「一条……さ、んっ!」
長く緩やかな坂道を徒歩で上っていると、後ろから呼び止められた。
今にも死んでしまいそうな、苦しげな声だ。
振り返ると、今度の取材で顔見知りとなった巡査が、時代物の自転車に乗って坂道を追いかけてくる。
オーバーワークに苦しむ自転車の音が、巡査の声に重なり、悲壮感をいっそう盛り上げている。
よくあんな自転車が実用に耐えているものだ。よほど手入れの行き届いたものなのだろう。
塗装はほとんど剥げているし、グリップなどはかけている。今風のスリムで機能的な形に見慣れていると、この自転車は野暮ったい感じがする。それなのに愛着がわくのは、これが大切にされ、使用されているからかも知れない。
巡査はよろよろしながら俺の手前で自転車を降りると、伝言を告げた。
「ぶっ、無事に到着、したよう、ですっ」
俺は頷いた。それからあわてて礼を口にする。
巡査は生真面目に返礼すると、再び自転車に乗って、もと来た道を引き返した。
来る時とは正反対のスピードに乗って、坂を下る巡査の背中は、心なしか楽しそうに見えた。
俺は、軽快に走っていく巡査の背中をいつまでも見送った。
姿が見えなくなって、夕日に照らされる町並みを見て呟いた。
「そうか、着いたか」
肩の荷が下りた、爽快感が俺を包んだ。
話は一週間前にさかのぼる。
そのころ俺は、それまで勤めていた証券会社を辞め、ルポライターとして五度目の人生を踏み出していた。……なんていうとちょっとシブくてかっこいいけど、現実は先輩の後ろにくっついて、仕事に慣れるのに忙しい半人前ってところ。
別に俺が悪いわけじゃない。俺としては、一つの職で一生を過ごしたいタイプの男だ。しかし実際、俺は幾度も職を転々としてきた。
理由はなにか?
よくも悪くも、俺の特技のためだ。
俺の特技。
特技といっても、俺が望んで得たものじゃない。生まれつき持っていた力だ。
力。
……ちっとも、話が進んでいないが、許して欲しい。このことを話すのには、勇気がいる。もし、君が俺の頭がおかしいと思っても、思うだけで口に出さないで欲しい。精神科医だの心理学者だのに、俺は不自由していないから。
いや、少し俺も神経過敏になっている。つまり、俺は一種の超能力者なのだ。
といっても、念動力とか未来予知とか、透視とかすごいことができるわけじゃない。そんなことができたら、俺は芸能界で一山当てられたかも知れない。しかし、俺の能力は他人に証明するのが困難な能力、なのだ。
俺の力は、その辺の草や石ころ、はてまた家の壁や自分の使っているボールペン、などと話ができることだ。すべての、というわけでもなく、たまに意識を持ったものがいてそういったものとなら会話ができるのだ。しかも、そいつらの知性もまちまちで、片言しか話せない奴もいれば、やたら饒舌な奴もいる。頭のいい奴、性格の悪い奴、本当に様々だ。
まるで人間と変わらない。
しかし、そんな奴らの話が聞けるからって、どうなるというんだろう。
うるさいから黙っててくれ、なんて壁に向かっていえるか? 物に向かってしゃべっているのを人に聞かれたら、俺は気違いに見えてしまうだろう。
昔は奴らの話が聞けておもしろいと思っていたが、社会にでるようになったら、それは迷惑なだけだ。
そういった理由で、俺は定職につけなかった。
先だって辞めた証券会社では、壁のおしゃべりに耐えかねて辞めた。片時も黙らず、俺が人知れず黙っていてくれといっても聞かない。話すのは壁だけではない。共有で使っているボールペン、部長の趣味だという下手くそな絵画。
おまけに聞きたくないことまで聞こえてしまう。社内の人間関係はもちろん、課長の危ない趣味や主任が何人女性社員をたらしこんだかなんて、俺はそんなことは知りたくもない。
