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身体障害者福祉法

(前略)

定義
(身体障害者)
第4条
 この法律において、「身体障害者」とは、別表に掲げる身体上の障害がある18歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう


※1型糖尿病障害等に関して全く配慮・考慮されていませんが、糖尿病全体としての病態悪化による糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症に関しては身体障害者として診断基準が設けられています。下記特定疾患にかかる診断基準を参照下さい。

(中略)
第15条
 身体に障害のある者は、都道府県知事の定める医師の診断書を添えて、その居住地(居住地を有しないときは、その現在地)の都道府県知事に身体障害者手帳の交付を申請することができる。
 但し、本人が15歳に満たないときは、その保護者(親権を行う者及び後見人をいう。ただし、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第27条第1項第3号又は第27条の2の規定により里親に委託され、又は児童福祉施設に入所した児童については、当該里親又は児童福祉施設の長とする。以下同じ。)が代わつて申請するものとする。
《改正》平9法74

 前項の規定により都道府県知事が医師を定めるときは、厚生労働大臣の定めるところに従い、かつ、その指定に当たつては、社会福祉法第7条第1項に規定する社会福祉に関する審議会その他の合議制の機関(以下「地方社会福祉審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
《改正》平11法087
《改正》平12法111
《改正》平11法160

 第1項に規定する医師が、その身体に障害のある者に診断書を交付するときは、その者の障害が別表に掲げる障害に該当するか否かについて意見書をつけなければならない。

 都道府県知事は、第1項の申請に基いて審査し、その障害が別表に掲げるものに該当すると認めたときは、申請者に身体障害者手帳を交付しなければならない。

 前項に規定する審査の結果、その障害が別表に掲げるものに該当しないと認めたときは、都道府県知事は、理由を附して、その旨を申請者に通知しなければならない。

 身体障害者手帳の交付を受けた者は、身体障害者手帳を譲渡し又は貸与してはならない。

 身体に障害のある15歳末満の者につき、その保護者が身体障害者手帳の交付を受けた場合において、本人が満15歳に達したとき、又は本人が満15歳に達する以前にその保護者が保護者でなくなったときは、身体障害者手帳の交付を受けた保護者は、すみやかにこれを本人又は新たな保護者に引き渡さなければならない。

 前項の場合において、本人が満15歳に達する以前に、身体障害者手帳の交付を受けたその保護者が死亡したときは、その者の親族又は同居の縁故者でその身体障害者手帳を所持するものは、すみやかにこれを新たな保護者に引き渡さなければならない。

 前2項の規定により本人又は新たな保護者が身体障害者手帳の引渡を受けたときは、その身体障害者手帳は、本人又は新たな保護者が交付を受けたものとみなす。
10
 前各項に定めるものの外、身体障害者手帳に関し必要な事項は、政令で定める。
(後略)

※障害の度合いはADL(日常生活動作)によって判定されます。
障害等級は7等級に区分され、1級から6級までの者は、都道府県知事又は指定都市市長から身体障害者手帳の交付を受け、その障害の度合いに応じて様々な福祉制度が利用できるようになっています。
7級の場合、一つだけの障害では、身体障害者福祉法の対象にはなりませんが、7級の障害が二つ以上重複の場合は、認定されます。
 また、18歳未満の児童に対しても交付され、本人が15歳未満の場合は、本人に代わって保護者が申請し、手帳の交付も保護者に行われます。
 手帳の所持者は、税の減免、旅客運賃割引、NHK放送受診料減免、公営住宅優先入居などの他法・制度のサービスを受けることができます。
(使いやすい ホームヘルパー2級講座テキスト 第1章 社会福祉概論、編著:福祉教育研究会 より)


(参考資料)別表
● 身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法施行規則別表第5号)


