一言書評“番外編” 〜版画展の感想〜


塩山紀生原画展(2001/09/16)

 垣野内展からひと月ですが、また興味深い展示会がありましたので行ってきました。今回は「ボトムズ」中心ということで、塩山作品だけでなく、大河原作品のボトムズや、以前あった「ガンダム」「Zガンダム」も一緒に展示されてました。

 版画は6点。描き下ろしが3点、作成順に「静寂(しじま)」「蕨然(けつぜん)」「蒼影(そうえい)」、それと旧作品の代表作として「絆」「出立」「戦夢」がありました。わたし的にはボトムズ色の原点である緑を基調にしてて構図も気に入った「戦夢」をGet♪^^横長で六角ボルト締めというこだわりのある額装もなかなか☆ 到着を楽しみにしましょう。

 今回は「塩山先生だけのサイン会」が渋谷のギャラリーでは予定されてたのですが、他の2会場(名古屋、福岡)では、高橋良輔監督も来場予定になってました。なんだ、渋谷は来ないのか〜と思っていたのですが、予定の14時になってもなかなか始まらない。なんでかと思ってましたら、なんと急遽飛び入りで参加されることになった高橋監督の到着を待ってるとのこと(笑)。基本的に塩山先生と高橋監督が飲み友達であることもあり?、それじゃ行こうか?みたいな軽〜い感じで来られたのかなぁという雰囲気で、予定20分ほど遅れてでしたが、塩山先生と高橋監督が来場されて、予定外の「ボトムズトークショー」となりました!

 このトークの内容が濃いこと^^;。サイン会だけかと思ってたら、9割トークな大イベントに発展しました^^。うれしかったね〜♪ お二方、特に塩山先生が自分の絵に対する熱き思いをこれでもかっ!ってくらいに語って下さいました^^。最初は疎らだった来場観覧者も、気が付けば会場ぎっしりになってて、皆真剣な、真摯な眼差しでそのトークを聞いてました。

 自分の作品に甲乙は付けられない。どれも自分の息子なので、順番など付けられるものか!と言い切られる先生の思い入れは、さすがに巨匠と言ったところ、圧倒されました^^。それでもやっぱり新作の1作目、7〜8月の暑い最中に描き上げた思い入れのある、描き下ろし版画第一作目になる「静寂」について、これがやはり1番とばかりに、様々に語って下さいました^^。

 作品タイトルの命名については、全て高橋監督によるものとのことで、そのエピソードについても。塩山先生は「全部、観て5秒くらいで考えたそうです」と話されてましたが^^;、実際は2日間くらいかけて候補を絞り込んで、最後に二人で話し合って決めたとのこと。それでもやっぱり最後に残ったのは、最初の5秒でピンと来た名前だと言うのだから、やっぱりさすがというべきでしょうね^^。私も作品とタイトルが非常に合ってるなぁと、感心してたところでした^^。特に「静寂」!これは絵を観てからタイトル観ると、「あ、静寂だ。」と納得してしまいましたよ、ほんと^^。静寂はポストカードでGetできたのだ♪よかったよかった♪^^

 ただ、「蒼影」については意見が分かれ、最後まで塩山先生の「音」をイメージしたタイトルが候補から外れなかったそうです。結局高橋監督の、「絵」から受けた印象をもとに命名されたのですが。すごいですほんと、お二人とも^^。ちなみに、難しい字をタイトルに付けたがるのは、高橋監督の趣味だそうです(笑)。確かにOVAなども、難しい字が多かったですね^^;。

 トークショー、気付けば30分以上!!内容ホント充実してました!!同じ飲み友達だった、故・神田武幸監督の話も出たり、二人の出会いから、作品作りの思い出等々、貴重な話がたくさん聞けました!

