2010 フランス公演日記
本文へジャンプ 4月6日 

2010年 フランス公演日記

2010年3月23日(火)〜4月1日(木)
3月25日(木) ヴィルファバールからパリへ

時差ボケで早くに目が覚めたので、今日締め切りの雑誌の原稿書きをしてしまう。
こんなフランスの片田舎にまで日本の宿題を持ってきてしまった。
今朝も8時半から朝食。
今日は2時から地元の中・高生用の公演があるが、
舞台は昨日のままなので午前中はゆっくりできる。
朝食の後、施設のオーナーのジェロームさんの家にみんなで行ってみることにする。
田舎道をトコトコ2kmほど歩いて行く。
天気もいいし暖かい。
景色や古い家、羊や牛を眺めながら教えられた道を歩いて行くが、
全く人とすれ違わない。
貸し切りのような農道。
石造りの小さな橋の手前で川に沿って脇道に入っていくとジェロームさんが出迎えてくれて、
敷地内を案内してくれた。
家の目の前を小川が流れていて、そのそばに小屋がある。
聞くとサウナ小屋だという。
サウナで暑くなると前の川に入る。
それを繰り返すそうな。夏はサウナ小屋のテラスで眠るのだそうな。
小屋の向こうにはたくさんの薪が切られている。
家や施設のストーブで使う薪をここで大量に切っているのかと思ったら、
今年の夏に台風で庭の大木が倒れたのだという。
それでその倒れた木をせっせと切って薪を作っているそうな。
薪割りなんかした事ないので、薪割りをさせて欲しいと頼むと、
納屋の鍵を開けて中からチェーンソーを持ってきた。
「ジェイソンやないねんから!」と思わず突っ込みを入れてしもた。
こっちの方が早いのにと言いたげな表情で、チェーンソーをしまって斧を持ってきた。
カナダに帰ったときはいつも薪割りをすると言うカーンが、
薪をセットしてくれて慎重に斧を振り下ろすと、中心は外れたがきれいに割れた。
柾目にヒットすると力を入れなくても斧の重みできれいに割れる。
みんなで怪我しないように注意しながら薪割り体験。
ところがひろばがすると全然割れない。
一番薪割り向きの体なのに。
カーンにコツを教えてもらうが一向にだめ。
こんな物にも向き不向きがあるもんやなぁ。
家の中も見せてもらってまたトコトコ田舎道を歩いて施設に戻った。
まだ昼食まで時間があるので、いつも食堂で出会う音楽家のグループの練習を見に行くことにした。
ここにはホールの他に小さなリハーサル室もあって、そこでバロック音楽を練習しているグルーがいる。
いつも食堂で会って、練習を見に行ってもいいかと聞くと
11時からやっているからいつでもどうぞと言っていた。
我々の宿舎の上にリハーサル室があって、入っていくと練習の真っ最中。
ボーカル3人と小さなハープとバイオリンが伴奏。
3人は別の歌詞を歌ってハーモニーを作る。
食堂で昔の譜面も見せてもらったが、かなり古い音楽を再現してるよう。
見学の後いつもの食堂で昼食。
毎日僕たちのために料理人が来て食事を作ってくれる。
食事の後事務所から朝書いた原稿を日本にメールで送って、また字幕の手直し。
毎日どこかしら訂正箇所が見つかるし、今日は中学生と高校生が授業の合間に来るらしいので、
鳴り物解説と「お玉牛」だけのショートバージョン。
ショートバージョンの字幕も作り直して準備完了。
準備中にジェロームさんが来てお別れだという。
パリにも家を持っていて仕事でそちらに今から向かうとのこと。
お礼に手拭いと千社札入りの大入り袋を渡して別れた。
時間が来るとぞろぞろ地元の中高生がやってきて開演となったが、
やっている最中すごい雨の音がして雷も鳴ってる。
午前中はあんなにいい天気だったのに。
生徒達はまじめで熱心に聞いてくれる。
終わってから楽器を見せて欲しいと言うので、
高座に三味線と太鼓を並べて見せてあげた。
楽屋に戻るとき外を見ると雹が降っていた。
なんちゅう天気の変わりやすさや。
着替えてすぐに撤収。
今日はこれからパリに移動する。
鳴り物を梱包し直してスーツケースに入れ、
毛せんをたたみ、プロジェクターやケーブルをしまう。
来るときは鳴り物類は別送したから楽やったけど、
これからは鳴り物類やお香の道具も持って移動しないといけない。
夕方またバスが迎えに来て近郊の都市リモージュへ。
約1時間ほどの道のりだけど、途中で激しい雷雨に見舞われる。
農場を走る見通しのいい道路だから遠くの稲妻がくっきり見える。
あんな太い稲妻初めて見た。
リモージュからパリまでは列車で移動。
これからパリ・カンヌと国内は列車移動なので、
フランスレイルパスという4日間フリーの切符を買ってある。
ところが雷の影響で列車が遅れてる。
フランスの国鉄は時間通りに来ないので有名らしく、10分20分と遅れているのに
表示は「5分遅れ」のまま。
駅前で買い込んだビールを飲みながらひたすら待つ。
結局1時間近く遅れて列車が来た。
雨の中荷物を積み込んで指定席に行くと人が座っている。
僕の席ですがと言うと荷物を持って消えた。
そっちも僕らの席と、我々の席に勝手に座ってる奴をどかせて全員着席。
雨の中荷物を運んで、寒さもあり少し疲れた。
パリまで3時間ほどあるし、向かい合った席でテーブルも付いているので、
フランクフルトで買ったウイスキーを出して酒盛り。
こんな事もあろうかと移動の途中で紙コップも買っていた。
駅で買った水で水割りを作り、
自販機で買ったポテチなどなどつまみながらパリまでのんびり。
パリに着いたときは10時前だった。
駅からタクシーに分乗してホテルへ。
パリの宿はエッフェル塔とセーヌ川の近くで、
その名も「ホテル・エッフェル・セーヌ」というベタな名前のホテル。
ホテルにはパリでお菓子関係の仕事をしている斎藤さんが待ってくれていた。
今回急遽日本人向けの公演もすることになり、パリでの事務局をしてくれる人を探していた。
知り合いから紹介され斎藤さんが事務局を引き受けてくれた。
荷物を置いた後近所のカフェで食事しながら打ち合わせ。
明日からパリ公演。



ジェロームさんのお宅で薪割り体験。へっぴり腰。


自宅前でジェロームさんと。


会場に集まる地元の中高生達。



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