メキシコ産ムシトリスミレ類の楽しい育てかた
手に入れる方法;新宿伊勢丹の園芸コーナーは毎年7月に食虫植物展を催しており、その付き合いで一定の品揃えがあります。そのほか山野草専門店で細々と扱っていることがありますが、それ以外の場で店頭で買い求める機会は滅多にありません。あとは愛好家団体の会合での余剰苗の交換に参加するか、海外の業者から直接輸入するか・・・・・・栽培より入手のほうがよっぽど難しいものもある位です(笑)
植え方;鉢の底に大粒の砂利を入れ、その上にミズゴケでゆるく根を包んだ株を植えます。ミズゴケを固く詰めると根が折れたりつぶれたりする上に水はけが悪くなり、腐りやすくなりますので、注意が必要です。
冬の管理;たいていの品種は小さく厚ぼったい葉を沢山つけ、縮こまって休眠状態になっています。この時期にハデに水や肥料をやっても却って逆効果ですので、しっかり休ませてあげて下さい。品種によっては霜にあたったり凍ったりしなければ零度前後まで耐えられますが、冬に花が咲く品種もあるので最低温度を10度以上に保ちたいところです。窓辺に置いて日光に良く当て、水は控えます。時々霧吹きで水を吹き付ければ充分です。品種によってはカリカリに乾かした方が良いようです。
夏の管理;春になると大きな葉が次々と展開し、成長期となります。水は多めに、とくに夏は1日に1回は鉢底から水がたっぷり流れ出すまでやります。鉢を浅い水に漬けておくのもいいですが、その場合は水はこまめに取り替え、上から時々水をやって鉢の中のよどんだ水を流し出してやります。空中湿度が高いのを好むので、霧吹きで水を吹き付けてやります。成長期には朝だけ日が当たる場所かレースのカーテン越しに日光が当たる場所、いわゆる半日陰に置きます。真夏に昼間以降の直射日光に当てるとひどく衰弱し、品種によっては即死します。一日中高温だと株が弱るので、夜だけでも涼しくしてやります。肥料は無くても充分育ちますが、はやく大きくしたければ、月に1回程度、液体肥料をしっかり薄めて(濃くても1000倍、安全なのは2000〜3000倍)与えます。もっと薄めて葉に吹き付けて吸収させるとかなりの効果があるようですが、あまり多用すると株が水ぶくれ状態になって危険だと指摘する向きもあります。
秋になるとだんだん葉が小さく、厚ぼったくなってきますので、水やりを減らし、屋内に取り込みます。
例外;先のページで紹介した品種のうち、P.agnataやP.emarginataは冬芽をつくりません。とくにP.emarginataは乾燥をひどく嫌うので、年中鉢を浅い水につけておいた方が元気にしています。
病害虫;食虫植物とはいっても、どんな虫も絡めとって食べることができるわけではありません。軟らかくてクセがないせいでしょうか、ナメクジ・ヨトウムシ・ダンゴムシのような食い意地が汚い奴等にはよく食われます。殺虫剤は植物そのものを傷めかねないので、現行犯逮捕して即刻処刑するしかありません。
カビに注意する以外は、ウイルスや細菌による重大な病気は特にありません。カビやウイルスには不味そうに見えるのでしょうか(爆)
殖やしかた;実生は面白いのですが、1株だけではまず結実せず、種や苗があまりに細かいので、マニアさん向けの殖やしかたです。真人間なら葉挿しで殖やしましょう(爆)
冬の時期の厚ぼったい葉を、付け根を傷めないようにそっと外し、ミズゴケを柔らかく詰めた鉢に表を上にして置きます。空中湿度が足りないと発芽しないので、こまめに霧吹きをするか、鉢の上をラップで覆って空気穴を開けるかします。1ヶ月ほどで発芽し、3ヶ月くらいで安全に動かせる大きさの苗になります。
夏の葉は、(1)枚数が少ない(2)外す際に付け根が傷みやすい(3)腐りやすいなどの理由で、あまり葉挿しには向いていません。ただ、P.esserianaやその近縁種は夏の葉がやや厚ぼったく、また簡単に外れるため、あまり欲張らなければ真夏以外でも葉挿しで殖やせます。
※ 『趣味の山野草』の'99年2月号に特集記事があります。本格的に手掛けようとお考えの方は、バックナンバーを入手して一読されることをおすすめします。
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