第22話  来年の御利益もバッチリ−戸倉上山田温泉


いよいよ冬真っ盛り。寒さも本格化して来ると、温泉の温もりが恋しくなって来ますよね。
今度の年末・年始にハワイ旅行(あくまでも予定ですが・・・)を控えて、無駄遣いは控えようと
誓っていた我が家ですが、もう矢も楯もありません。と言う事で、またまた出かけて来ちゃいました。
今回のポイントは、美味しーいお蕎麦が食べたい(!)って事。そうなると、やっぱり信州ですよね。
と言う訳で、1週間前に旅行サロンで早速長野の『上山田温泉』を予約。そして、長野と言えば、当然
善光寺参りは外せない所でしょう。ジジババくさいって声もありますが、日本人に生まれたら一度は
訪れてみるべきでしょう。それでは、食べまくり・遊びまくりの旅の様子をご覧ください、、、!



2000年12月9日(土)

7時半には家を出て、8:22上野発の長野新幹線『あさま539号』に乗り込み、いよいよ今回の旅の始まり。長野新幹線は初めての乗車。ちょっとワクワクの旅のスタートです。
上野駅で買ってあったサンドイッチと助六寿司をつまみながら、初めて見る窓外の風景に目をやります。ダンナさんは早くも缶ビールを開け、旅を御満悦の様子・・・(^。^)
長野って意外と近いんですよ。上野からは1時間半あまりで着いちゃうんです。ちょうど10時、あっと言う間に長野駅に到着(!)

長野駅付近は、冬季オリンピックが開催されたためか、キレイに整備され、地方都市の侘しさは微塵も感じられません。(前回の旅で訪れた木更津とは大違い・・・木更津の人、ゴメンなさい(笑)
ちょっと肌寒い空気が気持ちを引き締めてくれます。


さっそく善光寺に向かいます。善光寺にはバスか、しなの鉄道も利用できますが、歩いても2kmそこそこ。街並みを見ながらブラブラ歩くのも良いでしょう・・・と言う事で、テクテクと歩き始めます。
澄み切った空が気持ち良いです。繁華街を抜けると、大きな一本道のはるか向こうに善光寺らしき陰がチラホラ見え始めてきます。

と、その前に軽〜く腹ごなしをしておかないとね。何と言っても、今回の旅は思いっきりお蕎麦を食べるのも目的のひとつですからね。朝食代わりに、まずは一発目のお蕎麦です(!)
(さっき、列車の中で食べたのは何なんだ・・・って声もありますが・・・笑)

あらかじめガイドブックで目を付けてあった『藤木庵』へ・・・。参道への入り口のちょっと手前にあるこのお店。街並みにマッチした造りは風情を感じさせます。まだ時間が早いせいか、お客さんは僕達だけ。
注文したのは名物『ごくらくそば』(¥1050)。
冷水でキーンと引き締められたコシのあるお蕎麦を、くるみダレとトロロのふたつの味で楽しみます。
信州特産のくるみから作ったくるみダレはお蕎麦と意外なほどにマッチ。風味が引き立ちます。
独特の甘みのあるつけダレとトロロの方はまずまずと言った所ですが、そば湯を入れて飲むと深みのある味になって美味です(!)


そして、いよいよ善光寺へと入っていきます。大正7年に再建されたという仁王門で眼光鋭くにらみを利かせている仁王尊を横目に、参道へと足を踏み入れました。
いよいよ、気持ちの引き締まる瞬間です。心なしか、澄み渡った空気にも厳粛な何かを感じてしまいます。

古い門前町の情緒溢れる参道に足を踏み入れると、もうそこは別世界。参道自体は200mそこそこの距離ですが、お土産物屋や食べ物屋さんが軒を連ねます。

またこの界隈には『宿坊』と呼ばれる、善光寺の別院が営む宿泊所も点在し、自慢の精進料理も楽しめるようです。お寺に泊まると言っても普通の旅館と変わる所はなく、無理矢理朝の勤行に付き合わされる事はないのでご安心を(!)
お朝事(あさじ)と呼ばれる、善光寺本堂で早朝から行われる勤行を参詣するには、これらの宿坊に泊まると便利なようです。


