<PCの性能の調べ方>           目次

 03/11/10


 全てのゲームには最低動作環境(必要動作環境)という基準が存在している。その名の通りにこれ以下の性能のPCではゲームは動作しないという意味である。ただその基準を「ゲームが起動するかどうか」に置くか、「確かに動くが到底実用的な速度では無い」というレベルにするのかはゲームによって異なる。いずれにしろ欲しいゲームを買う前には、必要な動作環境と自分のPCの性能との比較をしないとならない。しかしPCには詳しく無いので、自分の使っているマシンの性能がわからないという人もいるはずである。そういう人の為にマシンスペックの調べ方をここでは解説しよう。


 比較の為には自分の使っているPCのスペックを調べておかないとならないが、これには以下の様な方法がある。

DirectX診断を使う(dxdiag)
*Microsoftの発行しているマイクロソフト システム チェック ツール for PC ゲームを使う
*システムのプロパティにて確認する(XP)
*メーカーのホームページ等にある製品データ(仕様)を見る
*PCが起動する時の初期診断画面にて確認する

 取りあえずは一番上のdxdiagの使用が一番お勧め。MSのチェックツールは基礎的な事しか分からないので、これを使うならば最初から入っているdxdiagを使うべき。システムのプロパティからは詳しい情報は分からないケースもあるし、起動テストの画面ではCPUとメモリ程度しか表示されない。メーカーのカタログは詳しいのだが、目的のデータを見付けるのが大変だったりする。



◎CPU
 使われているメーカーは最大手のIntelと二番手のAMDだけと考えていい。ゲームの世界では基本としてIntel社のPentium(ペンティアム)を基準にしてスペックを記述している。CPUは同じ種類であれば動作周波数が高いほど速く、Pentiumは後の数字が大きいタイプほど新しい(速い)。「Pentium 3 733MHz以上要」と有ればPentium 4の1.5GHz(1500)なら問題無いという事になる。AMDのCPUであるAthlon(XP)は動作周波数ではなくモデルナンバーで性能を表しており、その数値はPentiumでの同等品を表していると考えて良い。1500と有ったらそれはPentiumにおける1.5GHz程度の性能という意味。

 難しいのは一般向けのPC用にはCeleron(Intel)、Duron(AMD)といった廉価版CPUが搭載されていたり、またはノートPCには専用でモバイルタイプのCPUが用意されており、これらが上記のCPUでいうとどの程度の速さなのかが分かりにくい。例えばPentium 4の1GHz以上要のゲームが有った時に、Celeronだったらどの程度の動作周波数モデルが必要となるのか等。これはゲームによって変化するのでデモ等で試してみるしかないだろう。3D機能をフルに使っているゲームだとCeleronの使用はかなり不利になるが、3D描画の負荷がそれ程でもないゲームならば大して問題無いケースもある。


◎メインメモリ(RAM) / ビデオメモリ(VRAM)
 VRAMの方は本来ビデオカードの項にて説明するべきなのだが、初心者には一緒に説明した方が分かり易いと思うのでここにまとめた。この両者はそれぞれ動作にはメインメモリ何MB以上要、ビデオメモリ何MB以上のビデオカード要といった風に書かれる。メモリの数値は上記方法で簡単に調べられるが、この時に半端な数字になる事があるのは気にする必要は無い。128, 192, 256, 384, 512と言った数字から1番近い物がメモリ搭載量と考えていい。現在は搭載するメモリモジュールの最低値が128程度なのであまり半端な数値にはならないが、64や32MBといった物を使用している昔のマシンではもっと細かい区切りになる可能性はある。

