一言書評 〜鷹野祐希作品の感想〜


天鼓雷音(てんくらいおん)
小説家・鷹野祐希さんの作品の感想です。
ページにもすぐ飛べますので是非行ってみて下さいね^^。


 傀儡覚醒<第6回ホワイトハート大賞<佳作>受賞作>
 傀儡喪失
 傀儡迷走
 傀儡自鳴
 傀儡解放
 FW(フィールドワーカー)猫の棲む島
 眠れる女王 ラクラ=ウリガに咲く夢
 PARADISO<傀儡 Fan Book NO.1>
 傀儡滅菌<傀儡 Fan Book NO.3>(2は未入手^^;)
 ふぁんたすてぃっく・ふぉー!
  傀儡・異次元・砂伝・FW
 さいわいの国 ひたぶりの国
 ももだるの国 めぐらいの国


眠れる女王 ラクラ=ウリガに咲く夢(2002/09/28)

 毎度毎度買わせて頂いてます、鷹野祐希先生の作品です。今回は角川ビーンズ文庫というところから。作者中心で買っていくと、いろいろ知らないジャンルにも挑戦できます。嬉しい限りですね。

 今回の作品も、非常に読み進めやすく、すぐに次が読みたくて読みたくてどんどん読み耽ってしまう出来でしたよ^^。キャラクターも親しみやすく、ストーリーも飲み込みやすかったので、それがよかったのだなぁとも思います。主人公の“花学者”グラド=ロゥ・ハクタリ(登場人物紹介で「クラド=ロゥ・ハクタリ」となってることはナイショだ^^;)は、花学を極めし者=ラスの称号を持つ天才花学者。花学ってなんだろ?と思う前に読んでみるが良い。辺境を旅する長髪で少し色素の薄い優男にしてなかなかの毒舌家、どこか砂伝奇譚のラーン=スィーンを思い起こさせますね^^。

 でもって私の中の勝手にキャスティングでは、この時点で堀川りょう(堀川亮改め)に決定♪^^ それともう一人、旅先で出会う剣士にして用心棒・バスクはと言えば、何故か唐突に思い浮かんだ“龍王リョウマ”山寺宏一にしてみました。イメージがパッと浮かびましてね。こいつはリョウマだ!と^^。うーん、シュラトが観たいっす。

 そしていつもながらに、鷹野さんには作中からいろんなことを教わります。今回もグラド=ロゥのセリフに、思わずハッとなって考えさせられたりしてました。

   「敬語なんて意思の伝達を困難にする以上のなにものでもないんだよ。
     ああいうのはね、嫌味を言ったり、批判したりするときにこそ真価を発揮するんだ。」

 そうなんです。必要以上の丁寧語ってかえって失礼になったりもするんです。毒を盛って相手を攻撃する、竜堂続さんなどが得意な戦法ですね(笑)。ネット上などで名前やHNを呼ぶとき、何と呼ぶでしょうか。「〜さん」と付けるのが無難でしょうね。ほとんど知らない仲ではもちろんのことだと私も思います。しかし、頻繁に会えるようになって意気投合したりして、それでも畏まって会話してると、どうもそれだけで逆に失礼と受け取られることもあったりします。最初は「〜さん」であっても、ある程度経ったら気兼ねなく呼び捨てや愛称などで呼びかけ合えるのが、理想的だと私は思います。常に不特定多数が入り乱れてるサイトならまだしも、個人サイトで常連ばかりのところで「呼び捨て禁止」を掲げるのは、どうなのかな?と思いますね。きちんとその場の雰囲気読み取ってくれさえすれば、いいんじゃないかな〜?というのが現在私の思うところであります^^。これが今のところのジュピトリスの方針です。あえてBBSやチャットの入口にデカデカと書こうとは思わないけどね。それを書かないのも方針の一部さ♪気楽にかつ節度を弁えて楽しくやっていこうよ♪ってね^^。

    「暇というのはあるかないかじゃなくて、作れるか作れないかだ。」

 アイタタタタ、というのが率直な感想^^;。そうなんです、忙しい忙しい多忙だ超多忙だ、と言ってみても、暇は作ろうとすれば何とかなるもんなんです。仕事の合間の休日にイベント行ったり、出張の合間の休みであっても大阪行ってみたりと(笑)、結局は自分が楽しむために生きなければ働いてても意味がないわけなんであって、なので忙しいを理由に出掛けるのを渋ったりするのは損損!!(それでも疲れて身体動かないときはぐっすり休みますが^^;)グラド=ロゥのこの一言で、暫くの間遊びにも気合い入れて頑張ることにしてる私だったりします♪^^感謝感謝☆

