<VIDEO CARD 交換編>


 06/04/30

                             ビデオカード交換に関する基礎知識


Q:ビデオカード増設時の問題点とは?
A:メーカー製セット販売PCに多いオンボードのビデオチップだと(低性能で廉価な物を直接マザーボード上に搭載した物)、ゲームをプレイするのに性能が足りない場合がある。そこで専用のビデオカードを増設しようとなった時(或いはビデオカードの交換)に以下の様な問題が出てくる。

問 題 点 解      説 詳  細  ・  対  策
物理的問題  ビデオカードはある程度の大きさと厚みを持っており、特に高性能の物になるとサイズが増す傾向にある。その為にこれが筐体の中に入るか?という問題がある。
 単品で販売されているケース、M/B、ビデオカードの組み合わせならば、元々あらゆる組み合わせで使用される事を前提にして設計されているので問題になる事は少ない。しかしメーカー製の一体型PCでは省スペースを重視して、その辺を考えていなかったりする設計の物が多く、購入しても物理的なスペースの点で装着が出来ないという可能性がある(カードの一部が他の部品に当たってしまう・蓋が閉まらなくなる等)。

 次に装着するスロットの規格が現在ではPCI Expressが主流なのだが、このタイプのスロットを持っていないM/Bがある(I/Fの項参照)。その前の規格だとAGP、更に前となるとPCIスロットとなり、順に転送速度が遅く、また用意されたビデオカードの性能も遅い物が多くなってくる。
 当然ながらスロットの規格が合わないと装着は出来ないので、自分のPCに用意されたスロットの形状によって選択出来るカードの種類は限定されてしまう事になる。

 更に液晶の薄型ディスプレイとのセットモデルの場合に、専用のコネクタを使用しているケースでは市販のビデオカードは使えない。液晶モニタの普及によってコネクタは統一されつつあるが、昔の物だと相性問題も有るのでコネクタが合っても動くとは限らない。他にCRTを購入しないとダメという可能性もある。
 最近では薄型ケースに合わせてLow Profileと呼ばれる規格の小型ビデオカードも出て来ている。よって自分のPCがこの規格に対応したケースを使っているならば、同じく規格に対応したビデオカードを買ってくる事で増設が可能である。
 ただしメーカー製のPCではM/Bを独自設計しているケースも有って、この場合M/B上のパーツが邪魔をしてビデオカードが装着出来ないという事も起こり得る。


 PCIスロットタイプのカードは非常に少なくなって来ており、またこのスロットしか無い時代のPCでは、高性能のビデオカードを入れてもその性能が発揮出来ない。PC自体の買い替えを考えるべきかも。


 最近は液晶画面が増えて来たので、統一規格のDVIコネクタを持つビデオカードが相当増えている。ただしメーカー製のPCでは相性問題は避けて通れない。これは他人に聞いても分からないので厄介である。専用のコネクタを使うタイプは、それに応じた変換コネクタでもないと不可能。
システム的に
旧ビデオ機能を
停止出来るか
 本来ならばビデオカードを交換するには、元のビデオカードを抜いて新しい物をセットしてしまえば良い。ところがオンボードの物だとM/Bに装着(半田付け)されてしまっているのでこれを取る事が出来ない。ではどうしたら良いかというと、このオンボードチップの機能を停止してやる必要がある。

 ところがこれを停止出来るかどうかは、そのマシンによって変ってくる。自作のPCであればBIOSにアクセスして停止させればOK。
 しかし基本的にビデオカードを交換するなど考えられていないPCの場合、これを停止出来ない場合も有り得る。また実は設定で出来るとしても、メーカーからしたら丸ごと買い換えてもらうのが理想であり、質問してもそれは出来ないとしか答えない可能性もある。 
 元々のチップを停止出来なくて新たにビデオカードを装着した場合、通常の動作にはそれほどの問題は起きないはずである。しかしゲームでは問題が出る可能性がある。
 まずオンボードのビデオを常にPrimaryと認識してそれを使おうとするゲームでは、新しいカードが無視されてしまうので意味が無い。一応ビデオカードを強制的に変更するユーティリティーというのも存在するが、それがうまく動くのかという保証はどこにも無い。
 ゲームによっては複数のビデオカードを自動的に認識して、どちらを使うかを選択出来るものもある。しかしこれもまたうまく動くのかはやってみないと分からないという世界だろう。

 こういった事を踏まえて近年の統合チップセット(AGP以降)には、新しいビデオカードを差した場合は自動的に機能を停止してくれるという、最初から拡張を睨んだ設計の物が多くなっている。
電源系
冷却系
 最近のビデオカードというのは非常に電力を食う設計の物が多い。一方でメーカー製のPCはコストの面等から、出荷時の構成に必要十分レベルの低電力設計の物が多かったりする。
 その場合新しくビデオカードを挿すと、電力不足で動作しない・不安定という事態が発生する事にもなりかねない。