一年と二ヶ月、我慢して勤めたが、ノイローゼになって辞めてしまった。
そして、今、俺の職業はルポライターである。行き着くところまで行ってしまったような職業だ。
でも今度こそ、腰をすえて仕事ができそうな気がした。机の上で俺に話しかけてくるのは広辞苑ぐらいだし、壁のカレンダーだって、来年になればいなくなるのだ。 仕事にも慣れたかと感じ始めた頃、編集長の高島さんが、一つ本格的な仕事をしてみないか、といってきた。
前にもいったと思うが、それまでの俺は誰かについて行って取材の仕方を学んだり、文章の書き方のコツなんかを覚えたりしていたんだ。
「……まあ、そんな難しい話じゃないんだ。なんでも、収穫間近の野菜が畑から消えちゃうらしいんだけどね。子供のいたずらにしては、規模がでかいし、消えるところを見たって人もいるらしい。そこんところは眉唾ものなんだけどさぁ。でも、昨今はやれ超能力だUFOだとオカルトブームでしょう? 小さな囲み記事だけど、一人でやる初仕事。一条ちゃん、がんばってちょうだいよ!」
なにか怪しげだが、俺一人の初仕事、張り切って出かけた。
静かな村だった。
深い山間に隠れるようにして、その村は存在していた。
いわゆる過疎の村。人口は一万人にも満たない。農業が主とした収入源で、財政は予想に反して、それほど悪くない。
あいにく村には泊まれるような施設もないので、少し離れた町に宿をとって、村には車で通うことにした。
町から村へは長い坂道を下っていく。それ一本だけが、村と町をつなぐ道だった。
俺は長年慣れ親しんだ愛車を転がして、村へ入った。
それにしても長い坂だった。行きは下りだから平気だったが、帰りには苦労するかも知れない。馬力の弱い俺の車では、途中でエンコ、なんてことも考えられる。
そんなことは考えたくもない、と思いつつ、まずは農業組合に話を聞きに行くことにした。
実は、電話を訪ねる前にいれてある。
「本当だよ。俺の目の前でぱっと消えたんだ。嘘じゃねぇ」
堅苦しい挨拶がすんで、互いに気がなごむと、さっそく話は野菜消失事件へと進んでいった。
組合長さんの近藤さんが、あらかじめ人を呼び集めたらしく、組合所はごった返している。警察官まで来ていた。こんな小さな村では、野菜の消失も大きな事件と見られるらしい。まあ、村の生計は農業で立てられているのだから、当然といえるのかもしれない。
「野菜は大事な収入源です。私達が丹精込めてつくった野菜達が、ある日忽然と消えてしまうなんて、うっうっうっ」
組合長さんは話しながら泣き出してしまった。これはとんでもないところへ来てしまったと、冷や汗が出る。
「お願いしますだ。消えた野菜を探してくだせぇ」
「野菜は大切な商売品なんだ。ここへ取材に来たのもなにかの縁、俺達を助けてくれ」
「なんまんだぶ、なんまんだぶ……」
集まった人々のきらきらしい目に攻められて、俺は必死で頷いた。なにしろ中には鍬だの鉈だのを握って、すごんでいる奴もいるのだ。
「わかりましたから。皆さん、少し落ち着いて下さい……」
必死の言葉も、村人達は納得してくれない。
「そんなこと言って、このまま逃げる気じゃねぇだろうなぁ!」
凄む若い衆。
「逃げるなんていってないでしょうが」
頼むから鎌の先をこっちに向けないでくれよ。危ないじゃないか。俺は心の中で叫んだ。
「逃げるですって? あああ、見捨てないで下さい。お願いします! 私達の野菜を……野菜達を……」
「なんまんだぶ、なんまんだぶ……」
「ほんっとに、目の前で消えたんだ! 信じてくれ<」