 メインメモリとはPCが作業をする為に使う保存スペースであり、当然多いほど良い。これはPCのメインとなる部品であるマザーボード(M/B)上にCPUと共に搭載されている。一方でVRAMとは画面表示を行う為に使うメモリであり、これはビデオカード上にビデオカードの処理チップと共に搭載されている。このビデオカードはM/B上の拡張スロットに挿して使われる。この仕組みはPCが1981年に登場した時からの規格だが、何故これが別々なのかというと、どちらか片方をグレードアップしたい時に分解してそちらだけを変えるという事が可能になるからだ。
 しかし技術の発達によって処理用のチップは小型化し、また省スペースで安価なPCも広く求められる様にもなってきた。そこで統合型M/Bとして、ビデオカードの機能をM/B上に一緒に搭載してしまうという物が出てきた。これだとビデオカード分のスペースが節約出来るし、一体型なので別々に作成するよりも安価で製造も可能だ。大手のメーカーが出しているセット販売のPCの普及価格帯の製品はこのタイプが多い。

 ここでの問題というのはこういった統合型のM/Bでは、ビデオ用のメモリであるVRAMをメインメモリから借りて使用するという点にある。また借りられる最大の容量にも制限が存在している。自分のPCのメインメモリの量を確認した時に、例えば128MB搭載のはずなのにそれよりも少ないとかいう場合(有る筈の量よりも16や32少ない等)は、この理由で一部がVRAM用に確保されておりその分減少していると考えられる。これらをまとめたのが以下の表である。

必要環境(右)
PCの性能(下)
メインメモリ 128MB以上要
 VRAM32MB以上要
メインメモリ 256MB以上要
 VRAM32MB以上要
メインメモリ 128MB
VRAMはオンボードタイプで最大32MB
 メインメモリから32MBがVRAMとして取られてしまう為に、実際のメインメモリは96MBとなってしまう。よって動作不可  メインメモリ容量が足りないので動作不可
メインメモリ 128MB
VRAM32MBのビデオカードを搭載
 メインメモリ128MBとビデオカード上のVRAM32MBは別なので動作可  メインメモリ容量が足りないので動作不可
メインメモリ 256MB
VRAMはオンボードタイプで最大32MB
 メインメモリから32MBがVRAMとして取られてしまうが、実際のメインメモリは224MB残っているので動作可  メインメモリから32MBがVRAMとして取られてしまう為に、実際のメインメモリは224MBとなってしまう。よって動作不可
メインメモリ 256MB
VRAM32MBのビデオカードを搭載
 動作可  メインメモリ256MBとビデオカード上のVRAM32MBは別なので動作可

 ただし上記事項は絶対では無い。例えば「メインメモリ128MB以上でVRAM32MB」と記述してある時に、これがVRAM32MBはメインメモリから取られる事を見越しての表記というケースも有るからだ(この辺は厳密な表記の規定が無い)。つまりメインメモリは96MB以上でVRAM32MB以上なら動作するというゲームである可能性もある。それと併せて”必要”の意味も厳密には決まっておらず、起動時にチェックで引っ掛かるので完全にダメというケースも有れば、起動してプレイは可能だが速度的に問題が有るので不可としているケースも有って、後者の場合だとプレイヤー本人がそれで納得するなら遊ぶ事自体は可能である。

 最後にOSにXPを使っている時に、「メインメモリ128MB以上要。ただしXPであれば256MB以上要」といった表記があるケースがあるので注意が必要だ。XPは98/MEといった旧OSに比べて自分自身が使う容量が大きく、また安定性の為にメモリをこれまでよりも贅沢に使用するのでこういう風になる場合が有る(キャッシュメモリの使用効率は良いのだが)。もしこれから(03/11現在)メーカー製のPCを購入するならば、最低でもメインメモリ256MB以上のモデルを購入するべきだろう。或いは今128MBならば増設を考える事をお勧めする。128>256への増設はゲームに限らず一般的なアプリケーションの体感速度にも大きく影響するので。


◎ビデオカード(ビデオチップ)
 ビデオカードの意味等については別の解説頁を参照。ゲームが動かないという場合にはここが一番引っ掛かる可能性が高い。と言うのは、自分のPCの性能が分からないという人の大半はメーカー製のセット販売PCを購入した人のはずであり、そういったセット販売のPCではこのビデオカードの部分の性能が劣る事が多いからである。初心者だとCPUの速さが重要なのではと考えるかも知れないが、実はCPUは普及価格帯のPCでも結構速いというケースが多く、問題となるのはその分(価格配分で)性能を押さえられたビデオチップの方なのである。