 というわけで次回作も何処から出るかわかりませぬが、楽しみに待ちたいと思います。その間にこの前購入してきた同人誌・異次元旅館の方も読み進めないとねぇ^^;。


ショートショート雑感(2002/01/03)

 冬コミで2冊買ったのを機に、読まずに溜まってた夏コミ新作分含めて2日間で一気に読み進めてみました。

 まず思ったのは、「3ページ×4編」という枠の設定内での作品であり、しかも「四文字熟語」の一文字ずつをストーリーの主軸に縛って作ったという話、これってすごい! 実はその前の(時間の流れ的には新作の)ふぁんたすてぃっく・ふぉーも、それぞれの作品に各「3ページの外伝」を作ったものである、ということに今更気付きました。

 決められた文字数の中でひとつのストーリーを描き切るショートショートの世界は、数分に収める歌の世界や、遡れば短歌や俳句にも通ずるものがあると思う。短い中に、起承転結があり、主題である季語に似た「四文字熟語」もある。コミックでもアニメでも映画でもそうですが、なんとなくだらだら続いてしまうのは、この辺りが明確でなく、だんだん飽きてきてしまう。短ければ短いほど、その善し悪しはわかりやすく、それゆえ高レベルの文章構成力が要求される分野なんだなぁと思った次第でした。

 今回の主題である熟語「電光石火」「灯台下暗」「本末転倒」「破顔一笑」、それぞれにうまくまとまってて、しかも微妙にわかるかわからないくらいに関連性があって、深いなぁと感じ入りました。

 というわけで、今年はもっともっとペースアップして小説を読もう!と思った次第でした^^;。


FW 猫の棲む島(2001/08/16)

 著者のページでのネタバレも13日で解禁になりましたので、こちらで長々とまた語ってみましょう^^。

 FW。フィールドワーカー。フィールドワーク。野外現地調査のことですね。デスクワークに相対する言葉だったと思います。あとがきの解説や本編では、民俗学の調査活動として紹介されていますが、私としては個人的に、大学時代一般教養課程の中で受講した文化人類学の講義の中で聞いたこの名が頭に残っています。あの講義もなかなかに私に与えた影響も大きく、文化の違いで人はどのような諍いを起こしていくのか、或いはどうすれば理解できるのか、という問題に学問として触れた最初の機会だったので、ものすごく鮮烈的に覚えています。

 いきなり脱線しました^^;。そんなわけで主人公たちも、日本にある秘境みたいなトコ、タイトルにある猫の棲む島にフィールドワークに出かけます。大学院の研究室単位で行動するわけで、そこへ新しく研究室に配属されることになる学部生の小美君の視点から視た様々な、奇妙奇天烈な体験が描かれていきます。基本的に最初の数十頁以降はすべて謎が徐々に解かれていく展開なので^^;、詳しくは本編をご覧になって♪と言いたい。お薦めの1冊です!!

 大学の学生や教授が主人公なので、当然傀儡のときみたく、特殊な能力を持った人はいません。等身大の大学生や院生が、飛んでもない事件に巻き込まれながらも、自分たちの力で困難を切り抜けていくというお話ですね。でもやっぱり主人公の小美君がアツい!!ラストのクライマックスで、自分にとって許すことのできない人間を目の前に、その憤りを生の感情そのままにぶつけていく姿、相手が誰であろうと構わずに収まりきらない怒りを言葉に代えて礼節も関係なく相手に叩き付けるように怒鳴りまくる姿は、まるで私自身を見てるよう^^;。そして、Zガンダムの崩壊寸前のカミーユを見てるよう^^;;。

 違うのは、その怒りを隣りにいて抑えてくれる人が居るか居ないか^^;。私の場合、誰も止めようとしないから際限なく相手に食ってかかり、結果頭が冷えた後に自己反省と険悪な関係だけが残る。カミーユなどは怒りが頂点に達して精神崩壊引き起こしてしまった^^;。小美君が恵まれてたのは、ちゃんとブレーキを掛けて止めてくれる永吉や、優しく引き留めてくれる梗子さんがそばにいたこと^^。普段どんな扱い受けようが、やっぱり頼れる仲間が居るのはいいことだと、思わせてくれるエピソードでした^^。