「わかりました! わかりましたから、そう押さないで下さい!!」
迫ってくる気迫に押されて、後退していた俺は、収穫された大根の山に突き当たった。
もう逃げ道がない。
困ったな、どうしたら止めてくれるんだろう。
その時、背後の大根が、ぼそぼそ話しているのが聞こえた。
<肥料ハ……肥料ハ、オイシイ……ドンドン食ベテ……大キクナッテ、大キイケレド……小サイ。ソレニ中身モ……>
なんだそりゃ? いいたいことがちっともわからん。
「あっ、あの、すみません。大根を一本、売っていただけませんか」
考えるより先に、口に出していた。唐突な申し出に機先をそがれた村人達は、我に返ったようだ。
「……いいとも。これからものを頼もうって人から金は取れねぇ。どれでも好きなのを持っていってくれよ」
一番前で、鎌を握っていた若者がそういった。周りの者も頷いている。
「この件、くれぐれもよろしくお願いします」
手をすりあわせて、組合長さんはいった。俺はまた、はいと答えた。
結局、俺は大根一本でこの事件を引き受けたかたちになった。とはいえ、後から組合長さんが新鮮な野菜を詰め込んだ袋を渡してくれたけれども。
長く緩やかな坂を騙し騙し上って、隣町の宿に戻った。
次に行ってみるときは、歩いていってみようかと思う。歩いても三、四十分ほどの道程だろう。日頃運動不足の体には、ちょうどいいかもしれない。
部屋の卓袱台の上に、大根をそっと置いて、俺は問いかけた。
「おい、大根。さっきいってたことはどういうことなんだ?」
大根はまたぼそぼそと話を始めた。
<肥料ハ、オイシイホウガ……歌ガ歌エル……楽シイ歌……デモ中身ガ……歌イタイ>
?、である。
「だから、どういう意味なのか、ちゃんと教えてくれよ」
大根は黙り込んでしまった。
少し、自閉症気味なのかもしれない。自閉症の大根、考えただけでも頭痛がする。
つついても、問いかけても、返ってくるのは沈黙ばかり。むなしくなってくる。いつまでもこんなことをしていたら、俺の精神がどうかしてしまう。だって、大根が喋らないのは、普通、当たり前なんだから。
頭を抱えていたら、突然の声が俺の思考を打ち消した。
<……オ前ェハ馬鹿カ? 人間ナンダカラ、テメェノ頭デモチットハ考エナッ。ケッッッ>
恐ろしく口が悪い。しかし、いってることは的を得ている。いい返せないところがまた頭にくる声の主は、俺が首から下げているタオルだった。
「……」
それがわかった俺は硬直した。そっとタオルを外すと、たたんで卓袱台の上に置く。今まで話すなんて、思わなかっただけにショックが大きい。俺はノイローゼのな残りで、話すものを身につけているのが恐いのだ。小心者といわれようがなんだろうが、恐いものはコワイ。
<オオット、脅カシチマッタヨウダナ、兄サンヨオッ。イッツモナラ黙ッテタオルヤッテンダガ、兄サン話ガワカルヨウダシ、ジレッタクッテ口出シチマッタンダヨ……スマネエナッ>
俺の恐怖心が伝わったのだろう。タオルにまで、気を使わせてしまうとは情けない。俺はもごもごと弁解とも謝罪ともつかぬ事を口にした。
でも、タオルのいったことに一理あるのは確かだ。ここは俺が考えるしかないよな。前向きに、今の話を整理しよう。
肥料がどうとかいってるよな。おいしい肥料、結構なことじゃないか? でも中身がどうとかもいってるし。中身ってなんだ?
事件のことを聞こうと思ってもらってきたけど、失敗だったかも……と俺が考えたとき、おもむろに大根は話を再開した。
<肥料ハ……オイシイ……ドンドン食ベルト、大キクナル……大キクナッテ……中身ガ……消エル……ナンニモ、ナクナル……ナーンニモ>
「えっ、それって……」
事件のことじゃないか!
