トンデモ度(★★☆☆☆)

 

 

 成田空港は産経新聞が評するに「国際空港という重大な国策がわずか7戸の反対農家によって頓挫している世界の奇観である」とのことですが、まったくその通りだと思います。

 いいかげん、弱者を助けるふりをして国益を損ねるような社説は打ち止めにして欲しいと思います。

 

 

『成田空港 交渉の窓を閉じるな』 朝日新聞社説 平成17年7月17日

 

  成田空港に2本ある滑走路のうち、暫定B滑走路と呼ばれている短いほうを北に延ばし、2500メートルにすることになった。実現すれば、4千メートルのA滑走路とともに、ジャンボ機の離着陸ができるようになる。

 

  この滑走路は02年のサッカー・ワールドカップ開催を前に、当初の計画より北にずらしたうえ、2180メートルという中型機しか使えない長さで使い始めた。空港に反対する農家が南側にあり、土地を確保できなかったからだ。

 

  その後も、空港を設置・管理する成田国際空港会社は南側の買収を進めようとしたが、「南延伸」の見通しが立たず、「北延伸」に切りかえた。実現すれば、空港の基本整備は一応、完成したことになる。

 

  国際線の需要が増えていることや、長い滑走路のほうが安全なことを考えると、北への延長はやむをえない。しかし、たとえ工事が始まったあとでも、南側の土地問題の解決は必要だ。

 

  北側国交相は月末にも、この方針を決める見通しだが、「地権者との交渉窓口を閉じるわけではない」とも話した。この考えを今後も守ることが大切だ。

 

  南への延長ができれば、旅客ターミナルから近くなって使い勝手がよくなる。北への延長では、飛行機が滑走路まで移動する距離が遠いし、狭くて曲がりくねった誘導路の問題も残るからだ。

 

  用地買収が不調に終わった背景には、重い失政の歴史がある。

 

  話は1960年代にさかのぼる。戦後の経済成長で首都圏に新しい国際空港が必要だとされた。いくつもの候補地が流れ、国は66年に突然、成田への建設を閣議決定した。地元の人たちに十分な説明をせず、機動隊を使って強制的に測量や土地収用を繰り返した。

 

  開拓農家をはじめとする住民は体を張って反対した。学生や労働者が加わり、機動隊にも反対派にも死者が出た。空港は滑走路1本だけで78年に開港したものの、それ以上の拡張はできなかった。

 

  学識経験者が進行役をつとめ、住民と国が話し合いによる解決の道をさぐったのが、90年代の成田空港問題シンポジウムだった。行政の失敗を事実上認め、国はどんな状況のもとでも、土地を強制的に収用しないと約束した。

 

  滑走路が2500メートルになれば、米国西海岸への便や、貨物を満載してのシンガポール便なども飛べるようになる。年間の発着も空港全体で20万回から22万回にふえ、延長の効果はあがる。

 

  だが、この滑走路の南にある農家は、この滑走路が3年前に使われ始めてからずっと、すぐ真上をジェット機が通過する騒音にさらされている。住むにも農業をするにも、安全で平穏な場所とはとてもいえない。

 ジャンボ機も飛ぶようになれば、状況はますます悪くなる。

 

  延長工事が完成するまで6年かかる見通しだ。話し合いの窓は、誠意を持って開けておかなくてはならない。

 

(解説)

 だが、この滑走路の南にある農家は、この滑走路が3年前に使われ始めてからずっと、すぐ真上をジェット機が通過する騒音にさらされている。住むにも農業をするにも、安全で平穏な場所とはとてもいえない。

 ジャンボ機も飛ぶようになれば、状況はますます悪くなる。

 

 当たり前です。朝日新聞は「農家の安全と平穏」を守るために空港を作り直せというのでしょうか。空港を動かせない以上、「農家の安全と平穏」を守るために適切な補償金での移転をお願いするのが一番の解決法ではないでしょうか。移転先が見つからないのであれば、国や県や市が手を尽くして探してあげるのも手だと思います。

いったい、朝日新聞はどうしようというのでしょうか?

 

 

 延長工事が完成するまで6年かかる見通しだ。話し合いの窓は、誠意を持って開けておかなくてはならない。

 

 結局、朝日新聞はどう解決しようというのか分かりません。北側に延伸したところで、誘導路等さまざまな問題が発生することは見えています。誠意を持って話し合えば、問題点が煙りのように消えるわけではありません。

 解決案を提示しない限り、小学生の作文です。