WindowsXPの次期OSであるVISTAでもCUIのMS−DOS環境が準備されています。どうらら、特定ユーザーによるコンピュータ管理には必要なインターフェースの一つになっているようです。
基本的にはWindowsXPのMS−DOS環境と同じもののようです。
図1 VistaのMS−DOS環境
このコマンドプロンプト(DOS窓と呼ぶ)がWindows VistaのMS−DOS環境です。
DOS窓では、通常のMS−DOSと同様、キーボード入力によるMS−DOSのコマンド、アプリケーションおよびバッチの実行が可能なだけではなく、Windowsアプリケーションの起動・実行も可能(*1)です。
MS−DOS環境は、LinuxやUnixのシェルコマンドに近づきつつあり(OS周りをコントロールするコマンドが増えてきている)、また、Windows(GUI)環境が充実しているため、一般ユーザーが使う機会は無いと思われます。
*1:Windowsの関連付けファイルも起動できる。(例:README.TXTとタイプするとメモ帳が起動する)
図1はCMD.EXEを実行してMS−DOS環境を構築されているようですが、WindowsXPと同様、COMMAND.COMを実行してもMS−DOS環境が構築されるようです。
図2 COMMAND.COMを実行
HELPコマンドで主要コマンドを確認すると、
>HELP 特定のコマンドの詳細情報は、"HELP コマンド名" を入力してください ASSOC ファイル拡張子の関連付けを表示または変更します。 ATTRIB ファイルの属性を表示または変更します。 BREAK 拡張 CTRL+C チェックを設定または解除します。 BCDEDIT ブート データベースのプロパティを設定して起動時の読み込みを制御します。 CACLS ファイルのアクセス制御リスト (ACL) を表示または変更します。 CALL バッチ プログラム中から、別のバッチ プログラムを呼び出します。 CD 現在のディレクトリを表示または変更します。 CHCP 有効なコード ページ番号を表示または設定します。 CHDIR 現在のディレクトリを表示または変更します。 CHKDSK ディスクをチェックし、状態を表示します。 CHKNTFS 起動時のディスクのチェックを表示または変更します。 CLS 画面を消去します。 CMD Windows コマンド インタープリタを新しく起動します。 COLOR コンソールの文字と背景の既定の色を設定します。 COMP 2 個のファイルまたはファイルの集合の内容を比較します。 COMPACT NTFS パーティション上のファイルの圧縮状態を表示または変更します。 CONVERT FAT ボリュームを NTFS に変換します。現在のドライブは変換できません。 COPY 1 個以上のファイルを別の場所にコピーします。 DATE 日付を表示または変更します。 DEL 1 個以上のファイルを削除します。 DIR ディレクトリ中のファイルやサブディレクトリの一覧を表示します。 DISKCOMP 2 つのフロッピー ディスクの内容を比較します。 DISKCOPY フロッピー ディスクの内容を別のフロッピー ディスクにコピーします。 DISKPART ディスク パーティションのプロパティを表示または構成します。 DOSKEY コマンド ラインの編集、Windows コマンドの再呼び出し、マクロの 作成をします。 DRIVERQUERY 現在のデバイス ドライバの状態とプロパティを表示します。 ECHO メッセージの表示、コマンド エコーのオン、オフの指定をします。 ENDLOCAL バッチ ファイルで、環境変数のローカル化を終了します。 ERASE 1 個以上のファイルを削除します。 EXIT CMD.EXE プログラム (コマンド インタープリタ) を終了します。 FC 2 個のファイルまたはファイルの集合の内容を比較して、それらの違いを 表示します。 FIND ファイルの中からテキスト文字列を検索します。 FINDSTR ファイルの中から文字列を検索します。 FOR 指定されたコマンドを、ファイルの集合の各ファイルに対して実行 します。 FORMAT Windows で使用するためのディスクをフォーマットします。 FSUTIL ファイル システム プロパティを表示または構成します。 FTYPE ファイル拡張子の関連付けで使われるファイル タイプを表示または変更 します。 