彼は楼上たかく 張り出し窓にすわり
おのれに並ぶ者を知らぬ
これほどの高みを望みはしなかった
しかも達したのだ
彼は再生を信じない
(たとえ蝶としてさえも)
高みに達したときから
もはや彼の家にはドアがない
窓はつぎつぎに風景を彼にしめす
そしてそれらの風景を額縁にはめる
彼はその前にすわり おだやかにほほえむ
そして傷心することを好まぬ
彼はほほえむ 君たちが幸福だから
ただ時として彼はささやく
「ああ この時の流れが
どこか大海にそそがぬものか」
教会の塔のかなたに燃える
おそい夕焼けを彼は愛する
生と死を彼は愛する
そして その二つをわかつものを
「従兄の隅窓」