蒼き影のリリス
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菊地秀行著、中央公論社

 菊地秀行氏の小説にしては珍しい、一人称の文です。主人公はおなじみ吸血鬼。出てくる人たちも大半がそう、闇の住人です。つまり、夜の闇の物語ですね。
 なかなか、粋なんですよね。主人公が。こういう雰囲気も、菊地さんは珍しいのではないかと思います。というか、室生が読んだ菊地作品にはこーいうのなかったなぁ。秋せつらの話とか、魔界医師メフェストの話とか、吸血鬼ハンターDの話とかとは流れてる闇の透明度が違うと思いました。菊地作品のエロスが苦手で、読まないって人にも、このシリーズはお薦めですよ。・・・そーいうシーンがないっていってるわけじゃないですけども(苦笑)。
 それに、ひろき真冬氏の挿し絵がとても美しいのです。もうそれだけでも買う価値ありです。でもこの挿し絵は、文庫版ではなく、ノベルズ版の方でなくてはつかないのですが。