1Reichsmark(ライヒスマルク) = 100Pfennig(ペニヒ)
1945.6.23 (土曜 Sonnabend, Saturday)
1.数字図案シリーズ ロシア語入り
ドレスデン中央郵便局管轄の東ザクセン地区では、終戦の1週間後の1945年5月16日(水)には市内の郵便が再開されました。当初は料金収納印が使われ、5月23日から6月20日までは総統図案切手の顔の部分をゴム印や木印で塗りつぶした臨時切手が使われましたが、その臨時切手の在庫がなくなった6月21日から27日までは、再び料金収納印が使われました。
この2回目の料金収納印使用期間中に、実は、窓口から発行され、その日のうちにすぐ発行停止された1種類の切手があります。それがこのロシア語入り数字図案切手です。
印刷はヴェルツェル印刷所で行われ、10×10の100面シートで、目打ちはありません。10305シート(103万500枚)が用意され、ドレスデンの一部の郵便局で発売されましたが、切手の下の部分にロシア文字でПОЧТА(上のPOSTのロシア語訳)が入っていたことから、ドイツ人の強い抗議を受け、その日のうちに発売が停止され、切手は廃棄処分されました。ところが、発売停止までのわずかな時間の間に14500枚が売られていて、完全に回収し切れず、今日の市場に出回っています。
12Pfennig 20gまでの市外用書状 |
使用済は、当然、1945年6月23日の日付しかありません。また、売られた郵便局も特定されているので、その消印以外はあり得ません。これらは、当時の状況から考えて、初日押印や記念カバーといったフィラテリックなものしかないと言ってもよいでしょう。こういう稀少な切手につきものの偽消、後消しや、偽のカバーが存在しますので、十分注意が必要です。
・色調にバラエティがあります。
・有効期限は1945年6月23日です。
1945.6.28 (木曜 Donnerstag, Thursday) - 7.26
2.数字図案シリーズ 無目打ち
抗議を受ける原因となったロシア文字を抜いて再発行されたシリーズです。まず、12Pfennig切手が発行されてから、五月雨式に他の額面が発行されました。
印刷は、同じくヴェルツェル印刷所で行われ、10×10の100面シートで、目打ちはありません。
下の発行日は、最も早い発行日です。額面ごとに細かな色調の違いがあり、それごとに発行日(初日使用日)が特定されるなど研究が進んでいますが、ここでは省略しています。
5Pfennig 7月6日(金)発行 市内用葉書 |
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6Pfennig 6月30日(土)発行 市外用葉書 |
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8Pfennig 7月3日(火)発行 20gまでの市内用書状、50gを越え100gまでの印刷物 |
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10Pfennig 7月3日(火)発行 加貼り用 |
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12Pfennig 6月28日(木)発行 20gまでの市外用書状 |
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15Pfennig 7月10日(火)発行 100gを越え250gまでの印刷物 |
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20Pfennig 7月26日(木)発行 250gを越え500gまでの市内用書状 |
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25Pfennig 7月5日(木)発行 100Markを超えて250Markまでの郵便振替手数料 |
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40Pfennig 7月7日(土)発行 速達料、250gを越え500gまでの市外用書状 |
・色調に多くのバラエティがあります。
・無目打ちでは取り扱いが不便なため、目打ちを施した例があります。郵便局でも独自に目打ちを施した例がありますが、かなり専門的になるため、ここでは省略します。
・有効期限は1946年10月31日です。
1945.10.3 (水曜 Mittwoch, Wednesday) - 12.5
3.数字図案シリーズ 額面追加と改色 無目打ち (ウルプリッヒ印刷)
3Pfennig切手の追加と、10Pfennig切手の改色が行われたシリーズです。3Pfennig切手が暗い茶色で、今までの暗い茶色の10Pfennig切手と紛らわしくなり、10Pfennig切手を灰色に改色したものです。
この後で紹介するシリーズも額面追加と改色の(無目打ちの)シリーズで、しかも11月に発行されていることから、それらをひとまとめにして10〜12月に発行されたシリーズとして扱われることもありますが、印刷所が異なるだけではなく、POSTの書体が違うので、ここでは別シリーズとして扱います。
