ドーンッ。ドンッドンッ。
大きなおとが響く。
けしてイヤなおとではない。
そして目の前に広がるハナバナに。
「・・・・・・夏だのう。」
「そうだね。」
ドンッドンッ。
「花火・・・・きれいだね。」
「そうだのう・・・・・・。」
周の軍師太公望と、その同期の普賢、その2人は久々の再会に今少しの休みをもらっていたのだった。
(下に下りてる)
・・・・・・・・・・・・・花火は好き。キレイだから。
・・・・・昔の普賢の言葉だ。
・・・・・・久々に会うと、こんなに気持ちがはしゃぐものか。
自分自身に苦笑しながら花火を見つめる。
「それにしても、久しぶりだ。
・・・・・・・わしが下山してから、どうだったかのう、上の様子は??」
こうやって、ゆっくり時間を過ごすのも久しぶりだが。
「う〜ん。相変わらず、だったよ? ・・・皆弟子達が下山しちゃって、寂しそうだったけど。」
くすくすくす。笑いながら、普賢。
「道行師兄なんかもね、他の師兄達を慰めてたりしてたんだよ? 結構そうゆうこと解る人なんだ。」
「・・・・・ワシは普賢や他の皆が元気そうで安心したよ。」
「・・・・今日皆弟子と会えたし、よけい元気そうに見えたかもね?」
・・・・・・事態は、悪くても。
会えたのは、嬉しい。
「でも、道徳師兄も、太乙師兄も、玉鼎師兄も。表面では平気を装っていても、やっぱり寂しかったんだ。
だって皆同期の人達と一緒に居ることが多くなったもの。」
下りたほうも大変だったのだが・・・・、
『師父』たちも大変だったのだな。
「そうか。・・・やっぱり12仙は親バカじゃ。
・・・・・・・・おぬしも木タクがいなくなって寂しかったのであろう?」
ニヤリと笑ってからかうように言う太公望の顔に、花火の明かりがふりかかった。
「そうだよ、僕も木タクいないと寂しかった。」
「・・・・・でも・・・・・僕は、二倍に寂しかったんだよ?」
ドンッ、ドーンッ。
「・・・・・・・二倍・・・・・・・???」
予想外の反応・・・・・。
少し顔をゆがませながら言った普賢の言葉、太公望はよく意味がわからず聞き返した。
今度は明かりが普賢の顔にかかって、壮絶にキレイだった。
「・・・・・・・・・望ちゃんがいなくて。」
一瞬。普賢の顔がもっとゆがんだように見えた。
しかし百連発の花火の中、照れた顔をまだ隠せずに居る太公望に、普賢はまたくすくすと笑う顔に戻った。
・・・・・ワシが居なくて??
「・・・・・・・・っっっ、なっ、・・・・・・・・・・
あ、相変わらず、はずかしいことを、さらりと言うのうおぬし!!!。」
顔を真っ赤にした太公望は、やっと顔を膝にうつぶせた。
「・・・・・・・・相変わらず、って言ったのは嘘かな。だって僕ホントに寂しかったもの。
・・・・・望ちゃんには望ちゃんの大切な役目があるのにね。」
ドンドンドンドンッ!!!
「・・・・・・・・・・・っ、花火、花火を見るぞっ、せっかく下りてきたんだからっ。」
・・・そういう太公望は、まだ顔を膝にうもらせたままである。
くすくすっ、普賢は、人一倍照れの多い太公望にそれ以上つっこむのはやめることにした。
ドーンッ!!!
暫くして、太公望も目だけは花火にむけるように顔をあげたようだった。
「・・・・・・・・・花火は好き。キレイだから。」
「・・・・・・その台詞、昔も聞いたぞ。」
「・・・・あれ??そうだった??」
☆
ドーンッ。
「・・・・・・・・・・・わしも、寂しかったんだのう・・・・・。」
ボソッと呟く。
・・・・今すごくほっとしてる自分がわかる。
気持ちがはしゃぐ。
・・・今の台詞、普賢に聞こえただろうか??
