10月18日(土) 石川県七尾〜石川県羽咋市

志賀町というところで、自転車から降りて家の前で昼寝している猫の写真を撮っている
と、背後から
「この家は誰もすんどらんのです。猫だけになってしまったので、えさだけはやっとる
んですが」
と声がした。
「このへんは空き家が多いのですか?」
「若い者はみんな国道の近くにすんだり街にでたりね。
もっとも私も金沢に住んでいて週末だけここにくるんだけどね」
そのわりには畑には雑草もなくとてもきれいだ。
「いやいや、雑草とのたたかいですよ」
といいながらおじさんは畑を案内してくださった。
畑の隅に大きないちょうの切り株があって、
そこから青々としたいちょうの葉がでていた。
「このあたりは風が強いので、火事になったときに隣に燃えうつらないようにいちょう
の樹を植えていたんです。いちょうの樹は燃えにくいんですよ。
昔の人の生活の知恵ですな」
なるほどそれは知らなかった。私は、畑やおじさんの写真を撮らせていただき、
お礼を言いながら再び自転車にまたがった。
さっきの猫はもうどこかへ行っていなくなっていた。

ぼんやりと考えごとをしながら国道を走っていたら、後ろから来た車から突然
「ファイトーーーー」
と大声で叫びながら通り過ぎていった。
励ましてくれるのはうれしいんだけど、
ほんとうにびっくりした。
もうちょっとお手柔らかにお願いしますよ。

羽咋市のある酒屋に入る。
たくさんの地酒が置いてある中で
「おすすめはどれですか」
と聞くと、「加賀鳶(かがとび)」というお酒を教えてくださった。
例によって試飲させていただいたが、私好みの香りのよい酒であった。
「こんなのもありますけど」
といって出してくださったのは、石川県の「手取川」の大吟壌。
これは、新酒品評会で金賞を取った酒だという。
「値段がつけられないので、こうして試飲でお出ししているんです。
このほうがたくさんの人が楽しめるでしょう」
おお、なんと素晴らしいことだ。さっそく味わってみる・・・・
うっ、これはすごい。おいしすぎる。舌にすいこまれていくようだ。
「手取川」という酒は以前から知っていたが、はっきりいってあまり意識していなかっ
た。ごめんなさい、反省します。

本日の走行距離 52.32km
本日の宿泊地 石川県羽咋市千里浜