一言書評 〜菊地秀行作品の感想〜


 長年読み続けている菊地秀行先生の作品群についての感想をまとめました。
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D−Nix


ソノラマ文庫創刊25周年記念『作家と読者のつどい』(2000/12/02)

 2000年12月2日(土)。12時25分開演。東京有楽町・朝日ホール。ここで今世紀最後のミレニアムな大イベントがひっそりと行われた。

 ソノラマ文庫の歴史は日本のSF小説の歴史、そう言いたくなるほどに私もソノラマ文庫は読み続けてきた。25年を振り返った歴史が語られていくと、本当にうなずくばかりだった。冒頭の朝日ソノラマ君島社長のあいさつにあった通り、宇宙戦艦ヤマトがあり、機動戦士ガンダムがあり、クラッシャージョウがあり、そしてキマイラ、魔界都市、Dへと続いてきたわけだ。懐かしいなぁと何度もうなずきつつも、これが25周年と言われればそれはそれは感慨深いものでしたね。

 

 今回のイベントも、菊地先生をはじめとしたソノラマの歴史を作ってきた方々がご列席。ステージだけでなく客席の方にも、それはそれはたくさんの方がいらっしゃってました。あまりに多すぎて名前を呼び挙げるだけでかなりの時間を費やしたくらいで、とても全て覚えきれるものではありませんでした^^;。覚えてる限りでものすごく印象に残ったのが、ロフトのライブでもお馴染みの飯野文彦先生、イラストレーターでは加藤直之さん、小林智美さん、漫画家で私も大好きな佐々木淳子先生、ですね。おそらく20名以上はいらっしゃったかと思います。ほんとに読者のつどいだけでなく『作家のつどい』でもあるんだなぁと納得してました^^。

 第1部のトークショーは「デビューの頃と今」と題して、写真の5人の方々がそれぞれのエピソードを紹介していきました。

 皆さんそれぞれにいろんな経験されてるんだなぁと思いつつも、菊地先生はこの皆さんの表情の如く(笑)、トークライブでの勢いをかなり控えめにして(?)面白可笑しく語って下さってました♪^^ 四人の先生から紹介されたそれぞれに思う『作家になるには』話が、個性あっていろんな考え方に分かれてて面白かったです。大賞応募や編集部持ち込み、今でもいろんなやり方があるようですね。時間が経つのがあっという間に過ぎ去った充実した数時間でした。

 休憩を挟んで第2部は、いよいよ今回のイベントのメインとなる新作劇場用映画「バンパイアハンターD」の上映会。

 まず最初に菊地先生と、映画監督・川尻善昭氏の対談。ベースとなる“妖殺行”を選ばれたのは、トータル102分の映像に纏めるために、時間軸がわかりやすい設定をセレクトしたそうです。もちろん長すぎてしまえば纏めきらないし、短くても纏めにくい。また映像作家の視点で、80分と100分にまとめるときの違いなどについても話があったりと、聞いていて勉強になる内容でいっぱいでした。

 さて内容。もちろんベースは3作目“妖殺行”。しかし、内容はほとんど覚えてなかったりする^^;。妖殺行ってこんな素敵な恋の逃避行物語だったのですねぇ^^。しかもさすが川尻監督と言いたいほどの感動的ラスト!原作のイメージを崩さずに、しかも自然な流れで原作とはちょっと違ったラストが待っていました^^。これは必見ですよ♪

 この映画はどんなジャンルに分類されるべきか? いわゆる『アニメ』という括りで片付けてほしくないクオリティーがありました。ロフトのライブで観てきた『古き良きホラー映画』、間違いなく『洋画』として観るべきでしょう。日本での劇場公開にあたって、声優をどうするかというアニメ的心配事が今まではありましたが、この作品は吹き替え無しで、字幕で観るべきではないのかな?と思いましたね。Dの声も渋く格好良く、マイエルリンクもどことなくフォルケンっぽくって凛々しかったさ^^。一点だけ“Left Hand”さんの声については、もうちょっと雰囲気出してほしかった^^;。やはりあの永井一郎さんの声で聴いてみたいっす、左手さんわ!(笑)。

 映像の実写に迫るクオリティーの高さは、さすが川尻監督とマッドハウス!天野さんのあの絵を、今の映像技術で動画にするとこうなるのか!と納得しちゃいましたね。Dの表情は、どことなくあしべゆうほさんの描くダークサイドに似た雰囲気があり、当然戦闘シーンの流麗さもスピード感も、神速の剣技を十分表現してくれたと思います^^。ほぼ全編に渡り非の打ち所のない作品として絶賛します!DVD化熱望!!即行買います!!!