大根の話は続いた。驚くべき内容だった。これが本当なら、一刻も早く手を打たないと大変だ。
組合長さんに知らせてあげなくてはと、勇んで立ち上がった俺は、だが、はたと踏みとどまった。
だって、どうしてそう考えたのか、説明できないじゃないか。大根がいったから、なんてこといえないし。
やっぱり、自分で確かめて教えた方が、わかりがいいに違いない。
もうその日は休むことにして、俺は温泉に向かった。この辺りは温泉の街としても有名なところなのだ。畑の野菜達も、後一日くらい待ってくれるだろう。
翌朝。
田舎の美しい景観を眺めつつ、緩い坂を下る。昨日、車で通ったときには気づかないでいた細かなものが、目を楽しませてくれる。やはり歩いてきて正解だった。
組合所で聞いたところ、野菜が消えてしまう畑というのは、決まっているのだそうだ。
数人の村人に案内されて、俺は畑を見に行った。
斜めに傾いた土地に、美しいうねりを持つ畑をつくっている。
しましま模様の段々畑。パズルのピースのように切り分けられた畑が、斜面に複雑な模様を描いている。人間の生活と自然がつくり出した芸術だ。
「あんまりいいとこじゃないんだけどもね」
道々、畑の話を聞いた。
「川岸に近いし、傾斜の悪いとこなもんで、雨が降るといい土がみんな流れっちまうだよ」
「そんなところなのに、わざわざ畑をつくっているんですか」
「まあ、山ん中だから土地もあまり贅沢いえんのだわ。いろいろ工夫してるんだ」
「そうそう。ここのにあった品種を研究したりな」
「大変ですね」
問題の場所は、話に聞いたように農作物の栽培に適さない場所に、素人目には見えなかった。そこの野菜は今まで見てきた畑のものと少しも遜色がない。
「あれ、ここのは他より育たないんじゃないかと思っていたけれど、そうでもないんですね」
「そりゃあ、他と同じようにつくれなきゃしょうがないだろ」
「ここのにだけ、他のと違う肥料を土に混ぜてるんだわ」
これだから都会者は……と侮蔑を込めた目で見られて、俺は赤面した。
だけど! だけど、なにかそれは俺が考えていた自然というのと違う。素人だから、無知だから、そう思うのかも知れないけれど、商売なんだって考えないから、イヤな気がするだけなのかも知れないけれども。
……ま、でもとりあえずは、違う肥料。大根の話は、間違いなく本当だったのだ。
この畑にだけ撒かれる「オイシイ肥料」。
それが消失事件の犯人だった。
「今日はまだ消えてないみたいですね。一本引き抜いてみてもいいですか」
「ああ、いいよ」
大根の葉をつかんで引き抜く。ボコッと音がして、大根は途中で割れてしまった。
「力一杯引っ張るからよ。もちっと優しくしてやらなぁあかんで」
仕様がないなという顔をされてしまう。
けれどもそんなことには構わず、大根の状態を確認すると、大根を二人に見せた。
「見て下さい」
俺は二人に見えるように、大根の中心を指で軽く押さえた。切断面は水気がなく、触ったところからばさばさと崩れる。
まるで手品のようだ。
触っていくうちに、なにも無くなってしまった。
「これは!?」
二人の目が驚愕に見開かれる。
俺は手品の種明かしよろしく、解説を始めた。
「この畑の肥料が強すぎたんでしょうね。どんどん栄養を吸収して、限界を超えてしまうんです。人間だって、栄養の取りすぎは体に良くないでしょう。それと同じですよ」
「でも、この前は消えたんだ。本当にぱっと、魔法みてぇに。こんな風に崩れるんじゃなくて……」
「どちらも変わりませんよ。この大根だって、今無理に引き抜かなかったら、いずれはあなたが見たとおりに消えていたはずです。大根の話が事実なら、ここの大根達はみんな収穫される前に土に返ってしまうんです」
