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飲み友達



 六月の新月の晩に、僕はカシマイル通りにある居酒屋へ月光ビールを飲みに行った。今日はお月さんが地上に遊びに来る夜で、僕らは飲み友達なのだ。都合が良ければお月さんは土星を連れて来ると言う。僕も一人友人を連れて行くと示し合わせていた。
 駅の改札前で待ち合わせをしているのは、金星だった。今の時期、彼女は宵から明け方に勤務時間をシフトチェンジしたばかりでこの時間はフリーなのだ。
「やあ、ちょっと待たせちゃたかな」
 僕は先に来ていた金星に声をかけた。金星は暫く前から僕が近付いてきてるのに気付いていたから頷いて、「いえ、わたしも今来たところよ」
 とこちらもまた僕の方へ少し歩み寄った。僕らはそろってカシマイル通りにあるいつもの居酒屋へ歩き出した。
 店にはすでにお月さんと土星が来ていた。もう一杯やっていたから、ほんのりオレンジに光っている。
「さあ、今晩は飲みあかそうぜ」
 僕らは乾杯をして、その晩は楽しく盛り上がった。



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