キスする前に顔をしかめた。
泣きたかったのかもしれない。
自分でもよくわからない。


いや、お互い泣きそうだったんだ。きっと。
こんなことになるなんて。
心臓がドクドクして体中の血が逆流したみたいに指先が冷たくなって、触れ合う吐息が震えていた。

・・・・泣きそうだったんだよ。

僕たち。

なんてなんて遠いところに
はじめて出会ったあの幼い日から



ああ・・・・
お互いでまにあわせなきゃいけない、こんな哀しい境遇におちいるなんてね。
おまけに僕がジャンケンに負けるし(つまりヤラれる側)













軍師サマと親友











ゆっくりとおおいかぶさってきた重みにふぎゃっと普賢が猫みたいな声をあげる。
太公望がうっそりと笑う。
「うふふ。観念せい。なんだその顔。そんなしけた表情をされると・・・・ますますその気になるぞ?」
「・・・・腰、痛めてたんだよ」
しらけた顔で普賢が太公望を見上げる。
「男相手に「ますますその気になる」とか言っちゃってさ。情けないと思わない?」
「う。・・・・そ、ソレはソレだ。せっかく雰囲気もりあげようとしてたのに・・・」(そうか?)
唇をふさがれた。
無心に舌を絡める。
「・・・ふ」
苦しくて眉をしかめた普賢の額を太公望の手がおさえ、角度をかえて強く吸い付く。
と、赤い顔をした普賢につきとばされた。
「だから苦しいってっ!!」
「それぐらい我慢せい!」
「あとさ、歯茎の裏、ベロベロ舐めるのやめてくんない?! 気持ち悪いって!」
「そういうおぬしこそ、ヤル前に激辛キムチ食ったろ! わしへのいやがらせかっ?!」
「なに? じゃあもうやめる?」
険悪な空気が流れる。



結論。男同士のキスはイマイチらしい。







普賢の肌は雪みたいに真っ白だった。
薄い皮膚に指を走らすと、相手が男だとわかっていても何か妙な気分になってくる。
太公望は普賢の首筋に舌を這わせた。
耳を噛んでやると、んっ、と肩をすくめて眉をよせる。
まるで女の子みたいだった。
その顔のかわいさに感動してノリノリの気分で胸のほうに伸ばされた手は、しかしすかっと空を泳ぐ。
あたりまえだ。顔がコレでも男なんだから胸なんてあるわけはない。
わかっちゃいたけどこれがまた肩透かしをくらったようで哀しい。
それでも物欲しげにさわさわと胸をまさぐっていると、普賢がひくひくと震えた。
感じているらしい。
その顔が面白かったので(胸がないからもうかわいいとは思わない)体をずらして薄い色の乳首をなめてみた。
右手は背中に腕をさしいれて背の中心のくぼみをゆっくりと撫でる。
「・・・あ・・・」
かすれた空気みたいな声。
口に含んでいた乳首から顔を上げ、太公望が言う。
「気持ちいい?」
「気持ちいいっていうか・・・・なんか・・・くすぐったいけど・・・腰のあたりが・・・ざわざわする」
「ふーん」
でも太公望はつまらない。
顔をはさんでぱふぱふできる胸はないし。
乳首もなんか小さくて貧弱だし。
でも普賢のしかめっつらと早い呼吸がちょっとだけ面白かったので、軽くひねったり歯をたてたりして遊んだ。
ワキの下に舌をはわすとまたビクリと体を震わす。
真っ白だった肌がうっすらとピンクに染まっていく。
上半身を愛撫しながら下半身に手をのばし、普賢のものにズボンの上から触れてみる。
「あら?・・・なんか固い?」
「や、やめ・・・・・・・・・・・・・・・・・なくていいや」
どうやら触られて気持ちいいらしい。
最早恥もプライドもない。
ぎゅっと目を閉じて首を枕にもたげて、太公望の指の動きに時折溜め息のようにはあっと息をはく。
その様子を見て、
うわ、こいつもしかしてホモ? こっわ―――
と、太公望は自分がやっていることも忘れてそんなことを思った。

