一言書評 〜るろうに剣心−明治剣客浪漫譚−の感想〜


 漫画家・和月伸宏が一人の剣客の姿・生き様を通して、世に多くの思いを投げかけた一代記「るろうに剣心〜明治剣客浪漫譚〜」の感想をまとめました。


るろうに剣心#30〜#31(2000/06/11)

 激突!志々雄編ラストバトル・最終血戦!! スカパーでやってるアニメ版、あまり観てなかったのですが、やはりコミックで観るのとは違う感動がありますね。セリフとセリフの間に、コマ割りとは違う“間”がある。オープニングやエンディングのアニメがまたいい! 飛天の5連撃から九頭龍閃までもやはり違う。目にも留まらぬ剣撃の軌跡が描かれてるというのがちとアレですが^^;、最終幕の双方の語りと上下横長のコマ割りはアニメならではでよかったっす。

 この闘い、真の闘いは最終奥義・天翔龍閃が決まったところより始まる。由美の最期にクラシックを持ってくる辺り、盛り上げてくれますねほんと。使命よりも、自分を待っている場所・人のために戦い抜いた剣心。限界を遙かに超え、燃え落ちた志々雄。狂気の方治も闘い終えた男たちも、目の前の現実を見つめ今前へと歩き始める。またこの作品も機会を見つけて読み返してみよう。


るろうに剣心(28)完(99/12/13)

 二百五十五幕、28巻、五年半。長きに渡り語り継がれた浪漫譚・るろ剣も終止符を打った。短過ぎず、かといって長過ぎず、とてもいい終わり方をしたなぁというのがまず第一の印象。途中確かに様々なこともありました。特に敵役(悪役ではない)の生き様がわかり過ぎるからこそ、悩み、苦しみ、絶望の淵を彷徨いながら、その中に自分の闘いの人生を見出し、生きていこうとする姿。その裏には、あとがきに書かれたように、想像を遙かに越える重圧が作者にもあり、完結した今全てを振り返って、この作品は人間・和月伸宏の成長の過程、生き様そのものなんだなぁと思わず唸ってしまった。

 作品の創造を通して作者が学んだコト、それは作品という形を通して間接的に読者に伝わる。剣心の悩み、作品の行き詰まり、その全ては作者の悩み、行き詰まりを表し、剣心がそれを乗り越えたときに見せた爽やかさ、闘いの人生を完遂するという答を見つけたことこそ、作者がこの作品から導き出した一つの答、そういうことが伝わる。何はともあれ、それぞれがそれぞれの道を歩むために旅立っていく姿は、これから自分が実生活で生きていくための力を与えてくれる、そういう思い、そして感動を伝えてくれた。人間どこまでどん底に落ち込み、絶望に打ちひしがれても、やがて明日が見えてくる日が来る。剣心とともに悩み、苦しみ抜いたという思いを感じ取ることが出来たのであれば、同じように答を見つけだすことも可能だろう。あとは己の思いというものを見つめ直せるか否かだ。作品を通して、私も様々なことが学べたと思う。次へ繋げるステップとしたい。

 コミックスだけの製作秘話では、構想のままに世に出すことを見送られた後日談が語られている。瀬田宗次郎が向かった北は北海道での話、剣心と薫の息子・剣路と、弥彦と燕の息子・心弥(剣心と弥彦から一文字ずつ?)が、逆刃刀と飛天御剣流を巡り闘いを繰り広げるアフターストーリー、この辺りをメインに、後は他の面々のその後の姿かな?まあこの辺りはもうすぐ発売の「剣心華伝」に収録とのことなので期待するとして、今ここで終わりにするという英断には、私も同意見を述べたいと思う。まだまだ話題の尽きないるろ剣世界ですが、ここで一度筆を置くことが、本当によかったことだと思うときがくると思います。薫が最後に剣心に向かって言う言葉「とりあえず、お疲れ様。」というのは、作者が自分に向けて、また多くの読者が作者に向けて投げかけた言葉のように思います。これからも頑張ってほしいと思います。

