リトル沖縄・大阪市大正区
民謡酒場ルポ (その三)


  (その二から続き)


 第二部スタートまでの約30分で、グルクン(タカサゴ)の唐揚げ、カジキの刺し身、ミミガー刺し身(豚の耳の酢味噌あえ)とスヌイ(沖縄のモズク)の酢の物など若干の品を追加注文。支社長が下戸なので、飲み物はグァバジュースとシィクワシャージュース。後者はヒラミレモン(平実檸檬)とも呼ばれる沖縄独特の柑橘類・シィクワシャーのジュース。爽やかな酸味が、アジクーター(こってり味、濃厚な味)な料理に少々疲れた口に実に心地良く感じられます。
 ・・・いや失礼、味付けこそ料理によっては濃い目ですが、沖縄料理で口が疲れる料理は滅多に無いのです。ラフテーやソーキなどの肉料理は楽に身がほぐれますし、チャンプルーの野菜は硬すぎす軟らかすぎず。ボリュームの割にはさほど抵抗無く食べられます。暑い夏でも食が進み、栄養がしっかりとれるようにという工夫でしょう。
 数少ない例外をあげるなら、フグやクジラの比ではない歯応えを誇るヒージャー刺し身でしょうか。鮮度が落ちるとヒージャー汁以上に匂いますが、これほど泡盛によく合う肴が相手とあらば、多少の臭みなど無視です。


 さて、第二部がスタートです。
 数曲リクエストをこなした後、今度はウェイターの1人がステージに上がります。が、すぐ舞台上手(向かって右側)の小さな控え室に駆け込みます。
 暫く経ってから演奏が始まり、曲にのせてウェイターが出てきました------世にもむくつけき女装姿で! 本来の琉球の古典舞踊では女性役の踊りも男性が扮装して踊っていて、女性が踊るようになったのはわりと最近のことらしいのです。女装のウェイターは、本来の姿に近いといえば近いのかも知れません。しかし、悲劇的なまでに化粧が似合いません。当然、客席は爆笑。ショーのメンバーの囃子も「イャサァサァ」とか「ハイヤ」などの本来のに混じって「アみにくい」てなのが混じる始末、いよいよ客席は笑い転げます。
 しかし、外見のおぞましさとは裏腹に、先程の‘先生’に負けず劣らず立ち振る舞いがサマになっています。このウェイター、この店でこそお笑い路線ですが、琉球舞踊の発表会で独演ステージを張れるほどの実力者らしいのです。
 1曲コミカルな曲を舞った後一旦着替えに入り、次には古典舞踊の演目『遊(あし)ば節』を舞いました。紋付きを着て両手に扇、何番かある歌の節目ごとに正面向き仁王立ちになって右手を上げ降ろす独特の動作。‘二才舞い(にせーもぅい)’、青年の舞いです。顔は女装の白塗りのままですが、凛とした舞いは紛れも無くシリアスモード、しばし圧倒されます。

 ウェイターに続いて、今度はマスターが控え室に入ります。出てきた時にはウェイター以上のお笑い路線。ここでもショーメンバーのリーダーが「アみにくい」を連発します。演目が終わってマスターが控え室に戻ってから、
        リーダー  「あんたのお父さんでしょ?」
      マスターの娘 「あんな人知りません」
ここでまた爆笑。


 第二部もカチャーシーでしめくくり。ステージの最後はカチャーシーと決まっているのです。
 ある夫婦が、やっと立ち歩きをはじめたばかりらしい子供の手を引いてステージにあがりました。エッと思いながら見てると、子供の両手をとって、一緒に踊らせ始めました。「・・・そうかぁ、あぁやってカチャーシーは刷り込まれていくのか。どうりでナイチャーが真似しても限度があるわけだ」

 第二部が終わって、時間は10時半。11時から第三部がありますが、我々はここでお開きとします。
 会計は、合計16900円也。3時間半居座ってたっぷり食べ、2回2時間のショータイム込みで1人あたり4225円。今回は酒は控えめでしたが、飲み助ばかりで行った時も1人5500円くらいで済んでましたから、かなり格安です。出稼ぎ労働者やその子孫を中心とした地元の人間相手だからこその料金設定なのでしょう。
 で、味のほうは・・・・・・後輩に感想を聞いてみました。
私「どうやった? 料理の味付けとか、ヤマト風になってたりしなかった?」
後輩「いえいえ、そんなことないですよ。味付けも雰囲気も沖縄そのまんまですよ」
と、えらく御満悦でした。やはりニフティのメンバーの目に狂いはなかった、と安心しつつ、後輩と再度の大正区探検を約束し、家路についたNapraforgoでありました。

      (終)


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