 トークが終わった後、ようやく本来のサイン会に移ったわけですが、一度退場された高橋監督を、急遽またまた塩山先生が呼び戻して下さいまして^^、一枚の色紙に寄せ書きジョイントサイン会に変更!! キリコの素敵なイラスト色紙に、お二方のサインを頂いてきました^^。 この、サイン会もかなり特異!? 塩山先生は、普段から絵を描くときも字を書くときも、必ず立ったまま、であるとのこと。その写真も場内には展示されてましたが^^;。というわけで、座ったままではサインできない!ということで^^;、先生だけは立ったまま達筆なサインをされていきました^^。

 これがまた、先生→監督への流れ作業でサイン色紙大量生産していきまして^^;、100人くらいは居たと思うのですが、ほんの5分弱くらいで全員分終わってしまいました^^。この人数でこれだけ短時間に終わったサイン会も初めてでしたね。なので名前入れたり握手したりも無し!純粋に「サイン会」で終わりましたのだ^^;。もっとも、私はと言えば、最初にファン代表として花束贈呈するという大役を引き受けましたゆえ(笑)会場では一人だけ、花束渡した後に塩山先生とは握手させてもらってました^^。小柄ながら、絵の印象と同じように、荒々しく力強く、がっしりとした握手でしたね。突然でびっくりでしたが、貴重な経験できてよかったです^^。

 気になる新作ですが、来春から始まるTVシリーズの製作が進行中とのこと。高橋良輔&塩山紀生コンビの最新作となりますので、今から期待していましょう♪^^


垣野内成美原画展(2001/08/05)

 原画&版画展にはその後何度か足を運んでいましたが、その後購入はレジェンドの4点目を買った時点で途絶えていました。で、久々に「これだ!」と思ったのが、待望の垣野内成美第2弾です^^。実は昨年末に1度行われてて、そのときは情報収集不足で原画展にもトークショーにもサイン会にも行けなかったのですが(泣)今回こそわっ!と意気込んで、行ってきましたですよ^^。

 今回渋谷のギャラリーでは、垣野内さんの来場トークショー&サイン会が行われて、私も行ってきたのですが、地方数カ所では、なんとOVA美夕の声優で人気の渡辺菜生子さんも来られていたとのこと!うーむ、どちらも魅力的ではありましたが^^;、わたし的には初めて垣野内先生にお会いできてサイン頂いて握手も出来ましたので満足でした^^。

 トークショーでは、版画作品について、お仕事について、お休みの日の過ごし方についてなど、いろいろとお話してくれました。

 版画では、いつも監督チェック(笑)が入ってしまうコミック&アニメ作品と違って、ホントに自分の好きなように、遊び心をたくさん鏤めた、本編美夕では絶対に観ることのできない、お仕事とは離れた垣野内さんならではの絵になったとのことで、本人も大変満足しておられました^^。監督はと言えば、それを見せたときに「ふぅ〜ん」と一言おっしゃっただけだったそうな(笑)。

 なのでお仕事作品の作り方・出来方としては、いつも垣野内さんの好みと、監督の好みのギャップで食い違いがあり、結局は監督の好みに合わせることになるので、垣野内さん的にはちょっと納得のいかない状態で世に出ることが多いそうな^^;。成る程「垣野内成美作品」ならぬ「平野俊貴監督/監修作品」には、そんな意味もあったのですね〜^^;。だからこそ、今回の満足できる美夕版画への思い入れは相当なものだったのでしょうね^^。

 お休み=オフの日は、楽しみと言えば「ディズニーシー」だそうで^^。趣味のお話はなかなか聞くことの出来ない御方ですゆえ、貴重なお話でしたが、年パスもって毎月必ずTDL(東京ディズニーランド)へ通ってるディズニー好きなのだそうです。なんかほんと納得!って感じですね^^。それと舞台を観に行くことも。ただ、いつもは監督と二人で行かれるそうなのですが、締切間際で修羅場ってるときには、置いてけぼりになって監督一人で行かれることもあるそうな^^;。でもずーっとお話お聞きしてて、口では何と言っても、やっぱり仲良いご夫婦なのだなぁということが伝わってきましたね^^。公私ともに助け合って、これからも頑張っていってほしいですね、お二人とも♪

