一言書評“特別篇” 〜メガゾーン23の感想〜


ミレニアムを機に僕たちにはすることがある…。
http://www.jvcmusic.co.jp/m-serve/megazone/index.html


メガゾーン23 DVD−BOX(2000/12/16)

 遂に登場した完全無欠のDVDBOX、初回限定版は大満足の構成ですね^^。

“memorandums<上製本80P解説書>”
 メガゾーンのルーツとなる幻の作品“オメガシティ23”“バニティシティ”の紹介から始まり、メガゾーンの生みの親である板野一郎氏、荒牧伸志氏、石黒昇氏、イヴの生みの親・美樹本晴彦氏、キャラクターに魂を吹き込んだ声優・矢尾一樹、川村万梨阿という豪華な面々のインタビュー、作品・キャラクター・そしてイヴ紹介、イラストやグッズのギャラリーに(ノベライズほしい!!)、表紙は当然描き下ろしのイヴと、これ一冊だけでも見所満載のハードカバー豪華上製本! スタッフやキャストの紹介を眺めてるだけでも時間を忘れてしまいそうです^^;。ほんとにすごい布陣ですよね〜。

“ニューマスタリング版12cmCDS”
 当時のオリジナルジャケットをそのまま再現した主題歌シングルCD。“特典版”として『背中ごしにセンチメンタル』『風のララバイ』が収録されています。オリジナルジャケットがまたいい!!しっかりと宮里久美/時祭イヴが両面に^^。これも見てるだけでそのまま時間が止まってしまいそうな感じですね^^。吸い込まれそうな、引き込まれるような魅力でいっぱいですよね、二人共に^^。

“特殊装幀BOX”
 これも豪華な化粧箱仕様、もちろんデザインは描き下ろしのイヴですね。幻想的な魅力の横たわる裸のイヴが、前面・上面・後面に渡って描かれています。私の最も好きな、緑の髪のパート2のイヴ。これだけを見てても全く飽きが来ません。ほんとにすごい!!

“ジャケット”
 これもすごい!!表向きは同じデジタル的な文字でデザインされたロゴだけなのですが、開いてみるとそこにはなんと!1作目は平野俊貴氏&垣野内成美さん、パート2は梅津泰臣氏、パート3は北爪宏幸氏が、それぞれ担当した各パートの主人公たちを描き下ろした最新イラストが!!今の作品のファンも、かつての作品に魅了された人も、一見の価値ありの豪華ジャケットです^^。

“復刻版ポスター”
 残り僅少ではありましたが、開店間もなく駆けつけたおかげか、予約してなくても何とかぎりぎりで入手できました^^。1作目からパート3までのポスターが各1枚、なんと3枚も付いてきました!(飾るトコ無いけど^^;)以前コミケで入手したパート2のものともまた別のイラストだったので、これもこれで秘蔵のアイテムとなっていくでしょう^^。


 メガゾーンの魅力は、そう簡単に語り尽くせるものではないと思ってます。それでもこれだけは伝えておこうという内容を思いつくまま書いてみましょう。

“豪華スタッフ陣”
 今見ると、本当に豪華なスタッフが集結してる、と見えるでしょう。でも正確には、現在第一線で活躍している方々が、ほとんどこの作品に関わり、ここから自分の世界観を掴み現在に至ってる、それがすごいことなのだと思います。私が“全ての原点”と力説したい一つ目の要因はここにあります。名前だけ列挙してみますので、ここからどれだけの名作が誕生していったか、それぞれの思いの中で考えてみて下さい。きっと必ず、この作品へと回帰したくなる気持ちがわかってもらえると思います^^。

 荒牧伸志、庵野秀明、石黒昇、板野一郎、岩滝智、梅津泰臣、漆原(うるし原)智志、大張正己、大森英敏、岡崎武士、越智博之、恩田尚之、柿沼秀樹、垣野内成美、北爪宏幸、平野俊弘(俊貴)、美樹本晴彦、結城信輝、よしもときんじ(敬称略,五十音順)

“豪華声優陣”
 こちらも同じく集結というわけでなく、ここからスタート的な意味合いも多い。スタッフほどに驚くことも無いかと思うが(銀英伝やガンダムも数多いし^^)、それでも好きな声優さんが多いので^^、魅力を知るポイントとしては押さえておくべきでしょうね^^。やはりこの頃の声優さんが、一番私にとって基本となってるんですよね〜。今でも、小説やコミック読むときでもね^^。

 井上和彦、岩田光央、岡本麻弥、小粥よう子、掛川裕彦、笠原弘子、川村万梨阿、銀河万丈、草尾毅、久保田雅人、郷里大輔、小林清志、阪脩、榊原良子、坂本千夏、佐々木望、塩沢兼人、塩屋浩三、荘真由美、曽我部和行、高岡早紀、高木均、高木渉、千葉繁、土井美加、冬馬由美、富永みーな、中田浩二、中村大樹、西村智博、西村知道、橋本晃一、長谷有洋、林原めぐみ、速水奨、飛田展男、二又一成、三ツ矢雄二、宮里久美、矢尾一樹、梁田清之、山寺宏一(敬称略,五十音順)