 数々の話題・議論を呼んだ「人誅編」。その最終話に選ばれたタイトル「HURRY GO ROUND」。私も好きなhideの曲です。タイトルを見たときに「もしや?」と思ったら、FREETALKにその旨しっかりと書かれていました。作者がこの曲を聴きながら悩み続け、そして描き上げた人誅編。今改めてこの曲を聴いていますが、その詩の中に、曲の中に、憎しみを募らせ、最後には涙を流した縁、人斬りとして生き、妻を失うことで悲しみに暮れた抜刀斎の姿が浮かんできます。最後に見える希望、それを見据えて、hideの曲と和月の作品を胸に、明日を力強く生きていきたいと思います。

 るろうに剣心〜明治剣客浪漫譚〜完結。長い間お疲れ様でした。これからも頑張って下さい。心から願うその思いを、ここに刻んでおきたいと思います。


るろうに剣心(25)(99/04/03)

 感動っ!感涙っ!!感極まるっ!!!未だ興奮が冷めやらないっ!!!もーマジ泣き(TーT)。読み始めてから読み終わってしばらく経った今でも目頭が熱いです! すごかったよー、今回の弥彦っ!、そして剣心っ!るろ剣始まって以来の名シーン名セリフ続出っ!これ一冊が名場面集として売り出されてもおかしくないです!

 とにかく弥彦がよかった強かった剛かったっ!(^^)燕ちゃんをおいて闘いに挑むとこ、龍翔閃もどきを決めたとこ、少年を救って立ち上がったとこ、少年を諭して剣心化(笑)するとこ、剣心張りの“剣気”で刃止め〜刃渡りを決めたとこ、潰されても起きあがり立ち向かっていく姿、そして鯨波に矜持を語るとこ…もう鯨波が改心して涙するとこでは、同じように感涙状態でした(T□T)。

 さらにそれだけじゃない!「夢と現と幻」の回は、今まで和月さんが作品を通して、登場人物たちの声を通して訴えかけていたメッセージが凝縮された回想シーンになっている。その一言一言が想起されてきて、また燕ちゃんと一緒に泣きました(涙)。その時、一陣の風は燕ちゃんの笑顔を取り戻し、新一の祈る心を救い、信じ続けたみんなの願いを叶えた! 久々に見た見開きでの“九頭龍閃”〜“緋村剣心復活”まででさらに感動の波が押し寄せました(TーT)。

 久々にコミックで感動を味わいました^^。それはもう、FREETALKぜんぶ読み飛ばして一気に読んじゃったくらいですから^^;。これから読もう!(笑) みんなが認めるほどに強く大きく成長した東京府士族・明神弥彦! これからが楽しみですね^^。


るろうに剣心(22)(98/09/05)

 やはり語らずにはおけない今回のコミック版剣心では、いろんな裏話が聞けましたね〜^^。まずはキャラの元ネタですが、最近はアメコミ中心で一部サムスピが入ってるそうな。噂の夷腕坊は、ウナゲーではなかったのですね〜(苦笑)。

 FREETALKの方は、だいぶ壊れ気味でしたが(笑)、新しい仕事場からのノーロープ・バンジーだけはしないように、頑張って頂きたいです^^;。それと、最後におっしゃられてる「未完」作品について…同感ですなぁ。ぜひぜひ続きを描いて、感動のラスト・大団円を迎えてほしい作品が、私のリストの中にも多々あります。多すぎます。その点、短編を多く描かれてる方々の作品は魅力的に映りますね、やっぱ^^。特に長編で、収拾着かなくなってきてるなぁと思われる作品、あんまり惰性で続けずに、それこそ和月さんの言うとおり、蛇足を付けずに悪・即・斬 で、気持ちの良い終わり方をしてほしいです。


るろうに剣心 巻之二(98/08/23)

