○好きな音楽 |
私は音楽が好きだ。小学生のとき流行したロック・バンド「ゴダイゴ」のファンになり、自分もバンドを演りたいと、ドラムスを叩きたいと思った。中学では「電気ギター禁止」だったのでブラスバンドで打楽器を叩き、高校ではロック・バンドを組んで「レッド・ツェッペリン」や「ディープ・パープル」といった洋楽のバンドをコピーした。そのうちにフュージョンやジャズが好きになり、大学ではそういうサークルに入った。
ところが、高校生のときに読んでいた雑誌「MUSIC・LIFE」(シンコー・ミュージック)1983年8月号・10月号の記事「水上はるこレポート”ニッポンってナニ?”」は、私に大きな問題を投げかけた。それは、私達が普段好きでレコードを買い、コンサートを観に行くイギリスやアメリカのミュージシャン達が持つ日本観というものだ。 いわく。 ロジャー・ウォーターズ 「日本人より早く品物を製造できるようにしなきゃならないなんでバカげている。日本人は何千年もの間、父さん母さんの言うことをおりこうさんに聞いてきたから勝てっこないよ」 ジョン・ライドン 「日本人はアリだ」 テリー・ホール 「日本人は魚くさい」 インタビュアー:「日本のシンガーが、わざわざアメリカにまで出向いてあなた達の手をわずらわす必要性を感じますか?」 スティーブ・ポーカロ:「そういう意味では、日本人もアメリカ人も同じだよ」 ジェフ・ポーカロ:「スティーブ、本音を言えよ。日本のプロダクションは僕らの名前をクレジットするのが趣味なんだって(笑)」 スティーブ・ポーカロ:「それに彼らのカバンの中には、いつもたくさんお金が詰まっている!(爆笑)」 そして。 ジョン・テイラー 「東京は確かに西洋化された大都市だと思った。だってマクドナルドはあるし、ないものがない」 グレッグ・ハム 「とてもアメリカナイズされちゃったね」 ミック・ジョーンズ 「日本の大きな過ちは、戦後にアメリカのものを受け入れてしまったことだね。日本にはすばらしい文化や伝統があるのに、一体どうしてだろうね。戦前の日本のスタイルに戻った方がいいと思うよ」 8月号で紹介されたこれらの発言は、私も含めて読者に大きな衝撃を与えた。洋楽を好きで聞いたりコピーしたりしていた者にとって、当の歌手やスター達が私たちを見る目は異常なものだったのである。読者の反響を取り上げた10月号では、日本文化とは何だろう、日本人って何なんだろうという話が展開された。そして結局、今ある日本そのものが「日本文化」なのだという結論に落ち着いた。そして、多くの読者の共感を呼んだというあるミュージシャンの発言が紹介された。 ボーノ(U2) 「わざわざ日本からやってきて、僕達が英語で話すのを聞いてくれてすごく嬉しいよ。本当なら僕達も同じ位、あなたの言葉を話せなくちゃいけないのに、僕達の言葉を理解しようとしてくれて、本当に光栄です」 |
日本の表現へ |
元版1990−1991 本版2003 |