一言書評 〜NIGHT HEADの感想〜


NIGHT HEAD DEEP FOREST(98/06/27)

 壮大な超能力者たちの物語の終焉です。この作品って、読んでるとほんとに名台詞のオンパレードに考えさせられてしまって、ひたすら共感を呼んでしまうんですよね〜。直人や直也の視点でものを考えて生きていくって大変だし、その視点を通して世界を見据えることが出来るこの小説のパワーは強い。いろいろと考え、悩みながら最後まで来たけど、やはりこの最後の「DEEP FOREST」篇まで読まないと、作品全体のメッセージは受け取れないと思いました。作品の断片的な要素だけを観てると、どうもいじめや人間の暗部だけを取り沙汰して、救いようのない作品なんじゃないかってな印象受けますけど、そうじゃないんだよってことを、この最後の一篇まで読み進めて、そして改めてこの作品のメッセージってものを考えてほしい、そういう作品でした。

 森のイメージ、緑のイメージっていうのは本当に「戻るべき処」って感じがします。ガンダムで富野さんが連綿と訴え続けている「地球へ還れ」っていうメッセージ、さらに私のもうひとつの原点たるダークグリーンが世に問うた植物意識世界からのメッセージ、そういったものを総て包含して、自然の大切さっていうのを考えて、人間の小ささを認識することから、これからどうしていったらいいかを考えていきたい、そう考えさせられる作品のひとつに挙げられ、これも私のバイブルに今後含めていきたいなと思います(^^)。

 一番最後の解説で、作品の総評をしていますが、ここではこのいろんなジャンルの物語を総て取り込んだ意欲的作品で、その意味ではどことなくアニメでいうところの「新世紀エヴァンゲリオン」に似ている気がする、っと評されていた。これは結構うなずけますね。初めて巡り合えた、本当に分かり合えると信じて信じ抜いて、最後に裏切られるという友人の話。赤坂聖司=渚カヲル、霧原直人=碇シンジ、という考え方。これはやはり伝えたいメッセージの共通性というところから、結果的にオーバーラップしてきたんだと思いますね。やはり信じること、信じ合えることっていうのは難しい。だからこそ直人と直也の関係は本当に理想なのですよね^^。


NIGHT HEAD5(97/12/28)

 ようやく読み終わりましたこの小説。実に奥が深かった。私が常々考えている「弱者の論理」「理解され得ない者の言い分」「いじめということの本質」などなどについて、深く語られていて、本当に今の社会でこの内容を、兄弟の思いを理解できる人がどれだけいるのだろうか?と考えてしまいました。

 読んでいる途中途中で、実に共感する名台詞が度々出てきたのですが、全てを書くと大変なことになりそうなので(笑)、興味のある方は是非読んでみることをお薦めします。

 憤りを感じながら、耐えながら、それでも生き続けてきた霧原兄弟・・命が、想いが最後に昇華されてよかったなぁ(^^)。結構感動もののラストなので結末を知らない方にもお薦めです(^^)。でも、現実世界ではこういう弱者なひとは、結局泣き寝入りなんだよなぁ。広い理解力と、深い包容力のある大きな人間に、私もなりたいです(- -)。