 確かにビデオカードについては、「とにかくゲームが出来ればOK」といったPCに詳しく無い人には複雑な世界かもしれない。よってBBS等でアドバイスを求めるといったケースは多いと思われるのだが、その際に必要となる物が2つある。一つはビデオカードで使用されている処理チップの種類、もう一つはVRAMの容量である。以下はOSに98を使用している際の物だが、基本的には他のOSでも同じ事である。


方法1: デスクトップ画面を右クリックしてプロパティを選択。ここで[設定 タブ](解像度と色数の表示がある)を選んで[詳細]を選択。ここの[アダプタ タブ]にビデオカードの名前が表示される。またここにビデオカードの名前でタブが追加される場合もあり、その場合はそれを選択する事で更に詳細な情報を得る事が可能だ。下の例では”オンボードメモリ”となっているのがVRAMの値となる。




方法2: コントロールパネル>システムを起動し[デバイスマネージャ タブ]を選択。ここで種類別に選択を選んで一覧を表示させる。この中のディスプレイアダプタを選んでやれば使っているビデオカードの名前が出てくる。もしもマルチディスプレイ機能を搭載しているカードだと複数出てくる場合もある。なおXPだとシステムを起動して[ハードウェア タブ]から[デバイスマネージャ]を選ぶ。

方法3: dxdiagを使う。スタートメニューから[ファイル名を指定して実行]を選択、ここでdxdiagと入れて実行するとDirectXの診断プログラムが起動する(やや時間が掛かる場合あり)。ここのディスプレイタブにカードの名前とVRAMが表示される。VRAMの容量がカタログ等で分からない場合、このdxdiagを使うしか無いケースも有り得る。dxdiagの詳しい解説はここ

 メーカー製マシンでは単独でビデオカードが装着されておらず、グラフィック統合チップセットとしてマザーボード上に一緒に存在するケースがあり、その場合カタログ等ではちょっと分かりにくいケースもあるので、以下にカタログで確認する際の表記の一例を掲載しておこう。

項目名 表  記  方  法
 チップセット
ビデオ
 グラフィックアクセラレータ
コントローラー
Intel (82)810E,810E2
Intel (82)815,815E
Intel 82845G, 82865G
SiS 630,630E,630S, 650, 651
SiS 730S,740
Nvidia nForce 220-D, 420-D, 620-D
VIA KL133
3D Rage pro
ProSavage8
S3 Savage4
ビデオRAM
ビデオ用メモリ
VRAM
グラフィック・メモリ
16MB
32MB(メインメモリと共用)
8MB〜32MB(メインRAMを使用)

 では次に条件を満たしているかの判定の方を。ビデオチップに関しては正直な所自分のPCの物がわかっても、それがあるゲームではどうなのかというのは初心者には難しい面がある。ゲームの必要環境の欄、或いは公式サイトの情報頁等に対応ビデオカード一覧というのが記載されている場合もあるが、それが見付からない場合は調べたらそれを明記して質問するという方法でも良いだろう。

 最後に最近増えてきたHardware T&L対応のビデオカードの意味に関して簡単に。これに関しては画面上に3Dでポリゴンを描画する際にTransform&Lightingという過程があり、これをビデオカード側で行えるかどうかという事である。CPUでもこの処理は行えるのだが、負荷が大きいのでビデオカードにこの能力を要求するゲームが急増している。これに対応するビデオカードおよびチップは以下の通り(不明確な点有り)。

Nvidia GeForce シリーズ全て
ATI Radeon 7200, 8500, 8500 LE, 9000, 9500, 9600, 9700, 9800  (VE 、7000は非対応)
Matrox Parhelia
SiS Xabre

SiS315(オンボード)


