○外国人との会話で |
私の父は船舶に関わる仕事をしており、外航船にまつわる港湾で働いている。その関係から外国船の乗組員を食事に招待したり、逆に船に食事に招かれることがあった。 そういうときに話される言葉は、決まって英語だった。相手がイギリス人でなくても、英語だった。中国船には通訳が乗っていることがあったが、それは中国語と英語の通訳だった。中国と日本の間を航行する船の通訳が中国語と英語の通訳なのだ。互いに英語が通じないときは漢字で筆談すると理解しあえることがよくあった。 こういう体験は、以前はそれほど不思議に思わなかった。それよりも、外人と一緒にご飯を食べているのだというわくわくした気持ちの方がずっと強かった。が、前述した「MUSIC・LIFE」の記事を読んでから、少し気持ちが変わった。寿司やスキヤキをテーブルに並べてみせていいのだろうか?どんな音楽を聴くのと聞かれて「ビートルズ」と答えていいものだろうか? 今ある日本そのものが「日本文化」なのだという考えには納得した。けれども外人を目の前にして、それを表現するにはどうしたらいいのだろうか?「レッド・ツェッペリン」や「ディープ・パープル」をコピーして演奏している私がイギリスに行ったとしたら、ポリスやデュラン・デュランが日本へ来たときのように受け入れてもらえるのだろうか? |
日本の表現へ |
元版1990−1991 本版2003 |