GOTO バッチ プログラム中で、ラベルで定義されている行へ Windows コマンド インタープリタの実行を移します。 GPRESULT コンピュータまたはユーザーのグループ ポリシー情報を表示します。 GRAFTABL Windows がグラフィック モードで拡張文字セットを表示できるように します。 HELP Windows コマンドのヘルプ情報を表示します。 ICACLS ファイルおよびディレクトリの ACL を表示、 変更、バックアップまたは復元します。 IF バッチ ファイル中で、条件処理を実行します。 LABEL ディスクのボリューム ラベルを作成、変更、または削除します。 MD ディレクトリを作成します。 MKDIR ディレクトリを作成します。 MKLINK シンボリック リンクおよびハード リンクを作成します。 MODE システム デバイスを設定します。 MORE 出力を一度に 1 画面ずつ表示します。 MOVE 1 個以上のファイルをディレクトリから別のディレクトリに移動します。 OPENFILES リモート ユーザーによって開かれている共有ファイルを表示します。 PATH 実行可能ファイルの検索パスを表示または設定します。 PAUSE バッチ ファイルの処理を一時停止し、メッセージを表示します。 POPD 現在のディレクトリを PUSHD で保存したディレクトリに戻します。 PRINT テキスト ファイルを印刷します。 PROMPT Windows コマンド プロンプトを変更します。 PUSHD 現在のディレクトリを保存して、変更します。 RD ディレクトリを削除します。 RECOVER 不良または欠陥ディスクから読み出し可能な情報を復元します。 REM バッチ ファイルや CONFIG.SYS の中で、コメント (注釈) を記録します。 REN ファイルの名前を変更します。 RENAME ファイルの名前を変更します。 REPLACE ファイルを置き換えます。 RMDIR ディレクトリを削除します。 ROBOCOPY ファイルやディレクトリ構造をコピーする詳細ユーティリティ SET Windows 環境変数を表示、設定、または削除します。 SETLOCAL バッチ ファイルで、環境変数のローカル化を開始します。 SC サービスを表示または構成します (バックグラウンド プロセス)。 SCHTASKS コンピュータ上で実行されるコマンドとプログラムをスケジュールします。 SHIFT バッチ ファイルで、置き換え可能パラメータの位置をシフトします。 SHUTDOWN ローカルまたはリモートのコンピュータのシャットダウンを許可します。 SORT 入力を並べ替えます。 START 別のウィンドウを起動して、指定したプログラムまたはコマンドを実行 します。 SUBST パスをドライブ名で置き換えます。 SYSTEMINFO コンピュータ特有のプロパティと構成を表示します。 TASKLIST サービスを含む現在実行されているすべてのタスクを表示します。 TASKKILL 実行されているプロセスまたはアプリケーションを削除または停止します。 TIME システム時刻を表示または変更します。 TITLE コマンド プロンプト ウィンドウのタイトルを設定します。 TREE ドライブまたはパスのディレクトリ構造を図式表示します。 TYPE テキスト ファイルの内容を表示します。 VER Windows のバージョンを表示します。 VERIFY ファイルがディスクへ正しく書き込まれたかを照合するかどうか Windows へ指定します。 VOL ディスクのボリューム ラベルとシリアル番号を表示します。 XCOPY ファイルやディレクトリ構造をコピーします。 WMIC 会話型コマンド シェルの WMI 情報を表示します。 ツールの詳細な情報については、オンライン ヘルプのコマンド ライン リファレンスを参照してください。 >
●HELPコマンド+コマンド名で、より詳細な使い方が表示されます。
>HELP CLIP CLIP 説明: コマンド ライン ツールの出力を Windows クリップボードにリダイレクトします。 その出力されたテキストをほかのプログラムに貼り付けることができます。 パラメータ一覧: /? このヘルプを表示します。 例: DIR | CLIP 現在のディレクトリ一覧のコピーを Windows クリップボード に貼り付けます。 CLIP < README.TXT readme.txt ファイルのテキストのコピーを Windows クリップボードに貼り付けます。 >