“名セリフ”
 これも言い出すと切りがない。でも心に残る、私の一生をも左右したと言っても過言ではないこの二つを挙げておきましょう。どちらもパート2ラストです。

 矢作省吾は大人達の汚いやり方に失望して、イヴの「大人って何?」という問い掛けに答える。

「ガキの頃は、大人って言葉にあこがれてたけど、    
 今大人って言われてる奴らを見てると、        
 どいつもこいつも私欲のためならいい加減で…     
 人をだまし、傷つけ時には殺す!薄汚ねえエゴイストだ!
 俺は・・・俺はそんな大人になんかなりたくねぇ    
 ガキの頃の映画やテレビドラマに出てくるような    
 大人達に会いたかったよ」              

 そしてそれに対してイヴの答えは、

「なればいいのよ。あなたがあこがれた大人に…そうすれば、
 この間違った社会全体が変えられるかも知れないわ。」  

 「俺が…、大人に…?」省吾は、自分は自分がなりたかった大人になればいいってことに、そこで初めて気づく。この「若者の心の叫び」が、私の現在の想いの根幹を形作っていて、さらにイヴのこの一言が、やり場のない怒りの収め方・生きていくための方向性を示してくれた。

「正しい者が勝つ世の中は大昔に終わったんだ。納得がいかんか?」

 そしてこのB・D(CV:塩沢兼人)の一言が徹底的に若者を打ちのめす。

「お前らは、大人はいつも、そうやって俺達を見下しやがる!
 冗談じゃねぇ、強ければ何をしてもいいのかっ!?    
 人を虫けらのように殺し、何もかもぶっつぶしても    
 強ければ正しいのかよっ!?」             

 こうやって食ってかかるのが力無き若者の憤り。でもそれを、非情なる現実を直視させることで、自分の生き方は変えずに、理解し合えぬ若者に真実を伝えようとするB・Dの真の強さ。

「思い通りに生きろ。生きられる限りな。新しい世代か。
 ここは生き甲斐のある世界だった。 しかし、私が  
 正しいと信じて生きてきた時代は終わったようだ。  
 うらやましいよ、お前たちがな。          
 矢作省吾、もう二度と会うことはないだろう…!」  

 「B・D…、最後までカッコつけやがってよ…。」省吾の最後のセリフも、きっとその心を、意志の強さを受け取ったから出たのだろう。ぶつかり合うだけが全てを解決するわけではないが、そこから分かり合えることもある。新しい世代、その考え方を認め、自分の貫いた正義の終焉を悟り、次の世代へと未来を託す。認め合えたところから、新しい次の一歩が踏み出されていく。それを見送りながら、見守りながら、自分は自分の正義に殉じていく…。

 男だね。こんな大人になってやりたい!と心底思ったさ! メガゾーンのイヴとB・Dは、いろんな意味で生きる力を与えてくれた。イヴが生きる方向性を、B・Dが生きる難しさ・現実の厳しさを教えてくれた。その想いが、私の中でいつまでも変わらず、この“メガゾーン23”という作品を不動の一位にしているのである。

 おそらく今後も、メガゾーン23を越える作品は出てこないであろう。だからこそ来世紀にも、幾星霜を越えても語り継ぎたい物語なのである。20世紀のアニメの基を築いた作品・メガゾーン23。色褪せること無いDVDで、また繰り返し繰り返し見ていきたいと思います^^。


MACROSS PLUS MOVIE EDITION(2000/11/25)

 “マクロス”世界の遠い未来に“メガゾーン23”がある。この作品はちょうどその間を補完するかのような仕立てになってると思う。マクロス7などは観たこと無いのだが、PLUSはそういった意味でそれなりにみるとこがあると思います。

 例えば、主人公のパイロットたちは“バルキリー”に載り、ガ・ウォークなどにも変形しつつ飛行訓練などをしているし、すでに記念碑的存在となりながらも巨大戦艦“マクロス”は鎮座しているし、主人公の一人には“ゼントラーディ”の血が流れていたりするし、世紀の歌姫・電脳世界に生きるCGアイドル“シャロン・アップル”は未来の“時祭イヴ”そのまんまだし、トドメの舞台は“エデン”シティだったりする^^。まだヤコブやエイジはいないわけだが、そう考えると“ガーランド”はバトロイドバルキリーの未来の姿なのだろうか?脳波コントロールされてるゼントラーディ・バルキリーは、ヤコブやバドが乗り込んだオリジナル・ガーランドに近いものがあると思うのだが(^−^;。 ほんとメガゾーン好きにはいろいろ思いを巡らさせてくれる楽しい作品です^^。

 地球人とゼントラーディ人の友情物語、しかし最後はハッとさせられます。シャロンのゴーストバルキリー、これは愛憎の果てに現出したものか。過去の遺産・マクロスが浮上するとき、シャロンの歌が地上にこだまするとき、感動が世の中を支配する。馬鹿げた感動と誰もが思っても、それが過去に自分が望んだ世界そのもの。歌の恐怖・シャロンのミンメイアタックに最後まで立ち向かう限界を超えたバルキリー。大空に魅入られたパイロットが最後に観たうたかたの夢。シャロン・マクロスとたった一機のバルキリーの最終戦が見せた結末。純粋であるがゆえに過ちを犯してしまったシャロンの遺産は、次代のイヴへと引き継がれるのか。菅野よう子さんの音楽も聞き逃せない魅力のひとつ。DVDも出てることだし、一見の価値ありとオススメしておきます^^。