そして山門(左)を抜けると、いよいよ本堂(右)がその威容を現してきました・・・(!)
高さ20m、2層の入母屋造りの山門(重要文化財)は威風堂々と聳え建ち(ただし、あふれるくらいの鳩のせいで、白い糞にまみれてましたが・・・笑)、また国宝である善光寺本堂は高さ30m・間口24m・奥行き54mと見る者を圧倒するような堂々とした佇まいです。

ここで、善光寺について一言。日本人なら知っていて当たり前、皆さんご存知だとは思いますが、善光寺とはいかなるものか、何故全国から老若男女が参拝に訪れるのか、ちょっと記しておきましょう・・・。
牛に引かれて善光寺参り』の言葉で有名なこのお寺。約1350年前の平安時代の創建以来、無宗派で誰もが参詣できるお寺として親しまれて来たのです。そして、極楽浄土への門として、貴族でも国家のためでもない、庶民のための信仰を掲げて来たのです。
そして、宿坊に泊まって翌朝のお朝事を迎える『お籠もり』という儀式により、参拝した人々への功徳が施されるのだそうです。
御本尊は秘仏であり、その姿を拝覧する事はできませんが、その代わりに『お戒壇めぐり』が極楽往生への道へと導いてくれるのです。お戒壇めぐりとは、本堂の地下にある真っ暗な回廊の壁を手探りで進み、御本尊の真下にある ”極楽のお錠前”と呼ばれる鍵に触れると、御本尊と結縁ができるというのです。

さて、お賽銭を入れ、厳かな気持ちで来年の家内安全・金満成就等々たっぷりお願い事をした後は、いよいよお戒壇めぐりへ挑戦です。¥500で参拝券を購入し、暗闇や狭い所が大キライな奥さんを半ば無理矢理(笑)誘って、暗闇へと続いている階段をソロリソロリと降りて行きます。
いやー、本当に真っ暗です(!) 最初は入り口の明かりがかすかに見えていますが、回廊がそろそろと回り込んでいるため、すぐに真の暗闇に包まれてしまいます。日常生活ではなかなかこういう真の暗闇には遭遇する機会はないなぁ・・・と実感してしまいます。
右手の腰の高さの壁を探りながら、一歩一歩探るように足を進めます。回廊の広さも全く分かりません。時間が止まったかのような静寂の中、ついに金属製の何かが手に触れるのでした。”これが鍵かぁー!”
鍵というより掴っ手に近い形です。御本尊さまの御加護がありますように・・・と、ここぞとばかりに鍵をつかんでしまいました。ガチャガチャという音だけが暗闇に響き渡り、ちょっと後ろを歩いていたカップルの男がビビったように、”な、何だぁ、この音は〜・・・”と叫んだのは大笑いでした(!)
やがて出口の明かりがほのうっすらと見えてきて、お戒壇めぐりも無事終了。


その後は、参拝券に含まれていた日本忠霊殿(善光寺資料館・写真左)に奉納されている数々の絵馬を見学したり、独楽の形をしたお経の収納庫がある経堂の前にあった石の滑車(これを回すと煩悩が振り払われるとの事。結構重い。写真右)をガタゴト回したり・・・と、しばし時間を忘れて境内を散策しました。


帰る頃には結構人出も増えていて、参道も賑やかです。
紙細工のお店『風の館』では、紙細工の風船(¥1800)をお土産として購入。但し、翌日訪れた軽井沢で同じ物が¥1500で売られていたのにはガッカリ(笑)

もちろん、信州名物のおやきを食べるのも忘れてはいません。
参道にあるいづみやさんで、茄子味噌とキノコ(各140円)を味見。アツアツで、素朴な味わいが楽しめます。ちょっとしたおやつ代わりには最適です。

これで善光寺ともお別れ。これだけたっぷりお参りしておけば、来年は良い事づくめでしょう。
そして、バス(長野駅〜善光寺間、¥100)で長野駅へと戻りました。

時刻は12:30。お昼ご飯は・・・モチロン、お蕎麦(!)です。もう食べまくりですねー(笑)
行ったお店は、奥さんが以前訪れて美味しかった記憶があると言う、駅前の『油や』です。