 気になる日本での劇場公開の予定ですが、川尻監督の方から「来年3月〜7月の間には」というお言葉がありました^^。菊地先生も何度も念を押して^^、7月には劇場で!ということになりそうな雰囲気です^^。なってくれたらいいなぁ。早くもう一度観たいです!!実現に向けて、頑張っていただきたいですね^^。


D−ダーク・ロード(2000/04/02)

 初参加のトークライブ「ザ・忘年怪」に先駆けて1巻を読み始め、前回のライブでは丁度読んでいた2巻にサインを頂き、そしてようやく読了したという記念すべき作品となりました。アニメ化やゲーム化、様々に展開を魅せているこのシリーズも、だいぶ長い付き合いになってきましたなぁ。それこそDと左手のように(笑)。

 今回はその左手と切り離されてしまう、或いは自ら切り落とすというシーンが何度と無く描かれ、ハラハラとはしながらも、それでも絶対の勝利を確信して疑わないほどの圧倒的な強靱さ。それがDの一番の魅力ですね^^。もちろん左手が居たからこそ助かった場面も多かったのですが、それを鑑みてもあまりあるDのダンピールとしての、貴族としての底力には凄いものがある。まだまだ最強無比のロードノベルは終わる気配を見せません。今後も変わらぬ活躍を我々に見せ付けてほしいものです^^。

 Dに関しては、最近は他にも、天野氏のCD−ROM画集という形で話題が沸騰しているところです。こちらは私も購入していますが、やはりいい!!Dの世界観がBGMと迫力のイラストで再現されていくという…絶対に買いですな^^。惜しむらくは800×600の出ない私のマシンでは満足に楽しめないということ…(汗)。大画面でこの感動を味わってみたいものだなぁ。

 大画面で味わうということでは映画。Dの映画はロフトで“噂”と“数シーン”が垣間見えただけですが、海外作品とのことで逆輸入・公開が楽しみです^^。それと、頭がD一色の状態でライブ明けに見に行った「スリーピー・ホロウ」という映画!これが世界観といい臨場感といい格闘シーンといい、実写版Dといってもいい出来だったんじゃないかなぁと、洋画に疎い私などは思ってしまいました^^;。めっちゃかっこよかったし!!おまけにキャラ的にもシンクロしてきましたし^^。

 勝手にキャラ比較をしてしまうと(笑)ヒロインのクリスティーナ・リッチ!彼女はどこか貴族の娘の匂いがしてしまうほど魅力的で、作中のレディ・アンやロザリアとシンクロしてます^^。関係ないけどレディ・アンが命懸けで愛する人を守ろうとするくだり、Dはトレーズ・クシュリナーダなのかとか妙なこと思ってしまいました(爆爆)。それと<新宿>の登場人物中、私もかなり好きな^^高田馬場魔法街の可憐な少女・人形娘にもイメージぴったりだったな^^。…長々と脱線してしまった(大汗)。主人公ジョニー・デップはというと、こちらは当然ながらDになれるはずもなく^^;、でもでもダーク・ロードでDとともにいろんな場所に赴き、活躍してくれた輸送隊の知恵袋・セルゲイにかなりイメージ合うかも?^^ あと例の首無しライダー(←違う!そりゃ銀狼!!…自爆)じゃなくって首無しの騎士は、Dの好敵手として相応しい、強さと、そしておぞましさというか、貴族っぽかったな。ダーク・ロードの敵達は癖のあるキャラが多すぎたのだが^^;、それでも近いと言えばギャスケル大将軍? まあとにかくシンクロしまくりだったわけだ^^。タイムリーでね☆

 菊地先生の作品は他に先行して次々読み続けたいと思ってます^^。早く読み進めねば!!


夜凶街(99/08/16)

 “魔震=デビルクエイク”より始まる一連の魔界都市<新宿>の作品に関しては何度か既に書いていますが、今回の物語は今までとは別の登場キャラにスポットを置いて語られています。すなわち“凍らせ屋=スパイン・チラー”屍刑四郎、そして“都営・戸山住宅=吸血鬼一族の長”夜香である。屍は通り名の同名小説で相棒・鬼顔才吉とともに主役としてデビューしているが、夜香は初めてである。どちらも魔界都市ブルースのシリーズでは、“人捜し屋=マン・サーチャー”秋せつらとともに何度か新宿の危機を救った“魔人”である。本作では副業が忙しいせんべい屋の若主人はほとんど顔は出さないが、“白い医師”ドクター・メフィストは非常に重要な処で度々活躍してくれた。本当に嬉しい趣向の新たな魔界都市作品の登場だ。