 キャラ的にも6人がそれぞれに得意分野を持ってるカンジで、チームとしてバランス取れてていいなぁと思った^^。からかい甲斐のある後輩ってカンジでちょっと頼りなさげかと思いきや、実はものすっごい熱血漢でもある主人公小美(おみ)君、小美をからかうのが楽しみみたいなトコがあるけど、やっぱり頼り甲斐のあるエーキチこと永吉(ながよし)、紅一点でしっかりものながら実はやることチームの誰よりも大胆な日和(ひより)さん、ネット端末でもあるパソコンや電子機器を片時も離さないちょっと神経質っぽい双屋と、おっとりしてるように見えるけど頼りになる先輩的存在の勢多、そして舟和ゼミを率いる飄々としてつかみ所のないまだまだ謎多き人物な舟和先生。まだまだいくらでもこのパーティで冒険が出来そうなカンジです^^。

 さて中身についてはこのくらいで、ちょっと気になったことがあったのだ。いっつも小美君をからかって遊んでる(ように見える^^;)永吉が、小美君をいろんな呼び方で呼んで手のひらの上で転がしてるのですね(私の率直な印象…シュラトをからかうレイガ^^。なので小美はともかく、永吉はCV井上さんのイメージ^^)。後半はほとんど、ちっこいので「シャオ」と呼ばれていたのですが、最初に何度か「小美人」と呼ばれてました。これが読めなくて読めなくて^^;。

 結局「しょうびじん」と読むことがわかったのですが、これも数あるストーリー上の謎の一つかも!?と思い、様々に答えを考えてました^^。名字の読みが「おみ」なので、その下に「ひと」だから、「おみひと」「おみにん」「おみじん」、「おみ」を「こび」に読み替えて「こびじん」「こびにん」などなど。(どうしても普通っぽい「しょうびじん」には辿り着かなかったのだ^^;。なんせ謎だと思ってたので^^;。)自分的に一番のHITだったのが^^、永吉が小美君を普段便利にこき使ってそうに見えたので(笑)「こびにん」を派生させて「こびにん→こんびにん→コンビニ」となってしまったこと(爆)。いや鷹野さんにはほんと申し訳ないのだが^^;、ルビのない読めない名前でここまで遊んでしまいましたさ^^;;。ほんとにすみません、おそれ入谷の鬼子母神です^^。

 最後に、いつも鷹野作品には必ずと言っていいほどあるのですが、今回も教訓になる表現・記述がありましたので、ちょっとだけ紹介させて頂きます。小美君のモットーでもあるのですが、

『権利を主張する前に義務をはたすべき。
     文句を垂れたければ、最低限の義務は果たさなければならない。』

という部分です。そうなんですよ、このようなことがごく当たり前に考えられるようにならねばならんのですよ^^;。ほんとにごもっともなお話で、これでまた一つ鷹野先生には頭が上がらなくなりました^^。私ももっと精進せねばっ!ってね!!

 続けて買った同人新作は、このFWを含めた外伝ショートショート。またこれから読ませて頂こうと思ってます♪ 次回作も小美君の大活躍とアツき魂の叫びに期待しましょう^^。


傀儡シリーズを通して(2001/01/27)

 全5巻に纏まった傀儡シリーズ、楽しく、時に考えさせられながら読み終えました^^。世界観はまるで違うものの、主人公・菜樹の辿った運命が、どことなくエスカの神崎ひとみに近いものがあったなぁ、とかも考えつつ^^。裏話も同人のFanブックで聞けたりなど、今までの小説とは違う感覚で読むことが出来たのが新鮮でした^^。作家とFanとはこうありたいなぁと思うように^^。

 詳しくは本編をご覧頂くとして、ひとつだけ語りたかったこと。この作品の後半でひたすらに謳い続けられた「分相応」という考え方。人には「己の分」というものがある。その「分」を全うすることで、今出来る最大限のことが自分に果たせるわけで、「分不相応」に無理をしようとすれば、結局は自分の「分」すらも達成できないことになってしまう。本当に「己の分を弁える」というのは大切なことなのだ、そういうことを改めて教わったように思います。

 今自分がやるべきことを見極めるというのは、時間も掛かったりして難しいことだけれども、それこそが自分が生きていく中でやらねばならないことなのですよね。これからもそんな風に頑張って行けたらなぁ、そう思います^^。

 次回作も準備中とのこと。また期待していきましょう♪^^


傀儡喪失(99/12/13)

