密教の瞑想法(阿字観・月輪観)


密教修行において、初歩でありどの密教修行においても中軸をなすのが、この瞑想法である。   
   故に、全ての修行者がマスターしなければならない密教修行の入り口でありとても大事な要である。


まず、阿字観を実践する前に阿字観の基礎である月輪観を実践してマスターしなければならない。

1:阿字観も月輪観も同様に本尊を座った時の目の位置等を考えて本尊を壁とかに掛ける事。

香炉に線香を一本立てて三礼(床に両膝・両肘・頭をつけ手のひらを仰向けにして礼拝する、これを三度繰り返す。)する。

3:修行者はその本尊から約一歩ほど離れて結跏趺坐にて座る。

4:阿字観が支障無く行われることを祈り合掌し、南無大師遍照金剛と三度唱える。

5:合掌しながら五大願を唱える。「衆生は無辺なれども誓って度せんことを願う。福智は無辺なれども誓って集めんことを願う。法門は無辺なれども誓って学ばんことを願う。如来は無辺なれども誓って事えんことを願う。菩薩は無上なれども誓って証せんことを願う。」

6:外五鈷の印を結び大日如来の真言を七度唱える。

7:月輪観・阿字観の順番で観法に入る

8:出定(静かに目を開き体には手をふれずに頭からつま先までさするようにする。)

9:回向文を唱える。

10: 二番目と同じように三礼して終わる。





 


   


  月輪観の本尊   

月輪観の実践:本尊の前に座ったら呼吸は浅くなく、深くなく、何より大切なのは意識して宇宙に満ちた力を吸い込み体内の汚れを押し出すがごとくにそして息が苦しくならないよう大事に呼吸する。呼吸が落ちついたらそれを維持しながら瞑想に入る。第一の段階は月輪を心に留め置き目を閉じていても見えるかのごとくになるまで意識を集中する。一段階がうまくいったら第2段階の広観へ移る。広観は目を閉じても見えるように強く意識を集中させた月輪を自分の心の中に引き寄せる。さらに精神中に引き寄せた月輪を立体の白い淡い光を放つ球に変化させこの球をどんどん大きくしてゆくのです。まず、自分の体の大きさにそして家の大きさ、町の大きさ、国の大きさ、地球の大きさ、最後に宇宙全体を覆うぐらいの大きさの球になるように月輪を広げていくのです。これが二段階の広観である。広観を何度も修することによって意識を限界まで広げる事が可能になるのです。広観に成功したならば次に第三段階の斂観を行う。斂観とは広観を行い極限まで拡大した月輪を少しの間維持する。月輪を安定した状態で維持させることができたら次にこの月輪を徐々に小さくして最初の大きさに戻していくのです。広観と斂観によって阿字観の基礎、月輪観が終了する。








  

阿字観の本尊

阿字観の実践:月輪観により自分と仏との一体感を感じる事が出来て来たので次は一歩進んで御仏の御心を感じる。すなわち我と仏と宇宙の本質である、つまり我即法界(果てることのない世界と自分とがひとつのものであると実感できたときそこに三昧の境地と仏の慈悲の心を感じとることができ初めて即身成仏の境地にいたることができるのです。その境地に至ったとき本尊の満月輪の中の蓮華座の上の阿字をみつめ、心のなかに観想するうちに阿字はだんだん大日如来の姿となっていき阿字が大日如来そのものと変わってくるのです。そのように観じられるようになることが阿字観の目的です。また、阿字を心の内に観じた後、この阿字を他の仏の梵字に変化させていき梵字を通じておのおのの仏を観想することができるようになるのです。


阿字観の修行によって最初にもっとも顕著に現れるのが意志の力によって虚空に阿字や月輪を形成する精神の集中力と強力な想像力です。 瞑想法の修行の成果として頭脳が覚醒する為、様々な一種超能力ともいえる鋭敏な感覚も養われたでしょう。それは不思議なことではなくもともと人間が持っている能力の一部なのです。人は仏にも匹敵するぐらいの能力を秘めているのに、ほとんどの人が気づかずに一生を終わっているのです。もったいないことです。人体は無意識の内に防衛本能が働き持っている能力のほんの少ししか使えないように封印されているのです。その封印を解き放つ秘技の教えも密教のひとつなのです。


さあ!貴方も大日如来を観じてみませんか?このページの月輪・阿字観の本尊を観て実践してみて下さい。但し、実践中は体温や血圧も下がるので気をつける事。本格的に観法を極めるには阿闍梨から技法を伝授されなければならない。