1.Borland C++ Compiler とは?

C++Builder などの Windows 向け開発ツールを作っている Borland社(Inprise社)から公開された、フリーのコンパイラが Borland C++ Compiler(BCC)です。BCC は製品として販売している C++Builder のコンパイラのコア部分とほぼ同等なので、とてもパワフルで C++ を使った Windowsアプリケーションも作れます。C++コンパイラなので、下位の C もコンパイルでき、この講座で勉強するのにも使えます。
細かい特徴とかは省略するけど、LSI-C コンパイラ(LCC)との比較を参考までに。BCC は LCCに比べて多少ハイスペックな環境(Pentium 互換 CPU 166MHz 以上推奨)が必要です。もともと C よりも複雑な C++ を扱うのを考えれば仕方ないかな、と思います。またインクリメンタルリンカ、という仕組みを使っているためにもとのコードや出来あがった実行ファイルの大きさに比べてかなり大きめの中間ファイル(拡張子がtds)ができてしまうため、ハードディスクも結構食います。

2.入手する方法


Borland 社のHPからダウンロードできます。そこで、プログラミング系の雑誌についてる CD にたいてい入ってるので、そっちのがお勧めです。多少の出費はあるけど、製品として売っている値段と比較すれば話にならないくらい安いもんです(笑)

3.インストール方法


入手した「freecommandlinetools.exe」を実行して指示どおりにすすめればすぐにインストールは完了します!とくに理由が無ければ設定を変えないでインストールしたほうがよいです。(後の設定が楽になるからね)
その後に設定をしないといけないんだけど、便利なツールがあるので、これを使えば困ることはないでしょう。

設定ツールのダウンロードBorland C++ Compiler 5.5 環境ファイル/パス設定プログラム Ver.1.1(292,127Bytes)

実行するとまず解凍先のフォルダを聞かれるので、適当な場所を選んでに解凍してください。その後、解凍したファイルの「setbcc11.exe」を実行。BCC のインストール先などを入力していきます。BCC でデフォルトのままでインストールした場合は、設定を変更しないでいいはず。「終了」ボタンをクリックすると設定が保存され、準備は完了。この時点で一度再起動しておいてくださいね。

4.サンプルをコンパイルする


基本的には LCC の時と変わりません。例えば、このようにすれば OKです。

bcc32 ex3-1.c

コンパイルするときに LCC では拡張子 .c を省略してもコンパイルできるけど、BCC では省略すると C++ のソースだと認識し、拡張子 .cpp でファイルを探してしまうためファイルが見つからないとエラーがるからきちんと .c まで指定してください。
あと、サンプルを BCC でコンパイルすると次のような症状がでてしまいます。エラーじゃないから、問題はないです。

□ ex3-1.c 〜 ex5-1.c … 「関数は値を返すべき」と警告される
 → 省略した書き方をしているため。出来たプログラムに違いはないので問題はない。
警告 W8070 ex4-08.c 17: 関数は値を返すべき(関数 main )

□ ex3-4.c … コンパイルし、実行するとページで示した結果と多少違うところがある
 → コンパイラの仕様の違いのようです(表現法が違うだけで実質同じ値なのです)
First dat1 = ffffffff
After Left shift(4bit) : fffffff0
After Right shift(4bit) : ffffffff
First dat2 = ffff
After Left shift(4bit) : fff0
After Right shift(4bit) : 0fff

□ ex4-08.c, ex4-10.c … 「実行されないコード」と警告される
 → 意図的に実行されないコードを入れてあるので、問題はない。
警告 W8066 ex4-08.c 11: 実行されないコード(関数 main )

□ ex8-2.c … 「古い形式」と警告される
 → 昔使われていた機能を使っているため。しかし、現在も一応使えるので問題はない。
警告 W8053 ex8-2.c 34: '_dos_gettime(dostime_t *)' は古い形式です(関数 main )