(参考資料)特定疾患にかかる診断基準  厚生省老人保健福祉局・老企第21号平成11年7月26日
特定疾病にかかる診断基準について

 介護保険制度において、40 歳以上65 歳未満の第2号被保険者が要介護認定を受けるためには、要介護状態等の原因である身体上及び精神上の障害が、政令(平成10 年政令第412 号)で定める15 の疾病(特定疾病)によることが要件とされているところである。
 特定疾病に該当するか否かは、主治医意見書の記載内容に基づき、市町村等に置かれる介護認定審査会が確認を行う。
 本診断基準は、主治医意見書の記載にあたって、当該申請者が特定疾病に該当するかどうかについての基準を示したものである。
 ここで示した基準は、特定疾患に該当するものについては、その基準を活用することとし、その他の疾患についても学会等で作成され専門家の評価を得ているものを利用している。
 第2号被保険者に関する意見書記載にあたっては、本診断基準を参照して主治医意見書の「1.傷病に関する意見 (1)診断名 1.」欄に、介護を要する障害等の直接の原因となっている特疾病名、また「(4)障害の直接の原因となっている傷病の経過及び投薬内容を含む治療内容」に診断上の根拠となる主な所見について記入されたい。
 なお、意見書記載にあたっては、必ずしも、新たに診察・検査等を行う必要はなく、過去の診療録等を参考に記載することで差し支えないことを申し添える。

目   次

1.筋萎縮性側索硬化症
2.後縦靱帯骨化症
3.骨折を伴う骨粗鬆症
4.シャイ・ドレーガー症候群
5.初老期における痴呆
6.脊髄小脳変性症
7.脊柱管狭窄症 11
8.早老症 12
9.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症 13
10.脳血管疾患 17
11.パーキンソン病 20
12.閉塞性動脈硬化症 22
13.慢性関節リウマチ 23
14.慢性閉塞性肺疾患 24
15.両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症 25
9.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症 以外は、全て省略

9.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
 (1)を満たした上で、(2)〜(4)の各疾病に関する状態に該当するものをいう。

(1) 糖尿病の診断
a. 空腹時血糖値≧126mg/dl、75gOGTT2時間値≧200mg/dl、随時血糖値≧200mg/dl、のいずれか(静脈血漿値)が、別の日に行った検査で2回以上確認できること。
(注1) これらの基準値を超えても、1回の検査だけの場合には糖尿病型と呼ぶ。
(注2) ストレスのない状態での高血糖の確認が必要である。
1回目と2回目の検査法は同じである必要はない。
1回目の判定が随時血糖値≧200mg/dl で行われた場合は、2回目は他の方法によることが望ましい。
1回目の検査で空腹時血糖値が126-139mg/dl の場合には、2回目にはOGTT を行うことを推奨する。

b. 1回だけの検査が糖尿病型を示し、かつ次のいずれかの条件がみたされること。
 ア. 糖尿病の典型的症状(口渇、多欲、多尿、体重減少)の存在
 イ. HbA1c≧6.5%(日本糖尿病学会グリコヘモグロビン標準化委員会の標準検体による補正値)
 ウ. 確実な糖尿病網膜症の存在

c. 過去において上記のa.ないしb.がみたされたことがあり、それが病歴などで確認できること。
(注1) 以上の条件によって、糖尿病の判定が困難な場合には、患者を追跡し、時期をおいて再検査する。
(注2) 糖尿病の診断に当たっては、糖尿病の有無のみならず、分類(成因、代謝異常の程度)、合併症などについても把握するように努める。

(2)糖尿病性神経障害
以下の重症度評価表において4点以上であること
重症度評価表
項目 スコア
自覚症状
  1 パレステジア
  2 しびれ感
  3 足が冷たい、熱い
なし
なし
なし
軽度
軽度
軽度
中等度
中等度
中等度
高度
高度
高度
他覚所見
  4 足の第1指の触覚低下
  5 筋萎縮
  6 足の第1指の振動覚低下
  7 アキレス腱反射
  8 起立時血圧下降(mmHg)
なし
なし
なし
正常
〜10
軽度
軽度
軽度
減弱
11〜20
中等度
中等度
中等度
遅延
21〜34
高度
高度
高度
消失
35〜
電気生理学的検査
  9 F波最小潜時(msec)
  10 F波伝導速度(m/sec)
≦27
≧56
28〜30
50〜55
31〜33
45〜49
≧34
<45

本間注:
 パレステジア (paresthesia 異常感覚)とは、じんじんする、びりびりするという訴えで、しびれ感ともいわれ、自発的に生じる異常な自覚的感覚をいう。これに対し、外界から与えられた刺激とは異なって感ずる他覚的感覚を錯感覚(ジセステジア dysesthesia)と言う。
 自覚的知覚障害である異常感覚に対し、触覚、痛覚の刺激を与えて、患者の応答から得られる感覚障害を他覚的感覚障害といい、表在知覚において、その敏感度の低下を知覚鈍麻、あるいは知覚低下(hyp(o)esthesia:ヒペステジア)といい、その消失を知覚脱失(anesthesia:アネステジア)という。

