一言書評 〜車田正美作品の感想〜


聖闘士星矢 ハーデス十二宮編(2002/11/09)

<原作>

 OVA開始直前、全巻引っぱり出して一気読みしました。なんと十冊もあったのですね^^;。これ全部ちゃんとやってくれるでしょうかOVA?とにかくこれで“ギャラクシアンエクスプロージョン”が好きになったことを思い出しました。神衣(カムイ)に最も近い究極の聖衣“神聖衣”(ゴッドクロス)の登場を心待ちにしましょう。

<総集編>

 というわけで結局観ることにしましたPPV800円!21:00〜22:25、ちょうどテレビが空いてたので^^。高いけど、やっぱ観れるんだから観ておかないとね!

 最初は古谷徹のコーナー。あんまり長続きすることなく、さっくりと“TVシリーズ総集編”に行ってくれました。田中秀幸の語りで紹介されていく約三十分。アルゴルが出てきたところでは、期待した鋼鉄聖闘士(スチールセイント)は登場してくれませんでした(泣)。でも一気に観れるTVシリーズ、良かったですね^^。

 またまた古谷徹登場してOVAハーデス編を語る。BGMは聖闘士神話(ソルジャードリーム)。そしてさっくりといよいよ待望の本編へ。

<第一話:新たなる聖戦のはじまり>

 OPは静かな歌、綺麗な映像。いきなりのゴールド勢ぞろいに驚きます^^。このOP、めっちゃいいっす!!!!録画できないのがくやしいくらいに^^;;。見所満載沙羅双樹です。そしてなぜかその後にノンテロップOP「ペガサス幻想」!これは映像特典でしょうか?^^;効果音もバッチリ入ってて、格好いい。DVDに入るのかもですね^^;。

 とにかく映像が綺麗!これは気合い入りまくりのクオリティーです!CGもたっぷり入ってますが、それほど気にならずに上手く使われてますね^^。そしてムウの声!こちらもなかなか合ってます^^。旧作のファンにもオススメできるレベルです^^。シオンの声もいいし、懐かしの難波アフロディーテもデスマスクにしても、動いて喋ってくれるのが嬉しい限り♪^^ これはアニメでしか星矢観てない人には衝撃が強すぎるでしょうね^^。原作と見比べてくのも楽しくてしょうがないです^^。フルCGのクリスタルウォールが美麗です^^。

 ペガサス聖衣装着シーン。CG使いすぎです^^;。これには恐れ入った。流星拳もCGばっか。どうもゲームやってる感覚になってきますねぇ^^;。それにしてもデスマスクから「のりP語」のセリフがなくなっててちょっとショック。当時車田先生がのりPファンで、キャラに使わせてたのが面白かったのにねぇ^^;。時代が違うか…。途中カットされてたのは、紫龍、氷河、瞬のシーンくらいですね。かなり忠実に再現されてました。代わりに沙織のシーンが挿入されて、最後にノンテロップED「永遠ブルー」が入って一話が終了しました!(拍手喝采)なんとこの一話、十冊ある十二宮編の一冊の半分まで行ってません^^;(82ページ。あと100ページ残ってる19巻…)。いったい全何話で作られるのでしょうか?先行き楽しみです^^。

<第二話:慟哭の三人>

同じくノンテロップ「ペガサス幻想」から始まります。何と言ってもこのタイトル!!原作読んでればわかりますね、この三人。サガ・カミュ・シュラ、最強の黄金聖闘士ですよね^^。まずはムウの戦闘シーン。ムウ最高の見せ場。そしてここでようやく一話途中でカットされてた五老峰のシーン。大瀑布のCGがなかなかいいのですが、春麗の声が全てを台無しにしてます。ジャンプアニメにこれ以上グラビアアイドルを声優起用するのはやめて下さい(汗)。ホイッスルに始まり、I’s(ゲットバッカーズにも居ますが…)今度は星矢にまで…。ここだけがこのOVAのだめなところですね。

 それにしてもこの五老峰のシーン、アニメオリジナルでした。紫龍の見せ場を増やしたわけですが、アルゴル、ダンテ、カペラの三人の白銀聖闘士(シルバーセイント)が冥闘士(スペクター)として登場しました。まあ、ファンサービスなのか、所詮すぐにやられましたけど^^;。鋼鉄聖闘士にやられた上に、また紫龍に三秒でやられるとは…あわれなキャラ達でした^^;。それはおいといて、やはり本編の主人公・三人が登場!!!シュラ、カミュ、そしてサガです!!!置鮎サガは現在の星矢として最強の格好良さですね!!