 小説版るろ剣の第二弾は、「弥彦の闘い」と「黒笠刃衛」。コミックの原作世界を完全に踏襲しながら、さらに設定を掘り下げているという点もあり、とっても新鮮な気持ちで読むことが出来ました^^。いい感じですね〜やっぱノベライズというのは(^^)。映像化となると、若干のイメージの変化が否めないのですが、こちらはさらに想像の翼を広げることが出来るわけですし^^。

 構成の中には、明治浪漫こぼれ話というコラムなどもあり、なんだか数年前に「マンガ日本の歴史」を読破したときの、あの最後の説明ページを読んでるみたいな感じがしました(苦笑)。でも、コミックだけではわからない、歴史の勉強も一緒に出来て、これはこれで良いかも知れませんなぁ^^。

 そして、電車の中で「mp−man」から流れる「虹」を聴きながら、剣心の小説を読むというのも、なかなか良いものですね♪ 作品世界はイメージ作りを大切に〜です(^^)。


るろうに剣心・維新志士への鎮魂歌(97/12/31)

 今年の最後は映画で締めくくりました。よかったです。アツかったです。

 「青空はどこまでも高く 澄んでいなければならない・・・」

 そういう世の中が来ることを願い、戦い、散っていった維新志士・人斬り厳達。会津の志士達には本当に悔やまれる明治新時代・・・。その想いを胸に、今またアツい漢、斎鬼鹿沼流・時雨滝魅が起つ!

 泣かせる名シーンが多かったこの作品。国賓襲撃のあと、同志の死に涙する弥彦、さらに最期の決戦に際する時雨の語りには、やはり私も涙しました。それでも最後には剣心の、そして厳達の想いを理解し、お互いがわかりあえたときの感動は語り尽くせないでしょう。是非とも劇場でご覧下さい。真っ直ぐな男たちの感動の物語です。

 また、作品に欠かせない音楽にも注目です。主題歌はやはりよかった。本編の直前にラルクの「虹」メイキングビデオクリップが流れます。これもパンフでのメッセージと併せて、観所のひとつです。「時は奏でて・・想いはあふれる・・」

 脇を固める声優陣も話題のひとつですね。回想でひたすら語ってくれる厳達(=佐々木望)、友の死に涙し己の意志に殉じた漢・時雨(=井上和彦)、何故かおしとやか&慎ましげな女性を演じるみやむー(笑)(<パンフのコメントがまた笑える^^)。。。主役陣が声優でないだけに、アニメとしてこういう見方も面白かった(と弥彦役のみーなさんも言ってるし・・)。

 長くなったけど、やっぱり感動の一作品です。和月さんとともにドキドキしながら楽しみに観ましょう(^^)。


るろうに剣心(18)(97/12/07)

「勝つ」ではなく「超える」という答え。

 今が未熟ならそれを乗り越えて前へ進めばいい! 後ろ向きな自分に決着をつけて、少しでも前へ!! さてさて、今回の巻では弥彦に限らず、みんながそれぞれに「決着」つけてます。「決着」って言葉は何回出てきたでしょう?(^^)

 さて、現在進行中の剣心の「過去」のお話。誰にも触れられたくない過去というのは、誰でも一つぐらいは持っているでしょうが、この「過去」を知ることによって、その人への思い入れがさらに深くなることもあるかと思います。物語がある程度進むと、それ以前という感じでよく前日談が語られることは多いですね。人気作品に拍車をかける一因だと思います。まあ、ハッピーエンドを目指しているそうですので、期待したいと思います。

 話変わって、私も大好きな「FREE TALK」のコーナーですが、「お久しぶりです、和月です。」から入って下さるので、なんかメールもらってる感覚で楽しいです。最近のコミックスでは、こういうコーナー作ってる方が結構いらっしゃるので、話が合いそうな方だとれす出来ないのが非常に残念だったりします(^^;)。

 和月さんも「身近な車窓の風景」が好きだそうで、是非ともネットに入ってほしいなぁと思ってしまいました。少しずつコミックスとネットも融合していくと、もっと楽しくなりそうだなぁと思います。週刊連載は忙しそうですが、これからも頑張って頂きたいですね(^^)。