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星に願いを



 満天にきんらめく星々の間を、時折すっと、横切る流れ星。
(十七、十八、十九……二十!)
 電気を落とした子供部屋の、窓側におかれたベッドの中で、少女は流れ星を数えている。
 妙に眼が冴えて、今晩はいつものように眠れない。
 少女は、しばらくは本を読んでいたのだが、それにも飽きて、今度は羊のかわりに流れ星を数えることにしたのだ。

(なんだか、ますます眼が冴えちゃうわ。あんまり綺麗な空なんですもの。……二十三、あ、また流れた)
 数えているうちに、少女はだんだん哀しくなってきた。

 気が付くと、頬を涙がつたっている。少女は寝間着の裾で涙を拭った。
(いきなり、涙がでるなんて、わたしったらおかしいわ)

 夜毎星に願いをかけていたのは、もっと幼い頃。しかし、星がそれを叶えてくれたことは一度もない。
 いつしか、自分が星に願い事をしなくなったのに気づいたとき、自分も少し大人になったのだと思ったものだ。世の中は、そんな風にはできていない。
 それでも、たまには、星に願かけをしてみたくなるときもあった。例えば今みたいな時だ。

 ひときわ尾の長い流れ星が、中天を横切る。
 少女は思わず手を合わせ、星に願った。
(お願いお星様、わたしのお父様とお母様を教えて!)




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