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ダンチヒ(グダニスク) ゲルマニア加刷

1Mark = 100Pfennig

 第一次世界大戦後の1920年1月10日(土)ヴェルサイユ条約により、それまでドイツの港湾都市であったダンチヒ(ダンツィヒ、現ポーランドのグダニスク)はドイツから分離され、国際連盟の保護下になり、ポーランド軍やイギリス軍が駐留していました。それまで流通していたドイツ切手(ゲルマニア図案切手)は、分離後もそのまま使用されていましたが、さすがに「DEUTSCHES REICH」(ドイツ帝国)の表示のある切手を使い続ける訳にもいかず、1920年6月14日(月)からそのゲルマニア図案切手に臨時の加刷を施して発行されました。(加刷されていない切手は、7月19日(月)まで有効でした。)その後、11月15日(月)にダンチヒは独立して、自由都市ダンチヒになりました。なお、ダンチヒの住民は戦前からの積極的な移民政策によりほとんどがドイツ人で、1923年11月1日時点でも95.03%がドイツ人でした。

 一般の切手のカタログでは、加刷の種類ごとに切手をまとめて掲載していますが、ここでは発行の事情がわかるように、意図的に切手を発行順に並べ替えています。

お断り:1920年から1923年にかけてダンチヒで発行された切手の使用済みは、実際に郵便に使用された例があまり多く残されていません。市場で見かけるものは、当時の消印の日付を変えて後から押したもの、使用時期が一致しない後年の消印の日付を変えて後から押したもの、精巧に偽造した消印を押したもの、消印らしく見せた丸い印を押したもの、断片的な印影で判別不能なものが多数あります。このサイトでは、それらをとりまぜて掲載していますのでご了承ください。

1920.6.14 (月曜 Montag, Monday)

1.DANZIG ベルリン加刷シリーズ

 切手の「DEUTSCHES REICH」(ドイツ帝国)の文字を隠すようにDANZIGの文字を、加刷したシリーズです。ただし、高額面は必ずしも隠してはいません。ベルリンで加刷されたので、ベルリン加刷とも呼ばれます。

5Pfennig
加貼り用
発行枚数:188万2000枚
10Pfennig
50gまでの印刷物
発行枚数:305万9000枚
15Pfennig
加貼り用(8月10日から市内用葉書)
発行枚数:207万4000枚
20Pfennig
50gを超え100gまでの印刷物、50gまでの外信印刷物、50gを超え50gごとの外信印刷物加算料金
発行枚数:614万1000枚
30Pfennig
ダンチヒ内宛葉書、ドイツ宛葉書
発行枚数:314万8000枚
50Pfennig
書留料
発行枚数:98万6000枚
1Mark
速達料、1kgまでの小型包装物(ダンチヒ内宛、ドイツ宛)
発行枚数:51万7000枚
1.25Mark
小包、他
発行枚数:43万7500枚
2Mark
小包、他
発行枚数:39万5700枚
2.50Mark
小包、他
発行枚数:39万5000枚
5Mark
小包、他
発行枚数:38万1600枚

・有効期限は、1922年9月30日です。


1920.7.20 (火曜 Dienstag, Tuesday)

2.DANZIG ベルリン加刷シリーズ追加

 DANZIG ベルリン加刷シリーズの第2弾です。高額面が追加されました。
 なお、この前日まで、ドイツ本国の無加刷の切手が有効でした。

1.50Mark
小包、他
発行枚数:40万7000枚
3Mark
小包、他
発行枚数:17万5600枚

・有効期限は、1922年9月30日です。


1920.8.10 郵便料金改訂

1920.8.10 (火曜 Dienstag, Tuesday)

3.額面加刷シリーズ

 新しい額面を追加するため、既発行のDANZIG ベルリン加刷シリーズの切手に臨時に額面を加刷して発行したシリーズです。おそらく、郵便料金改定に伴い、ベルリンで加刷するのを待てずに、在庫のある切手を使って急遽加刷したと思われます。加刷は、ダンチヒのザウアー印刷所で行われました。発行は一度にではなく、必要になった額面から五月雨式に発行されました。

25Pfennig/30Pfennig
20gまでの市内用書状
発行枚数:230万枚

・有効期限は、1922年6月30日です。


1920.8.17 (火曜 Dienstag, Tuesday)

4.額面加刷シリーズ追加

 額面加刷シリーズの第2弾です。

10Pfennig/20Pfennig
50gまでの印刷物
発行枚数:390万8000枚

・有効期限は、1922年6月30日です。


1920.8.20 (金曜 Freitag, Friday)

5.DANZIG 斜め加刷シリーズ

 「DEUTSCHES REICH」(ドイツ帝国)の文字を横棒で抹消し、DANZIGの文字を大きく加刷したシリーズです。加刷は、ダンチヒのザウアー印刷所で行われました。今までの加刷では、ベルリンで加刷していたからというのもあるかもしれませんが、中途半端にドイツ帝国の文字が見えていて、それを完全に消そうという意図があったのかもしれません。

5Pfennig
加貼り用
発行枚数:136万2000枚
15Pfennig
市内用葉書
発行枚数:60万6900枚
20Pfennig
50gを超え100gまでの印刷物
発行枚数:79万3600枚
25Pfennig
20gまでの市内用書状
発行枚数:67万800枚
75Pfennig
20gまでの市内用書留書状
発行枚数:147万8900枚

・有効期限は、1923年3月31日です。


1920.8.20 (金曜 Freitag, Friday)

