一言書評 〜ハイスクール・オーラバスターの感想〜


 若木未生さんの代表作「ハイスクール・オーラバスター」の感想をまとめました。


迷える羊に愛の手を(2000/11/17)

 なんかえらくひさびさに読み終わったオーラバスターです(に、二年半…汗)。今回は若木さんも楽しみにしてたというオムニバス中短編集。どれも楽しく、また考えさせられる内容でしたが、私の最近の読書傾向としての名セリフから内容お伝えしましょう。

「人間なんてそれぞれ違うんだから、順番なんていくらでもつけられるもんじゃないの? 要は本人がそれにどれだけの価値をおくかでしょ」「本人が数学で一位になることに価値をおいてるからこそ、一位になったら嬉しいわけだし、大したことじゃないと思ってれば大したことじゃなくなるわよ。問題はその『価値』を自分じゃなくて他人に決められてるところにあるんじゃないの?」
 さらに、ひとつのことだけに価値をおくからさらに視野が狭くなる。人間である以上、他の誰かより優る面や劣る面がそれぞれにあるのは当然だ。しかしその一面だけで人格の価値そのものに上下が生まれるはずはない。(迷える羊に愛の手を)

これって、ほんと実感なんですよね。トップとか、十番以内とか、何を基準にランク付けしたかによって、全然意味合いは違ってくるはずなのに、今の社会ってのはやっぱりどうしても序列にしないとだめなんだ。特に、学生の頃はね。これと併せて読むと納得する言葉に、

不良ってやだなあ。世間知ってて。(黄金時間が見えるまで)

 という他愛のないつぶやきがある。これにはドキっとする。いやほんと、世間良く知ってるなぁって思える人たちって、学生時代はいわゆる「不良」って呼ばれてた人たちが多い。真面目に勉強してばっかいると社会に出てから云々とは良く言われますが、結局その人の「価値」ってのはどこに見つければいいんでしょうねぇ?難しいね。

 もうひとつ、同じくハッとさせられる発言。

「どうすればいいかわかってる人が、わからない人を見下してるだけで何もしないんだったら、結局変わらないよ」(黄金時間が見えるまで)

 これはですね、特に会社みたいな組織にいて、責任の所在云々とかって言ってる人に言ってあげたい。ここまでが自分の仕事の範疇で、こっから先は例えば隣で仕事してる人がミスしようとしていても、わかっていても教えてあげないで、何があっても私の責任じゃないからって言って逃げる方。よくいるんですよね、これが。わかってるんなら教えてあげれば、少しずつだけどみんながよりよくやりやすくなっていくはずなのに、あんなこともわかんないのか、と見下すだけで自分が偉いように錯覚してる。なんとかならんのかね。まあ組織がちゃんと機能してないと、いろいろ難しいんだろうけどさ。余計な差し出口ってのになっちゃうからね。

 うまくその辺をまわしていくために、纏め役になった人にはそこんとこをちゃんと考えてもらいたい。そう言ってるだけならわかる人には誰でもできるのだが、こればっかりは言う側言われる側が納得しないと話がまとまらないから。難しいね。でもなんとかがんばってかなきゃね!

 ってわけで、また次巻。今度はいつ頃読めるかな?^^;


十字架の少女(98/06/11)

 はい!オーラバ3巻です!^^ やっぱりアッという間に(私にしては^^;)読めてしまうのですよね〜。今回はいろいろと重かったりもしたんですが、やっぱ最後にはみんな元気になれるって感じでよいですね^^。ご本人・若木さんも一喜一憂しながら書かれてるみたいで、ほんっと読んだ後のあとがきが、感情が良く伝わってきて、読んでて楽しいんですよ。なんか意味なしだけど、あとがきだけ読むことをお薦めしたくなっちゃうような^^;、そんな感じの一冊です。是非ご覧あれ!^^

 さて、他の小説も読み進めねば…(..;;


セイレーンの聖母(98/05/16)

 結局一気に読了したオーラバ第二巻です(^^)。何がいいって、本編もさることながら、あとがきの語りよう! これが若木だ!と言わんばかりのぱわぁを感じますね(^^;。自分は物書きだから、小説書きだから、言いたい事は小説で訴える、そういうことをストレートに言ってのけるとこが、いつまでも読者に好かれる理由なのかも知れませんね。長い長いシリーズの、まだ序盤を読み始めたばかりというところですが、今後も少しずつ読み進めたいと思います。


若木未生さんインタビュー(活字倶楽部)(98/01/31)

 ひょんなことから読み始めた「ハイスクール・オーラバスター」なのですが、いろいろとメディアミックスや挿絵交代論争(?)なども巻き起こすほどの作品だったのですね(^^;。いろいろと語ってるようなので、買って読んでみました。

 しっかし、なんかすっごいぞ、この若木という人わ! 自分の仕事に誇りを持って妥協を許さず、その信念に基づいて行動を決定する…という感じの印象を受けましたね。これは私が高河ゆんさんその人に抱いていたイメージそのままです。この取り合わせってある意味ですごい事だと思う。馴れ合いでない、本音トークのぶつかり合いの末に、苛烈な作品に仕上がるのではないか? まあ、一冊しか読んでいない私などが多くを語ってもしょーもないのですが…。

 とにかく、せっかく出逢ったこの作品、二人の挑戦受けて立とうではないですか(^^)。旧来の杜さんふぁんな方も新規の読者も含めて、「これでもか!」と言わんばかりの勢いを持って自己の存在を顕示して煙に巻こうとする(<って、ちょっと違うか?^^;)これからの若木ワールドに注目していきましょう。


天使はうまく踊れない(98/01/02)

 愉しい小説でした。読んでいて本当に愉しくなる小説。

 私はかなり幅広く小説や漫画を読んできたと自分では思っていたのですが、比較的考えさせられるようなものが多く、このオーラバスターのように「愉しめる」小説ってあんまりなかったのではないかと思いました。また新しいノベルスの分野を知ったといううれしさでいっぱいです(^^)。

 個性的な面々がいっぱい登場して活躍しますが、特に諒はひたすら明るく、前向きで、うだうだ考えてるのが馬鹿らしくなるくらいあっけらかんとしていて、どんなに落ち込んだ気持ちになったときでも、それを忘れさせてくれるようなぱわぁーがあります(^^)。

 このシリーズ、まだまだ続刊が山ほどあるので(^^;;)、少しずつ読み進めていきたいと思います。特に、何かに行き詰まったときなどに読むと、元気が出ていいですね(^^)。疲れたときの一服の清涼剤としてお薦めします(^^)。