解体新書

世にレオン流中飛車といわれる戦法がある。けっこう威力があるらしい。だが、この戦法、ドクターたぬきがつねずね見るに、DNAに欠陥があるのではないか?ある種のワクチンが特効薬になるのではないかとおもわれる。そこでこの解体新書を悩める罹患者のためにリリースするものであります。まず、左図。これがレオン流の典型的な布陣。中飛車から5筋の位を取り、角筋は55で止めておき玉は美濃でなく、穴含みに指す。奇異なポイントは5筋の位を支えるはずの銀の進出がないこと。ここから、穴にこだわるのでなく、居飛車の動き(5筋を取っている分手数がかかるので居飛車から動く展開になりやすい)に呼応して即戦闘にはいる。この陣形の利点は角筋が開けっ放しにちかいので54の突き出しの1手で、@53の歩なりA角交換からの角打ちB飛車の活用・・・の3方睨みになること。若干きになりそうな、8筋の薄さはレオン流の罠でもともと8筋方面は軽くしてあるし、角交換させて77桂となれば左翼にはほとんどとられる駒もない。飛車が成ったところでこちらは準穴熊で美濃より8筋方面から遠いし玉型の密度も高いので美濃崩しのような66角から39銀や、55角から 36桂の筋がもともとない。8筋を捲き餌にして、中央に殺到しようという狙い。居飛車側が速攻を自重していると、こんどは遅れていた銀を中央に繰り出して結果的に本格的な通常の陣形になるという寸法。それでも、銀は46方面にでたりできるので通常より玉側が厚い。とにかく、居飛車がなにか動いてきた瞬間に54歩から一気にむちゃくちゃにでも捌いてしまえば優勢というコンセプトです。さらに、心理的攻撃として、穴を見せて(手数の関係から穴にはいりきれる可能性はかなり薄いのだが)居飛車側の暴発を誘ってもいます。穴にはいられたところでさほどのことでもないのだけど、なんとなく、穴=硬い(実は硬いわけではなく、遠いだけ)=荒捌きできなくなる=早いうちになんとかしないと・・・と思ってしまうんですね。穴=狭い=寄せやすい=ほかのところは薄い=薄みを突かれるまでに無理攻めしてくる=しめしめ・・・・とおもえばいいんだけど。
さて、このレオン流に発生学的に非常に似ているのが、(ヒラメ戦法)【左図】。こちらは同じ中飛車ですが、55は取らず囲いも美濃囲い。左金は飛車が居るので59。こちらも、平然と角交換させて手順に77桂とはね、55歩同歩同飛車54歩に85飛車など、強引に飛車角をぶつけて玉型の差で勝とうという戦法。53をねらう点や飛車のぶつけ、角交換しやすくしておいて、手順に77桂の跳ねだしなど、底に流れるものはよく似ています。55にのびていないのでとりたてて陣形にうすみも見えないかわりに、居飛車側にしても自分が動かなければ振り飛車側もそうかんたんに捌けないのでカウンターは怖いけどさほど心理的威圧感はありません。美濃囲いもさほど発展性も感じられず、落ち着いて持久戦にしてもいいかなーっておもわれかねないところが難点。レオン流は55の位をとっており、時間がたつと位が生きてきますよん・・・穴も完成しちゃいますよん、作戦負けになっちゃいますよん、ほれ、はよう、うごかんかい・・・・って心理的圧迫を加えている分、たちが悪いのです。
ということで、レオン流中飛車には序盤から確固とした問題意識をもってきっちり、陣形の無理をとがめておかないと、しらずしらずのうちに指しにくいことになってしまいます。では、どこに無理があるか?ひと目、55の位がのびすぎている。一応、飛車角は紐がついているものの、居飛車側の角も直射しており、実質的に飛車の紐だけ。しかも、銀の進出がおくれているので、他の駒の援軍が当分望めない。55の歩を54に突き出すことが決戦のスイッチになるので、その根本の55の位を押し戻してしまえばこの作戦は根本的に崩壊する・・・・となります。一般的に、わざわざとった位を代償無くとりかえされたらそれだけで、形勢は損なう(わざわざ手数かけたのが無駄になってしまうから)のに、この戦法では2筋のうすみは撒き餌でこの5筋の位こそが力の根元ですからなおさらです。で、具体的に押し戻す陣形が左図。角交換は振り飛車側にさせるようにし、打ち込みをあらかじめけしておく。こうしれば、位をおしもどした分だけ確実に優勢になれます。