頼んだのは、名物の戸隠おろしそば(¥800)と戸隠おろしそば&天丼セット(¥1190)。それにグラスの冷酒(御薗竹辛口、¥310)と胡椒味噌(¥30)です。
ピリリと辛い唐辛子入りの味噌をサカナに冷酒をチビリとやった後、キノコ・大根おろし・天カスなどが山盛りになった戸隠そばを頂きます。シコシコのお蕎麦にいろいろな具を絡めながら食べると、いくらでも食べられそうです。天ぷらも揚げたてでサックリ。サッパリしたお蕎麦との相性もバッチリです。


駅へと戻り、13:22発のしなの鉄道に乗り込みます。
この電車は、何と手でドアを開けるのです。地方のローカル線では珍しくないのかもしれませんが、ダンナさんは興味深々。但し、閉まるのは自動。不思議です。


約15分で、戸倉駅へと到着。ちなみに運賃は¥310です。
駅前はひっそりとしており、今日のお宿のある『戸倉上山田温泉』という大きな看板だけが目につきます。
駅から戸倉上山田の温泉街までは歩いても約2kmちょっと。信州の山並みを眺めながら歩いても良いのですが、今回はホテルに電話を掛けて送迎をお願いする事に・・・。

10分程でやって来た送迎のワゴンに乗り込み、程なく戸倉上山田の温泉街へと到着。時刻は2時ちょっと過ぎとまだ早く、温泉街にはほとんど人影は見当たりません。但し、食べ物屋さんやスナック等々、さすがに長野随一の温泉街というだけにそこそこ充実していて、オジさん達のナイトライフには事欠かないようです・・・(笑)

そして、本日のお宿『清風園』へと到着。
ちなみに今回の旅のプランはエースJTBで予約し、JR料金込みでお一人様¥26500。まずまずのお得な料金設定。後は旅館次第・・・って所です。
しかし、旅館の中はまずまず広そうで、施設もまあまあ充実していそうです。
キレイなロビーを抜け、さっそくお部屋に案内されました。

こざっぱりとした、キレイなお部屋でした。本間の他に、応接セットの置かれたコーナーと和室の控えの間もついていて、2人部屋にしては広々としてゆったりできます。
今回のお部屋は当たり(!)でしたね・・・(^.^)
また、部屋の窓からは千曲川のゆったりした眺めが広がり、旅情気分も盛り上がります。

しばし部屋で落ち着いた後は、今回の旅のオプションに付いている湯めぐりパスポートを使って、近隣の旅館のお風呂を楽しみに行く事に。サービス帯の時間が限られているので、自分の旅館のお風呂は後回しにしても、他の高級旅館のお風呂を先に楽しんじゃおうって作戦です(!)

訪れたのは、実は今回の旅で泊まりたかったけど予約がいっぱいで取れなかったという、戸倉上山田温泉随一の高級旅館『笹屋ホテル』です。
やっぱり見た目も館内の雰囲気も高級っぽいです。お風呂に入るだけでやって来た僕達にも、フロントの人は親切丁寧に接してくれます。こういう鍛えられたサービス精神は気持ち良いですね。
誰も入っていないお風呂もキレイで、露天風呂も庭園風の風景が心まで和ませてくれます。
今度戸倉上山田温泉に来たら、やっぱりこの旅館に泊まりたいなぁって改めて思いましたね。

清風園へと戻り、風呂上がりのほぐれた身体を畳に横たえていると、お決まりの睡魔が襲ってきます(笑)
『お料理の準備を始めます』との仲居さんの声に起こされるまで熟睡モードでした・・・(^_^メ)


次から次へと料理が並びます。中居さんは結構若い子だったのですが、”気持ちなんですけど・・・”と言って差し出した心づけを、どうしても受け取って貰えませんでした。そういう決まりなのかな・・・。
料理は結構なボリュームです。信州の山の幸が中心ですが、松茸の土瓶蒸しや信州牛のすき焼きなども付いていて、味の方もバッチリ。納得・満腹の夕食でした(!)