 それとビデオカードは大きな発熱をするが、これを自前のファンで冷却している。それでも周囲に篭もる熱をPCケース外部に放出しないとならない。
 しかし出来るだけ省スペースタイプが良いという事から小型のPCが多くなっていて、更に静音性を重視しているタイプでは騒音源であるファンのパワーを押さえる為に必要最小限の能力の物を搭載しているケースもあり、非常に高温になるビデオカードの熱を外部に放出し切れない可能性も出てくる。そうなるとPCが停止したり再起動したりといったトラブルの原因となってしまう。
 電源を変えたりケースを変更したりファンを増やしたりという事で回避出来るが、そこまでやるなら自作した方が早い。またそんな作業が出来るならばメーカー製のPCなど最初から購入していないという人がほとんどだろう。
 これは実際にやってみないとどうなるか分からない世界なので、あまり高度な(発熱する)ビデオカードを購入しないといった方法位しか対処方法は無い。
知識の問題  ある意味最大の問題となるのがこれ。どのような事態が起きるのか分からない面があり、うまく動かすまでにはある程度の思考錯誤が必要になる可能性がある。しかしそんな事が出来ないからセットのPCを買ったという場合がほとんどだろう。
 メーカー製のPCだと、掲示板で「オンボードのビデオカードを交換して改造しているのだが、こういう状態で動かない」と書いても、的確な返答をもらえる可能性は低い。何故ならメーカー製のPCは内部構造までカスタムメイドであって、共通規格で作られた物を組み合わせている自作PCの世界とは異なった世界だからである。

 「このメーカーのこの型番のPCにこのビデオカードは差して使えるでしょうか」と聞かれても、それがオンボードチップセットの場合、返答のしようが無い場合が多いと考えて欲しい。
 まず最初にゲームをやるのならば自作PC、或いは注文したパーツでマシンを組み立てて発送してくれる直販PC(BTO)等を選択すべき(次回買い換え時には)。

 メーカー製PCの改造としては、同じメーカーのユーザーが集まっているハードウェア系の情報交換サイトを探すのがお勧め、というかそういう所で無いと正確な情報を得るのは難しいだろう。
 それと近くにPCに詳しい人間がいたら、その人に見てもらうというのは有効な手段となる。その場で直接マシンをいじるのと、BBSで状況説明されて推測するのでは天と地ほどの差があるので。その方面に詳しい人間がいれば相談して、増設時には来てもらうのがベスト。

Q:メーカー製のPCは全て問題があるのか?
A:これは違う。メーカー製のPCでもある程度の価格帯からは、オンボードでは無く単体販売のビデオカードをそのまま搭載している。よってこの場合はカードを抜いて新しい物を差す事でOKとなるケースも多い。もちろんメーカーの保証は受けられなくなるが。


Q:ノートPCではどうなのか?
A:ノートの場合は交換出来ないと考えた方が良い。今持っている物を拡張するのは無理と考えてほしい。もちろんノートでも負荷の掛かるゲームにも対応出来るようなビデオチップを搭載したりしている物もあるが、一般的に非常に高価である。


Q:メーカー製PCに付けられるビデオカードを調べたい
A:幾つかのメーカーがメーカー製PC対応のビデオカードを発売している。通常こういった製品は割高であるが、確実性という面から初心者にはお勧めと言えるだろう。I/O DATA機器BUFFALOでは機種名から使用可能なグラフィック・アクセラレータ(ビデオカード)の検索が可能。ビデオカードを発売しているメーカーでも、対応可能な機種についての情報を載せている所は存在するが少数である。



Q:ビデオカードの交換、或いはドライバの更新手順は?
A:あくまでも一般的な手順になるが、以下のような流れで行うのが確実である(WIN XP、Nvidiaのビデオカードの場合)。

1.画面の解像度を800*600で16bitという最低設定に変更する
2.コントロールパネル>プログラムの追加と削除より Nvidia Driversを削除。その後自動的に再起動表示になる。
3.新しいビデオカードと交換するのならば、再起動でなく電源断後に交換作業
4.再起動にてビデオカードの機能を使用しない標準モードのディスプレイ表示になる
5.起動時に(新しい)ビデオカードを認識するはずだが、自動的に出て来るドライバーのインストール画面はキャンセルする
6.予め用意しておいた新ドライバのexeファイル、或いはビデオカード付属のCD内のexeファイルを実行してドライバをインストール
7.再起動になるので、再起動後に各種設定を行って終了



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