クルルのひとりごと
わたしはクルル、というらしい。
ムスタキというジジイにつくられたみたいだ。
くちがわるいのはうまれつき。
さて、わたしはどこにいくのやら。

          ◆

とおもったら、わたしのごしゅじんはジジイのまごむすめだった。
まごむすめはコルネットといった。
まだまだこどもね。ふっ。
「ぎゃくたい」だけはかんべんして。

          ◆

コルネットはどこにいくにもわたしをつれてまわった。
ベッドのなか、しょくじちゅう、トイレのなか。
ほんっっっとに、ずっといっしょ。
でもふしぎといやにならない。

          ◆

コルネットはわたしによくはなしをきかせてくれた。
ともだちのはなしがいちばんおおかった。
たしかエトワールといったっけ。
コルネットがいうんだからいいこなんだろうな。

          ◆

わたしがあまかった。
エトワールってこ、いったいなんなのっ。
ハナミズをわたしのふくでふいてくれるとわっ!
あたまにきたからハリセンでシメてやりたかった。

          ◆

コルネットとエトワールの3にん?でよくあそぶようになった。
わたしはこどもやくとか、おともだちやくとか。
まち、そうげん、もり。
ほんとうにおもしろかったわ。

          ◆

あるひ、きょうかいにあそびにきた。
ぼちでどうくつをみつけた。
コルネットはわくわく、エトワールはびびってる。
あれっ、なんかぎゃくなんじゃないの?

          ◆

エトワールをみすててコルネットはどうくつにはいった。
コルネットはもうべっせかい。
あちこちキョロキョロしてる。
もう、しょうがないわね。

          ◆

べつのへやにはいるとびらをみつけた。
コルネットはまよわずはいるきだ。
これだからこどもは・・・
うーん、なんかいやなよかん。

          ◆

やっぱりでた。
おやくそくのてきのおでましね。
でも、なんか、ちがう。
にんぎょうのわたしには、すぐにわかった。

          ◆

わたしがつくられてたときに、ジジイがつぶやいてた。
「なんとかこだいへいきはふういんしたが・・・」
こだいへいき。
おそるべきちからをもつきかい。

          ◆

なんとかしなきゃ。
でもコルネットはあしがすくんでうごけない。
ヤツがちかづいてくる。
どうすりゃいいのよっ!

          ◆

「コルネット!」シェリーさんもきちゃったの!?
このままじゃシェリーさんもあぶないっ!
だめよっ、きちゃだめ!
でもおそかった。シェリーさんはみずからヤツのこうげきをうけていた・・・

          ◆

ヤツはふたたびふういんされた。シェリーさんのたましいとひきかえに。
コルネットはシェリーさんのなきがらにすがりついていた。
ずっと、ずっと、なきつづけていた。
わたしには、どうすることもできなかった・・・

          ◆

とつぜん、シェリーさんのたましいがわたしをよんだ。
「ねえ、しばらくあなたのからだをかりていいかしら?」
わたしはびっくりしたけど、すぐにへんじした。
「おっけー、いいわよ。コルネットがなきやむまでね!」

          ◇

きがつくと、わたしはきゅうでんにいた。
おおきくなったコルネットがそばにいた。
なによ、ぜんぜんなきやんでないじゃないの。
さあ、またわたしのでばんみたいねっ。
〜END〜



あとがき
マールのSS第2弾。またこういうパターンになってしまいました(^_^;)
クルルにもともとのこころがあったら、という設定にしてみましたがいかがでしょうか。
さてさて、ついに「リトプリ」(マール2)が発表されましたが、
クルル人形の運命はどーなるんでしょうか。
今度はクルセイルの餌食になるのかっ(笑)
それとも召喚される人形になるのかっ。
今後の展開が楽しみですね。
1999/07/02