「大根の話?」
あっ、しまった。口が滑った。
せっかく信じかけてくれていたのに、今の失言で一気に話が胡散臭くなる。
「いえ、その。俺、大根なんていいました? きっと聞き違いですよ。あはははは……」
苦しい言い訳。にわかに冷や汗が出てくる。
「……あんた、俺達が田舎もんだからって、たばかるつもりじゃねぇだろうなぁ」
不気味な凄みをきかせて、二人は迫ってくる。いわれて、はいそうですかとは信じがたい事実を突きつけられた二人は、俺の失言にしがみついて、これは幻だ、まやかしだと思いたいのだろう。
「まさか、これはあんたがやったんじゃねぇだろうな?」
「あやしい。都会もんは信用ならねぇ。俺は組合長さんにもそういっただよ」
おいおい、それはあんまりだぞ。
信じないのは仕方ないけれど、この出来事自体を俺のせいにするとは理不尽にも程がある。問題を解決してくれと頼んだのは、あんた達じゃないか。
その時、野菜の中からゴソッと音がした。
一斉に振り返る。
見えたものは、いや、そこにあった野菜が見えなくなった。
その場所を調べてみると、砂のように細かになった大根の残骸があった。すくってみると、さらさらとして風に取られてしまう。
「なんと。じゃあ本当にそうなんだか?」
「こんな事が起きていたなんて。この目で見ても信じられねぇ」
よし! 形勢逆転だ。ここは押して納得させた方が勝ちだぞ。
俺は話を再開する。
「もっと悪いことがあります。この大根の屑にも、強い肥料の成分が濃縮されて含まれているはずです。そして、ここの土地は雨の度に流されてしまう。そうすると、下の畑にも、ここと同様の肥料を待ていてるのと同じ事になります。このままだと、いつ下の畑でも消滅する野菜が出てくるかわかりませんよ」
「なんてことだ……」
こうして、事件は解明された。
より詳しいことは、調べればわかるだろう。なにせ、俺の語ったことは、証拠がないんだから。上手く、話に乗ってくれてよかった。
だからといって、原因が肥料だってことは確かなんだけれども。
大根は俺にいったのだ。
<大キクナクテモ、小サクテモ……中身欲シイ……歌ウト崩レル……体……哀シイ……楽シク歌ウ歌ハ……中身モオイシイ>
とにもかくにも。これで俺は無事に記事が書けそうだ。そしてなにより、俺の密かな力が、仕事の役に立ったのが嬉しかった。
ルポライターという職業は、なかなか俺に似合った仕事なのかも知れない。
なんとなく生きていく希望が湧いて、俺は心を躍らせる。帰り道の、何処までも続く上り坂もまるで苦にならない。
それから一週間。
一度は東京に帰ったものの、畑のその後を見るために、度々この地を訪れた。
あれからすぐに組合所に帰った俺達は、同じ話を組合所でもして、話を大学に持っていったのだ。
たちまち近くの大学の研究班が来て、調査が開始された。その様子を取材したりして、俺もこの一週間は退屈せずにすんだ。記事の裏付けの話も聞けたし、なにもかもがうまくいった。
強すぎた肥料に代わって、まず土に撒かれた養分の中和剤が撒かれたのが三日前。
新しい肥料が村に届くのが今日。
強引に成長させるものではなく、その土地なりの悪い部分を補うための肥料。すべて大学の調査の賜物だ。
俺も夕方までは組合所で到着を待っていたのだが、なかなか来ないので帰ることにしたのだ。
そして親切な警官が肥料の到着を知らせてくれたのが、ついさっき。もう彼の姿は坂の向こうに消えて見えない。
俺はまた歩き出しながら最後に大根のいった言葉を思い出した。
<……スベテノ野菜ガイツノ日カ……>
いい終わらないで、大根は砂になった。
真っ赤な夕日を見つめながら、あの時、大根がなにをいおうとしていたのかが、無性に気になった。