家の裏の路地を不用心にも歩いていたお月様を拉致して、回転椅子に縛りつけると、ぐるりぐるりと回しに回した。
頃合いを見計らって、さっと縄をほどき、我々は風のすばやさで物陰に隠れてお月様の様子をうかがった。目をギラつかせながらお月様はよろよろと立ち上がり、辺りに我々の姿を捜すのだが、ふらふらとしてなんとも滑稽に見えた。
我々は忍び笑いをもらすとそれぞれの家に急ぎ帰り、戸締まりをして寝た。
次の朝の朝刊のすみっこに、お月様が不謹慎にも酔っぱらって警官に殴りかかり逮捕されたと載っていた。