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  「いきもののはなし」番外編 <その6>
 

 

「ホメオボックス遺伝子のはなし(2)」

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 番外編では、従来の配信とは少し違ったスタイルで、フォローとなるようなニュースや議論なんかを扱っていこうと思います。お便り紹介なども含まれますが、ここで紹介するのは本文に関するものだけです。

今回は、ホメオボックスについておもしろい話を聞いたので。


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まずちょっと復習を。番外編<その4>の要約です。

生物の発生初期に、頭部や四肢といった各構造の違いの形成を制御する遺伝子のことをホメオティック遺伝子といいます。このホメオティック遺伝子に変異が起こると、通常の塩基配列の変異では考えられないような、大規模な形態の変化が現れます。

このような大規模な形態の変化が起こるためには、数百という塩基対がそのような働きをしなければなりません。ホメオティック遺伝子が制御遺伝子である、というのは、多数の塩基配列に働きかける機能がある、という意味なのです。このような機能があるために、ホメオティック遺伝子は「上位遺伝子」等と呼ばれることもあります。

「ホメオボックス遺伝子(群)」というのは、DNA上の180塩基対で、驚くべきことに、カエルやマウスなどの脊椎動物とハエのような無脊椎動物で、構造としても機能としてもほとんど共通するホメオティック遺伝子の塩基配列です。
今回は、このホメオボックス遺伝子に関してBoowyさんからおもしろい話を聞いたので、ちょっと紹介してみようと思います。

(以下引用)

数年前、eyelessという遺伝子のマウス版PAX6が同定されました。
ハエのこの遺伝子の突然変異体は、名前の如く眼が無くなるのですが、マウスのPAX6は、なんとSmall eyeという突然変異の原因遺伝子として見つかったのです。

ハエの眼と哺乳類の眼は構造がまるで違うように見えます。ところが、それに関わる遺伝子は同じものだったのです。
つまり、最終的な構造は異なるが、「眼」という機能を持った器官になるかどうかの選択には生物間で共通の遺伝子が使われているということを暗示しています。

また最近、vestigialというハエの遺伝子のヒト版が見つかりました。
vestigialは、ハエの眼や脚になる予定の、本来は発現していない器官で発現させると、そこに翅(あるいは翅様の構造)が形成されます。
それがヒトにある。
翅に相当するものはヒトではなんだろう?
想像がふくらみます。

(ここまで)

これはすごく興味深い事実です。解剖学的に全く異なる構造であっても、それを形成するべく指令を出す遺伝子は同じであるわけです。そして、ハエの翅を形成する遺伝子に相当するものが、ヒトにもあるという。

前回(番外編<その5>)の話から行くと、ハネのあるヒト、それはヒトが絶滅の危機に瀕したときに、人類の中から出現するかもしれないわけですね・・・
隠されていた遺伝子が目覚める、と。

なんというか、これ以上書くのはちょっとやばいので(笑)、あとは読者の皆様が勝手に想像の世界で遊んで下さい。



一応ソースも教えていただいたので、紹介しておきます。
電子辞書でも使いながら頑張れば、雰囲気くらいはわかるんでは。

・目を形成する遺伝子群が類似している話
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/htbin-post/Entrez/query?uid=7914031&form=6&db=m&Dopt=b

・ハエの翅の形成を指示する遺伝子の話
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/htbin-post/Entrez/query?uid=8700202&form=6&db=m&Dopt=b

・ハエの翅の形成遺伝子に代わるヒトのタンパクの話
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/htbin-post/Entrez/query?uid=10518497&form=6&db=m&Dopt=b




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