 テンポは実にゆったりとしてます。ここで早くもノンテロップ「永遠ブルー」が…。原作に忠実ではありますが、二話で一冊の2/3、ということは、三十話位無いと終わりませんぞ!?^^;原作ベースで115ページです^^;。三話:蠢く者の影、四話:半身の贖罪。どこまで進むかな?^^;っていうか、半身の贖罪ったらカノンの話でしょ?これも一冊目なんですけど…。四十話やるかも知れませんね^^;まともにやるなら…。

 ほんとのエンディング、これもゆったりとした綺麗な映像で必見です。松澤由美なんですね、OP・EDとも。多分、800円なのでこれ以降は観ないと思いますが^^;、気長に本編が無料放送やってくれることを待ちたいと思います。また、ほんとに映像綺麗なので、絶対星矢ファン!という方には是非是非DVDを購入することをお勧めしておきます。絶賛ですよ!!


リングにかけろ2(1)(2000/07/09)

 車田正美が帰ってきたっ!! 私がこう叫んでみても、これだけで私の真意を知ることの出来る人は少ないでしょう。何故なら、今の世の中で車田正美と言えば「聖闘士星矢を描いた人」ということで知る人がほとんどだからです。そういった人には、きっとわかってはもらえないことでしょう。ここで「帰ってきた」と言いたいのは、“星矢”以降の“煌びやかな車田”ではなく、泥臭く、汗臭い、“熱血漫画野郎車田”のことだからであります。やはり両者は、同じ人物でありながら、分けて考えなくてはならないと、私は思っています。

 車田正美と言えば“リンかけ”である。まずこれが基本です。私も連載当時からコミックを集めて読み耽った熱き作品。もしこの作品がなければ、私が今日こうしていることもなかったろう、位の様々なメッセージを受け取っています。まずはここから過去の作品“スケ番あらし”を読み直し、初期の車田をより深く知りました。そしてこの作品を起点に、同じ闘志を感じさせる二作目“風魔の小次郎”、短編の“親友(マブダチ)仁義”があり、自分たちの生き様を綴った“実録!神話会”へと続き、そして「俺はこれを描きたくて漫画家になったんだ!」と言い切る意欲作“男坂”へと発展していく、その過程を見続け、見届けてきました。もちろん、同時期不定期に発表された幻の名作“雷鳴のザジ”も忘れてはなりません。

 こうして始まった男坂だったのだが、様々なしがらみ、諸般の事情という奴により、無念の打ち切りとなってしまった。経緯は違うが、川原正敏の修羅の門のような状態になったわけである。もちろんその時の車田の真情は伺い知ることはできないが、さぞ悔しかったろうと思う。俺の訴えたかったことは、今の世の中には受け入れられないのか!?と。男坂の打ち切りは残念だったのだが、同時期にチャンピオンで活躍していた神話会出身の元アシ・石山東吉は、その無念を晴らすかのように、同じジャンルで硬派を通す“チキンクラブ”、そして“MAP/マッピィ”を届けてくれた。石山氏の初期の漫画は、そんな思いを受け継いだ作品群として評価し、是非とも読んでみて欲しい。

 男坂の終了から暫く経ち、“星矢”の連載が始まった。車田が変わった。昔から読み続けてきた私にとってはそう思わずに居られなかった。それまでの作品に流れていた車田スピリッツ「わかってくれる人だけに読んでもらえればいい。ありのままの自分の情熱を世に問いたい。」と言った想いが隠れ、代わりに大衆受けする、誰にでも親しめて人気の出そうな、最初からアニメ化を狙うような方向に路線変更されたのだ。「仕事でやってるんだからこれで食ってけないようじゃ、何を訴えてもまずは始まらない」みたいな、割り切った大人びた社会人のようなところを見せてくれたのだ。もちろん真意は定かではない。私の勝手な思い込みだ。でも結果的にそれは成功し、今をときめく“聖闘士星矢を生み出した男・車田正美”が生まれたのだ。

 それまでの情熱が無くなったわけではなく、その上に一般ウケする煌びやかな装飾を被せただけで、その想う処は変わっていないはず。そう思って星矢も見続け、見届けました。その後も作品は続いていましたが、相変わらず星矢の味付けが抜けない作品が続き、いまひとつ…の感が抜けませんでした。中には“あかね色の風”のように昔ながらの車田が見え隠れする作品もありましたが、やはりオリジナルでの登場を待ち望んでいたわけです^^。

 そんな背景があって、今遂に車田正美が帰ってきた! 代表作であり、思いの全てをそそぎ込んだ名作“リングにかけろ”を引っ提げて! これはタイトルこそリンかけながら、間違いなく中断に追い込まれた男坂までの系譜を受け継いでいます。当時の世情が許さなかった激情溢れる作品で、星矢を通じてステップアップした、しかし最初のリンかけの頃と変わらぬ情熱を持ち続けた昔ながらの車田が、今また自分の思いを世に問う、そんな作品の登場だ。全ては石松の声を通して作品のセリフ全てが語ってくれている。是非とも手にとって欲しい、そう願わずには居られない作品です。麟童のこれからの成長にも期待していきましょう。