(3) 糖尿病性腎症
糖尿病性腎症病期分類第2期(早期腎症)以上の所見が見られること
糖尿病性腎症病期分類
病期 臨床的特徴 病理学的特徴
(参考所見)
尿蛋白(アルブミン) GFR(Ccr)
第1期
(腎症前期)
正常 正常
時に高値
びまん性病変:なし〜軽度
第2期
(早期腎症)
微量アルブミン尿 正常
時に高値
びまん性病変:軽度〜中等度
結節性病変:ときに存在
第3期−A
(顕性腎症前期)

第3期―B
(顕性腎症後期)
持続性蛋白尿


持続性蛋白尿**
ほぼ正常


低下**
びまん性病変:中等度
結節性病変:多くは存在

びまん性病変:高度
結節性病変:多くは存在
第4期
(腎不全期)
持続性蛋白尿 著明低下(血清クレアチニン上昇) 末期腎症
第5期
(透析療法期)
* 腎症早期診断に必須である微量アルブミン尿の診断基準を下記の通りとする
  a.スクリーニング
   来院時尿(随時尿)を用い、市販のスクリーニング用キットで測定する。
  b.診断
   上記スクリーニングで陽性の場合、あるいは初めから時間尿を採取し、以下の基準に従う。 
夜間尿 10 μ g/分以上
24 時間尿 15 μ g/分以上
昼間(安静時)尿 20 μ g/分以上

(注1) a.及びb.の両者とも、日差変動が大きいため、複数回の採尿を行い判定すること。
(注2) 試験紙法で尿蛋白軽度陽性の場合でも、尿中アルブミン測定が望ましい。
    なお、微量アルブミン尿の上限は、約200 μ g/分とされている。
(注3) 以下の場合は判定が紛らわしい場合があるので検査を避ける。
     高度の希釈尿
     妊娠中、生理中の女性
     過激な運動後、過労、感冒など

 
  c.除外診断
ア. 非糖尿病性腎疾患
イ. 尿路系異常と感染症
ウ. うっ血性心不全
エ. 良性腎硬化症

** 持続性蛋白尿約1g/日以上、GFR(Ccr)約60ml/分以下を目安とする。

(4)糖尿病性網膜症
以下の分類で軽症網膜症(無症状)のものを除く
病型 臨床所見
非増殖網膜症
 
軽症網膜症(無症状)

 
中等症網膜症(黄斑浮腫がみられる場合には症状あり)

壁の薄い毛細血管瘤、点状網膜出血

壁が薄いまたは厚い毛細血管瘤、網膜出血、硬性白斑、網膜浮腫、特に黄斑浮腫
重症網膜症(増殖前網膜症) 網膜出血、毛細血管瘤、軟性白斑、IRMA、数珠状静脈異常
増殖網膜症

 活動性の高い網膜症
 (漏出性、充血、活動性、代償不全)





 中等度の網膜症
 (乾性、静止性、安定性)


顕著な網膜所見 網膜出血、IRMA、数珠状静脈異常、軟性白斑、網膜浮腫
新生血管 裸の新生血管、小さな繊維増殖、口径拡大、乳頭近傍を含む、急速な進展
硝子体 初期には収縮なし、収縮による硝子体出血
経過 急速に進展、安定期や非漏出性へ

顕著でない網膜所見
新生血管 裸の新生血管、さまざまな程度の繊維増殖、しばしば長く糸状、乳頭近傍を含まない、進展や寛解は緩徐
経過 徐々に進展、安定期または寛解期へ
燃えつきた網膜症
網膜所見 動脈狭細化・白線化・混濁、静脈白線化・不規則少数の出血、白斑、IRMA
新生血管 繊維増殖膜による被覆、消失
硝子体 完全収縮、下方に陳旧性硝子体混濁
経過 沈静化、ときに新鮮な硝子体出血
網膜機能 局在性またはびまん性の牽引性網膜剥離、後極部が非剥離0.1〜0.6、重症な網膜虚血、重篤な視力障害の原因となる。
参考にした診断基準
 糖尿病については、糖尿病診断基準検討委員会報告による診断基準
 糖尿病性腎症については、厚生省糖尿病調査研究班による糖尿病性腎症早期診断基準及び厚生省糖尿病研究班による糖尿病性腎症病期分類
 糖尿病性網膜症については、Davis 分類
 糖尿病性神経障害については、厚生省糖尿病研究班による糖尿病性神経障害重症度評価表
(以上)