それを言ったらアンタだって。



結論。やっぱり乳はいい。ただしオンナの。







普賢は座り込んだまま口を押さえて目をそらせた。
目に涙がうかんでいる。
・・・最低だ。
そして醜悪だ。
見慣れてはいる、目の前のモノ。
他人のなんて、見たくもない。
太極符印があったら核爆してやりたいほどだ。
「宝貝・・・持ってきとけばよかった・・・」
「はあ?」
ズボンをぬいで下半身をさらけだしたマヌケな格好でベットの端に腰掛けた太公望が首をかしげる。
普賢はもう何も言わなかった(太公望にしたら幸運なことだろう)
その代わりしばらく黙ってから、太公望の顔を爽やかな嘘くさい笑顔で見る。
「望ちゃん、もうやめない? おかしいよ。こんなこと」
「自分だけいい思いをしといてそれはずるいぞ。普賢」
「だったらさあ。もう、入れていいから。僕我慢するよ」
「おぬしを撫で回してたってちっともたたん」
「じゃあ自分でやったら?」
「やだ。約束が違う」
「・・・・・・・・・・・・・明日は僕の番だからね。絶対。約束うんぬん言うなら、そっちのほうこそ忘れたふりしないでよ?」
苦い顔で言い捨てて、もうどうにでもなれの尊い事故犠牲の精神で普賢は太公望のものを手にとった。
そうだ。これはフランクフルトだ(無理ありすぎ)
そうじゃなかったら、マツタケだ(それもちょっと・・・)
自分にそう言い聞かせて普賢は目をつぶって口にくわえた。
あまりのことにこらえてた涙が流れる。
しかも、顎がはずれそうに痛いしかなり苦しい。
「・・・ふごっ・・・」
一刻でも早く終らせたくって、口から出し入れしたり手をつかったり、普賢はひたすらがんばった。
「・・・・・ん・・・・」
寝台についた太公望の手がきゅっとシーツをつかむ。
眉をよせて息を荒げて、普賢の口の動きに全身が溶けてトロトロになっていくのを熱くなった頭で感じた。
顎を上げて唇が開き、思わず甘い声がもれる。
「んん・・・・」
震えがはしった。
そして。

普賢が顔を上げる。太公望は思わず目をそらす。
「望ちゃん・・・・・」
口からだーっと白いモノをたらし、普賢がにっこりと笑った。
「キスしてあげる」
「だっ――――――っ!!! ヤメロっ! やめてくれっ!!気持ち悪―――――っっ」
涙声で叫んで太公望がのけぞったが、普賢がにこやかに追い迫る。
口でしたあとのキスなんて最低だ。
自分のモノをくわえこむみたいなもんだ。
気色悪くて死んじゃう。
唇をふさがれた。んーっと、恋人同士がするみたいな甘いキス。



結論。やっぱり普賢は悪魔だ。







いよいよ大詰めだ。
四つん這いになった普賢のつぼみ(笑)を見ながら、太公望は首をひねる。
「普賢・・・ちゃんと今日風呂はいったよな?」
「さあね」
至極機嫌の悪い普賢。
いや、そんなことよりも重要なのは・・・と太公望は考える。
こんな所に自分のモノが入るのだろうかという初歩的な疑問。
鼻の穴に無理矢理大根をつっこむようなものだ。
つっこまれる鼻の穴も痛いだろうが、つっこむ大根だって痛いはず。
そう考えるとちょっと腰がひけた。
でも試しに指を一本差し入れてみる。
「ぎゃっ」
痛いらしい。
でも奥までつっこむ。
そして掻き混ぜる。
「がっ、ぎっ、ぎゃっ、ごっ」
あまりの色気のなさにちょっと脱力した。
「普賢、喘ぎ声に濁点は禁物だ」
「望ちゃ〜ん、もうやめようよ〜〜〜〜」
普賢はもうほとんど泣き声だった。
太公望だって本当はちょっともうやめたい。
一回出してすっきりしたことだし。
でも、なぜか引き下がれないような気がした。
生来の負けん気の強さが彼を押しとどめる(そういう問題?)
もう一度がんばってたたせたものを、指で押し広げた入り口にあてがって無理矢理に入れる。
普賢が痙攣してひきつった声をあげた。
太公望も痛みに顔をしかめる。
「・・・・・・・・・・っっっ!!!」
あまりの激痛に普賢の意識が飛びかける。
普賢の細い腰を両手で押さえて、太公望も前につんのめりかける。
「しゅ・・・・修業・・・なんだ、コレは! ふ、普賢、が、がんばれっ!! ふぁ、ファイトぉ!」
よくわからない応援。



