をするといったまま。DNFについてはもはや何を言ってもしょうがないが、先日行われた販売元Take2の業績報告にて今後の年間予定にはリストアップされていなかった。
実際には予定されているゲームの数自体はこのリスト以外にも結構多いのだが(当サイトのUpcoming
Games等を参照)、中堅や新興会社の作品が多くなっており、著名な注目作となると上記の様にやや少ないという印象。現時点では注目度の低い作品から傑作が出て来る可能性は当然有るが、これまでの経験から言ってそういった作品が多いとは考えられないし、また近年の製作時間の増大からして年内発表で同年発売という大物がそれ程出てくるとも思えない。
勿論上記の作品が揃って事前の期待通りの出来栄えを見せてくれるならば充実した年になるはずなのだが、例年の傾向から見てそうは上手く行かないというのが実際の所。2004年の項でコンソールとの並行開発版が多くなっているというのを不安点として書いたが、実際に上記20件中分かっているだけで半数の10本がそれ(同時開発で同時発売予定)に該当している。年間ベスト10の選択に「ランクに入るレベルのゲームが少なくて苦労する」といった事態にならない事を祈りたい。
特に一覧を見ると目立つのは、2004年に非常に少なかった分Tactical系(リアル系)のゲームの割合が多くなっているという点。一時は中止されたSWATの新作も出るし、GR2やRS4もまず間違いないだろう。もちろんOFP2は出るならば最大の注目作。その一方でスタンダードなアクションFPSが少ないという印象で、年前半に確実視されているのはPariah, F.E.A.R.程度。現在無名のゲームには結構このタイプが多いので、その辺から面白い物が出て来てくれないとこの分野のファンには寂しい年になる可能性もある。
マルチプレイについては最大の注目作としてBattlefield 2が存在している訳だが、その他は未知数の物が多くて読みにくい。個人的には今回もCoopを導入するSerious Sam 2に期待している。
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