図3 HELP画面の例
Window Vistaのコマンド一覧には、これまで表示されていなかったWMICなどのコマンド(次期コンソール:XPProで採用?)や、新たに追加されたTASKLISTなどのコマンドが表示されています。
HELPコマンドのコマンド一覧以外にもMS−DOS環境のコマンドがあります。
(1)COMファイル
Windows XPと同様、拡張子.comのファイルが残っています。(.comファイルは基本的にMS−DOS環境のコマンド)
>DIR \WINDOWS\SYSTEM32\*.COM ドライブ F のボリューム ラベルは ボリューム です ボリューム シリアル番号は 3C9C-B9AC です F:\Windows\System32 のディレクトリ 2006/11/02 17:31 11,776 chcp.com 2006/11/02 16:09 50,648 COMMAND.COM 2006/11/02 17:32 13,824 diskcomp.com 2006/11/02 17:32 11,264 diskcopy.com 2006/09/19 06:43 69,886 edit.com 2006/11/02 17:32 35,328 format.com 2006/11/02 17:35 56,320 graftabl.com 2006/11/02 16:09 19,694 GRAPHICS.COM 2006/11/02 16:09 14,710 KB16.COM 2006/11/02 16:09 1,131 LOADFIX.COM 2006/11/02 17:32 25,088 mode.com 2006/11/02 17:32 20,992 more.com 2006/11/02 17:32 16,384 tree.com 2006/11/02 17:35 6,656 win.com 14 個のファイル 353,701 バイト 0 個のディレクトリ 14,022,074,368 バイトの空き領域 >
図4 tree.comの実行
(2)EXEファイル
拡張子が.exeファイルにもMS−DOS環境(CUI)で実行するコマンドはあります。このファイルもディレクトリ \WINDOWS\SYSTEM32 内に存在します。
ここではファイルの解説はしませんが、興味のある人はWindowsXPのEXEファイルを参考に探してみてください。
(3)その他
一部のコマンドは英語モードで実行するようで、画面が自動的に日本語モードから英語モードへ変更され、表示されるようです。
図5 英語モード用コマンドの実行例
コマンドプロンプト窓は、画面の大きさ、使用するフォント、画面色等がプロパティで設定できるようになっています。コマンドプロンプト窓の上部バーで右クリックするか、窓左上のC:\部分を左クリックしてプロパティを選択します。
全画面表示を選択した場合は、ALT+Enterで元の窓画面に戻ります。(トグル動作)
WindowsXPと異なる点は、全画面表示すると、英語モードになるようです。(DOS窓に戻ると日本語モードに戻る)
図6 プロパティの各種設定画面
Windows VistaのMS−DOS環境(コマンドプロンプト)にも、MS−DOS起動時と同様、漢字表示や漢字変換ドライバ等を登録する
CONFIG.SYS ファイルのような設定ファイルが用意されています。フォルダ \WINDOWS\SYSTEM32
内の CONFIG.NT ファイルがこれに該当し、コマンドプロンプトを起動すると CONFIG.NT ファイルが読み込まれて記述されているドライバが登録され、また、環境が設定されます。
CONFIG.NT ファイルはメモ帳を起動し、ドラッグ・ドロップすることで、参照・編集が可能です。
Windows VistaのMS−DOS環境(コマンドプロンプト)にも、MS−DOS起動時と同様、プログラムやバッチを実行させる
AUTOEXEC.BAT ファイルのようなファイルが用意されています。フォルダ \WINDOWS\SYSTEM32
内の AUTOEXEC.NT ファイルがこれに該当します。
コマンドプロンプトを起動すると CONFIG.NT ファイルが読み込まれ、次に AUTOEXEC.NT
が読み込まれてそれに記述されているプログラムやバッチが実行されます。
CONIG.NT と同様、メモ帳で、参照・編集が可能です。