6.高額加刷シリーズ第一次

 DANZIG 斜め加刷シリーズと同時に発行された高額加刷シリーズです。加刷は、ダンチヒのザウアー印刷所で行われました。1種類を除いて、使い道のない低額面を使用していますが、偽造防止のため、薄い緑がかった灰色の波の文様が加刷されています。1Markを除いて、この波の向きが2種類あります。
 すべての額面に、波の文様がないものがありますが、11月1日発行の第二次の同じバラエティと区別するには、未使用の単片ではできません。

1Mark/30Pfennig
速達料、1kgまでの小型包装物(ダンチヒ内宛、ドイツ宛)
発行枚数:60万枚
1 1/4Mark/3Pfennig
小包、他
発行枚数:25万枚
2Mark/35Pfennig
小包、他
発行枚数:40万枚
5Mark/7 1/2Pfennig
小包、他
発行枚数:25万枚
5Mark/2Pfennig
小包、他
発行枚数:20万枚
10Mark/7 1/2Pfennig
小包、他
発行枚数:23万3500枚

・有効期限は、1923年3月31日です。

波の文様のタイプ違い
(左)波の山が右上

(右)波の山が左下


1920.8.30 (月曜 Montag, Monday)

7.DANZIG 斜め加刷シリーズ追加

 DANZIG 斜め加刷シリーズの追加ですが、残っていたドイツ本国の無加刷切手の在庫一掃という感があります。加刷は、ダンチヒのザウアー印刷所で行われました。
 郵便に使うには中途半端な額面なので、主に郵便局内で使用されました。枚数が割とある2Pfennig(1万3100枚)、2 1/2Pfennig(9900枚)、3Pfennig(4万5300枚)、7 1/2Pfennig(2万6000枚)、10Pfennig(7万7900枚)、30Pfennig(1万8900枚)、40Pfennig(18万5100枚)、50Pfennig(1万900枚)、80Pfennig(11万7100枚)は「クライナー・インネンディーンスト」、枚数が極端に少ない60Pfennig(2400枚)、1Mark(2120枚)、2Mark(2280枚)は「グロッサー・インネンディーンスト」と呼ばれます。後者は大変高価で、ダンチヒ切手のコレクターなら誰もが手に入れたくなる一品です。

・有効期限は、1922年12月31日です。


1920.9.13 (月曜 Montag, Monday)

8.DANZIG ベルリン加刷シリーズ追加

 DANZIG ベルリン加刷シリーズの第3弾です。

40Pfennig
20gまでの市外用書状、20gを超え250gまでの市内用書状、100gを超え250gまでの印刷物、外信葉書、20gを超え20gごとの外信書状加算料金
発行枚数:67万800枚

・有効期限は、1922年6月30日です。


1920.9.29 (水曜 Mittwoch, Wednesday)

9.航空加刷シリーズ

 9月13日に発行されたDANZIG ベルリン加刷シリーズの40Pfennig切手に航空切手用の加刷を行ったシリーズです。加刷は、ダンチヒのザウアー印刷所で行われました。日本で大正8年に発行された飛行郵便試験記念切手を彷彿とさせる加刷です。

40Pfennig/40Pfennig
発行枚数:40万枚
60Pfennig/40Pfennig
発行枚数:40万枚
1Mark/40Pfennig
発行枚数:40万枚

・有効期限は、1922年6月30日です。


1920.11.1 (月曜 Montag, Monday)

10.額面加刷シリーズ追加

 額面加刷シリーズの第3弾です。

5Pfennig/30Pfennig
加貼り用
発行枚数:297万8000枚

・有効期限は、1922年6月30日です。


1920.11.1 (月曜 Montag, Monday)

11.高額加刷シリーズ第二次

 高額加刷シリーズですが、偽造防止のため、薄い赤紫がかった灰色の波の文様が加刷されています。加刷は、ダンチヒのザウアー印刷所で行われました。すべての額面に、この波の向きが2種類あります。
 すべての額面に、波の文様がないものがありますが、8月20日発行の第一次の同じバラエティと区別するには、未使用の単片ではできません。

・有効期限は、1923年3月31日です。

波の文様のタイプ違い
(左)波の山が右上

(右)波の山が左下


1920.11.20 (土曜 Sonnabend, Saturday)

12.額面加刷シリーズ追加

 額面加刷シリーズの第4弾です。これで、このシリーズが一通り揃いました。

60Pfennig/30Pfennig
20gを超え250gまでの市外用書状
発行枚数:90万枚
80Pfennig/30Pfennig
20gまでの外信書状
発行枚数:90万枚

・有効期限は、1922年6月30日です。

額面加刷シリーズ5種類揃い


1920.12.21 (月曜 Montag, Monday)

13.DANZIG ベルリン加刷シリーズ追加

 DANZIG ベルリン加刷シリーズの第4弾です。これで、このシリーズが一通り揃いました。

4Mark
小包、他
発行枚数:36万枚

・有効期限は、1922年6月30日です。

DANZIG ベルリン加刷シリーズ15種類揃い


1921.4.1 郵便料金改訂

1921.5.1 郵便料金改訂

1921.5.6 (金曜 Freitag, Friday)

14.DANZIG 斜め加刷シリーズ 額面改定加刷

 料金改定で基本料金の額面が不足したため、売れ残っていた DANZIG 斜め加刷シリーズの75Pfennigに「 60 」の文字を加刷したものです。加刷は、ダンチヒのザウアー印刷所で行われました。

60Pfennig/75Pfennig
20gまでの市外用書状
発行枚数:93万枚

・有効期限は、1923年3月31日です。

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