もう一度口を開き、今度は直接普賢に語りかける。
「・・・・・わしも、寂しかったよ。思ってたより、ずっと。」
相変わらず顔は伏せたままで、だが・・・・・・。
普賢はやっぱり笑いながら、「そうだね」と答えを返した。
☆
「望ちゃんにはしなくちゃならないことがあるでしょう??
・・・・・・・・僕も今からそれをいっしょにすることが出きる。」
ポツ。
ポツポツポツ・・・・・・・。
「それが、嬉しいなあ。」
ポツポツッ・・・・・・・。
「・・・・・・・・ダァホめ・・・・・・。」
「・・・・・・雨、じゃ。移動するぞ、普賢。」
・・・・・・立ちあがり振り向いた顔に満面の笑みを浮かべながら、太公望は普賢の手をとった。
ドンッ。
☆
雨の中咲く花火は、余計にきれいだった。
「・・・ふぅ。雨が降ってきたが、いつまで花火はあがるかのう??」
「もうセットしちゃってるだろうし、しけってあがらなくならないかぎりもっと上がるよ。」
・・・・・・・花火、見に来たんだからな、
・・・・・・・・・・花火が上がらなくては、困るのだ。
我ながら勝手な理由だのう・・・・・・?
「・・・・・・・・・さっきの続きなのだが・・・・・」
「・・・・・・何??」
「・・・・・・・・・・死ぬかも、しれぬのだぞ??」
ポツポツパタパタパタパタッ、
ドンドンドンッ。
「・・・・・・・・そうだね。」
「・・・・・・・わしは怖い。犠牲が沢山出る。」
「今、こんなことしている場合ではないと解っている・・・・。
・・・・・・・・・・逃げている、わしは・・・・・・・・・。」
「望ちゃん。今は、花火、見に来てるんじゃない。2人で。
・・・・・・・・だから後ほんの少し。花火が、あがらなくなるまでは・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・やすんだっていいんじゃない?」
""寂しかったよ""
「・・・・・・・・・。」
"花火は好き。キレイだから"
・・・のう普賢。
おぬしはずっとわしの側に在てくれるか・・・??
雨にぬれた花火が、すごく、すごくキレイだった。
「今は、まだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
* Fin *
☆後書きなのかいいわけなのか;;☆
ごめんなさい・・・・・。
お目汚し・・・・・。
だいたいこんな時代に花火なんてないでしょう・・・・・(あるのか?;;)(死)
それに、この2人に、あの時こんなことしてる余裕なんて絶対無かったはず!!(死死)
(余裕も何もあの時夜こない;;)
ホント、ぶんちゅー来てヤバいのに・・・。
だけど、あまり突っ込まないで下さい!!(オイ)
そのほかにも沢山「ダメじゃん」なとこあるけど、
できれば気にしないで下さればすっごくうれしいです(はぁと);;;
それではお邪魔しました;;♪
☆草子の感想☆
ああ・・・駄目・・・なんかもお泣けてくる・・・・
どうしようもないほどせつなくて、儚くてやさしくて寂しい・・・・
普賢さん・・・・(T_T)
かけがいのない二人、そしてかけがいのない時間だったんですね。お互いが。
花火の音をはさんでの会話が、物凄く心に響いてきます。
空白にも色んな意味と思いがあって。
・・・寂しかったよ・・・・ ってとこが好きです。
顔をゆがめる普賢さんとか、全てが終ってしまった「今」に続いてく最後の言葉とか。
寂しかったよ・・・ うん、さびしいいいい(泣)
花火、大好きなんですけど、終ってく夏を感じてどこかせつない印象があるんです。私の中で。
だからすごくぴったりでした。
花火ってトコロが。
「花火は好き。キレイだから」という普賢さんのセリフも好きです。
紗雛さんの書かれる小説の、重くないのに心にあふれてくるような言葉が好きです。
大好きです。
どうもありがとうございました!
紗雛さんのページ
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