食後は館内のお風呂に入ったり、奥さん恒例のマッサージタイムを楽しんだり、そして11時頃にはこれまた我が家恒例の夜食タイム・・・と、温泉旅館の夜を満喫でした。
ちなみに夜食処で食べた『おしぼりうどん』は名物の郷土料理ですが、地大根の辛〜い絞り汁に味噌を溶かして、アツアツのうどんをつけてたべるもの。癖のある辛みが独特の味わいで、一杯飲んだ後の夜食にはさっぱりしていて最適そうですが、若干飽きの来る味って気もしましたね。。。

そんなこんなで、信州の夜は更けていくのでした・・・。



2000年12月10日(日)


2日目の朝。快晴の中を雄大に流れる千曲川が、僕達の朝を爽やかに迎えてくれます。
空気も澄んでいて、目覚めも爽やか。そんな中、朝食前に朝風呂を楽しみました。寝起きのボーっとした身体に温泉の熱いお湯が染みてきて、気分もシャッキリ。日本人の醍醐味ですねー。


朝食は和洋折衷のバイキングスタイルです。
温泉旅館お決まりの、ひものや卵焼きといったありきたりの朝食より、こういうバイキング形式の方が、自分の好みで好きなものが好きなだけ食べられるから良いですよね。
自然と食も進みます。普段は朝食を取らないダンナさんも、朝から食べまくってました、、、(^^ゞ

朝食を終え、しばし部屋でTVでも眺めているともうチェックアウトの時間です。


精算を終え、この日は歩いて駅へ向かいます。
千曲川に掛かる長い橋から下流の方を見やると、彼方が靄に覆われ、何やら幻想的な景色が広がっていました。その中を悠久の時を通して流れている千曲川の清流。ロマンティックな眺めでした・・・。

戸倉駅から再びしなの鉄道に乗り込み、上田方面に向かいます。
帰りの新幹線の時間は、上田駅発15:05。まだ時間はたっぷりあります。当初の予定では、上田駅付近で見物でもしようかと思っていたのですが、上田駅が近づいて辺りの様子を伺うと、あまり賑わってもいないようだし、時間がつぶせるかどうかは疑問でした。

と言う事で、そのまま列車に乗り続けます。そして、目指したのは終着駅の軽井沢です。
軽井沢までは約1時間の道のり。それでも、ガイドブックを広げてあれこれ調べたりしている内に、あっと言う間に列車は軽井沢へ到着です(!)

駅から旧軽井沢の中心部までは歩いて30分くらい。ゆっくり街並やお店でも眺めながら歩いて行く事に。
この後、旧軽井沢の辺りをブラブラ歩き回り、また駅に戻って来て、今度は駅の反対側に広がる、つい最近できたばっかりの軽井沢アウトレットショッピングに足を運んだりと、新幹線の時間まではあっと言う間でした。
この軽井沢近辺の様子に関しては、こちらの 特集ページ でお楽しみ下さい。


こんな感じで軽井沢散策の時は過ぎていきました。
軽井沢駅のコンコースにはこんな感じのクリスマスツリーも飾られ、そろそろクリスマスムードが漂い始めていました。いよいよ今年も終わりなんだなぁって実感してきます。
そして、15:26発のあさま522号に乗り込みんで帰途の途へと・・・。

たぶん今年最後の国内旅行。善光寺でたっぷりお参りもできたし、美味しい物も山ほど食べられたし、温泉でさっぱり1年の垢も流せたし、内容充実の旅でした・・・(!)
きっと善光寺参りの御利益で来年も良い年になる事でしょう。これを読んでくれた皆さんにも、少しでも御利益をお裾分けできたら良いんですけどね・・・(^。^)

最後に・・・ ちょっと早いですけれど、今年も1年、川島家のほのぼの旅行記をご愛読いただきまして、ありがとうございます・・・(!)
来年もどうぞヨロシクお願い致します。

では、来年のハワイ旅行記(Part3)でまたお目にかかりましょう・・・♪