 今回の敵は、ドイツのシュワルツシルト“黒い森の雑談者たち”。<新宿>の面々も何度となく殺され(!?)ながらも、恐るべき魔戦を展開してくれる。屍や夜香は勿論のこと、屍の部下魔界刑事・鬼顔も夜香と対等に渡り合う強さで最後まで活躍するし、夜香の部下たちも当然ながら並みではなかった。最強の敵“ジョーゲン”相手に情勢も二転三転する展開で読み応えもバッチリです。是非新たな魔界都市を探訪してみて下さい。


D−双影の騎士 2(98/09/05)

 久々の吸血鬼ハンターの物語は、二人のDの物語でした。作者自身もあとがきで意外と言ってるように、不思議な物語でした。謎が深いとこがDらしいとこでもあるのですが、それを立て続けに解いてしまおうと。

 しかし、やはり口調が砕けた「にせD」よりも、にべもない言動をさらりと言ってのける「D」こそが、Dらしいなぁと思いました^^。そして、なにげに毎回実に美味しいとこで活躍してくれる「左手の人面疽」さんもいい味出してます(^^)。やはり左手さんあってのD、一蓮托生ですからね〜。

 今回は、ついに前巻のあらすじをまるっきり失念し、1巻から読み返すという体たらくをしでかしてしまいました(汗)。まあ、それで最初っから一気に読めて、話が良く通ってよかったのですが^^;。続き物は出来るだけ通して読みたいものですね^^;。


ブルー・マスク(完結編)(98/04/23)

 今回のお話は、せっちゃんはほとんど脇役でしたね〜(^^;。いつもは最後に「私」になって信じられないような活躍を魅せてくれるのに…おいしいとこはほとんど屍刑四郎が持ってくし、メフィストせんせは例の如く敵だか味方だかわからんし、タイトル通りの「仮面」の独壇場でした(^^;。っま、こういうのも悪くないかなぁとか思いますけど。やはり「僕」はともかく(笑)、「私」には絶対無敵でいてほしいなぁと思いました(^^)。

 魔界都市の物語はまだまだ続きます♪ 今度はオールスター総登場の大作も控えてるそうですね(^^)。人形娘や夜香、外谷さんにトンブ、他には誰が出てくるのだろう? 楽しみ楽しみ♪(^^)


<魔震>戦線(98/02/16)

 久々に読了した小説についてです(^^;

 魔震(デビルクエイク)は<新宿>を語る上で欠かせないお話です。長くなるだろうなぁと思いつつ、今回は「1」とか「上」とかいう表記がなかったので、1巻完結かな?と思いきや、しっかり(次巻へつづく)となってました(笑)。まあ、このことについては当の菊地さんもあとがきで触れてましたが…(巻数が増えるのもいつものことだし(笑))。

 でも、そのあとがきで、魔震=菊地さんの原点というのを失念していたというのも苦笑ものでしたね(^^)。因みにご本人曰く、菊地さんの小説の原点は、<魔界都市><吸血鬼><ゾンビー>だそうです。

 こうしてあとがきなどを読むと、特に今回は直接お会いしたばかりだったので、生の声が聞こえてくるような気がして、別な意味でも楽しめました(^^)。なんたってサイン本ですし〜♪

 さて、次は菊地さんのことを「<魔界都市>のセンセー」と呼んでいるという、夢枕獏さんの小説だ。今度はいつ読み終わるでしょうか?(笑)


菊地秀行先生サイン会(98/01/31)

 神保町の書泉ブックマートでサイン会がありました。菊地先生の作品は、魔界都市関連作品(メフィストが出てくるのが条件^^)、吸血鬼ハンターDシリーズを持ってます。十六夜京也、ドクターメフィスト、秋せつら、外谷良子、ヌーレンブルク姉妹、人形娘、夜香などなど、数多くの個性あふれる魔人たちを輩出してきた魔界都市「新宿」、まだまだ謎の多い貴族の血を引くダンピール「D」、それぞれの世界観はほんとにすごいぱわあを誇り、まだまだとどまることを知らずにさらに深まっていく。休むことを知らない菊地先生のちょっとした息抜きなのかも知れませんね、サイン会って(^^)。お疲れさまです。そして、これからも魅惑の登場人物たちを自由に遊ばせてやって下さいませ(^^)。