<VIDEO CARD Q&A>
03/07/17
主に初心者向けのビデオカード関連の解説
Q:ビデオカードとは?
A:呼び方はいろいろとあって、「グラフィック・アクセラレータ」、「3Dカード」、「ディスプレイ・アダプタ」等。これはその名の通りに画面表示を担当する部品である。PC(IBM PC 互換機)はその規格の誕生した20年前から、このビデオカードという概念を持っていた。マシンのメインパーツとしてCPUやメモリを搭載する基板をマザーボード(M/B)と呼ぶが、ここにある拡張スロットに画面表示処理を担当するビデオカードを差して使用するという仕組みである。
画面に表示する機能はどんなPCでも必要となる物だが、何故わざわざM/Bとビデオカードを分離しているのだろうか? それは片方を交換(グレードアップ)したい時に便利なようにである。ビデオ関係の能力が足りないという時に、ビデオカードが外せるタイプであれば古いのを外して新しい物を付ければ済む。或いはM/Bの方を交換した時にも、元のビデオカードをセットして使う事が出来る。この仕組みなら「やりたいゲームが動かないのでビデオカードをアップグレードしよう」と考えた時に、ビデオカードだけを差し替えてやる事で解決する。
Q:ビデオカードの構成や機能
A:初心者向けという事でビデオカードの詳しい構成要素や仕組みは省く。メインの役割としてグラフィックの処理ICが搭載されており、これをビデオ(グラフィック)チップと呼ぶ。またビデオ表示用に使用するメモリとしてVRAMと呼ばれる物が搭載されている。後はTVへの入出力といったコネクタ関連にも差が見られる。
Q:ビデオカードとオンボードビデオチップ(統合チップセット)の違い
A:ビデオカードという物は左の写真にもあるようにそこそこ大きい。また専用のビデオカードというのは高度な計算を行う分それなりに発熱が凄い。そうなると入れる為のスペースの確保による筐体の巨大化、冷却化の為のファンの騒音の問題が出てしまう。よって一般家庭に好まれる薄型省スペースで静音タイプのPCには搭載する事が難しい。或いはもっと小さいノートPC等には物理的に搭載出来ない。
そこでどうするかというと、ビデオカードの構成部品をM/Bの上に一緒に配置してしまう。つまり基本パーツしか搭載しておらず、ユーザーが自分でビデオカードやサウンドカードを選んで空きスロットに指して使うタイプのM/B(主に自作用)に対して、ビデオカードやサウンドカードの機能を最初からM/B上に部品として搭載しているタイプのM/Bが存在しているという事になる。この場合カードでは無く処理するビデオ用ICがM/B上に直に取り付けられているので、ビデオチップと呼ばれるのが普通。
こういったタイプのM/Bは統合チップセットと呼ばれており、数々の規格が誕生している。そのチップセット名を見れば、どこの会社から出ているM/Bでも、搭載されているビデオチップやサウンドチップ等の種類が分かる。このタイプの利点と欠点は以下の通り。
◎一体化生産の為に、別々に全部揃えるよりもコスト減
◎ビデオカードやサウンドカードを専用にセットしないので省スペース、静穏化(ファンが弱い物で済むので)が図れる
×専用のビデオカードに比べて省スペース化及び低発熱でないとならないので、処理性能が劣る物しか付けられない事が多い
×拡張性が低い
拡張性に関しての問題は、高性能のをビデオカードに変更しようとしてもセットする為のスロットが無いとか、仕様として出来ないといったケースがある点である(最初から完結型なので)。
Q:チップセットとビデオチップの関係がよくわからない
A:チップセットというのはマザーボードの規格の呼び名である。その種類(規格)によって装着出来るCPUやメモリの種類が異なってくるくらいに理解しておけば十分。M/Bの規格なのでそこに別に装着するビデオカードは本来関係無いのだが、その中にはビデオやサウンドの処理チップを最初から搭載した”統合チップセット”というのが存在している。その規格のチップセット採用のM/Bを買えば、ビデオカードを別に買わなくても画面表示が出来るという事になる。
Q:ビデオカードメーカーと処理チップの関係
A:関係を整理すると、チップ自体の開発・製造メーカーとビデオカードのメーカーは通常別である。ビデオチップを製造したメーカー(NvidiaやATI)は、これをマザーボードやビデオカードの製造メーカーに販売する。それを各社が自分の会社のビデオカードに搭載したり、マザーボードに直接搭載して販売したりするという事。つまり同じビデオチップを使っていても、ビデオカードやマザーボードが違えば性能も変わる可能性があるという事になる。
Q:何故新しく買ったPCなのに3D機能が劣るのか?
A:現行の新モデルであってもメーカー製PCの普及価格帯モデルに付いて言えば、3D処理能力を要求するゲームを動かすには大きく役不足である。それは上記解説にあるように、統合チップセットを使っている事が多くて、これは通常3D処理性能では数世代前の能力しか持っていないからである。
どうしてそんな事になるのかというと、まずほとんどのWindowsのアプリケーションを使っている時に必要となるのは2D機能である。通常のWindowsの処理に関して言えば3D性能は処理に関係無い。例えば会社等の各人の使用マシンに3D機能は必要無いし、日本においてはPCでゲームをやろうという人間はかなり少数派である故、家庭用のPCにも必要とされない場合が多い。そうなると使う可能性が低い要素に付いては削るという発想が当然出て来る。
他社と性能と価格で競争しているというのに、使いのかどうか分からない3D機能に優れたPCにする為に、高度なビデオカードを最初から搭載して数万円価格を高くするというのは無駄であるし、スペース的にも不利である。そこで限られた予算を他の部分に当てて、ビデオ性能に関しては安い物で済ませてしまうという事が一般的に行われている。
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