結論。そうだ、これは修業だ。







コトが終ったあとの脱力感。
汗がひいたら急に寒くなったので普賢は布団にくるまって丸くなった。
隣に寝ころんだ太公望がはあっと溜め息をつく。
「あーあ。竜吉公主と、ちゅーとかしたいのう・・・・」
「一生無理だね。望ちゃんのメンクイ」
「じゃあおつきのあの女の子達でもいいや」
「子供じゃん。犯罪だよ」
「じゃあ・・・・・・・・」
他に女が思い浮かばない。
虚しすぎる沈黙が漂う。
だいたいこういう事態に陥ったそもそもの原因としては。
「・・・・・・仙女増強キャンぺーンとかさ、元始天尊さまにかけあってみようか」
普賢なのにアホな発言。
「何て言って?」
「男女同権が叫ばれる今、仙人界も女性道士の育成の重要性に気付くべきです、とか何とか言って」
「ふ。駄目駄目だのう・・・」
「駄目駄目だねえ・・・」
「ああん。もう!」
太公望が枕を抱きかかえる。
「他の仙人共はどうやってるんだ! 男ばっかでつるんで能天気なツラしやがって! それとももう枯れまくってんのか?」
「あんまり考えたくないけどさ・・・・」
普賢がうつろな笑い声で言った。
「ホモ街道ばく進中・・・とかね」
ありえそうで怖い。
「・・・・僕、気をつけよーっと・・・・」
どうやらかわいい自覚はあるらしい。

もうじき朝が来る。
二人の関係は変わってしまった?
この夜を越えて。

なんだか突然寂しくなって、太公望は寝返りをうって普賢の顔を見た。
「あのさ・・・・」
何が言いたいのかはわからない。
だから途切れた言葉をのみこんで、意味もなく笑った。
どちらからともなく手をつなぐ。

ずっとそばにいてね。
ずっと。
こんなマヌケなことを言いあえるのも、あんな恥ずかしいコトを出来るのも、それは相手がキミだから。

二人が同時に願うのは、例えばそんなこと。
ずっとそばに。

目を閉じてキスをした。
おたがい、頭の中でムチムチの女の人を思い浮かべて。
でも。
不本意ながらホモ街道ばく進の入り口に二人は立ってる(なにー?)
だって女がいないもん。









おわり。









まず、砂糖大根さん、あなたの太普小説をもろもろばくりまくっちゃってごめんなさい。
途中出てくる「鼻の穴に大根」ネタは、漫画かなんかにあったような。
白鳥麗子でございますだったかなあ(ようするにパクリだ)
あとは、ええっと。
先天的にホモじゃなかったらどんなにたまってたって男相手にやってみたりはしないよな。
と思ったけどまあメルヘン(嫌なメルヘンだ)だからいいや。
もっとこう、精神的に攻め攻めな砂糖さんのみたいな枯れ受け太公望か、「おお、よしよし」って相手
なでなでしちゃうようなエロエロ師叔、を。本当は書きたかったです(そういうのが好き)
求めてるものとはだいぶずれちゃって哀しいことこのうえなし。
こんなアホなの最後まで書ききったのに。なんかね。
裏はむずかしいです。描写が適当で嘘くさくなってしまう。
今だかつて存在しないぐらいのサイテーなやおい小説でした(爆死)



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教えて軍師サマ!