ドアをノックしてみる。
コンコン。
「はい」
キィーーー。
「ダニエル!どうしたの?」
「夏!おひさしぶり」
「おひさしぶりね。って、よくここまで来れたわね。誰にも見つからなかった?」
「ううん。でもいろいろ助けてもらったんだ」
「そっか・・・・・。で、あたしに用があるんでしょ?」
「うん。“ねこの星座”の場所がわかったんだ」
「え・・・あれってつくりものでしょ」
「ううん、本当にあったんだ。“やまねこ座”っていうんだ」
「今の季節、見えるかな?」
「冬から春の北の空だから大丈夫だよ」
「じゃあ、今夜いっしょに見よっか?」
「よし、決まりっ」

夜。いちおう家には連絡して夏といっしょに夜空を眺める。
「やまねこ座は新しい星座なんだ。だからオリオン座みたいな神話は全然ないんだ」
「ふうん。じゃあ、神話がないならつくっちゃえ」
「そうこなくっちゃ。でね、でね・・・」

こうして寄宿舎の夜は更けていくのでした。

〜END〜