模型でできた丘の上には、発泡スチロールの樫の木が天を目指してのっていた。
いちばん天辺の細い枝の先に、絹糸で銀紙製のお月さんが鈍い光を放っている。お月さんはいつか本物の月になることを夢見て、細い細い糸の先にぶら下がっている。
本当のお月さんもわたしのように糸で吊られているのかしら。世界はこのように紙細工でできているのかしら。空気はこんなにも埃っぽものなのかしら。わたしはいつまでもここに吊り下がっていなくてはならないのかしら。ここにはなんの生き物も住んではいないのかしら・・・・・・
銀紙製のお月さんはとめどなくあふれてくる問いに一つも答えられないまま、問いは増えてゆくばかりで、気分はせつなくなる一方。