◎ハードディスク(HD)
 これは単にゲームのインストールに最低必要な空き容量よりも、自分がインストールしたいドライブの空き容量が大きいかで判断。ただしインストールしたいのがC:ドライブである場合には、ゲームをインストールした状態で更に空きが500MB以上は無いとまずい(理想的には1GB以上空き)。ここでは詳しい解説は省くが、HDが一台しか無くてそれが全てC:で領域を占めていると言う場合(C以外はCD-ROM等のドライブだけ)、空きが1GB以下になったらもう何もインストールしないで増設を考えるべきだろう。


◎サウンドカード
 カタログのサウンドといった項目を見るとチップやカード名が書いてあるので、それを調べるのが簡単だ。またはコントロールパネルからシステムを開いて[デバイスマネージャ タブ]でサウンド、ビデオ及びゲームのコントローラーの項目を見ると名前が書いてある。この時に「互換」や「相当」という言葉で書かれている場合もあるので、その場合はそれでいい。
 普通は必要条件としてDirectXのX.Xに対応の物といった記述が多いが、具体的にどこまで対応しているのかを宣言しているサウンドカード(のドライバ)は少ない。実際問題としては出来るだけ最新のドライバにして動かしてみないと分からないというケースも多いのが実情である。ただサウンドに関してはいざとなれば機能や音質を落とす事で動作させられる可能性が高く、起動しないという致命的な原因になる事は少ない。ただしゲームが不安定の原因にはなる事はある。


◎CD/DVD-ROM
 これはカタログ等には最大読み込み速度32倍速とか書かれているが、通常ゲームにはそれほど関係無いので気にする必要は無い。ここ数年で購入した物ならば速度面ではほとんど問題にはならない個所だが、かなり昔のマシンで8倍速以下とかいう場合は問題も。通常はカタログを見るしかないが、コントロールパネルからシステムを開いて[デバイスマネージャ タブ]でCD−ROMのプロパティを見ると36xとか数字が書いてあるケースがあり、この場合はこれがその倍速を示している可能性が高い。
 それよりも最近の問題はゲームCDに掛けられたプロテクトと、ライティング可能なCDドライブとの相性問題による認識不可等の障害になっている。ただこれは複雑であるのでここでは割愛する。


◎OS
 どのタイプのOSを使用しているかも重要で、これは質問等する時は必ず書き添える必要がある。起動すれば分かるので問題無いとは思うが、コントロールパネルからシステムを開くと[全般タブ]に書いてある。Windows 95, 98, 98SE, ME, 2000, XP等。これはゲームが対応していると書いてある物かどうかで判断する事になる。ただし昔のゲームで2000とXPについては「動作は保証しないが動くケースは確認している」といった事も多く、他の同一OSユーザーの情報を集めるしか無いだろう。


◎DirectX
 これはハードウェアではないのだが、このバージョンも非常に重要。またこのDXの診断ツールを使うと上記の情報を調べるのに役に立ったりするので、dxdiagにて調べて質問時には必ず記載するべし。



 最後に一言書いておくと、「自分のPCでそのゲームが動くのか?」という問いには必要動作環境との比較で答える事が出来るが、「快適に動くのかとか、綺麗なグラフィックレベルで動くのか?」といった質問には非常に答えにくいケースもある。それはゲームのジャンルによって要求される性能が変ってくるからだ。例えば私のサイトでは3Dアクションゲームを中心に扱っているが、これが他のストラテジー、RPG、シミュレーションといったジャンルとなると、理想的なPCの性能というのも変ってくる。その為に的確なアドバイスが出来ない可能性も考えられる(少なくとも私には)。
 よって一番確実なのはそのやりたいゲームのファンサイトに行って聞くことだ(無ければそのジャンルのサイトや総合的なゲームサイトとか)。PCゲームはジャンルによって全体的な性能はもちろんの事、個別のパーツの要求されるレベルが違ってくるので(このジャンルのゲームをやりたいならばここがとにかく高性能で無いとダメとか、ここさえこの位有れば大丈夫とか)これは重要である。ゲーム用に新しいPCを買いたいという場合でも、何を中心にやりたいのかは明らかにした方がアドバイスはし易い。



    目次