一言書評 〜島崎譲作品の感想〜


風の如く火の如く(7)完(99/07/18)

 島崎譲が描く幕末青春グラフティー的作品。登場人物には新選組、坂本龍馬、高杉晋作、西郷隆盛などなど、幕末の英雄たちも数多く出るが、主人公は沖田総司とその双子の兄、人斬り・鷹ノ羽真九郎。新選組隊士として、あくまで自分の夢=新選組に生きる沖田と、自分の進む道を見極められず、ひたすら悩みながら様々に立場を変え、遂に坂本に会うことで己の進む道・夢を見つけ、その遺志を継いだ真九郎。姿形はうり二つだが、それゆえに悩み苦しみ、最後には悲劇をも引き起こす。でも最後には、これ以上はないというくらいの素晴らしい終幕になってくれて、ただただ感動というばかりでしょう。
 最後の二人の壮絶な戦いは、心の葛藤と決着を着けるためのものだった。そして二人とも命を落とさず、晴れやかな顔でそれぞれ全く別の自分の夢へと翔ていく姿は爽快^^。この作品、今まで読んだ新選組関連の話とはだいぶ設定が違ってて、それも私としては嬉しいところもありましたね^^。真九郎に心を許していた坂本が沖田の凶刃に倒れ、真九郎は坂本に変わって慶喜へ直談判、見事大政奉還を成し遂げ、最後は箱館・五稜郭へ近藤勇、土方歳三、沖田総司、その他新選組が勢揃いして、明治の世にはアメリカへ渡り夢を追う真九郎と、海賊として自由の海を暴れ回る新選組の噂と…。こんな終幕もあっていいと思いますね^^。

 コミックの幕末ものは、修羅の刻をはじめとした数点しか知らないのですが、今後も機会があったら読んでみたいなぁと思ってます(^^)。


青竜の神話(98/01/25)

 かつて私がその感動に涙した作品の再販です。島崎さんはこの当時が一番輝いていたと思う。この後の作品は、短編は好きだったのですが、長編連載もの(THE STAR、驍など)は感動が散りばめられているものの、青竜の神話の感動を小出しにしながら、つらつらと長期連載していたような感じが否めなかった。それだけ、たった3冊のコミックスから受けた感動は大きかったのだと思います。

 今回再販にあたって、島崎さんが当時のことを振り返って、いろいろと愚痴られています(^^;)。大変だったようですね、いろいろと…。それでも、文中にもあったようにたくさんのファンを獲得しているのだから、やっぱすごいのですよ。私もレターは送ってませんが、ずっと続編を期待している一人ですから。

 実は密かに期待していた幻の続編「第二部 悪竜の系譜」(2,3話ほどが連載終了後に掲載された)が収録されるのでは…というのは無かったようです。残念。これは本当に「いつの日か機会がありましたら、是非とも続編は描きたいと思っております。」のお言葉に期待!ですね(^^)。(驍に出てきた「藤太」は、あの「藤太」とは全く違う存在だと思ってますので…。)今後も新作&青竜の神話続編に期待していきたいと思います。