 作品の方は、実際どれも良かったのですが^^、話題に出てた描き下ろし『天上華』はポストカードでGetできたので(笑)その他2点を選ばせて頂きました^^。届くのはまだ先ですが、楽しみにしたいと思います♪

※この日の様子は、写真入りで垣野内さんのページで紹介されてます。(2001/9/16現在)垣野内成美ホームページ


メーテル レジェンド 交響詩宿命〜第一楽章〜(2000/08/05)

 「あの時、メーテルとエメラルダスは15歳だった・・・」

 衝撃的なストーリー、最高の話題作、遂に登場!!といったとこでしょうか^^。クイーンミレニアル=1000年女王の指揮の下、ラー・アンドロメダ プロメシュームの幼き双子の娘・メーテルとエメラルダスが、機械の体という永遠の命をどのように捉え、そしてその後どのような運命を辿ることになったのか、それを決定付けたルーツを紡ぎ出すのがこの作品“メーテルレジェンド”となります。15歳のメーテルとエメラルダス、母であり機械化母星を造ったプロメシューム、そのさらに遥か上に君臨する1000年女王。謎を秘めた松本作品のヒロイン達が一堂に会して、大宇宙を舞台に伝説を創り上げていきます。ビデオの発売が待ち遠しいですね〜^^。先行レンタルは9/20からになります☆

 今回は早々とその予告編ビデオも観れたし、美麗さにただただ感動してしまった高い高い絹&岩版画作品も3枚程購入してきました^^;。前のスターシャも良かったけど、こちらのメーテルはほんとに素晴らしい!の一言でしたゆえ^^。高い買い物ではありますが、決して後悔はしない、それほどの作品でしたよ^^。到着が待ち遠しいです♪

 メーテルと言えば、999では黒のロングコート&あの独特の帽子がイメージとして定着してますが、今回の15歳メーテルは、コートと帽子のデザインはそのままに、その全てが純白となっています^^。白いメーテルが如何にして暗黒の象徴にも捉えられる黒のメーテルになっていったのか、その辺りもこの作品で語られるのかも知れませんね。何にしても先行き楽しみです!まずはスカパーで録画したエメラルダスOVAも観ないとね!!エメラルダスの活躍にも期待してます^^。これからも松本作品には注目して行きましょう♪^^


松本零士&銀河アートEXPO2000(2000/04/09)

 新宿で行われた松本先生のイベント、最終日の今日行って参りました。ホームページ情報から、今日はトークショー&サイン会があるとのことだったので期待してたのですが、サイン会の方は残念ながら整理券配布に間に合わずでした^^;。もらった人に訊いたところ、朝6時過ぎからいらしてたとか^^;。うーん、すごいや。私午後2時でしたし、無理ですよね(笑)。

 このアートEXPOは二部構成になってて(ちょっとわかりにくかった…)半分が有料のセル画・原画・生原稿・ポスター・レアアイテムなどなどの展示と数カ所でのOVA予告編上映、もう半分がARCHのシルクスクリーン即売所になってました。前半部分はとにかくエメラルダス!! もうむっちゃかっこいい!! OVAシリーズの存在は知ってたのですが、この予告編観てすぐにでもみたくなっちゃいましたね^^。海野広のたくましさは鉄郎にも通ずるところがあるし、エメラルダスも、当然登場するであろうハーロックもかっこいいの一言!! まだまだ松本作品、これからです! 目が離せないっす!

 もう半分の方は、3時から行われた松本零士先生のトークショーが行われて大盛況でした。版画の方は遠目でしか観れませんでしたが、ARCHの方にお訊きしたところ、一番人気のスターシャは既に売り切れ、もうひとつ人気を二分してたテレサも非常に好評とのことでした^^。スターシャ、私もいいなぁと思ったけど、取りあえず外で売ってたクリアーファイルで我慢しておきました^^。