 鷹野さんの小説2作目は、デビュー作の続編・傀儡回しと宇津保、そして鬼道衆との戦いの物語。読みにくい名前^^;と読みやすい文章^^、引き込まれる世界観と息も吐かせぬ展開、そして思いっきり気になるトコでの「次巻へと続く…」・・・これは人気出るはずだなぁと思いました^^。もちろん人によってジャンルの好き嫌いというのはあるでしょうが、このラストを見せられれば、やっぱり次がどうしても読みたくなる!そんな印象を受けました^^。次はいつ出るかな〜?楽しみです^^。

 本編では、物語の流れもあることながら、常に登場人物達の内面、心理描写や精神世界が特にクローズアップされて語られます。自分への問いかけ、他人への疑念、ともすれば内に隠りがちで、自分の力で何とかしようと考え、その結果壁にぶつかり、悩み、苦しむ姿。ふとしたことで他人と心を通わせ、言葉のキャッチボールをすることで、新しい自分を見出し、一歩進んだ・開けた目で自分を見つめ直し、また次の困難に立ち向かっていこうとする。菜樹、曠、要、海生、それぞれに悩み苦しみ、頑張ろうとしている姿に、ついつい自分を重ねてみてしまう。私も頑張ろう。そういう風に思う。

 それにしても、戦いの方の彼我戦力差たるや、すっごいことになってます^^;。菜樹の潜在能力と海生の今後の努力、要の戦線復帰を考慮に入れても、まだまだ圧倒的な五鬼衆・鬼道衆側有利は揺るがないでしょう^^;;。これがどう展開するのか楽しみな点でもあります^^。主役は頴…、主役は頴…という悪魔の囁きが聞こえてきそうです(笑)。願わくば、鷹野さんの器を乱す存在が現れることなく、完結へ向けて順調に続巻が刊行されますよーに^^。次巻に期待してます♪^^


傀儡覚醒(99/07/25)

 伝奇ファンタジー界の期待の新鋭、その堂々のデビュー作です♪ ホワイトハートは今まで手にしたことがなかったのですが、今回偶然にもデビュー直前の作者さんにお会いする機会に恵まれまして、どんなジャンルかもわからずに(笑)興味津々で挑戦してみた次第です^^。 そして私には大変珍しく(爆)1日で読了してしまいました!(^^) 読みやすい文体に、私のツボがたくさん盛り込まれた作品世界の設定&キャラクターたち、しっかりとはまりましたね♪^^ さすがホワイトハート!私も大好きな夢枕獏さんも選考委員に入ってるだけありますね^^。

 ある日突然、異世界の戦いに巻き込まれていく菜樹は、徐々に自分の中の秘められた力に目覚め、覚醒していく。傀儡師が主人公として登場する辺り、夢枕さんの影響を多大に受けている諸作品にも近いものがあるなぁ、とすぐに親近感が湧いてきました^^。私の蔵書にも呪術が絡む作品は多数ありますが、中でも話の展開的には藤田さんの“からくりサーカス”、最近好きになった“ハイスクール・オーラバスター”にシンクロしてくる部分も多く、このジャンルの好きな方には是非是非読んでもらいたい作品ですね^^。

 キャラ的には、神をもその身に宿す大きな力を秘めた宇津保・菜樹、からくり寺の若き住職にして人形使い“傀儡回し”たる青年僧侶・海生、敵対勢力には、卑弥呼に端を発する鬼道衆を束ねる五鬼衆がそれぞれに魅力を放っている。特に五鬼衆では、今作で直接対決することになったが、某オロチ八傑衆のチルドレン(謎笑)のようで、私にはめっちゃツボでした^^。さらにその宵をもさらなる高見から見下ろすような傍観者的存在、同じく五鬼衆のも、どこかシロッコ的で好きだな(爆)。他にも魂振を操る菜樹の母・遥花、残りの五鬼衆も気になるところ^^。ほんと語り尽くせない魅力たっぷり、まだ作品的にも始まったばかり!今後が楽しみですね〜^^。

 余談ですが、作中の漢字の難しいこと読めないこと(^-^;;。原題の「開静のとき」からして読み違えてたし^^;、キャラの名前もみんな普通には読めない^^;;。そこが鷹野さんの持ち味なのかな〜?^^ 読み方が気になった方は、しっかりと作品買ってから、ご自分の目で確認して下さいね〜^^。是非っ!!