印刷は、ウルプリッヒ印刷所で行われ、10×10の100面シートで、目打ちはありません。
3Pfennig 10月3日(木)発行 20gまでの印刷物 |
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10Pfennig 12月5日(水)発行 加貼り用 |
・3Pfennig切手の「3」の書体が2種類あります。
・色調に多くのバラエティがあります。
・裏糊が用紙の全面に塗られたものと、○の羅列のように部分的にしか糊がないものがあります。
・有効期限は1946年10月31日です。
1945.11.3 (土曜 Sonnabend, Saturday) - 11.5
4.数字図案シリーズ 額面追加と改色 無目打ち (ザクセン人民新聞社印刷)
4Pfennig切手と30Pfennig切手の追加と、20Pfennig切手の改色が行われたシリーズです。4Pfennig切手が暗い水色で、今までの暗い水色の20Pfennig切手と紛らわしくなり、20Pfennig切手を青色に改色したものです。(おかげで25Pfennig切手と紛らわしくなったのも事実ではありますが、こちらは変更がありません。)
POSTの書体が今までとは若干小さくなっています。
印刷は、8月8日にヴェルツェル印刷所を吸収したザクセン人民新聞社で行われ、10×10の100面シートで、目打ちはありません。
4Pfennig 11月5日(月)発行 20gを越え50gまでの印刷物 |
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20Pfennig 11月3日(土)発行 250gを越え500gまでの市内用書状 |
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30Pfennig 11月5日(月)発行 書留料、配達証明料、250gを越え500gまでの印刷物 |
・色調に多くのバラエティがあります。
・有効期限は1946年10月31日です。
1945.11.3 (土曜 Sonnabend, Saturday) - 12.21
5.数字図案シリーズ 額面追加と改色 目打ちあり
利用が多い額面に目打ちが入れられたものです。
印刷は、ギーゼッケ ウント デフリエント印刷所で行われ、10×10の100面シートです。
3Pfennig 12月21日(金)発行 20gまでの印刷物 |
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5Pfennig 11月3日(土)発行 市内用葉書 |
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6Pfennig 11月3日(土)発行 市外用葉書 |
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8Pfennig 11月3日(土)発行 20gまでの市内用書状、50gを越え100gまでの印刷物 |
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12Pfennig 11月3日(土)発行 20gまでの市外用書状 |
・色調に多くのバラエティがあります。
・無目打ちのものがあります。他のシリーズとの区別は、用紙の色(薄茶色)です。
・有効期限は1946年10月31日です。
1946.1.15 (火曜 Dienstag, Tuesday) - 2.1
6.数字図案シリーズ 白紙・薄紙 無目打ち (ザクセン人民新聞社印刷)
ザクセン人民新聞社から再び無目打ちで発行されたシリーズですが、それまで使われていた粗末な用紙ではなく、白紙(4Pfennig、6Pfennig)または薄紙(12Pfennig)に印刷されました。10×10の100面シートです。
4Pfennig 1月15日(火)発行 20gを越え50gまでの印刷物 |
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6Pfennig 1月22日(火)発行 市外用葉書 |
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12Pfennig 2月1日(金)発行 20gまでの市外用書状 |
・色調に多くのバラエティがあります。
・有効期限は1946年10月31日です。
1946.2.5 (火曜 Dienstag, Tuesday)
7.ドレスデン復興 付加金付き
ドレスデン市の復興のために、高額の付加金がつけられた切手が発行されました。
印刷は、ザクセン人民新聞社で行われ、10×5の50面シートで、単線目打ち(L11)が使われています。
6+44Pfennig ツヴィンガー宮殿 市外用葉書 |
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12+88Pfennig ドレスデンの新市庁舎 20gまでの市外用書状 |
・色調に多くのバラエティがあります。
・単線目打ちのバラエティが知られていますが、かなり稀少です。
・有効期限は1946年3月31日です。
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