 さてトークショー! 前回れくポケットブースでお聞きした内容から数カ月経ち、つい先日は先生の部屋のコンピュータ化が完了したとのこと!CGに関しても今後はバリバリとやっていくという意気込みを語ってくれました^^。もちろん今まで通りの手で描く漫画・イラストも好きなので、続けていきたい、こちらも好きでやってきたことなので、との嬉しい内容。ARCH会員の前であることもあったとは思いますが、まだまだ手描きは無くなりません。先生のお言葉にあったのは、手で描いたものには心が映し出される、写真と一番違うのはそこのところだ、ということです。絵には描いた人の様々な心が宿っていて、その心を観る人は感じ取り、買って行くんじゃないか、という話だったんですけど、やっぱりそう思うなぁ。CGが増え続けても、そんな想いはずっと伝わっていくものだと思います。
 トークショーの最初に語られたのは、今はいなくなってしまった二人の巨匠、手塚治虫先生と石ノ森章太郎先生との思い出話。3人で語り合い、21世紀を夢見て、描き続けたSFの世界。ここでは語りきれないようないろんなエピソードを紹介し、ふと気付くと2000年、来年の21世紀を迎えるのは自分独りであることが、やはり残念でならないそうです。その後様々な形でSFコミックを支える人々と出会ったけど、仲が良くても悪くても、意見が合っても合わなくても、そういう人が増え続けてきたことが、今のこの分野を活気づけてきた。その中でもずっと仲良くやってこれたお二方が、相次いで亡くなられたこと、本当に残念です。コミックスの歴史を創ってきた人のおっしゃること、私も本当にそう思いました。そして松本先生にはいつまでも頑張って欲しいです。

 その点についての質問には、明るくハッキリとおっしゃってくれました^^。SF作家としても、必ず一度は宇宙へ行き、地球を観てみたいと^^。もうすぐそんな時代がやってくると、新婚旅行や会社の出張で月に行ったり火星に行ったりする世の中がもうすぐやってくると、そんな心配までしてくれてました^^。松本先生もきっとどこかの星へ出かけていって、地球をスケッチしたりとかやってくれるんだろうなぁ。そんなふうに思いました^^。

 気になる作品の方は、まだまだ新・ヤマトを筆頭に、999、ハーロック、エメラルダス、最後はまほろばまで、ひとつずつ順々にやっていくそうです^^。一辺には出来ないから、ひとつずつ着実にやっていくのがいいんだと、そう諭してくれました^^。まだまだSFの新世紀は始まったばかり。これからも頑張っていってほしいなぁと思います^^。


現代マンガ家20世紀の巨匠展(99/10/11)

 電車の中の広告で偶然目にして、即日で行ってみることにした展示会です。石ノ森章太郎、矢口高雄、松本零士、モンキー・パンチ、さいとう・たかを、安彦良和といった20世紀を代表する方々の作品が一堂に会してるということと、期間があと少しだったこともあって、たぶん原画展くらいなもんだろうと思いつつ、来場者全員プレゼントのクリアファイルでももらって帰ってこようみたいなノリで行ってみた次第です。

 軽いノリで入ってみたものの、入ってみると実にちゃんとした、展示即売までやってる版画展でした^^;。版画関連では天野喜孝さんの版画展で話を聞いたりしたり(今回もDの版画がいくつか展示されてた^^)、松本零士先生のサイン会の時のリトグラフで目にすることがありましたが(今回のチラシにあったかっこいいエメラルダスのが見れなかったのは残念^^;)、じっくりとここまで観たり聞いたりしたのは初めてでしたね。

 今回の目玉は「安彦良和新作発表展」ということもあり、ガンダム、アリオン、ダーティ・ペアなど多数展示されてました^^。特に真っ赤なF91と、オリンポスの丘に立つアリオンがむっちゃ格好良くてはまってしまい、今まで「高いから買わない」と短絡で考えてた版画でしたが、その良さをいろいろと聞きながら、おそらくこれだけのマンガ版画展は2度と無かろうということもあり(あってもいつになることか…)、結構長時間悩んだ末に、この2枚を購入してみたです^^。ほとんど衝動買いに近い^^;、実に高い買い物ではありましたが、やはりガンダムですからね、私の基本ですし^^。数多の蔵書と共に、一生の宝物として大事にしていきたいと思います^^。