《自分にできること》
「太公望、準備が整ったよ、いつでも出陣できるよ」 「そうか、ありがとう。お主も少し休んでおれ」 「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな」 「ああ、そうしろ、疲れただろう」 「う〜ん、まあね」 「では、部屋を用意させよう、そこの者」 呼ばれた侍女は、パタパタと太公望のもとへやって来た。 「はい、何でしょう」 「こやつを部屋に案内してやってくれ」 「わかりました。こちらへどうぞ」 「あ、ありがとう」 そして、崇黒虎と侍女は、客室へと向かった。
「では、何かありましたらお呼び下さい」 「あ、どうも・・・」 侍女は一礼して、部屋を後にした。崇黒虎は、ベッドにゴロンと横になった。 「はあ、疲れた」 ずっと空気が張り詰めていた気がしていた。太公望もどこかピリピリしていたようだった。 「あんまり無理しないで欲しいなあ」 彼のことを考えると胸が痛むのは何故だろう。 「僕に何が出来るかなぁ?」 彼の力になりたい。彼を守りたい。 「ねむ・・・」 そういえば、最近寝てなかったような気がする。
―コンコンー ノックの音で目が覚めた。 「あ、は、はい」 「失礼します」 入ってきたのはこの部屋に案内してくれた侍女だった。 「夕食の準備が整いましたので、食堂へお連れします」 「え、良いの?」 「はい、太公望様が仰っていました」 「そう、太公望が・・・」 忙しいだろうに自分のことなんかを気遣ってくれたことに嬉しくなった。 「じゃ、頂きます」 「はい、ではこちらへ」 崇黒虎は侍女についていった。 「あれ?他の人達のは?」 「他の方々はもうお食べになりました」 「あ、そうなんだ。これは?」 崇黒虎が指したのは自分以外のもう一つの食器。 「それは太公望様のです。太公望様はいつもこの時間に御召し上がりになられるのです」 「そうなんだ。遅いんだね」 「そうなんです。では、お食事を運んできますので暫く御待ち下さい」 「ありがとう」 侍女は一礼して厨房の方へと向かった。それと入れ替わるようにして太公望が来た。 「おお、崇黒虎、良く休めたか?」 「ええ、おかげさまで」 「それは良かった」 そして太公望は向かい側の席に座った。 「いただきます」 そう言って一口食べてみる。 「おいしい」 「そうだろう、ここのシェフの腕はかなり良いからな」 「へえ」 二人は、盛られた量全て食べた。 「ごちそうさま、美味しかったよ」 食器を取りに来た侍女にそう言うと、嬉しそうに微笑んだ。 「お主、いつ帰るつもりだ?」 「明日には帰ると思うよ」 「そうかもっとゆっくりしていけば良いのにのぅ」 「はは、ありがとう。・・・太公望、君は妲己に勝てるのかい?」 言った後ですぐ後悔した。 「さあ、それは分からぬのぅ。まだ何もやってないから。ただ・・・」 「ただ?」 「やるからには全力を尽くす」 強い眼差し。真っ直ぐ現実を見据える瞳。 「そうだね、やるだけやってみよう」 遠すぎる。 「そのためには、お主の力が必要だ」 「え?」 本当に驚いた。だって僕には強い力も、強い宝貝もない。 「お主の頭脳が必要だ。よろしく頼むぞ」 「う、うん!!」 そうだ、何も力が全てではない。僕にできることはある。彼の言ったことを忠実に遂行すること。 「改めて、宜しく」 すっと出された手を、しっかりと握る。 「こちらこそ」 二人一緒に微笑む。
作者の遠吠え こんなので良いでしょうか(否駄目だろう)ごめんなさい。こんなのしか書けませんでした。(汗)
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